8/2〜8/5のアート巡り
2005年8月5日 アート・第10回 国立高校OB美術展(8/4)@三鷹市美術ギャラリー(8/3〜8/7)
http://www.mitaka.jpn.org/gallery/
春にDAZZLEでの個展を拝見したウエバヒロコさんが蓋と弦を張っている部分に絵を描いたチェンバロが展示されているということで、また近いということもあって行ってきた次第。
外側は明るい赤で、内側にバラが這うように描かれていました。
楽器に描かれる絵というのは独特の味わいがあって、よい感じです。
・金紙&銀紙のゴールド&シルバー(8/4)@にじ画廊(7/28〜8/9)
http://www12.ocn.ne.jp/~niji/news.htm
いろんなものが展示されてますが、なにより枡野浩一と河井克夫が激似なのがいちばん面白いのである。
余談だが、枡野浩一のサイトも凄まじくめんどくさくて最高である。
http://masuno.de/
・YOOK,Keun-Byung SURVIVAL IS HISOTRY(8/5)@KENJI TAKI GALLERY(7/27〜9/17)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/yook05/yook05_e.html
・・・深いです。
金属の板で囲いが付けられたちいさな写真が数十点と、映像作品、壁にドローイング。
写真と映像は、どちらもモノクロで、戦争絡みの場面が中心。
またすべての作品の中央上部に片目の写真が。
そうなっていることの意味よりも先に、心の深いところに届くような感触です。
資料によるとユック・クンビョンというアーティストは主にパフォーマンスアートが多いようで、それらはかなりのインパクトを伴っているようで。
・from/to #3 池田光弘・石井友人(8/5)@WAKO WORKS OF ART(7/22〜8/11)
http://www.wako-art.jp/main/exhibition/0507from3/room1/ja.html
http://www.wako-art.jp/main/exhibition/0507from3/room2/ja.html
池田さんの作品は、黒や濃い紺の背景にさまざまな色彩のチップが散るように入っていて、そういった中にふわりと広がる白が光を連想させます。
また、木の幹のような薄茶色の線が走っている部分はじっくり観ているとその部分が膨らむような奥行きを感じました。
石井さんは、淡い色彩が広がってやさしい感じがする風景画に、淡い色彩が散らばるような抽象画でした。
以下はあらためて。
・高見直宏展 -Universal Marking-(8/2)@ギャラリーGAN(7/27〜8/9)
http://www.presskit.co.jp/
・生誕100年記念 難波田龍起展 ─その人と芸術─(8/5)@東京オペラシティアートギャラリー(7/15〜9/25)
http://www.operacity.jp/ag/exh63/
http://www.mitaka.jpn.org/gallery/
春にDAZZLEでの個展を拝見したウエバヒロコさんが蓋と弦を張っている部分に絵を描いたチェンバロが展示されているということで、また近いということもあって行ってきた次第。
外側は明るい赤で、内側にバラが這うように描かれていました。
楽器に描かれる絵というのは独特の味わいがあって、よい感じです。
・金紙&銀紙のゴールド&シルバー(8/4)@にじ画廊(7/28〜8/9)
http://www12.ocn.ne.jp/~niji/news.htm
いろんなものが展示されてますが、なにより枡野浩一と河井克夫が激似なのがいちばん面白いのである。
余談だが、枡野浩一のサイトも凄まじくめんどくさくて最高である。
http://masuno.de/
・YOOK,Keun-Byung SURVIVAL IS HISOTRY(8/5)@KENJI TAKI GALLERY(7/27〜9/17)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/yook05/yook05_e.html
・・・深いです。
金属の板で囲いが付けられたちいさな写真が数十点と、映像作品、壁にドローイング。
写真と映像は、どちらもモノクロで、戦争絡みの場面が中心。
またすべての作品の中央上部に片目の写真が。
そうなっていることの意味よりも先に、心の深いところに届くような感触です。
資料によるとユック・クンビョンというアーティストは主にパフォーマンスアートが多いようで、それらはかなりのインパクトを伴っているようで。
・from/to #3 池田光弘・石井友人(8/5)@WAKO WORKS OF ART(7/22〜8/11)
http://www.wako-art.jp/main/exhibition/0507from3/room1/ja.html
http://www.wako-art.jp/main/exhibition/0507from3/room2/ja.html
池田さんの作品は、黒や濃い紺の背景にさまざまな色彩のチップが散るように入っていて、そういった中にふわりと広がる白が光を連想させます。
また、木の幹のような薄茶色の線が走っている部分はじっくり観ているとその部分が膨らむような奥行きを感じました。
石井さんは、淡い色彩が広がってやさしい感じがする風景画に、淡い色彩が散らばるような抽象画でした。
以下はあらためて。
・高見直宏展 -Universal Marking-(8/2)@ギャラリーGAN(7/27〜8/9)
http://www.presskit.co.jp/
・生誕100年記念 難波田龍起展 ─その人と芸術─(8/5)@東京オペラシティアートギャラリー(7/15〜9/25)
http://www.operacity.jp/ag/exh63/
多田布美子展(7/30)
2005年8月5日 アート コメント (1)
藍画廊にて。(7/25〜7/30)
http://homepage.mac.com/mfukuda2/aiga190/aiga190.html
ぱっと観て、宇宙を連想させるような浮遊感のある抽象画という感じで。
ただ、不思議な奥行き感があって、よくよく観てみると画面が二重になっていて...キャンバスの上に向こう側が透けて見える薄い布がかぶせてある、という仕組みに。
物理的に奥行を出していて、ゆっくりと角度を変えながら観てみると微妙に画面が変化していって面白いです。
このアイデアがすごくユニークに思えて、そういう話を多田さんにお伝えしたところ、意外な応えが。
「この手法にはこだわってないんですよ」
できることなら画面を重ねずに奥行感を出せれば、とのこと。
しかも、例えばあるもの(具体的なもの、という意味)を、遠近法を用いることで描けば容易に奥行感は出せるのですが、そういった技術に頼らず、もっと深いイメージでの奥行感を出したい、という、大変興味深いお話を伺えました。
画面を三重にしたらまた面白のかな、とも感じましたが、すでに挑戦済みとのことで。
この二重画面の作品、すごく面白く感じたのでこれはこれで製作を続けてほしいと思うのですが、その多田さんがイメージする世界を具現化できたら、ホントに面白いものが観られるような気がします。
http://homepage.mac.com/mfukuda2/aiga190/aiga190.html
ぱっと観て、宇宙を連想させるような浮遊感のある抽象画という感じで。
ただ、不思議な奥行き感があって、よくよく観てみると画面が二重になっていて...キャンバスの上に向こう側が透けて見える薄い布がかぶせてある、という仕組みに。
物理的に奥行を出していて、ゆっくりと角度を変えながら観てみると微妙に画面が変化していって面白いです。
このアイデアがすごくユニークに思えて、そういう話を多田さんにお伝えしたところ、意外な応えが。
「この手法にはこだわってないんですよ」
できることなら画面を重ねずに奥行感を出せれば、とのこと。
しかも、例えばあるもの(具体的なもの、という意味)を、遠近法を用いることで描けば容易に奥行感は出せるのですが、そういった技術に頼らず、もっと深いイメージでの奥行感を出したい、という、大変興味深いお話を伺えました。
画面を三重にしたらまた面白のかな、とも感じましたが、すでに挑戦済みとのことで。
この二重画面の作品、すごく面白く感じたのでこれはこれで製作を続けてほしいと思うのですが、その多田さんがイメージする世界を具現化できたら、ホントに面白いものが観られるような気がします。
所志帆展 -focal(life in art)(7/30)
2005年8月4日 アート
Ecru+HMにて。(7/25〜7/31)
http://www.ecruplushm.com/exhibition/2005/0725_tokoro_shiho.html
毎度素敵で、親しみが持てるようなオブジェ・小物が紹介されるこちらの画廊、今回はガラスのオブジェ。
・・・これといって真新しい素材というわけではないはずなのに、静かに、心のなかに驚きが広がっていくような。
ガラスという素材はここまでコントロールできるのか、という驚き。。。
透明度が大変高いガラス作品。
手のひらに乗るサイズのものを中心に、大きい作品で両手で抱えるくらいのものが数点。
お皿などもありますが、主に眺めて心地よい作品。デザインは図形的なものがほとんど。
いくつかの層が重なっている、厚いガラスの板のオブジェ。その層のなかに気泡が整然と並んでいて、ガラスの透明感に、さらに涼やかさを印象づけるようで...「水」のイメージが広がります。
小さなオブジェにも、同じように1センチほどの厚さのガラスが重ねられたものがあって、重なることで出来た立方体に切り込みが入って、そこからぐにゃりと歪みが加えられているもの。その歪みの心地よさ...硬いもので表現される柔らかさ。
中に網や細い棒が入っているものも。
ちいさな円筒の作品は、上の方に凹みがあって、横から見ると細い黒の棒が2本入っているのに、上から見ると錯覚で1本しか見えない不思議な仕掛けが。
ただもうひとつひとつのガラス細工の透明感や表の曲面に見とれるばかりで。
http://www.ecruplushm.com/exhibition/2005/0725_tokoro_shiho.html
毎度素敵で、親しみが持てるようなオブジェ・小物が紹介されるこちらの画廊、今回はガラスのオブジェ。
・・・これといって真新しい素材というわけではないはずなのに、静かに、心のなかに驚きが広がっていくような。
ガラスという素材はここまでコントロールできるのか、という驚き。。。
透明度が大変高いガラス作品。
手のひらに乗るサイズのものを中心に、大きい作品で両手で抱えるくらいのものが数点。
お皿などもありますが、主に眺めて心地よい作品。デザインは図形的なものがほとんど。
いくつかの層が重なっている、厚いガラスの板のオブジェ。その層のなかに気泡が整然と並んでいて、ガラスの透明感に、さらに涼やかさを印象づけるようで...「水」のイメージが広がります。
小さなオブジェにも、同じように1センチほどの厚さのガラスが重ねられたものがあって、重なることで出来た立方体に切り込みが入って、そこからぐにゃりと歪みが加えられているもの。その歪みの心地よさ...硬いもので表現される柔らかさ。
中に網や細い棒が入っているものも。
ちいさな円筒の作品は、上の方に凹みがあって、横から見ると細い黒の棒が2本入っているのに、上から見ると錯覚で1本しか見えない不思議な仕掛けが。
ただもうひとつひとつのガラス細工の透明感や表の曲面に見とれるばかりで。
4/けだま展(7/30、7/31)
2005年8月4日 アート銀座OS画廊にて。(7/29〜8/4)
http://www.ginza-os.com/
多摩美大日本画の4年生4名によるグループ展。
岩絵具や箔の質感が印象的な作品をひとつひとつ観ていく中で、普段絵を観るときと違う感覚に引っ掛かってくる作品が。。。
タイトルは「また引き分け」。
うつむきがちの女性が歩く姿、その女性に首にはマフラー、色は青と赤...。
その横には「日本平裏」という作品。さらにその横、「wind味sta」。
ちょっと待て、「味」って...。
この作品を描かれた木内祐子さんにお話を伺うと、案の定東京サポ!
なんかこういう形で同じチームを応援する人に出会えたのが妙に嬉しくて、しばし東京の話で盛り上がった次第(笑)。
この絵のインパクトが強くて他の作品の印象が弱まってしまい、あらためてしっかり観ておきたいと思い、翌日曜日もお邪魔しました。
あらためて観てみて、特に印象的だったのは西野入礼さんの作品。
抽象なのですが、深い赤と黒が混ざりあうような作品や、おそらく木の幹をモチーフに明るい色や箔を多用した作品、呑まれるような力強さを感じました。
木内さんの他の作品、こちらもさまざまな色を使って、西野入さんとは違う(第一印象は色彩のバランスが近い感じがして、西野入さんの木の幹の作品は木内さんのと思ってしまいました)流れるような感触で。
人物をモチーフにした作品が多かった小林三夏さん、ちょっと暗めの色彩で描かれた、憂いを帯びた表情が印象的でした。
岩井尚子さんは真っ当な植物画。そのオーソドックスさからは何となく観ていて落ち着きます。
もちろん、物足りないなぁ、と感じる部分もあります。
でも、ここから始まってこれからもっと面白い世界を魅せてくれれば、と。
http://www.ginza-os.com/
多摩美大日本画の4年生4名によるグループ展。
岩絵具や箔の質感が印象的な作品をひとつひとつ観ていく中で、普段絵を観るときと違う感覚に引っ掛かってくる作品が。。。
タイトルは「また引き分け」。
うつむきがちの女性が歩く姿、その女性に首にはマフラー、色は青と赤...。
その横には「日本平裏」という作品。さらにその横、「wind味sta」。
ちょっと待て、「味」って...。
この作品を描かれた木内祐子さんにお話を伺うと、案の定東京サポ!
なんかこういう形で同じチームを応援する人に出会えたのが妙に嬉しくて、しばし東京の話で盛り上がった次第(笑)。
この絵のインパクトが強くて他の作品の印象が弱まってしまい、あらためてしっかり観ておきたいと思い、翌日曜日もお邪魔しました。
あらためて観てみて、特に印象的だったのは西野入礼さんの作品。
抽象なのですが、深い赤と黒が混ざりあうような作品や、おそらく木の幹をモチーフに明るい色や箔を多用した作品、呑まれるような力強さを感じました。
木内さんの他の作品、こちらもさまざまな色を使って、西野入さんとは違う(第一印象は色彩のバランスが近い感じがして、西野入さんの木の幹の作品は木内さんのと思ってしまいました)流れるような感触で。
人物をモチーフにした作品が多かった小林三夏さん、ちょっと暗めの色彩で描かれた、憂いを帯びた表情が印象的でした。
岩井尚子さんは真っ当な植物画。そのオーソドックスさからは何となく観ていて落ち着きます。
もちろん、物足りないなぁ、と感じる部分もあります。
でも、ここから始まってこれからもっと面白い世界を魅せてくれれば、と。
模写・模造と日本美術−うつす・まなぶ・つたえる−(7/30)
2005年8月3日 アート コメント (1)
東京国立博物館平成館・特別展示室第4室にて。(7/20〜9/11)現在開催中!
http://www.tnm.jp/
いろんな方々の個展を拝見するなかで、模写・模造を大学で専攻される方が意外と多く、その目的も技術の追求だったり、もちろん昔の作品への興味などいろいろで。
そういうこともあって、この模写・模造だけの展示はけっこう興味がありました。
で、感想。
勉強不足で知らない作家が多く(知ってるのは大観や菱田春草くらい・・・)、それぞれの作家のオリジナルの作品はどういうものかを知らなくて、もしそれを知っていたらもっと深く味わうことが出来たかなぁ、と。
模写の元となった作品よりも、そちらのほうに興味を抱きました。
ただ、そういうことをとりあえず抜きにして、ひとつひとつの作品を観た時、やはり凄まじいほどの表現力というか、細かく再現されていること自体に感嘆。
木造の模造が多かったですが、ホントに丁寧に造られていて、細かな部分も精緻に彫られていたり...。
また、案外「依頼されて」製作された模写・模造が多いのも印象に残ります。
余談ですが、おそらく今年開催される展示のなかでもっとも秀逸なコピーが付いた展覧会かと。(笑)。
http://www.tnm.jp/
いろんな方々の個展を拝見するなかで、模写・模造を大学で専攻される方が意外と多く、その目的も技術の追求だったり、もちろん昔の作品への興味などいろいろで。
そういうこともあって、この模写・模造だけの展示はけっこう興味がありました。
で、感想。
勉強不足で知らない作家が多く(知ってるのは大観や菱田春草くらい・・・)、それぞれの作家のオリジナルの作品はどういうものかを知らなくて、もしそれを知っていたらもっと深く味わうことが出来たかなぁ、と。
模写の元となった作品よりも、そちらのほうに興味を抱きました。
ただ、そういうことをとりあえず抜きにして、ひとつひとつの作品を観た時、やはり凄まじいほどの表現力というか、細かく再現されていること自体に感嘆。
木造の模造が多かったですが、ホントに丁寧に造られていて、細かな部分も精緻に彫られていたり...。
また、案外「依頼されて」製作された模写・模造が多いのも印象に残ります。
余談ですが、おそらく今年開催される展示のなかでもっとも秀逸なコピーが付いた展覧会かと。(笑)。
小川信治 [ペインティングの仕事〜「春信連続体」を中心として](7/30)
2005年8月2日 アート
ema daikanyamaにて。(7/2〜8/14)現在開催中!
http://www.ema-daikanyama.com/event/paintings/release.html
レントゲンヴェルケでポスターを見つけたこの展示。
22時まで、と遅い時間でも観られるのはありがたく。
また、代官山という場所も新鮮で。
(・・・実は帰宅後、同じ代官山での展示のお知らせをいただいていて、期間を勘違いしそれを観そこねてしまったことがかなり鬱...orz)
この絵馬-代官山は1階が落ち着いた内装の和食処で、その2階がギャラリースペースになっていて、ギャラリーを観るだけでもOKでした。
で、作品。
油彩ですが、なんか不自然。。。
・・・というのも、元の作品があって基本的にはそれのコピーなんですが、その元の作品から人を差し引いた景色を精緻にコピーしている、というもので。
でも、この不自然さは精緻に再現されているだけあってなかなか味わいがあります。
まず浮世絵から。元の絵になっているのは鈴木春信(勉強不足で初めて目にする名前でした)。
壁際の二人の女、ひとりが台になって、もうひとりがその上に乗って壁の上の桜に手を届かせるか何かの場面で、この二人の女それぞれがひとりずつ不在にした2点の作品。台になっている方の女だけというのも「何やってんの」みたいな変な格好なんですが、それ以上に乗っているほうの女だけののほうは、それはもう不自然、なにせ和服で宙に浮いた格好なので...。
そしてそれぞれの作品の再現具合が強烈で。女の表情から和服や帯の模様まで精緻に再現されていることに脱帽。
その他、2点ほども同じように。
洋画バージョン。
こちらは原作に見覚えがある作品もあり(作家や作品のタイトルは失念)、ベッドの上の人がいなくなった作品はまだ自然な感じですが、肩ごしに壺を抱えている人の絵で、人が不在になって壺が浮いているようになったのはやはり不自然で。
ただ、元の作品も油彩なので、そういう意外性は少しおとなしい感じでした。
さらに、鈴木春信の春画が2点。
こちらはなんかもう強烈(笑)。
観終わってから1階でほたて粥をいただきました。
付け合わせの昆布の、わさびの効き具合が癖になりそうで。
http://www.ema-daikanyama.com/event/paintings/release.html
レントゲンヴェルケでポスターを見つけたこの展示。
22時まで、と遅い時間でも観られるのはありがたく。
また、代官山という場所も新鮮で。
(・・・実は帰宅後、同じ代官山での展示のお知らせをいただいていて、期間を勘違いしそれを観そこねてしまったことがかなり鬱...orz)
この絵馬-代官山は1階が落ち着いた内装の和食処で、その2階がギャラリースペースになっていて、ギャラリーを観るだけでもOKでした。
で、作品。
油彩ですが、なんか不自然。。。
・・・というのも、元の作品があって基本的にはそれのコピーなんですが、その元の作品から人を差し引いた景色を精緻にコピーしている、というもので。
でも、この不自然さは精緻に再現されているだけあってなかなか味わいがあります。
まず浮世絵から。元の絵になっているのは鈴木春信(勉強不足で初めて目にする名前でした)。
壁際の二人の女、ひとりが台になって、もうひとりがその上に乗って壁の上の桜に手を届かせるか何かの場面で、この二人の女それぞれがひとりずつ不在にした2点の作品。台になっている方の女だけというのも「何やってんの」みたいな変な格好なんですが、それ以上に乗っているほうの女だけののほうは、それはもう不自然、なにせ和服で宙に浮いた格好なので...。
そしてそれぞれの作品の再現具合が強烈で。女の表情から和服や帯の模様まで精緻に再現されていることに脱帽。
その他、2点ほども同じように。
洋画バージョン。
こちらは原作に見覚えがある作品もあり(作家や作品のタイトルは失念)、ベッドの上の人がいなくなった作品はまだ自然な感じですが、肩ごしに壺を抱えている人の絵で、人が不在になって壺が浮いているようになったのはやはり不自然で。
ただ、元の作品も油彩なので、そういう意外性は少しおとなしい感じでした。
さらに、鈴木春信の春画が2点。
こちらはなんかもう強烈(笑)。
観終わってから1階でほたて粥をいただきました。
付け合わせの昆布の、わさびの効き具合が癖になりそうで。
田口和奈展(7/30)
2005年8月1日 アートTARO NASU GALLERYにて。(7/23〜8/27)現在開催中!
http://www.taronasugallery.com/exh/index.html
はじめて田口さんの星空の作品を観た時は、ぜんぜん分からなかった。
2度目は、壺の上から人の顔がぬっと出てる作品。こちらはその構図にぎょっとしつつも、まだピンとこなかった。
3度目。ギャラリー覚の方に田口さんの製作過程を教えていただいて、その「過程」、複数の写真をコラージュさせたものを油彩で描き、それを撮ってプリントする、ということを知ることでようやく「面白いかも!」と思いつつも、「なぜ撮る?」という疑問をもった。
そういう経緯を経て、タロウナスギャラリーでの展示へ。
ギャラリースペースには5点。いずれも、ぱっと見る限りはほぼ同じ女性の肖像。
まず、入口横の作品。暗くて、描かれる女性の顔は分かる程度。
それから左に視線を移して、女性の口元の不自然な歪みにぎょっとする。
その隣、まっとうで安心。
次の作品はまた違う歪み方。さらにその隣はもっと強烈・・・。
連想したのは福笑い。でも、笑えない。むしろ「怖さ」を強く感じる。。。
それぞれの作品の微妙な違いを突き詰めて感じてみたいという衝動的な感覚...おれからしばらくは憑かれたように、ひとつひとつの作品と、距離や角度を変えながら、暫し拝見。
作品の静謐さ、深さ、力をマトモに受け止めつつも、やはり「撮る」ということがピンとこない...。
「アートフェア東京」の準備をなさっているスタッフの方に教えていただいて、小部屋のほうへ。
こちらには、白の背景に壺、という作品が、いちおう、4点。
というのも、油彩の原画1点と、その原画の変遷を捕らえたともいっていい写真のプリントが3点。そのうち2点は途中経過で、完成したものが1点、これは原画と隣り合わせに展示。
・・・この原画と完成作品が並んでいるのを観て、「撮る」という作業の意味が感覚的に理解できた。
「撮られる前」の油彩の作品は、描かれているものが「壺」とううことも多分に影響しているだろうが、まるで「焼かれる前」といった「生」の質感が強烈で、隣の完成作品はまさに「焼き上がり」という感じ(!)。
油彩のままでは出せない画面の艶といい、撮ることで生まれる「影」といい...食い入るように観てしまった。。。
前出の女性の肖像の作品も5つの「原画」があるとのこと。びっくり。。。最初は、あまりにも「同じ」ように顔のパーツそれぞれが描かれているのでてっきりコンピュータで補正したのかと思い込んでいたけど...。
こういうオリジナリティに触れるのは、いろんな感覚を総動員して接するのが楽しいのです。
http://www.taronasugallery.com/exh/index.html
はじめて田口さんの星空の作品を観た時は、ぜんぜん分からなかった。
2度目は、壺の上から人の顔がぬっと出てる作品。こちらはその構図にぎょっとしつつも、まだピンとこなかった。
3度目。ギャラリー覚の方に田口さんの製作過程を教えていただいて、その「過程」、複数の写真をコラージュさせたものを油彩で描き、それを撮ってプリントする、ということを知ることでようやく「面白いかも!」と思いつつも、「なぜ撮る?」という疑問をもった。
そういう経緯を経て、タロウナスギャラリーでの展示へ。
ギャラリースペースには5点。いずれも、ぱっと見る限りはほぼ同じ女性の肖像。
まず、入口横の作品。暗くて、描かれる女性の顔は分かる程度。
それから左に視線を移して、女性の口元の不自然な歪みにぎょっとする。
その隣、まっとうで安心。
次の作品はまた違う歪み方。さらにその隣はもっと強烈・・・。
連想したのは福笑い。でも、笑えない。むしろ「怖さ」を強く感じる。。。
それぞれの作品の微妙な違いを突き詰めて感じてみたいという衝動的な感覚...おれからしばらくは憑かれたように、ひとつひとつの作品と、距離や角度を変えながら、暫し拝見。
作品の静謐さ、深さ、力をマトモに受け止めつつも、やはり「撮る」ということがピンとこない...。
「アートフェア東京」の準備をなさっているスタッフの方に教えていただいて、小部屋のほうへ。
こちらには、白の背景に壺、という作品が、いちおう、4点。
というのも、油彩の原画1点と、その原画の変遷を捕らえたともいっていい写真のプリントが3点。そのうち2点は途中経過で、完成したものが1点、これは原画と隣り合わせに展示。
・・・この原画と完成作品が並んでいるのを観て、「撮る」という作業の意味が感覚的に理解できた。
「撮られる前」の油彩の作品は、描かれているものが「壺」とううことも多分に影響しているだろうが、まるで「焼かれる前」といった「生」の質感が強烈で、隣の完成作品はまさに「焼き上がり」という感じ(!)。
油彩のままでは出せない画面の艶といい、撮ることで生まれる「影」といい...食い入るように観てしまった。。。
前出の女性の肖像の作品も5つの「原画」があるとのこと。びっくり。。。最初は、あまりにも「同じ」ように顔のパーツそれぞれが描かれているのでてっきりコンピュータで補正したのかと思い込んでいたけど...。
こういうオリジナリティに触れるのは、いろんな感覚を総動員して接するのが楽しいのです。
工藤麻紀子展(7/30)
2005年8月1日 アート
OMIO KOYAMA GALLERYにて。(7/30〜9/3)現在開催中!
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050730.html
なんだかわかんないけどすっごく面白いと思ったんです。
ええ、すっごく。
展示されていた作品は大小さまざまなものが10点前後だったかと。
そのなかで印象に残っている景色は・・・
大きな作品は、画面全体を支配する色彩があって、そのなかにさまざまなものが、その色彩に「呑まれる」ように描かれていたこと...。
描かれる女の子は細い稜線と大きな目がアニメっぽいなぁ、と思ったこと...。
金魚が飛んでいたこと。それは群れを成していて、バラバラにも並んで見えるようにも思えたこと...。
草むらのなかに鳥の羽が、刺さるように混じっていたこと...。
なんだかむちゃくちゃに無秩序で、ヤケにスケールが大きいなぁ、と圧倒されたこと...。
小さな作品は、秩序は少しだけ取り戻しているようで...。
でもそのかわりに、今度は見る者を呑むような、妙な深みを感じたこと...。
「・・・なんだ?これ...」
という第一印象に始まって、それから明るいブルーだったり鮮やかな赤だったり、そういう色彩と、いろんなものがいろんな縮尺でランダムに描かれて、でもそこにそれが描かれていること自体には何の違和感も感じない、けどすっごく不思議で妙に心に引っ掛かってくる、そしてどんどん絵の世界に引き寄せられて...なにか具体的な物語が思い浮かんだわけではないですが、あらぬ方向に広がるイメージを堪能しました。
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050730.html
なんだかわかんないけどすっごく面白いと思ったんです。
ええ、すっごく。
展示されていた作品は大小さまざまなものが10点前後だったかと。
そのなかで印象に残っている景色は・・・
大きな作品は、画面全体を支配する色彩があって、そのなかにさまざまなものが、その色彩に「呑まれる」ように描かれていたこと...。
描かれる女の子は細い稜線と大きな目がアニメっぽいなぁ、と思ったこと...。
金魚が飛んでいたこと。それは群れを成していて、バラバラにも並んで見えるようにも思えたこと...。
草むらのなかに鳥の羽が、刺さるように混じっていたこと...。
なんだかむちゃくちゃに無秩序で、ヤケにスケールが大きいなぁ、と圧倒されたこと...。
小さな作品は、秩序は少しだけ取り戻しているようで...。
でもそのかわりに、今度は見る者を呑むような、妙な深みを感じたこと...。
「・・・なんだ?これ...」
という第一印象に始まって、それから明るいブルーだったり鮮やかな赤だったり、そういう色彩と、いろんなものがいろんな縮尺でランダムに描かれて、でもそこにそれが描かれていること自体には何の違和感も感じない、けどすっごく不思議で妙に心に引っ掛かってくる、そしてどんどん絵の世界に引き寄せられて...なにか具体的な物語が思い浮かんだわけではないですが、あらぬ方向に広がるイメージを堪能しました。
7/31のアート巡り
2005年7月31日 アート コメント (312)・花村泰江展 @ギャラリー惺(7/21〜8/7)
http://homepage3.nifty.com/g-satoru/hanamurayasueten.html
凹版と凸版それぞれの特徴を活かした木版画。
加えて明るめの色彩と、木版画独特のやさしい質感も印象的で、和める作品でした。
・三好まあや版画展 @ギャラリーf分の1(7/26〜7/31)
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/index.htm
銅版画で、本の挿絵になったものの原画が中心でした。
挿絵のほうは小さくてかわいい感じで。
それ以外の作品も、女性がモチーフになったものや、抽象的な背景に包装された箱、というものなど、分かりやすい作品が多くてよい感じで。
また、複数版多色刷りによる彩色も、手彩色の質感とは違って味わいが深いものでした。
・なかむらしん「ゆきだるまとぼくのなつ絵本展」@美篶堂(7/26〜7/31)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
水彩による、雪だるま(だるまっぽい格好ではなかったけど。笑)と子供との旅をモチーフにしたイラスト。
雪だるまが登場する季節が冬だけではなく、オレンジや緑、茶色が印象的な季節を背景に描かれているのも面白いです。
なかむらさんは日本画も描かれるそうで、そちらはかなり内面的な作品だそうで、それがあるからこそ絵本のイラストは明るい方面に振り切って製作できる、という話は印象的でした。
東京都現代美術館でのワンダーウォールとねむの木はまたあらためて。
http://homepage3.nifty.com/g-satoru/hanamurayasueten.html
凹版と凸版それぞれの特徴を活かした木版画。
加えて明るめの色彩と、木版画独特のやさしい質感も印象的で、和める作品でした。
・三好まあや版画展 @ギャラリーf分の1(7/26〜7/31)
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/index.htm
銅版画で、本の挿絵になったものの原画が中心でした。
挿絵のほうは小さくてかわいい感じで。
それ以外の作品も、女性がモチーフになったものや、抽象的な背景に包装された箱、というものなど、分かりやすい作品が多くてよい感じで。
また、複数版多色刷りによる彩色も、手彩色の質感とは違って味わいが深いものでした。
・なかむらしん「ゆきだるまとぼくのなつ絵本展」@美篶堂(7/26〜7/31)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
水彩による、雪だるま(だるまっぽい格好ではなかったけど。笑)と子供との旅をモチーフにしたイラスト。
雪だるまが登場する季節が冬だけではなく、オレンジや緑、茶色が印象的な季節を背景に描かれているのも面白いです。
なかむらさんは日本画も描かれるそうで、そちらはかなり内面的な作品だそうで、それがあるからこそ絵本のイラストは明るい方面に振り切って製作できる、という話は印象的でした。
東京都現代美術館でのワンダーウォールとねむの木はまたあらためて。
鈴木亘彦展 イミテーション・ゴールド −紛い沼(7/23、7/30)
2005年7月31日 アート コメント (1)
ギャラリー椿にて。(7/20〜8/13)現在開催中!
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050720.htm
ガラスを使用したオブジェなど。
この季節にぴったりの、大変涼しげな作品がずらりと並んでなんとも気持ちがよいのです。
床や台の上に置かれたオブジェ。
不思議な形のものも多いです。
レンズのようなガラスがハンダで繋ぎあわせられたドーム状のオブジェは台の上が鏡面になっていて、ちょうど球体を覗き込むような感じ。
「オレンジ」という作品、楕円が重なるように描かれたガラスの向こうから照明が入って、その楕円の重なりが不思議な奥行きを感じさせてくれます。
壁にかかったオブジェ(平面作品でもオブジェで差し支えないような感じです)。
ガラスの奥に樹脂か何かによる水泡のようなものがあって、また水色で彩色されていたり...もうダイレクトに涼しさ演出。
また、特に印象に残ったのが、ガラスの表面の奥が鏡面になっていて、そこにさらに切手、地図、旅客機の写真なんかがそれぞれ入っているもの。この作品の表面は観る角度によって虹のような色彩が広がって、そうでないところからは切手などが顔を覗かせる、という不思議な作品。
スタッフの方に伺ってびっくりしたのですが、まず彩色したガラスを細く切って、それを彩色面とその裏とを繋げることで、正面からは向こうが透けて見えるけど斜めだと彩色部分が見える、というふうになっているとのこと。
それほど大きくない作品なのですが、独特の味わいが印象的です。
また、同じようなものが床置きのテーブルの中央にもありました。
オブジェは野外に展示されても面白いような気がします。
陽射しを受けた時の輝きもよいと思いますが、例えば雨が上がった後、水滴がオブジェにかかったときの様子もよさそうです。
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050720.htm
ガラスを使用したオブジェなど。
この季節にぴったりの、大変涼しげな作品がずらりと並んでなんとも気持ちがよいのです。
床や台の上に置かれたオブジェ。
不思議な形のものも多いです。
レンズのようなガラスがハンダで繋ぎあわせられたドーム状のオブジェは台の上が鏡面になっていて、ちょうど球体を覗き込むような感じ。
「オレンジ」という作品、楕円が重なるように描かれたガラスの向こうから照明が入って、その楕円の重なりが不思議な奥行きを感じさせてくれます。
壁にかかったオブジェ(平面作品でもオブジェで差し支えないような感じです)。
ガラスの奥に樹脂か何かによる水泡のようなものがあって、また水色で彩色されていたり...もうダイレクトに涼しさ演出。
また、特に印象に残ったのが、ガラスの表面の奥が鏡面になっていて、そこにさらに切手、地図、旅客機の写真なんかがそれぞれ入っているもの。この作品の表面は観る角度によって虹のような色彩が広がって、そうでないところからは切手などが顔を覗かせる、という不思議な作品。
スタッフの方に伺ってびっくりしたのですが、まず彩色したガラスを細く切って、それを彩色面とその裏とを繋げることで、正面からは向こうが透けて見えるけど斜めだと彩色部分が見える、というふうになっているとのこと。
それほど大きくない作品なのですが、独特の味わいが印象的です。
また、同じようなものが床置きのテーブルの中央にもありました。
オブジェは野外に展示されても面白いような気がします。
陽射しを受けた時の輝きもよいと思いますが、例えば雨が上がった後、水滴がオブジェにかかったときの様子もよさそうです。
野口卓矢展(7/23、7/30)
2005年7月31日 アート コメント (1)
ぎゃらりぃ朋にて。(7/22〜7/30)
「ちょっと新しい」日本画。
・・・というたいトルにも惹かれて、興味津々。
作品は、主に墨と胡粉を使用した、画面の質感だけだと案外オーソドックな質感。
ただ、墨の「黒」と胡粉の「白」、どちらもつや消しの色なのですが、「黒」のなかにある「白」はひときわ、まるで光を放つような印象を持たせるように仕上がっているようで。
それが顕著だったのは、画面中央に身体でまるく円を描く竜が囲む藤、そしてそのまわりに飛び散る藤の花弁。同じ下絵で「白版」と「黒版」とがあって、そのうちの「黒版」のほうで、その「白」が印象的でした。
DMにも使用されていた、女性と竜の絵は、モノクロだからこその落ち着いた、それでいながら妖艶な感じも持っていて...完全に「和」の枠に収まっていない雰囲気もあって、確かに「ちょっと新しい」感覚かも、と。
アイデアがユニークだったのは、元の絵の作者を失念してしまったのですが、林立する木々の襖絵をモチーフに、その木々を女性に見立てて描き直している、というもの。
元の絵の霧がかかって見えなくなっているようなところもしっかり再現されていて、すごく独特な雰囲気に。
こちらの絵を観て、いっしょに展示されていた元の絵の写真も違った解釈で見えてきます。
数点展示されていた女性の肖像画は、オーソドックスなものではありましたがそれぞれよい表情でした。
結局「ちょっと新しい」というのは特に意味はないのかな、と(野口さんとお話ししてもそんな印象を受けました)。
そういうなかで「あ、この感覚はじめて」と思えるような作品に出会えたらそれはやっぱり「新し」くて、今回の展示ではそういう感覚を味わえたので、タイトルに偽りはなかったんだ、と。
「ちょっと新しい」日本画。
・・・というたいトルにも惹かれて、興味津々。
作品は、主に墨と胡粉を使用した、画面の質感だけだと案外オーソドックな質感。
ただ、墨の「黒」と胡粉の「白」、どちらもつや消しの色なのですが、「黒」のなかにある「白」はひときわ、まるで光を放つような印象を持たせるように仕上がっているようで。
それが顕著だったのは、画面中央に身体でまるく円を描く竜が囲む藤、そしてそのまわりに飛び散る藤の花弁。同じ下絵で「白版」と「黒版」とがあって、そのうちの「黒版」のほうで、その「白」が印象的でした。
DMにも使用されていた、女性と竜の絵は、モノクロだからこその落ち着いた、それでいながら妖艶な感じも持っていて...完全に「和」の枠に収まっていない雰囲気もあって、確かに「ちょっと新しい」感覚かも、と。
アイデアがユニークだったのは、元の絵の作者を失念してしまったのですが、林立する木々の襖絵をモチーフに、その木々を女性に見立てて描き直している、というもの。
元の絵の霧がかかって見えなくなっているようなところもしっかり再現されていて、すごく独特な雰囲気に。
こちらの絵を観て、いっしょに展示されていた元の絵の写真も違った解釈で見えてきます。
数点展示されていた女性の肖像画は、オーソドックスなものではありましたがそれぞれよい表情でした。
結局「ちょっと新しい」というのは特に意味はないのかな、と(野口さんとお話ししてもそんな印象を受けました)。
そういうなかで「あ、この感覚はじめて」と思えるような作品に出会えたらそれはやっぱり「新し」くて、今回の展示ではそういう感覚を味わえたので、タイトルに偽りはなかったんだ、と。
7/30のアート巡り
2005年7月30日 アート・〆木由香里展 @gallery J2(7/26〜7/31)
http://www.g-j2.com/2005/artist/shimeki/01.html
http://www.g-j2.com/2005/artist/shimeki/text.html
パステル画とアクリル画それぞれによる風景をモチーフにした作品。
パステル画の方により「迷い」のなさを感じました。
いろいろとお話しして、もっと深いイメージをお持ちのようで、もしかしたらたいへんユニークなパステル画を見せてもらえるかもしれない、という期待を感じました。
・’On paper’ 大竹伸朗展 @BASE GALLERY(6/6〜8/8)
http://www.basegallery.com/exhibit_ohtake05.html
たくさんの抽象画が展示されていて、それぞれすごく勢いを感じます。
作品のタイトルを知ると不思議と抽象的なものにもタイトル以上に意味を持って見えてきて、その感覚を楽しんだ、という感じです。
・山本桂輔展 @TOMIO KOYAMA GALLERY Project Room(7/30〜9/3)
http://www.tomiokoyamagallery.com/projectroom/project16.html
油彩の作品とオブジェが数点。
大きな作品が面白くて、暗めの色彩の画面にキュビズム的な表現が織り込まれているなかに、作品によってはさらにユーモアもはいっていて、それを見つけた時の嬉しさが堪らないという。
・サマー・ショー @シュウゴアーツ(7/9〜8/6)
http://www.shugoarts.com/jp/current.html
まず、金色のチェーンで出来たハンモックと、正面奥の壁に縛られたキーボード数台が壁にかけられていて、それが発する音とが同時にそれぞれ目と耳に届いてきます。
延々と流れるキーボードの音がなぜか心地よいです。
前川直文さんの新作が観られて嬉しかったです。
・河口彩展 @GALLERY JIN(7/8〜8/7)
http://galleryjin.com/exhibitions/index.html
円や楕円のフープにはめられた、山や小屋の風景がプリントされた絹に一部刺繍が加えられた作品。
青山悟さんの作品を知った後では、ちょっと弱いかなぁ、と。。。
・中島 弘美『hemlock』 @PUNCTUM(7/19〜7/31)
http://www.punctum.jp/nakajimahiromi.html
線が走る抽象画などの展示でしたが、正直、少々物足りなかったです...。
・山本達治展 @なびす画廊(7/25〜7/30)
http://www.nabis-g.com/exhibition/2005/yamamoto-t.html
蜜蝋を染み込ませた和紙を何層も重ねて、それぞれにアクリル絵具と油性ペンとで街の風景に明るい色彩が重ねられたユニークな質感の作品。
・森章展 @Oギャラリー(7/25〜7/31)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/mori.html
画面ごとに色彩や画面の質感が統一された抽象画が展示されていて、それぞれに違う世界観が広がっていました。
・ジャポン展 @月光荘画室5(7/26〜8/1)
女子美日本画の3年生4名によるグループ展。
企画として面白かったのが4名による合作が2点あって、この時点でもそれぞれの方の個性が織り込まれていましたが、たとえばあ同じメンバーで半年後、もしくは1年後に合作を製作する時にもっとそれぞれの個性が際立つような感じになっていると面白いなぁ、と。
・グループ空展 @スルガ台画廊(7/25〜7/30)
芸大デザイン科のOBのグループ展。
押元一敏さんと高橋浩規さん、阿部穣さんの真っ当な技法による日本画、一部コラージュを織り込んだ池田泰子さんの作品。
瀧下和之さんは竜と風神・雷神というおなじみの作品。
そのなかにあって異色に感じられたのが田崎冬樹さんの黒を背景にした抽象画。
やはりそれぞれ個展で拝見したいです。
・辻紗也香展『透羽』 @Good Honest Grub(7/1〜7/31)
http://www.goodhonestgrub.com/ebisuj/
恵比須の路面に面した小さなカフェ・ダイニングでの展示。
単色で一部染められた(おそらく)和紙に黒の切り絵が重ねられた作品で、描かれているものは女の子と調やとんぼなどの夏の虫。
・・・夏の夕暮れに雰囲気がぴったり。拝見できてよかったです。
以下はあらためて。
・模写・模造と日本美術−うつす・まなぶ・つたえる− @東京国立博物館平成館・特別展示室第4室(7/20〜9/11)
http://www.tnm.jp/
・工藤麻紀子展 @TOMIO KOYAMA GALLERY(7/30〜9/3)
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050730.html
・多田布美子展 @藍画廊(7/25〜7/30)
http://homepage.mac.com/mfukuda2/aiga190/aiga190.html
・所志帆展 -focal(life in art) @Ecru+HM(7/25〜7/31)
http://www.ecruplushm.com/exhibition/2005/0725_tokoro_shiho.html
・4/けだま展 @銀座OS画廊(7/29〜8/4)
http://www.ginza-os.com/
・田口和奈展 @TARO NASU GALLERY(7/23〜8/27)
http://www.taronasugallery.com/exh/index.html
・小川信治 [ペインティングの仕事〜「春信連続体」を中心として] @ema daikanyama(7/2〜8/14)
http://www.ema-daikanyama.com/event/paintings/release.html
http://www.g-j2.com/2005/artist/shimeki/01.html
http://www.g-j2.com/2005/artist/shimeki/text.html
パステル画とアクリル画それぞれによる風景をモチーフにした作品。
パステル画の方により「迷い」のなさを感じました。
いろいろとお話しして、もっと深いイメージをお持ちのようで、もしかしたらたいへんユニークなパステル画を見せてもらえるかもしれない、という期待を感じました。
・’On paper’ 大竹伸朗展 @BASE GALLERY(6/6〜8/8)
http://www.basegallery.com/exhibit_ohtake05.html
たくさんの抽象画が展示されていて、それぞれすごく勢いを感じます。
作品のタイトルを知ると不思議と抽象的なものにもタイトル以上に意味を持って見えてきて、その感覚を楽しんだ、という感じです。
・山本桂輔展 @TOMIO KOYAMA GALLERY Project Room(7/30〜9/3)
http://www.tomiokoyamagallery.com/projectroom/project16.html
油彩の作品とオブジェが数点。
大きな作品が面白くて、暗めの色彩の画面にキュビズム的な表現が織り込まれているなかに、作品によってはさらにユーモアもはいっていて、それを見つけた時の嬉しさが堪らないという。
・サマー・ショー @シュウゴアーツ(7/9〜8/6)
http://www.shugoarts.com/jp/current.html
まず、金色のチェーンで出来たハンモックと、正面奥の壁に縛られたキーボード数台が壁にかけられていて、それが発する音とが同時にそれぞれ目と耳に届いてきます。
延々と流れるキーボードの音がなぜか心地よいです。
前川直文さんの新作が観られて嬉しかったです。
・河口彩展 @GALLERY JIN(7/8〜8/7)
http://galleryjin.com/exhibitions/index.html
円や楕円のフープにはめられた、山や小屋の風景がプリントされた絹に一部刺繍が加えられた作品。
青山悟さんの作品を知った後では、ちょっと弱いかなぁ、と。。。
・中島 弘美『hemlock』 @PUNCTUM(7/19〜7/31)
http://www.punctum.jp/nakajimahiromi.html
線が走る抽象画などの展示でしたが、正直、少々物足りなかったです...。
・山本達治展 @なびす画廊(7/25〜7/30)
http://www.nabis-g.com/exhibition/2005/yamamoto-t.html
蜜蝋を染み込ませた和紙を何層も重ねて、それぞれにアクリル絵具と油性ペンとで街の風景に明るい色彩が重ねられたユニークな質感の作品。
・森章展 @Oギャラリー(7/25〜7/31)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/mori.html
画面ごとに色彩や画面の質感が統一された抽象画が展示されていて、それぞれに違う世界観が広がっていました。
・ジャポン展 @月光荘画室5(7/26〜8/1)
女子美日本画の3年生4名によるグループ展。
企画として面白かったのが4名による合作が2点あって、この時点でもそれぞれの方の個性が織り込まれていましたが、たとえばあ同じメンバーで半年後、もしくは1年後に合作を製作する時にもっとそれぞれの個性が際立つような感じになっていると面白いなぁ、と。
・グループ空展 @スルガ台画廊(7/25〜7/30)
芸大デザイン科のOBのグループ展。
押元一敏さんと高橋浩規さん、阿部穣さんの真っ当な技法による日本画、一部コラージュを織り込んだ池田泰子さんの作品。
瀧下和之さんは竜と風神・雷神というおなじみの作品。
そのなかにあって異色に感じられたのが田崎冬樹さんの黒を背景にした抽象画。
やはりそれぞれ個展で拝見したいです。
・辻紗也香展『透羽』 @Good Honest Grub(7/1〜7/31)
http://www.goodhonestgrub.com/ebisuj/
恵比須の路面に面した小さなカフェ・ダイニングでの展示。
単色で一部染められた(おそらく)和紙に黒の切り絵が重ねられた作品で、描かれているものは女の子と調やとんぼなどの夏の虫。
・・・夏の夕暮れに雰囲気がぴったり。拝見できてよかったです。
以下はあらためて。
・模写・模造と日本美術−うつす・まなぶ・つたえる− @東京国立博物館平成館・特別展示室第4室(7/20〜9/11)
http://www.tnm.jp/
・工藤麻紀子展 @TOMIO KOYAMA GALLERY(7/30〜9/3)
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050730.html
・多田布美子展 @藍画廊(7/25〜7/30)
http://homepage.mac.com/mfukuda2/aiga190/aiga190.html
・所志帆展 -focal(life in art) @Ecru+HM(7/25〜7/31)
http://www.ecruplushm.com/exhibition/2005/0725_tokoro_shiho.html
・4/けだま展 @銀座OS画廊(7/29〜8/4)
http://www.ginza-os.com/
・田口和奈展 @TARO NASU GALLERY(7/23〜8/27)
http://www.taronasugallery.com/exh/index.html
・小川信治 [ペインティングの仕事〜「春信連続体」を中心として] @ema daikanyama(7/2〜8/14)
http://www.ema-daikanyama.com/event/paintings/release.html
スルガ台画廊にて。(7/18〜7/23)
佐藤美術館での奨学生美術展で特別展示として出展されていた小木曽誠さんの作品があるということで行ってきました。
佐藤美術館では尋常でない写実表現による油彩の作品で、シュールな表現も含んでいながら「これがホントに絵か?」と見まがうほどだったのですが、こちらではシュールな表現は影をひそめつつ、写実に徹した作品で。
まず印象的だったのが、(ちょっと記憶が曖昧になってしまっていて申し訳ないのですが・・・)木をバックにした花瓶の絵。小木曽さんが描く木、木目が織り成す曲線は、写実でありながら、いやむしろ徹底的に写実だからこそのアブない艶のようなものを感じます。感服です。。。
小木曽さんの他の作品はヨーロッパの街並の絵。こちらも写実ながら、建物ということで直線で構成されるものが多くて、ずいぶん印象が違って意外な感じがしました。真面目な律儀さ、というか・・・。
他の方の作品もやはり相当のレベルで、短い時間ながら満足度の高い展示でした。
小木曽さんと同様に写実作品の安彦文平さん、花の絵が日本画のような雰囲気なのが印象的な安西大さん。
そして、この展示のなかではひとり趣が違っていて、デザイン的な作風が「いいなぁ」と感じる白河宗利さん。
それぞれ、個展でふたたびじっくりと拝見する機会を得たいものです。。。
佐藤美術館での奨学生美術展で特別展示として出展されていた小木曽誠さんの作品があるということで行ってきました。
佐藤美術館では尋常でない写実表現による油彩の作品で、シュールな表現も含んでいながら「これがホントに絵か?」と見まがうほどだったのですが、こちらではシュールな表現は影をひそめつつ、写実に徹した作品で。
まず印象的だったのが、(ちょっと記憶が曖昧になってしまっていて申し訳ないのですが・・・)木をバックにした花瓶の絵。小木曽さんが描く木、木目が織り成す曲線は、写実でありながら、いやむしろ徹底的に写実だからこそのアブない艶のようなものを感じます。感服です。。。
小木曽さんの他の作品はヨーロッパの街並の絵。こちらも写実ながら、建物ということで直線で構成されるものが多くて、ずいぶん印象が違って意外な感じがしました。真面目な律儀さ、というか・・・。
他の方の作品もやはり相当のレベルで、短い時間ながら満足度の高い展示でした。
小木曽さんと同様に写実作品の安彦文平さん、花の絵が日本画のような雰囲気なのが印象的な安西大さん。
そして、この展示のなかではひとり趣が違っていて、デザイン的な作風が「いいなぁ」と感じる白河宗利さん。
それぞれ、個展でふたたびじっくりと拝見する機会を得たいものです。。。
蘇る明治の洋画家 五百城文哉展(7/23)
2005年7月28日 アート
東京ステーションギャラリーにて。(7/16〜8/28)
http://jet.rocket3.net/data/858ioki/858ioki.htm
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp
信じられないくらいの写生力。。。
最初の展示室では、水彩による日光の絵。
精緻に再現された神社の細かい装飾、内部の磨かれた床に反射する光。
両脇に並ぶ並木からこぼれる木漏れ日。。。
これらが水彩独特の軽味を帯びて描かれているので、静謐感とともに、爽やかな印象すら受けます。
続いて油彩のコーナー。
日本のこの時代の真っ当な洋画、といった感じです。
こちらは他の水彩の作品のインパクトとくらべるとちょっと印象が薄いのですが...。
第3と第4の展示室には、今回のハイライト、「高山植物写生図」が。
それはもうたくさんの種類の高山植物が、背景を省略してそのものを際立たせるように描かれています。
まずある程度距離をおいて作品が展示されている全体を眺め、画面にさりげなく佇む花々が壁に並んでいることに心踊るような気分を味わって(なんていうか、たくさんあると嬉しい、という気分)、それから今度はひとつひとつ、ホントに細かな違い、花の色や形はもちろん、例えば茎の長さだったり葉の付き方だったり、そういうのを見つけることを楽しみ、そしてその描写力に舌を巻きながら、それぞれの展示の作品を観て回りました。
また、これだけたくさんの絵が並んでも重く感じないのはやはり水彩の為せる技だなぁ、と感服しつつ...。
第3展示室にあった、高山植物がひとつの画面に詰め込まれるように描かれたものは少々くどいような感触でした。
http://jet.rocket3.net/data/858ioki/858ioki.htm
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp
信じられないくらいの写生力。。。
最初の展示室では、水彩による日光の絵。
精緻に再現された神社の細かい装飾、内部の磨かれた床に反射する光。
両脇に並ぶ並木からこぼれる木漏れ日。。。
これらが水彩独特の軽味を帯びて描かれているので、静謐感とともに、爽やかな印象すら受けます。
続いて油彩のコーナー。
日本のこの時代の真っ当な洋画、といった感じです。
こちらは他の水彩の作品のインパクトとくらべるとちょっと印象が薄いのですが...。
第3と第4の展示室には、今回のハイライト、「高山植物写生図」が。
それはもうたくさんの種類の高山植物が、背景を省略してそのものを際立たせるように描かれています。
まずある程度距離をおいて作品が展示されている全体を眺め、画面にさりげなく佇む花々が壁に並んでいることに心踊るような気分を味わって(なんていうか、たくさんあると嬉しい、という気分)、それから今度はひとつひとつ、ホントに細かな違い、花の色や形はもちろん、例えば茎の長さだったり葉の付き方だったり、そういうのを見つけることを楽しみ、そしてその描写力に舌を巻きながら、それぞれの展示の作品を観て回りました。
また、これだけたくさんの絵が並んでも重く感じないのはやはり水彩の為せる技だなぁ、と感服しつつ...。
第3展示室にあった、高山植物がひとつの画面に詰め込まれるように描かれたものは少々くどいような感触でした。
水野温子展「原風景」(7/18)
2005年7月28日 アート
GALLERY HOUSE MAYAにて。(7/18〜7/23)
アクリルによる花の絵です。
どれもたいへん丁寧に描かれているのですが、それよりも色彩のひとつひとつがしっかりとしていて。
エッジの部分がくっきりとした色彩が重ねられることで、たいへん凛とした風合いの花の絵となっていました。
水野さんが描く行程はたいへん手の込んだもので...まず背景となる下地を描き、その画面全体にマスキングを施し、描く部分を切り抜いて彩色。
で、ひとつひとつの色ごとにマスキングを繰り返しながらそれぞれのパーツを描き上げていくとのこと。こうやって描くことで、茎の部分などの細いところも、構成する線の部分がしっかりと、まったく迷いのない感じです。
そして、ひとつの作品が出来上がるまでに相当の使用済みマスキングテープが出てしまうそうです。。。
ただ、そうやって丁寧に描かれた作品から受ける印象はもちろんたいへん心地よいもので、厚めのパネルに描かれたそれぞれの花の色彩に和みつつ、しゃんとした姿にも心が動きます。
手描きのCG、とも言い表せるような作品ですが、やはり「手描き」であることの説得力は実際に作品を目の前にするとより強く感じます(CGでもよいものはもちろんあります!)。
過去の作品のファイルも拝見して、もっとデザイン的なものもあって、もちろん展示されている絵と同じような行程で描かれたもので、図形的な模様にはよりその手法のユニークさが分かりやすく発揮されていました。
こちらのギャラリーではデザイン的・イラスト風な作品で興味深いものに出会えることが多いです。
また、今回の水野さんは岐阜にお住まいだそうで、関東圏でない方とお話しできるのも刺激的で。
アクリルによる花の絵です。
どれもたいへん丁寧に描かれているのですが、それよりも色彩のひとつひとつがしっかりとしていて。
エッジの部分がくっきりとした色彩が重ねられることで、たいへん凛とした風合いの花の絵となっていました。
水野さんが描く行程はたいへん手の込んだもので...まず背景となる下地を描き、その画面全体にマスキングを施し、描く部分を切り抜いて彩色。
で、ひとつひとつの色ごとにマスキングを繰り返しながらそれぞれのパーツを描き上げていくとのこと。こうやって描くことで、茎の部分などの細いところも、構成する線の部分がしっかりと、まったく迷いのない感じです。
そして、ひとつの作品が出来上がるまでに相当の使用済みマスキングテープが出てしまうそうです。。。
ただ、そうやって丁寧に描かれた作品から受ける印象はもちろんたいへん心地よいもので、厚めのパネルに描かれたそれぞれの花の色彩に和みつつ、しゃんとした姿にも心が動きます。
手描きのCG、とも言い表せるような作品ですが、やはり「手描き」であることの説得力は実際に作品を目の前にするとより強く感じます(CGでもよいものはもちろんあります!)。
過去の作品のファイルも拝見して、もっとデザイン的なものもあって、もちろん展示されている絵と同じような行程で描かれたもので、図形的な模様にはよりその手法のユニークさが分かりやすく発揮されていました。
こちらのギャラリーではデザイン的・イラスト風な作品で興味深いものに出会えることが多いです。
また、今回の水野さんは岐阜にお住まいだそうで、関東圏でない方とお話しできるのも刺激的で。
ドレスデン国立美術館展(7/17)
2005年7月27日 アート
国立西洋美術館にて。(6/28〜9/19)現在開催中!
http://www.nikkei-events.jp/dresden/
日曜日、連休の真ん中の日のお昼過ぎに見に行ったのですが、予想外に混んでてびっくり。。。
入口に行列こそ出来てませんでしたが、最初のコーナーからもう人、人、人。
・・・この展示ってそんなに注目されていたのかぁ、と。
最初の歴史的資料的な展示のコーナーはほとんど通り過ぎるだけで。
もっともその時点では混んでるけどまた後で観に来ればイイやなんて思ってたのですが、途中、地下に降りてからすぐあたりの磁器・陶器のあたりの通路が異様に狭く、両側のショウケースを観る人、その人越しに観てる人、通路を通る人、戻る人...ちょっと考えられないくらいの狭苦しさで、さすがにここをもう一度通る気にはなれず、結局前半部分はほとんど観てないです。
まあ、それほど後悔していないのですが。
しっかり観たのは絵画から。
よく知ってるわけではないのですが、やっぱりフェルメールはいいなぁ、と。。。
なんだかんだいってもその作品の力の前には頭を垂れるしかないです。
たったあれだけの女性の姿、仕草だけでいろんな物語が浮かんでくるようで...加えて印象に残ったのが、ガラス窓に映りこむ女性の姿までていねいに描かれているところで、そういった作品のなかの「上質な脇役」にも目を奪われました。
その他の油彩の作品はすらすらと観てしまったのですが、やはりこの時代の作品は忠実に描くことへの執念みたいのものが尋常ではないなぁ、とあらためて感じ入る次第。。。
で、この展示での僕にとってのハイライトは、ツィンクのペン画。
渓谷の風景を精緻に描いた2点。ペンで線画を描き、それに褐色インクでグラデュエーションが付けられています。
ぱっと眺めただけでも、他の油彩の「重たさ」から解放されたような心地よさがあってそれだけでもよい感じなのですが、じっくりと観てみるとたいへん細かい描写、渓谷のさまざまな場所に、人がいたり家があったり...多くの場面が織り込まれていて、それに気付いたときの驚嘆具合といったらもう。
**********
常設展示は例によって企画展の前に観たのですが、なにやら面白い企画をやってますね。
http://www.nmwa.go.jp/jp/html/event.html#fwc
《感想リンク》
http://kranz.paslog.jp/article/46282.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/07/post_05f7.html
http://mishima.main.jp/blog/archives/2005/06/post_203.html
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=296
http://blog.livedoor.jp/urayamaneko/archives/28175995.html
http://blog.goo.ne.jp/rarara_10/e/7d186e07806989e3239c04f0f835062c
http://oki304.blog.ocn.ne.jp/lily/2005/07/post_5204.html
http://blog.duogate.jp/pucci/entry/detail/?id=554510
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/924f71ec788ba72a6e1d0c83395cdf82
http://www.nikkei-events.jp/dresden/
日曜日、連休の真ん中の日のお昼過ぎに見に行ったのですが、予想外に混んでてびっくり。。。
入口に行列こそ出来てませんでしたが、最初のコーナーからもう人、人、人。
・・・この展示ってそんなに注目されていたのかぁ、と。
最初の歴史的資料的な展示のコーナーはほとんど通り過ぎるだけで。
もっともその時点では混んでるけどまた後で観に来ればイイやなんて思ってたのですが、途中、地下に降りてからすぐあたりの磁器・陶器のあたりの通路が異様に狭く、両側のショウケースを観る人、その人越しに観てる人、通路を通る人、戻る人...ちょっと考えられないくらいの狭苦しさで、さすがにここをもう一度通る気にはなれず、結局前半部分はほとんど観てないです。
まあ、それほど後悔していないのですが。
しっかり観たのは絵画から。
よく知ってるわけではないのですが、やっぱりフェルメールはいいなぁ、と。。。
なんだかんだいってもその作品の力の前には頭を垂れるしかないです。
たったあれだけの女性の姿、仕草だけでいろんな物語が浮かんでくるようで...加えて印象に残ったのが、ガラス窓に映りこむ女性の姿までていねいに描かれているところで、そういった作品のなかの「上質な脇役」にも目を奪われました。
その他の油彩の作品はすらすらと観てしまったのですが、やはりこの時代の作品は忠実に描くことへの執念みたいのものが尋常ではないなぁ、とあらためて感じ入る次第。。。
で、この展示での僕にとってのハイライトは、ツィンクのペン画。
渓谷の風景を精緻に描いた2点。ペンで線画を描き、それに褐色インクでグラデュエーションが付けられています。
ぱっと眺めただけでも、他の油彩の「重たさ」から解放されたような心地よさがあってそれだけでもよい感じなのですが、じっくりと観てみるとたいへん細かい描写、渓谷のさまざまな場所に、人がいたり家があったり...多くの場面が織り込まれていて、それに気付いたときの驚嘆具合といったらもう。
**********
常設展示は例によって企画展の前に観たのですが、なにやら面白い企画をやってますね。
http://www.nmwa.go.jp/jp/html/event.html#fwc
《感想リンク》
http://kranz.paslog.jp/article/46282.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/07/post_05f7.html
http://mishima.main.jp/blog/archives/2005/06/post_203.html
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=296
http://blog.livedoor.jp/urayamaneko/archives/28175995.html
http://blog.goo.ne.jp/rarara_10/e/7d186e07806989e3239c04f0f835062c
http://oki304.blog.ocn.ne.jp/lily/2005/07/post_5204.html
http://blog.duogate.jp/pucci/entry/detail/?id=554510
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/924f71ec788ba72a6e1d0c83395cdf82
野谷美佐緒 砂の記憶、夏いろえんぴつ展(7/17)
2005年7月26日 アート コメント (1)HhBMにて。(7/11〜8/7)現在開催中!
http://www.misaonoya.com/exhibition/index.html
http://www15.ocn.ne.jp/~hhbm/
昨年末に渋谷ルデコでの個展を拝見した野谷さんの、今回は夏の展示。
このギャラリー、というよりお店、というより祐天寺自体はじめて。
案外渋谷から近くて、少し迷うかなと思いましたがそんなことはなく。
こちらのお店、手作りのグッズや小物、Tシャツなどを扱っていて、そのなかに1m四方のスペースがギャラリーになってます。小さいです、ええ。
そのスペースに、野谷さんの作品が展示されています。
・・・よい感じです!
展示されている作品は、CGを透明アクリルパネルに印刷したもので、夏ということもあって実に涼しげ。
ネコ、コトリといった、前回の展示から通じて々ものキャラクターに加えて金魚や花火なども気持ちいい色彩で描かれていて、さらに透明パネルも涼しさを演出しています。
パネル以外にはポストカードがずらりと。こちらも眺めていてうきうきした気持ちに。
残念ながら野谷さんはいらっしゃらなかったのですが、お店の方とはいろいろと。
なんかもうすごく楽しい方でした(笑)。
http://www.misaonoya.com/exhibition/index.html
http://www15.ocn.ne.jp/~hhbm/
昨年末に渋谷ルデコでの個展を拝見した野谷さんの、今回は夏の展示。
このギャラリー、というよりお店、というより祐天寺自体はじめて。
案外渋谷から近くて、少し迷うかなと思いましたがそんなことはなく。
こちらのお店、手作りのグッズや小物、Tシャツなどを扱っていて、そのなかに1m四方のスペースがギャラリーになってます。小さいです、ええ。
そのスペースに、野谷さんの作品が展示されています。
・・・よい感じです!
展示されている作品は、CGを透明アクリルパネルに印刷したもので、夏ということもあって実に涼しげ。
ネコ、コトリといった、前回の展示から通じて々ものキャラクターに加えて金魚や花火なども気持ちいい色彩で描かれていて、さらに透明パネルも涼しさを演出しています。
パネル以外にはポストカードがずらりと。こちらも眺めていてうきうきした気持ちに。
残念ながら野谷さんはいらっしゃらなかったのですが、お店の方とはいろいろと。
なんかもうすごく楽しい方でした(笑)。
7/16の森美術館もろもろ
2005年7月25日 アートこの日の夜、せっかく六本木にいるし、だったら今日のうちに観ておこうか、と。
そんなわけでヒルズ地下のファミリーマートのぴあ端末でチケットを買って森美術館へ。
・中国★美の十字路展/フォロー・ミー!新しい世紀の中国現代美術 @森美術館(7/2〜9/4)
http://www.mori.art.museum/contents/china/index.html
http://www.mori.art.museum/contents/followme/index.html
興味はあったのですが、ちょっと期待していたものとは違ってて残念。。。
「美の十字路展」は歴史資料の展示で、いちばん印象に残っている展示物といえば長島茂雄に激似の仏像があったこと。
それより、デジカメで展示物を撮ろうとして係員から英語で注意されている関西人に内心爆笑でした。
「フォロー・ミー!」は中国の現代アートを集めた、いかにも森美術館らしい企画で。
こちらでいちばん面白かったのが、地面に米粒の小山が置かれていて、そこに放り込まれた雄鶏と雌鶏がそれを食べていくという映像で、それにそれぞれが食べた米粒をカウントしていく、というもの。実に分かりやすいバカバカしさに感動(笑)。
インスタレーション的な作品が多く、少々消化不良気味。
・MAMプロジェクト003 ROR @森タワー東京シティービュー内 (5/14〜7/18)
http://www.mori.art.museum/contents/mamproject/project003/index.html
ホント、ついでに観たという感じで。
こちらでは、大きなオブジェに突入していったバカがいました。
・フィリップス・コレクション展 @森アーツセンターギャラリー(6/17〜9/4)
http://www.phillips-collection.jp/
観る予定はなかったのですが、ついでに観ちゃえば500円だし、時間もいい案配で余っていたので観ることに。
サブタイトルに「アートの教科書」とあるのですが、この言葉に偽りはなく、近代ヨーロッパの作品が万遍なく展示されていました。
目の保養に最適。
そんなわけでヒルズ地下のファミリーマートのぴあ端末でチケットを買って森美術館へ。
・中国★美の十字路展/フォロー・ミー!新しい世紀の中国現代美術 @森美術館(7/2〜9/4)
http://www.mori.art.museum/contents/china/index.html
http://www.mori.art.museum/contents/followme/index.html
興味はあったのですが、ちょっと期待していたものとは違ってて残念。。。
「美の十字路展」は歴史資料の展示で、いちばん印象に残っている展示物といえば長島茂雄に激似の仏像があったこと。
それより、デジカメで展示物を撮ろうとして係員から英語で注意されている関西人に内心爆笑でした。
「フォロー・ミー!」は中国の現代アートを集めた、いかにも森美術館らしい企画で。
こちらでいちばん面白かったのが、地面に米粒の小山が置かれていて、そこに放り込まれた雄鶏と雌鶏がそれを食べていくという映像で、それにそれぞれが食べた米粒をカウントしていく、というもの。実に分かりやすいバカバカしさに感動(笑)。
インスタレーション的な作品が多く、少々消化不良気味。
・MAMプロジェクト003 ROR @森タワー東京シティービュー内 (5/14〜7/18)
http://www.mori.art.museum/contents/mamproject/project003/index.html
ホント、ついでに観たという感じで。
こちらでは、大きなオブジェに突入していったバカがいました。
・フィリップス・コレクション展 @森アーツセンターギャラリー(6/17〜9/4)
http://www.phillips-collection.jp/
観る予定はなかったのですが、ついでに観ちゃえば500円だし、時間もいい案配で余っていたので観ることに。
サブタイトルに「アートの教科書」とあるのですが、この言葉に偽りはなく、近代ヨーロッパの作品が万遍なく展示されていました。
目の保養に最適。
まえかわみずえ展 さよならにっぽん。(7/18、7/23)
2005年7月25日 アート
フタバ画廊にて。(7/18〜7/24)
油彩の大きな作品が2点、小さめのものが1、2点。
奥まったスペースに1点。
青図にシルクスクリーンでプリントされたもの。
スペースの中央に、輸送用のパネル。。。
油彩の作品はスコーンと抜けたような広いイメージの風景をモチーフにしたもの。
大きい作品だから、というわけでもないと思うのですが、かなり低い位置に展示されていました(うち1点は床置き)。
最初はパネルのまわりをグルグル回るようにして観ていたのですが、ギャラリーの方から「よろしかったらパネルに座ってご覧ください」とアドバイスしていただいて、では、と座ってみたのですが。。。
いやはや、見る角度が変わるだけでこれほどまで印象も変化するんだなぁ、とあらためて気付きました。
その絵の風景が、座ることでそれまでの「絵を観る角度」から「風景を観る角度」へと目の高さが変わって、その絵の風景からもなんだかいろんなイメージが湧いてくるようで、新鮮な体験でした。
奥まった場所に展示されている作品には、ダイビングキャッチ敢行中の野球選手のようなシルエットだけがグレーの背景に描かれていて、さらに青図のシルクスクリーンもこの野球選手のシルエットで。
今思えばこのことについてまえかわさんに伺っておけばよかったかなぁ、とも思うのですが...なんとなくこれはこれでよい感じ、というか、不思議と不自然な感じがしなくて。。。
ところで「さよならにっぽん。」とは何だったのだろう...?
パネルの上に置いてあったノートにヒントがあったのかも...。
油彩の大きな作品が2点、小さめのものが1、2点。
奥まったスペースに1点。
青図にシルクスクリーンでプリントされたもの。
スペースの中央に、輸送用のパネル。。。
油彩の作品はスコーンと抜けたような広いイメージの風景をモチーフにしたもの。
大きい作品だから、というわけでもないと思うのですが、かなり低い位置に展示されていました(うち1点は床置き)。
最初はパネルのまわりをグルグル回るようにして観ていたのですが、ギャラリーの方から「よろしかったらパネルに座ってご覧ください」とアドバイスしていただいて、では、と座ってみたのですが。。。
いやはや、見る角度が変わるだけでこれほどまで印象も変化するんだなぁ、とあらためて気付きました。
その絵の風景が、座ることでそれまでの「絵を観る角度」から「風景を観る角度」へと目の高さが変わって、その絵の風景からもなんだかいろんなイメージが湧いてくるようで、新鮮な体験でした。
奥まった場所に展示されている作品には、ダイビングキャッチ敢行中の野球選手のようなシルエットだけがグレーの背景に描かれていて、さらに青図のシルクスクリーンもこの野球選手のシルエットで。
今思えばこのことについてまえかわさんに伺っておけばよかったかなぁ、とも思うのですが...なんとなくこれはこれでよい感じ、というか、不思議と不自然な感じがしなくて。。。
ところで「さよならにっぽん。」とは何だったのだろう...?
パネルの上に置いてあったノートにヒントがあったのかも...。
ベルナール・ビュフェ展(7/24)
2005年7月24日 アート
損保ジャパン東郷青児美術館にて。(7/23〜8/28)現在開催中!
http://www.asahi.com/event/TKY200507230201.html
楽しみにしていた企画展(最近多いのですが)。
珍しく会期が始まってすぐに観てきました。
「人物画」「風景画」「静物画」の3つのカテゴリーに分けられて、若干前後するものの、それぞれほぼ時代順に展示されています。
初期こそそれほど強くはないものの、ビュフェは「線の画家」、「黒の画家」だと思います。
時期によって多少差はありますが、直線的な稜線がかなり強烈に印象に残ります。
その斬るような鋭さは、特に都会の街並みや港、教会を描いた風景画に顕著で、なかでもビルが立ち並ぶニューヨークの風景を描いた1958年の作品など、張り詰める空気の様子までも伝わってくるようです。
また、「百合の花」(1955)や最後に登場するクラシックカーを描いた作品なども印象的です。
線の感触はぜひともルオーと見比べてみたい...おそらくルオーの稜線はビュフェを観た後だと相当にずっしりと感じられるような気がします。
色彩はモノトーンに近い感触のものが多く、中には最初のコーナーに並んで展示されている道化師3点の背景や後半の楽器を描いた静物画などは相当に明るい色彩も使われていますが、ヴラマンクを連想せずにはいられない風景画(年表によれば実際に影響されているようです)、グレーの感触が印象的な各自画像、キッチンまわりを描いたものなど、ほぼ無彩色、あるいは暗いセピア色で。
全般的にそういった印象を受けるなかで、1964年と1974年の作品はそれぞれ特徴的です。
1964年の作品は「皮を剥がれた人物」と「赤い花」の2点。
前者はタイトル通りかなりグロテスクな作品、後者はクリスマスプレゼントとして描かれたとのこと。作品のテーマはまったく違っていそうですが、この2点は画面に油絵具が「盛られる」ように描かれていて、その質感は一種異様な感じさえ受けます。
ザオ・ウーキーのエピソードを思い出したですが、一時的にボロックあたりのアクションペインティングにでも影響されたのでしょうか...。
・・・かたや1974年。ある意味こちらのほうがこの展示においてはもっと印象に残ったのですが、この年に描かれた作品も風景画とおそらくダリアを描いたものの2点が展示されていて、どちらもいわゆる黒の稜線が存在しないのです。
そしてそれぞれの作品の雰囲気も他のとは一線を画し、たいへんやわらかで。。。
年表には特別なことは何も記載されていなかったのですが、子供か奥さんから何か言われたのかな、と。
・・・とにかくこれまでの鑑賞体験がいろいろと蘇ってきます。
これまでに述べたルオー、ザオ・ウーキー、ヴラマンクの他にも、例えばごく初期の作品「波」(1946)と髑髏が登場する晩年のグロテスクな作品「死よ万歳」(1998)を観て、アンソールも冒頭は波で最後に髑髏が出てきたな、とか、この「死よ万歳」はバスキアみたいだなぁ、とか。
初期の静物画や稜線の勢い、ぐしゃぐしゃっとした引っ掻いたような痕にはピカソの影響を感じたり。
さすがに「線」つながりで小林古径、となるとそれはちょっと飛躍しすぎですが...。
気になる年のことについて質問した際に係員の方に教えていただいたのですが、サインはビュフェのその時期の精神状態を表しているかも、とのことで、それでなくてもかなり特徴的なサインなのですが、それだけを見比べるのもなかなか興味深いです。
http://www.asahi.com/event/TKY200507230201.html
楽しみにしていた企画展(最近多いのですが)。
珍しく会期が始まってすぐに観てきました。
「人物画」「風景画」「静物画」の3つのカテゴリーに分けられて、若干前後するものの、それぞれほぼ時代順に展示されています。
初期こそそれほど強くはないものの、ビュフェは「線の画家」、「黒の画家」だと思います。
時期によって多少差はありますが、直線的な稜線がかなり強烈に印象に残ります。
その斬るような鋭さは、特に都会の街並みや港、教会を描いた風景画に顕著で、なかでもビルが立ち並ぶニューヨークの風景を描いた1958年の作品など、張り詰める空気の様子までも伝わってくるようです。
また、「百合の花」(1955)や最後に登場するクラシックカーを描いた作品なども印象的です。
線の感触はぜひともルオーと見比べてみたい...おそらくルオーの稜線はビュフェを観た後だと相当にずっしりと感じられるような気がします。
色彩はモノトーンに近い感触のものが多く、中には最初のコーナーに並んで展示されている道化師3点の背景や後半の楽器を描いた静物画などは相当に明るい色彩も使われていますが、ヴラマンクを連想せずにはいられない風景画(年表によれば実際に影響されているようです)、グレーの感触が印象的な各自画像、キッチンまわりを描いたものなど、ほぼ無彩色、あるいは暗いセピア色で。
全般的にそういった印象を受けるなかで、1964年と1974年の作品はそれぞれ特徴的です。
1964年の作品は「皮を剥がれた人物」と「赤い花」の2点。
前者はタイトル通りかなりグロテスクな作品、後者はクリスマスプレゼントとして描かれたとのこと。作品のテーマはまったく違っていそうですが、この2点は画面に油絵具が「盛られる」ように描かれていて、その質感は一種異様な感じさえ受けます。
ザオ・ウーキーのエピソードを思い出したですが、一時的にボロックあたりのアクションペインティングにでも影響されたのでしょうか...。
・・・かたや1974年。ある意味こちらのほうがこの展示においてはもっと印象に残ったのですが、この年に描かれた作品も風景画とおそらくダリアを描いたものの2点が展示されていて、どちらもいわゆる黒の稜線が存在しないのです。
そしてそれぞれの作品の雰囲気も他のとは一線を画し、たいへんやわらかで。。。
年表には特別なことは何も記載されていなかったのですが、子供か奥さんから何か言われたのかな、と。
・・・とにかくこれまでの鑑賞体験がいろいろと蘇ってきます。
これまでに述べたルオー、ザオ・ウーキー、ヴラマンクの他にも、例えばごく初期の作品「波」(1946)と髑髏が登場する晩年のグロテスクな作品「死よ万歳」(1998)を観て、アンソールも冒頭は波で最後に髑髏が出てきたな、とか、この「死よ万歳」はバスキアみたいだなぁ、とか。
初期の静物画や稜線の勢い、ぐしゃぐしゃっとした引っ掻いたような痕にはピカソの影響を感じたり。
さすがに「線」つながりで小林古径、となるとそれはちょっと飛躍しすぎですが...。
気になる年のことについて質問した際に係員の方に教えていただいたのですが、サインはビュフェのその時期の精神状態を表しているかも、とのことで、それでなくてもかなり特徴的なサインなのですが、それだけを見比べるのもなかなか興味深いです。