西村正幸展 〜イラクの子どもたちへ〜(7/2)
2005年7月11日 アートOギャラリーにて。(6/27〜7/3)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nisimu.html
入口から右手には木製の壁を模した大きなオブジェ。
左手には赤く染められたカーテンの布を木枠に張り、それぞれに単語を書いてあるもの。
その他にも、小さな壁掛けのオブジェなど。
先のイラク戦争からインスパイアされた作品で、それぞれ、例えば平和をテーマに歌ったミュージシャンの曲の歌詞の引用だったり、言葉などによるいろんなメッセージが配置されていました。
染められた赤は「血」をイメージしているとのことでした。
作者の心意気は分かります。
しかし、ホントに正直な感想なのですが、どうしても「だから何?」と思ってしまいます。
こういう形で問題提起することで、観た人は確かに少しは考えるかも知れないですが、だからといってイラクの現状が変わるわけではなく、大変失礼なことを申し上げると、これらの作品を製作する労力やコストを、それはそれで微々たるものかも知れないですが、もっと直接的なことに費やした方が良いのでは、と。。。
西村さんからいろいろと作品のコンセプトを説明していただいたのですが、やはりこのあたりの違和感が拭えず、そのことを西村賛意お伝えしたら快く聞いてくださって。。。
先日のパルコミュージアムでの平和ポスター展は面白かったのですが、やはりこのテのアートは難しいんだ、と思います。
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nisimu.html
入口から右手には木製の壁を模した大きなオブジェ。
左手には赤く染められたカーテンの布を木枠に張り、それぞれに単語を書いてあるもの。
その他にも、小さな壁掛けのオブジェなど。
先のイラク戦争からインスパイアされた作品で、それぞれ、例えば平和をテーマに歌ったミュージシャンの曲の歌詞の引用だったり、言葉などによるいろんなメッセージが配置されていました。
染められた赤は「血」をイメージしているとのことでした。
作者の心意気は分かります。
しかし、ホントに正直な感想なのですが、どうしても「だから何?」と思ってしまいます。
こういう形で問題提起することで、観た人は確かに少しは考えるかも知れないですが、だからといってイラクの現状が変わるわけではなく、大変失礼なことを申し上げると、これらの作品を製作する労力やコストを、それはそれで微々たるものかも知れないですが、もっと直接的なことに費やした方が良いのでは、と。。。
西村さんからいろいろと作品のコンセプトを説明していただいたのですが、やはりこのあたりの違和感が拭えず、そのことを西村賛意お伝えしたら快く聞いてくださって。。。
先日のパルコミュージアムでの平和ポスター展は面白かったのですが、やはりこのテのアートは難しいんだ、と思います。
7/10のギャラリー巡り
2005年7月10日 アート軒数こそ少ないですが、移動距離は異様に長い梅雨の晴れ間の日曜日。
下北沢のアンゼリカでパンを買って、恵比須〜青山〜上野〜銀座でサッカー仲間と反省会〜お茶の水〜飯田橋で昨日観たギャラリー52へもう一度〜さらに青山のオーパへもう一度〜渋谷のタワーでCD見て回るもいい感じのが見つからず〜新宿の麺痛団でめんたいしょうゆ。
・玉川紅 絵画展 @ギャラリーJ2(7/5〜7/10)
http://www.g-j2.com/2005/artist/beni7/01.html
前回はちょっと前に桜をテーマにした抽象画の展示が同会場であったあかりの玉川さんの展示。
前回と違って色彩のバリエーションが豊かで、それぞれの作品に取り入れられた四辺形がまさに抽象といった感じの色彩に奥行きを与えているのが面白く感じられました。
それでも収穫は多かった本日。
・秘密実験005 志村信裕展「染まりゆくウツロヒ」 @site(6/18〜7/10)
http://shimuranobuhiro.sub.jp/
・「暑中に涼あり」〜五人の心の窓からふく風は…〜 @オーパ・ギャラリー・ショップ(7/1〜7/13)
http://www.geocities.jp/opa_gs/html/event20050701.htm
・伴田良輔「PECHIKA人形展」 @美篶堂(7/5〜7/24)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
下北沢のアンゼリカでパンを買って、恵比須〜青山〜上野〜銀座でサッカー仲間と反省会〜お茶の水〜飯田橋で昨日観たギャラリー52へもう一度〜さらに青山のオーパへもう一度〜渋谷のタワーでCD見て回るもいい感じのが見つからず〜新宿の麺痛団でめんたいしょうゆ。
・玉川紅 絵画展 @ギャラリーJ2(7/5〜7/10)
http://www.g-j2.com/2005/artist/beni7/01.html
前回はちょっと前に桜をテーマにした抽象画の展示が同会場であったあかりの玉川さんの展示。
前回と違って色彩のバリエーションが豊かで、それぞれの作品に取り入れられた四辺形がまさに抽象といった感じの色彩に奥行きを与えているのが面白く感じられました。
それでも収穫は多かった本日。
・秘密実験005 志村信裕展「染まりゆくウツロヒ」 @site(6/18〜7/10)
http://shimuranobuhiro.sub.jp/
・「暑中に涼あり」〜五人の心の窓からふく風は…〜 @オーパ・ギャラリー・ショップ(7/1〜7/13)
http://www.geocities.jp/opa_gs/html/event20050701.htm
・伴田良輔「PECHIKA人形展」 @美篶堂(7/5〜7/24)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
7/9のギャラリー巡り
2005年7月9日 アート・作田富幸展 2005 〜高知国際版画トリエンナーレ<大賞>受賞〜 @不忍画廊(6/29〜7/9)
http://www.shinobazu.com/schedule.htm
細密な銅版画。
植物をモチーフに人を描いたり、葉の表面に人の顔を織り込んだり。
中世的な雰囲気と、現代的な発想とが同居していて、強烈、ではないけれども、じわりと不思議な感触が伝わってくるような。。。
特に、その大賞受賞作は「一人」というタイトルながら数人の人物が植物などをモチーフに、さらに建築物も描かれていて、これ自体結構な大きさでしたが、もっと広い場面のワンカットという感じで、ものすごくイメージが広がります。
・Illuminations 筑紫拓也 @Zeit-Foto Salon(6925〜7/20)
http://www.gaden.jp/zeit-foto/2005/050625.html
水面に景色が写りこむ風景を撮り、それを逆さに展示。
もちろん写真そのものもきれいなのですが、天地をひっくり返しただけでこうも面白いものになるのかと、感心しきり。
・流麻二果展「糸口」 @ギャルリー東京ユニマテ(6/27〜7/16)
http://kgs-tokyo.jp/human/2005/050627.html
抽象の油彩の作品で、正直なところよく分かりませんでした。。。
作家の人となりに触れるとなにか伝わってくるのかも。
・みはらかつお展『 H e r e 』 @ギャラリー山口B1F(7/4〜7/9)
http://www.gaden.jp/yamaguchi/2005/050704b.htm
ただ単に、白地図の区画を適当に(失礼!)に塗り分けただけ。
それがこうやって展示されただけで、面白い空間に。
ここから始まるアイデアもいろいろとありそうな感じです。
・千々岩修展 @アートスペース羅針盤(7/4〜7/9)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0704/index.html
麻紙のうえに滲むように広がる赤や青のやわらかな色彩が印象的な抽象の日本画。
なんともいえない浮遊感というか...麻紙のきりりとした緊張感と、薄い色彩の感触とで織り成す心地よい雰囲気が印象に残りました。
・イグナシオ・ブルゴス展 @柴田悦子画廊(7/4〜7/16)
http://www.shibataetsuko.com/
こういう質感ってやっぱり南欧独特のものなのかな、と。
折り皺のある布キャンバスに描かれた闘牛士などの絵、太い稜線と暗めで乾いた色彩とが、かの地のイメージを彷佛させます。
・友枝憲太郎展 @なびす画廊(7/4〜7/9)
http://www.nabis-g.com/exhibition/2005/tomoeda-k.html
それぞれ明るい原色で彩色されたブロックのような変型のパネルを組み合わせてある、あまり見かけないタイプの作風。
それぞれのパネルがざっと塗られているのでぱっと観るだけだとただそれだけなのですが、その色彩の下に美人画や動物の線画が隠れていて、それがだんだんと見えてきて、そこに面白さを感じました。
・食のスペイン展 中内渚 @小野画廊2(7/4〜7/9)
http://www.oceandictionary.net/~nagisa-n/kinkyo/exposicion.html
古い洋書に描かれたイラストを額に収めて展示。
描き込まれていないぶん、その臨場感がリアルに伝わってきて、拝見した時間が時間だっただけにホントにお腹が空いてきました(笑)。
・金兌赫 KIM TAE-HUK @シロタ画廊(6/17〜7/9)
http://gaden.jp/shirota/2005/050627.html
ぼやっとした薄い色彩、何かが描かれている感じがしない平面的な木版画。
でも、そのほっこりとした感触はなんとも心地よかったです。
何ていうか、うたた寝で見る夢の風景のような・・・。
・館勝生展 @Oギャラリー(7/4〜7/10)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/tati.html
ビバ痕跡。
緑や紺など、濃い色と白の絵具が白い画面に「盛られた」ような・・・白髪一雄もおそらくびっくりの、絵具の盛り上がり。
ここまでくると、感心せずにはいられないというか。。。
・張小濤 @東京画廊(6/20〜7/9)
http://www.tokyo-gallery.com/tokyo/index.html
鮮やかな色彩で描かれた蛙、金魚など。
リアルに描かれていて、一方でかなり派手な色使い、かなりのインパクト。無論よい意味で。
あと、ダークな色調で描かれたいちごの絵も、かなり印象に残りました。
・YANG XIAOMIN 個展 @福原画廊(7/4〜7/14)
これはカッコ良かった!
茶色っぽい下地に、銀箔と黒の岩絵具とで描かれた、デフォルメされた人物など。
無機質な無彩色の質感、どことなくアンダーグラウンドな雰囲気で。
・弘田優子展 外と内をつなぐもの @みゆき画廊(7/4〜7/9)
http://www2.big.or.jp/~miyuki/ex/exhtml/050704.html
岩絵具によるやわらかな風景画など。
ここまで幻想的な感触の岩絵具の作品は珍しい気がします。
時間が充分とれず、ほんの少ししか観られなかったのが残念。。。
以下はあらためて。
・根岸創展 @ギャラリー52(7/8〜7/13)
http://homepage3.nifty.com/g52/schedule/now.html
・コイズミアヤ展 “充満と空虚” @ギャラリー椿(7/4〜7/16)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050704.htm
・田中怜展 @フタバ画廊(7/4〜7/10)
・會田千夏「katari-jima」 @Pepper’s Loft Gallery(7/4〜7/9)
http://www.peppers-project.com/loft/jp/exhibit_program/2005_07/03a/index.htm
・藤井拓馬展 “SLEEP, text.,Translation” @GALERIE SOL(7/4〜7/9)
http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050704d/050704d.htm
http://www.shinobazu.com/schedule.htm
細密な銅版画。
植物をモチーフに人を描いたり、葉の表面に人の顔を織り込んだり。
中世的な雰囲気と、現代的な発想とが同居していて、強烈、ではないけれども、じわりと不思議な感触が伝わってくるような。。。
特に、その大賞受賞作は「一人」というタイトルながら数人の人物が植物などをモチーフに、さらに建築物も描かれていて、これ自体結構な大きさでしたが、もっと広い場面のワンカットという感じで、ものすごくイメージが広がります。
・Illuminations 筑紫拓也 @Zeit-Foto Salon(6925〜7/20)
http://www.gaden.jp/zeit-foto/2005/050625.html
水面に景色が写りこむ風景を撮り、それを逆さに展示。
もちろん写真そのものもきれいなのですが、天地をひっくり返しただけでこうも面白いものになるのかと、感心しきり。
・流麻二果展「糸口」 @ギャルリー東京ユニマテ(6/27〜7/16)
http://kgs-tokyo.jp/human/2005/050627.html
抽象の油彩の作品で、正直なところよく分かりませんでした。。。
作家の人となりに触れるとなにか伝わってくるのかも。
・みはらかつお展『 H e r e 』 @ギャラリー山口B1F(7/4〜7/9)
http://www.gaden.jp/yamaguchi/2005/050704b.htm
ただ単に、白地図の区画を適当に(失礼!)に塗り分けただけ。
それがこうやって展示されただけで、面白い空間に。
ここから始まるアイデアもいろいろとありそうな感じです。
・千々岩修展 @アートスペース羅針盤(7/4〜7/9)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0704/index.html
麻紙のうえに滲むように広がる赤や青のやわらかな色彩が印象的な抽象の日本画。
なんともいえない浮遊感というか...麻紙のきりりとした緊張感と、薄い色彩の感触とで織り成す心地よい雰囲気が印象に残りました。
・イグナシオ・ブルゴス展 @柴田悦子画廊(7/4〜7/16)
http://www.shibataetsuko.com/
こういう質感ってやっぱり南欧独特のものなのかな、と。
折り皺のある布キャンバスに描かれた闘牛士などの絵、太い稜線と暗めで乾いた色彩とが、かの地のイメージを彷佛させます。
・友枝憲太郎展 @なびす画廊(7/4〜7/9)
http://www.nabis-g.com/exhibition/2005/tomoeda-k.html
それぞれ明るい原色で彩色されたブロックのような変型のパネルを組み合わせてある、あまり見かけないタイプの作風。
それぞれのパネルがざっと塗られているのでぱっと観るだけだとただそれだけなのですが、その色彩の下に美人画や動物の線画が隠れていて、それがだんだんと見えてきて、そこに面白さを感じました。
・食のスペイン展 中内渚 @小野画廊2(7/4〜7/9)
http://www.oceandictionary.net/~nagisa-n/kinkyo/exposicion.html
古い洋書に描かれたイラストを額に収めて展示。
描き込まれていないぶん、その臨場感がリアルに伝わってきて、拝見した時間が時間だっただけにホントにお腹が空いてきました(笑)。
・金兌赫 KIM TAE-HUK @シロタ画廊(6/17〜7/9)
http://gaden.jp/shirota/2005/050627.html
ぼやっとした薄い色彩、何かが描かれている感じがしない平面的な木版画。
でも、そのほっこりとした感触はなんとも心地よかったです。
何ていうか、うたた寝で見る夢の風景のような・・・。
・館勝生展 @Oギャラリー(7/4〜7/10)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/tati.html
ビバ痕跡。
緑や紺など、濃い色と白の絵具が白い画面に「盛られた」ような・・・白髪一雄もおそらくびっくりの、絵具の盛り上がり。
ここまでくると、感心せずにはいられないというか。。。
・張小濤 @東京画廊(6/20〜7/9)
http://www.tokyo-gallery.com/tokyo/index.html
鮮やかな色彩で描かれた蛙、金魚など。
リアルに描かれていて、一方でかなり派手な色使い、かなりのインパクト。無論よい意味で。
あと、ダークな色調で描かれたいちごの絵も、かなり印象に残りました。
・YANG XIAOMIN 個展 @福原画廊(7/4〜7/14)
これはカッコ良かった!
茶色っぽい下地に、銀箔と黒の岩絵具とで描かれた、デフォルメされた人物など。
無機質な無彩色の質感、どことなくアンダーグラウンドな雰囲気で。
・弘田優子展 外と内をつなぐもの @みゆき画廊(7/4〜7/9)
http://www2.big.or.jp/~miyuki/ex/exhtml/050704.html
岩絵具によるやわらかな風景画など。
ここまで幻想的な感触の岩絵具の作品は珍しい気がします。
時間が充分とれず、ほんの少ししか観られなかったのが残念。。。
以下はあらためて。
・根岸創展 @ギャラリー52(7/8〜7/13)
http://homepage3.nifty.com/g52/schedule/now.html
・コイズミアヤ展 “充満と空虚” @ギャラリー椿(7/4〜7/16)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050704.htm
・田中怜展 @フタバ画廊(7/4〜7/10)
・會田千夏「katari-jima」 @Pepper’s Loft Gallery(7/4〜7/9)
http://www.peppers-project.com/loft/jp/exhibit_program/2005_07/03a/index.htm
・藤井拓馬展 “SLEEP, text.,Translation” @GALERIE SOL(7/4〜7/9)
http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050704d/050704d.htm
as time goes by ―時の流れ―(7/2)
2005年7月8日 アートギャラリー・アート・ポイントにて。(6/27〜7/2)
先日ときの忘れもので拝見した永井桃子さんの作品を再び観られるということで、気になっていたグループ展。
まず、永井桃子さんの作品。
パステル調の明るい色彩で描かれた植物、花や葉。
色彩の軽やかさとは裏腹に、油彩特有の重量感(と書くと大げさですが・・・)もあって、不思議な感じが。
以前、GALLERY b. TOKYOで拝見した長瀬武志さん。
前回と同様、大きなキャンバスに写実的な人の顔や花の絵。
写実的ですが、全体的に霧がかったような妖しい感触もあり、永井さんの作品との対比が面白かったです。
強烈だったのが、宮崎勇次郎さん。
ヤケに明るい画面に、とにかくいろんなものが詰め込まれているシュールな作品で。
その描く過程が大変ユニーク。まずパソコン上で画面に取り入れるものを配置し、それを元にアクリル絵具で描く、という、なんとも手間のかかった行程。
おかげでぜんぜんバラバラなものが配置されているのですが、コラージュと違って画面の質感が統一されているので妙に説得力があります。
それぞれの作家のみなさんにいろいろと伺うこともできて、貴重で有意義な機会を得られたような気がしてます。
先日ときの忘れもので拝見した永井桃子さんの作品を再び観られるということで、気になっていたグループ展。
まず、永井桃子さんの作品。
パステル調の明るい色彩で描かれた植物、花や葉。
色彩の軽やかさとは裏腹に、油彩特有の重量感(と書くと大げさですが・・・)もあって、不思議な感じが。
以前、GALLERY b. TOKYOで拝見した長瀬武志さん。
前回と同様、大きなキャンバスに写実的な人の顔や花の絵。
写実的ですが、全体的に霧がかったような妖しい感触もあり、永井さんの作品との対比が面白かったです。
強烈だったのが、宮崎勇次郎さん。
ヤケに明るい画面に、とにかくいろんなものが詰め込まれているシュールな作品で。
その描く過程が大変ユニーク。まずパソコン上で画面に取り入れるものを配置し、それを元にアクリル絵具で描く、という、なんとも手間のかかった行程。
おかげでぜんぜんバラバラなものが配置されているのですが、コラージュと違って画面の質感が統一されているので妙に説得力があります。
それぞれの作家のみなさんにいろいろと伺うこともできて、貴重で有意義な機会を得られたような気がしてます。
三瀬夏之介展「日本の絵」(7/2)
2005年7月8日 アートアートスペース羅針盤にて。(6/27〜7/2)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0627/index.html
・・・いやもう圧倒されてしまいました。
あれだけ大きいとそれだけで凄みがあるというか...。
この展示では、まず、入口左手の壁に、その面積いっぱいの広さの作品。
そして、中央にはギャラリーのスペースを対角で2つに分けるように屏風の作品が。
あとは、逆に極ミニマムな大きさの作品が並ぶところと、ちょっと質感が違う作品と。
これだけのバリエーションがありながら、空間としてはちゃんと統一感があり。
まず、左手の壁の作品。
壁の大きさに合わせて貼り合わせて作られた和紙の画面に、銅や金箔や岩絵具などを使って壮大な山、富士山の風景が描かれていて、圧巻です。
一部、銅の部分を拭いたりそのまま水分がついた状態で放っておいたりすることでわざと緑青を発生させて、鈍く輝く金や銅のなかに、岩絵具と近そうでやはり違う独特の質感を醸し出しています。これも迫力の理由のひとつ。
中央の屏風にも、同じように緑青がわいた銅の部分が強烈にインパクトがあって、無論描かれる風景もその大きさや屏風自体の存在感、重量感と合わせて相当の力強さで。
UFOがでっかく描かれていてびっくり。
小さな作品も同じような手法で描かれていました。
ただ、金箔が施された大変小さな画面で、その印象は大きなものとはやはり違って、かわいい、というのではないのですが、その小ささに宿る存在感みたいなものに引き込まれるような感じで。
表面を樹脂でコーティングされた一連の作品は、強烈に暗い色彩と樹脂の質感とで、なんだか呑み込まれるような深い世界観。
これだけでの展示も観てみたいと思いました。
ここでの三瀬さんのような展示を拝見すると、日本画って自由だな、と思います。
画材(岩絵具、墨、箔)や支持体(和紙、麻紙、絹)、さらに巻き物やら屏風やら...
素材そのもの、言い換えると「手段」でどんどんイメージを広げていける感じがします。
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0627/index.html
・・・いやもう圧倒されてしまいました。
あれだけ大きいとそれだけで凄みがあるというか...。
この展示では、まず、入口左手の壁に、その面積いっぱいの広さの作品。
そして、中央にはギャラリーのスペースを対角で2つに分けるように屏風の作品が。
あとは、逆に極ミニマムな大きさの作品が並ぶところと、ちょっと質感が違う作品と。
これだけのバリエーションがありながら、空間としてはちゃんと統一感があり。
まず、左手の壁の作品。
壁の大きさに合わせて貼り合わせて作られた和紙の画面に、銅や金箔や岩絵具などを使って壮大な山、富士山の風景が描かれていて、圧巻です。
一部、銅の部分を拭いたりそのまま水分がついた状態で放っておいたりすることでわざと緑青を発生させて、鈍く輝く金や銅のなかに、岩絵具と近そうでやはり違う独特の質感を醸し出しています。これも迫力の理由のひとつ。
中央の屏風にも、同じように緑青がわいた銅の部分が強烈にインパクトがあって、無論描かれる風景もその大きさや屏風自体の存在感、重量感と合わせて相当の力強さで。
UFOがでっかく描かれていてびっくり。
小さな作品も同じような手法で描かれていました。
ただ、金箔が施された大変小さな画面で、その印象は大きなものとはやはり違って、かわいい、というのではないのですが、その小ささに宿る存在感みたいなものに引き込まれるような感じで。
表面を樹脂でコーティングされた一連の作品は、強烈に暗い色彩と樹脂の質感とで、なんだか呑み込まれるような深い世界観。
これだけでの展示も観てみたいと思いました。
ここでの三瀬さんのような展示を拝見すると、日本画って自由だな、と思います。
画材(岩絵具、墨、箔)や支持体(和紙、麻紙、絹)、さらに巻き物やら屏風やら...
素材そのもの、言い換えると「手段」でどんどんイメージを広げていける感じがします。
佐伯洋江展(7/2)
2005年7月7日 アート コメント (2)Taka Ishii Galleryにて。(6/4〜7/2)
http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2005/06_hiroe_saeki/japanese.html
会期終了の日に観にいって、観ることができて良かった、と思える展示でした。
主にシャープペンシルで描かれた細密な絵。
純白と若干黄味がかった2種類のケント紙、しかもマット紙を裏に貼ることで表面がケレン味なくピンと平らになった画面に、いかにもシャープペンシルによる、大変細かいところまで丁寧に描かれています。
また、黒鉛の鈍く輝く黒と別に、色鉛筆による金色と銀色、アクリル絵具による白も一部で見受けられます。この黒鉛と比べるとほんの少しだけ軽めの印象の銀色、さらに無彩色の中で静かに際立つ金色。これらは黒鉛の黒と相まって、さらにその質感・・・蝶の羽についた粉のような感じが作品に独特の妖しさを与えているようです。
そして、アクリル絵具の白、こちらはまったく違う質感、というよりかなりの異質感。画面から浮き上がるような感じで、前者のとはまた違う艶っぽさを伴う妖しさが。
描かれているものは相当に抽象的。
モチーフになっているものは花、植物、蝶、鳥・・・そのものがさまざまな妖しい曲線で構成されているもの。
それぞれ細い線や細かい玉模様などを織り交ぜながらなんともゴージャスに描かれていて、近付いてみるとその細やかさ、部分ごとの細密さに引き込まれる感じで、目を皿のようにして画面を這わせるようにじっくりと観てしまい、また距離を置くと、さまざまな妖しい雰囲気を振りまいているようなその世界観に見とれてしまいます。
なんていうか、地上の世界のどこでもない、まったく知らないどこか...。
こちらのギャラリーの空間、床面積も広くて天上も高く、全体的にほぼ白で統一された空間に絶妙に合った展示でした。
作品も含めてこれほど無彩色の空間、なのに得られたイメージはすこぶる豊かで。。。
・・・もっと時間をかけて観たかったです。
http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2005/06_hiroe_saeki/japanese.html
会期終了の日に観にいって、観ることができて良かった、と思える展示でした。
主にシャープペンシルで描かれた細密な絵。
純白と若干黄味がかった2種類のケント紙、しかもマット紙を裏に貼ることで表面がケレン味なくピンと平らになった画面に、いかにもシャープペンシルによる、大変細かいところまで丁寧に描かれています。
また、黒鉛の鈍く輝く黒と別に、色鉛筆による金色と銀色、アクリル絵具による白も一部で見受けられます。この黒鉛と比べるとほんの少しだけ軽めの印象の銀色、さらに無彩色の中で静かに際立つ金色。これらは黒鉛の黒と相まって、さらにその質感・・・蝶の羽についた粉のような感じが作品に独特の妖しさを与えているようです。
そして、アクリル絵具の白、こちらはまったく違う質感、というよりかなりの異質感。画面から浮き上がるような感じで、前者のとはまた違う艶っぽさを伴う妖しさが。
描かれているものは相当に抽象的。
モチーフになっているものは花、植物、蝶、鳥・・・そのものがさまざまな妖しい曲線で構成されているもの。
それぞれ細い線や細かい玉模様などを織り交ぜながらなんともゴージャスに描かれていて、近付いてみるとその細やかさ、部分ごとの細密さに引き込まれる感じで、目を皿のようにして画面を這わせるようにじっくりと観てしまい、また距離を置くと、さまざまな妖しい雰囲気を振りまいているようなその世界観に見とれてしまいます。
なんていうか、地上の世界のどこでもない、まったく知らないどこか...。
こちらのギャラリーの空間、床面積も広くて天上も高く、全体的にほぼ白で統一された空間に絶妙に合った展示でした。
作品も含めてこれほど無彩色の空間、なのに得られたイメージはすこぶる豊かで。。。
・・・もっと時間をかけて観たかったです。
金丸悠児展(7/3)
2005年7月6日 アート
JPホーム株式会社みなとみらい住宅展示場にて。(6/30〜7/23)現在開催中!
http://www.yokohama-hc.com/special/taka/index.htm
住宅展示場で金丸悠児さんの作品を。
ギャラリーではなく実際の生活環境に近い場所で展示されることで、作品そのものが観る側に歩み寄って、より親しみやすくなっているような感じです。
金丸さんの描く動物たちの独特の表情はこれまでデパートやギャラリーで拝見した時と変わらぬ飄々とした感じで、おそらく住宅展示場で展示されていることを描かれている動物たち自身は気付いていないだろうな、と思うとちょっと可笑しい気持ちになるのですが、メインである住宅そのものの雰囲気を引き立てつつ、あのユーモアたっぷりの独特の愛嬌を醸し出していました。
絵の配置も絶妙で。
ダイニングには古代魚がその姿をのんびりと晒していたり、和室には壁の色と合わせた背景色の作品が飾られていて「和」の空間に馴染んでちょっと不思議な感じを醸し出していたり。
オーディオルームには荒目のキャンバスに描かれたドローイングの作品が飾られていて、ちょっと無機質な印象の部屋にあったかい雰囲気を持ち込んでいます。
これらの配置は金丸さんによるものとのことです。
とにかく、企画としてすごく面白いと思います。
絵のオーナーになってみたい、興味がある方々にとって、こういう生活環境に近い場所で観ることで絵を実際の部屋に飾るイメージが伝わりやすいし、イメージも広がるかな、と。
また、住宅を観に訪れた人がこういう場所でアートに触れて、興味をもってもられば、とも思うのです。
これまでたくさんのギャラリーでさまざまな作品と出会い、作家と出会いましたが、ホントに面白い、もっとたくさんの人に届いてほしいと思える作家や作品がたくさんいることを身をもって感じてます。
アートへの入口がアートだけなのはもったいない、と常々感じていて、今回は住宅展示場ですが、もっとさまざまなものとかかわり合ってその入口が増えれば...と。
http://www.yokohama-hc.com/special/taka/index.htm
住宅展示場で金丸悠児さんの作品を。
ギャラリーではなく実際の生活環境に近い場所で展示されることで、作品そのものが観る側に歩み寄って、より親しみやすくなっているような感じです。
金丸さんの描く動物たちの独特の表情はこれまでデパートやギャラリーで拝見した時と変わらぬ飄々とした感じで、おそらく住宅展示場で展示されていることを描かれている動物たち自身は気付いていないだろうな、と思うとちょっと可笑しい気持ちになるのですが、メインである住宅そのものの雰囲気を引き立てつつ、あのユーモアたっぷりの独特の愛嬌を醸し出していました。
絵の配置も絶妙で。
ダイニングには古代魚がその姿をのんびりと晒していたり、和室には壁の色と合わせた背景色の作品が飾られていて「和」の空間に馴染んでちょっと不思議な感じを醸し出していたり。
オーディオルームには荒目のキャンバスに描かれたドローイングの作品が飾られていて、ちょっと無機質な印象の部屋にあったかい雰囲気を持ち込んでいます。
これらの配置は金丸さんによるものとのことです。
とにかく、企画としてすごく面白いと思います。
絵のオーナーになってみたい、興味がある方々にとって、こういう生活環境に近い場所で観ることで絵を実際の部屋に飾るイメージが伝わりやすいし、イメージも広がるかな、と。
また、住宅を観に訪れた人がこういう場所でアートに触れて、興味をもってもられば、とも思うのです。
これまでたくさんのギャラリーでさまざまな作品と出会い、作家と出会いましたが、ホントに面白い、もっとたくさんの人に届いてほしいと思える作家や作品がたくさんいることを身をもって感じてます。
アートへの入口がアートだけなのはもったいない、と常々感じていて、今回は住宅展示場ですが、もっとさまざまなものとかかわり合ってその入口が増えれば...と。
三宅信太郎「敦盛 ATSUMORI」(7/2)
2005年7月5日 アート
小山登美夫ギャラリーにて。(7/2〜7/23)現在開催中!
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050702.html
今度の小山登美夫ギャラリーはちょっと違う。
まず入口から違う。
入口が違うから、内装も違う。
無論、展示も違う。
・・・というか直前に開催されていた展示も違ってたわけですが(マクドナルドのフェイク)。
可愛いんだか可愛くないんだか、まあ、可愛いんだろうけど、童顔で手足がくにゃくにゃっとした非常に微妙に奇妙で異常かつ異様なキャラクターが鎧兜に身を包んで突貫の声を上げて、といっても頭の中に聞こえてくるのは『あ”〜〜〜〜』みたいななんとも力強くない感じのものなんですけど、とにかくまあそんな感じってどんな感じだよ、と。
そのキャラクターがさまざまな形で描かれたりオブジェとなっていたり。
オブジェ、というか、要はそういうこじゃれた呼び方じゃなくてもっと、こう...巨大な作り物(!)になったキャラクターの迫力は筆舌に尽くし難いほどのくだらなさ(無論褒めてます)。
とにかく、あの入口をくぐってみるのはちょっと面白い体験ですはい。
これこそ百聞は一見に如かず。
・・・松永豊和の「バクネヤング」を思い出しました(分かる人は少ないと思います)。
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050702.html
今度の小山登美夫ギャラリーはちょっと違う。
まず入口から違う。
入口が違うから、内装も違う。
無論、展示も違う。
・・・というか直前に開催されていた展示も違ってたわけですが(マクドナルドのフェイク)。
可愛いんだか可愛くないんだか、まあ、可愛いんだろうけど、童顔で手足がくにゃくにゃっとした非常に微妙に奇妙で異常かつ異様なキャラクターが鎧兜に身を包んで突貫の声を上げて、といっても頭の中に聞こえてくるのは『あ”〜〜〜〜』みたいななんとも力強くない感じのものなんですけど、とにかくまあそんな感じってどんな感じだよ、と。
そのキャラクターがさまざまな形で描かれたりオブジェとなっていたり。
オブジェ、というか、要はそういうこじゃれた呼び方じゃなくてもっと、こう...巨大な作り物(!)になったキャラクターの迫力は筆舌に尽くし難いほどのくだらなさ(無論褒めてます)。
とにかく、あの入口をくぐってみるのはちょっと面白い体験ですはい。
これこそ百聞は一見に如かず。
・・・松永豊和の「バクネヤング」を思い出しました(分かる人は少ないと思います)。
瀧口修造とタケミヤ画廊(7/2)
2005年7月5日 アート
お茶の水画廊にて。(7/3〜7/14)現在開催中!
http://www.ne.jp/asahi/art/kamaneko-tushin/digikama/oboegaki/2005/7_1ochanomizu.html
ギャラリーでの瀧口関連の展示。
ざっくりとしたことしか覚えていないのですが、1950s〜60sに存在した、作家のセレクトを瀧口が行っていたというタケミヤ画廊で展示を行った作家の作品を一堂に集めた展示でした。
いやはや、ただで観ちゃっていいの?ってくらいに充実した内容で。。。
とにかくこの時代の前衛作家の作品がいっぱい。
まず、お茶の水画廊のスペースでは瀧口のデカルコマニー作品がずらりと並ぶところから始まり、福島秀子のファンタスティックな水彩の抽象画、榎本和子の力強い赤のインパクトが強烈な作品、池田龍雄のリアリズムを全面に押し出して生々しささえ感じる蓑虫の絵と一連のペン画。
続いて、繋がっている淡路町画廊へ。
こちらの1階は、既知の作家がずらりと並び、大変贅沢なセレクトに。
瑛九のフォトデッサン、小さな円をちりばめたような油彩の作品。
小山田二郎は水彩画が2点。どちらもこれだけ観るだけでも価値がある、強烈に奇妙な世界。
難波田龍起や池田満寿夫の作品も。
2階、3階にも興味深い作品が多数展示。
堀田操のダリ的なシュールな世界を描いた作品。
風倉匠のミニマムな抽象画。ごく小さい画面に広がる壮大な景色。。。
力強い前田常作に、人の身体をモチーフに描いたような不思議な世界観の野地正記。
ここに展示されているものがすべてタケミヤ画廊に出展されたというわけではないのですが、その時代の作家の作品で統一されたこの空間は、これだけ個性的な作品群でありながら、ちゃんとひとつのまとまりのようなものを感じます。瀧口修造というひとりの現代美術愛好家のフィルターを通っているということもきっとあると思われますが、それだけには収まらない何かを感じます。時代の背景や流行のようなものもでしょうか。。。
そういう展示をこの築80年以上経つ、元酒蔵(らしいです)をそのまま活かしたお茶の水画廊/淡路町画廊で拝見できるのは大変貴重な体験でした。この古い木造建築の独特な雰囲気(例えば床がミシミシいったり)が作品の奇妙な世界観をより際立たせているような、そんな印象です。
実はもっとざっくりとした展示かなと思っていたのですが、それどころか期待していっても良い方に大きく裏切られたと思ってしまうほど。世田谷美術館での瀧口展と違って作品のみの展示というのも嬉しいです。
加えて今回の展示はうれしいことに日曜日も開廊しているそうなので、お時間のある方はぜひ。
http://www.ne.jp/asahi/art/kamaneko-tushin/digikama/oboegaki/2005/7_1ochanomizu.html
ギャラリーでの瀧口関連の展示。
ざっくりとしたことしか覚えていないのですが、1950s〜60sに存在した、作家のセレクトを瀧口が行っていたというタケミヤ画廊で展示を行った作家の作品を一堂に集めた展示でした。
いやはや、ただで観ちゃっていいの?ってくらいに充実した内容で。。。
とにかくこの時代の前衛作家の作品がいっぱい。
まず、お茶の水画廊のスペースでは瀧口のデカルコマニー作品がずらりと並ぶところから始まり、福島秀子のファンタスティックな水彩の抽象画、榎本和子の力強い赤のインパクトが強烈な作品、池田龍雄のリアリズムを全面に押し出して生々しささえ感じる蓑虫の絵と一連のペン画。
続いて、繋がっている淡路町画廊へ。
こちらの1階は、既知の作家がずらりと並び、大変贅沢なセレクトに。
瑛九のフォトデッサン、小さな円をちりばめたような油彩の作品。
小山田二郎は水彩画が2点。どちらもこれだけ観るだけでも価値がある、強烈に奇妙な世界。
難波田龍起や池田満寿夫の作品も。
2階、3階にも興味深い作品が多数展示。
堀田操のダリ的なシュールな世界を描いた作品。
風倉匠のミニマムな抽象画。ごく小さい画面に広がる壮大な景色。。。
力強い前田常作に、人の身体をモチーフに描いたような不思議な世界観の野地正記。
ここに展示されているものがすべてタケミヤ画廊に出展されたというわけではないのですが、その時代の作家の作品で統一されたこの空間は、これだけ個性的な作品群でありながら、ちゃんとひとつのまとまりのようなものを感じます。瀧口修造というひとりの現代美術愛好家のフィルターを通っているということもきっとあると思われますが、それだけには収まらない何かを感じます。時代の背景や流行のようなものもでしょうか。。。
そういう展示をこの築80年以上経つ、元酒蔵(らしいです)をそのまま活かしたお茶の水画廊/淡路町画廊で拝見できるのは大変貴重な体験でした。この古い木造建築の独特な雰囲気(例えば床がミシミシいったり)が作品の奇妙な世界観をより際立たせているような、そんな印象です。
実はもっとざっくりとした展示かなと思っていたのですが、それどころか期待していっても良い方に大きく裏切られたと思ってしまうほど。世田谷美術館での瀧口展と違って作品のみの展示というのも嬉しいです。
加えて今回の展示はうれしいことに日曜日も開廊しているそうなので、お時間のある方はぜひ。
浅葉克己。浅葉春。新し器父娘展(7/1)
2005年7月4日 アート
Gallery 5610にて。(6/27〜7/23)現在開催中!
http://www.deska.jp/frame0.html
少し前に新宿のb galleryで拝見した浅葉春さんと、そのお父様の浅葉克己さんとの2人展。
この日は浅葉父娘を交えてのトークショーが開催されていて、これには確実に参加できるか分からなかったので予約はせず、観ることに専念。
外のスペースでトークショーが行われているなかで、作品をじっくりと拝見。
春さんの陶芸。
前回よりも気分的にゆったり観ることができました。
一部に蓮がモチーフとされた、ちょっとコミカルにうごめくような「蠢蠢シリーズ」、ところどころに線状などの穴が開いた直方体のオブジェ(中から明かりを照らすとその隙き間から光が覗くようになっているランプ)、タマゴ型のかわいい花器、さまざまな食器やマグカップ...。
その不器用に歪んだ(なんとなくこの言葉が一番しっくりきます)姿や素材そのものの質感など、ひとつひいとつの要素が合わさってなんともやさしい印象で、そういった陶器たちに囲まれているのが気持ち良く感じられます。
赤や茶色といった土の色のものが多いのですが、一部「炭火」とクレジットされているものがあり、これらは鈍い光をたたえた黒。これがまた実に味のある色なんです。
これらは2度、窯で焼くそうで、2度目は窯の煙突を塞いで、封じ込められた煤を陶器に焼きつけるようにしてこの色彩感、質感を出すそうです。
そんな中、一連の「鳥」の作品。
それぞれ、鳥たちの顔の高さまで身体を屈めたりしゃがんだりして、その表情をじっくりと観てみたのですが、目を開いたものは明るく元気な感じで大声を発しているかのようです。
一方、目を閉じている鳥。2本足ではなく、細長い筒状の台でその台にも目を閉じた女性が描かれているものがあって、その表情といったら...ちょっと忘れられないくらいの優しさ、やわらかい表情で、ロマンチックなイメージが湧いてくるから不思議です。
克己さんの、平面作品。
克己さんの展示も以前、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで観ていたのですが(そのときは結構なボリュームだったので、面白かったんですけど疲れてしまいました。今思えばすごく残念・・・)、今回の展示で陶芸の春さんのお父様と知ってびっくり(笑)。
さまざまな象形文字(トンパ文字)をふんだんに織り込んだ作品はそれだけで面白いです。
文章のようになっていたトンパタロットはさすがに解読とまではいかず...でも「何となく」伝わってくるものでも充分に楽しめます。
逆に、シンプルなもの、大きなトンパ文字が2つか3つ配置されていて、タイトルがその訳になっている掛け軸がいくつかあり、これらは分かりやすく、さらに文字とは別に絵も入っているものもあったりして、頭を使わないぶん(笑)ダイレクトに面白さが伝わってきます。
ぜんぜん違う作風の父娘展ですが、それぞれの作品が醸し出すユーモアだったりやわらかな感触だったり、期待以上に楽しむことができました。
観てる時に聴こえてきた南京玉簾の「あさて、あさて、あさてさてさて・・・」という節と、おそらくそれを披露した克己パパの着てるものが写真通りのカッ飛び具合だったのも印象に残ってます(笑)。
http://www.deska.jp/frame0.html
少し前に新宿のb galleryで拝見した浅葉春さんと、そのお父様の浅葉克己さんとの2人展。
この日は浅葉父娘を交えてのトークショーが開催されていて、これには確実に参加できるか分からなかったので予約はせず、観ることに専念。
外のスペースでトークショーが行われているなかで、作品をじっくりと拝見。
春さんの陶芸。
前回よりも気分的にゆったり観ることができました。
一部に蓮がモチーフとされた、ちょっとコミカルにうごめくような「蠢蠢シリーズ」、ところどころに線状などの穴が開いた直方体のオブジェ(中から明かりを照らすとその隙き間から光が覗くようになっているランプ)、タマゴ型のかわいい花器、さまざまな食器やマグカップ...。
その不器用に歪んだ(なんとなくこの言葉が一番しっくりきます)姿や素材そのものの質感など、ひとつひいとつの要素が合わさってなんともやさしい印象で、そういった陶器たちに囲まれているのが気持ち良く感じられます。
赤や茶色といった土の色のものが多いのですが、一部「炭火」とクレジットされているものがあり、これらは鈍い光をたたえた黒。これがまた実に味のある色なんです。
これらは2度、窯で焼くそうで、2度目は窯の煙突を塞いで、封じ込められた煤を陶器に焼きつけるようにしてこの色彩感、質感を出すそうです。
そんな中、一連の「鳥」の作品。
それぞれ、鳥たちの顔の高さまで身体を屈めたりしゃがんだりして、その表情をじっくりと観てみたのですが、目を開いたものは明るく元気な感じで大声を発しているかのようです。
一方、目を閉じている鳥。2本足ではなく、細長い筒状の台でその台にも目を閉じた女性が描かれているものがあって、その表情といったら...ちょっと忘れられないくらいの優しさ、やわらかい表情で、ロマンチックなイメージが湧いてくるから不思議です。
克己さんの、平面作品。
克己さんの展示も以前、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで観ていたのですが(そのときは結構なボリュームだったので、面白かったんですけど疲れてしまいました。今思えばすごく残念・・・)、今回の展示で陶芸の春さんのお父様と知ってびっくり(笑)。
さまざまな象形文字(トンパ文字)をふんだんに織り込んだ作品はそれだけで面白いです。
文章のようになっていたトンパタロットはさすがに解読とまではいかず...でも「何となく」伝わってくるものでも充分に楽しめます。
逆に、シンプルなもの、大きなトンパ文字が2つか3つ配置されていて、タイトルがその訳になっている掛け軸がいくつかあり、これらは分かりやすく、さらに文字とは別に絵も入っているものもあったりして、頭を使わないぶん(笑)ダイレクトに面白さが伝わってきます。
ぜんぜん違う作風の父娘展ですが、それぞれの作品が醸し出すユーモアだったりやわらかな感触だったり、期待以上に楽しむことができました。
観てる時に聴こえてきた南京玉簾の「あさて、あさて、あさてさてさて・・・」という節と、おそらくそれを披露した克己パパの着てるものが写真通りのカッ飛び具合だったのも印象に残ってます(笑)。
今日は今年2度目の横浜。
気になる展示がいくつかあり、その合間に横浜美術館のルーブル美術館展も、と思ったのですが、さすがに会場の外まで伸びる入場待ちの列を見て思いっきり腰が引けてしまいました。
・・・例えばあの状況で「常設だけ観たいのですが」というと先に通してくれるのかな?
・金丸悠児展 @JPホーム株式会社みなとみらい住宅展示場(6/30〜7/23)
http://www.yokohama-hc.com/special/taka/index.htm
・立体の魅力4 祝迫義郎 @イセザキ・モール・コイチ(6/18〜7/3)
http://www.9ten.com/koichi/2005/050618/050618.htm
・永井夏夕展 @SPACE2(6/22〜7/10)
http://www.g-hirawata.com/
気になる展示がいくつかあり、その合間に横浜美術館のルーブル美術館展も、と思ったのですが、さすがに会場の外まで伸びる入場待ちの列を見て思いっきり腰が引けてしまいました。
・・・例えばあの状況で「常設だけ観たいのですが」というと先に通してくれるのかな?
・金丸悠児展 @JPホーム株式会社みなとみらい住宅展示場(6/30〜7/23)
http://www.yokohama-hc.com/special/taka/index.htm
・立体の魅力4 祝迫義郎 @イセザキ・モール・コイチ(6/18〜7/3)
http://www.9ten.com/koichi/2005/050618/050618.htm
・永井夏夕展 @SPACE2(6/22〜7/10)
http://www.g-hirawata.com/
7/2のギャラリー巡り
2005年7月2日 アート・冨樫憲太郎展 @ギャラリーf分の1(6/28〜7/9)
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/exhibition.htm
油彩で人体をモチーフにした作品と、風景の作品。
風景画は水平と垂直とが画面の縦で同じ質感で描かれていて、ちょっと不思議な感じ。
もっとファンタスティックな方向に振り切れると面白いかも、と思いました。
・岩崎紀子 水彩展 @美篶堂ギャラリー(6/28〜7/3)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
水彩による風景画と抽象画。
スケッチ風の風景画は清々しい景色がそのまま表現されているような感じで、一方、3点あった抽象画のほうはそれぞれタイプが違っていて、なかなか独特の味わいがあって良かったです。
・浦木賢治展 〜例えばアリス〜 @Gallery J2(6/28〜7/3)
http://www.g-j2.com/2005/artist/uraki/01.html
DMのカラフルさとは裏腹に、展示されていたのは木炭によるシンプルな作品。
しかも、パネルに張られていないキャンバスに、アリスと兎が追いかけっこをしているシルエットのような絵で。
そのシンプルさは最初こそ物足りなく感じたものの、だんだんと「これで充分」という気持ちになってきました。
・大木裕之展「フィクション」 @SCAI THE BATHHOUSE(6/23〜7/23)
http://www.scaithebathhouse.com/main/03exhibition/data/Fiction/ja.html
どうも映像がメインのような展示でした(映像作品はしっかりと見てこず・・・)。
それ以外のはどうも・・・。
・米倉大五郎展 @ギャラリー山口1F(6/27〜7/2)
http://www.gaden.jp/yamaguchi/2005/050627.htm
モノクロの森の写真を使って人の身体や別の風景などをコラージュで表現した作品。
色彩が墨絵のような感じでした。
・岡本卓也−Root & Flower− @巷房・space kobo & Tomo・階段下(6/27〜7/2)
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm
前回に続いて3つのスペース共同での展示。
軽やかで明るい色彩の抽象画でした。
・中澤美和×高橋まり子展 @Gallery銀座フォレスト(6/27〜7/2)
・Palimpsest @galleria grafica bis(6/27〜7/9)
http://www.h7.dion.ne.jp/~grafica/exhibits/schedule.html
お二人とも日本画で、カラフルではっきりとした色彩のデザイン的な中澤さんの作品と、落ち着いた色彩で写実的な高橋さんの作品。
良い感じでお二人の個性が分かれていて、心地よく思えました。
・南島隆 彫刻展 @朝日アートギャラリー(6/28〜7/3)
木工のオブジェですが、なんといっても実物大で製作されたオルガンを弾く人のオブジェが強烈なインパクト。
麻布製の服を着た痩身の男がオルガンを弾く姿。かなりリアル。
以下はあらためて。
・瀧口修造とタケミヤ画廊 @お茶の水画廊(7/3〜7/14)
・佐伯洋江展 @Taka Ishii Gallery(6/4〜7/2)
http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2005/06_hiroe_saeki/japanese.html
・三宅信太郎「敦盛 ATSUMORI」 @TOMIO KOYAMA GALLERY(7/2〜7/23)
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050702.html
・三瀬夏之介展「日本の絵」 @アートスペース羅針盤(6/27〜7/2)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0627/index.html
・as time goes by ―時の流れ― @ギャラリー・アート・ポイント
・西村正幸展 〜イラクの子どもたちへ〜 @Oギャラリー(6/27〜7/3)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nisimu.html
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/exhibition.htm
油彩で人体をモチーフにした作品と、風景の作品。
風景画は水平と垂直とが画面の縦で同じ質感で描かれていて、ちょっと不思議な感じ。
もっとファンタスティックな方向に振り切れると面白いかも、と思いました。
・岩崎紀子 水彩展 @美篶堂ギャラリー(6/28〜7/3)
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html
水彩による風景画と抽象画。
スケッチ風の風景画は清々しい景色がそのまま表現されているような感じで、一方、3点あった抽象画のほうはそれぞれタイプが違っていて、なかなか独特の味わいがあって良かったです。
・浦木賢治展 〜例えばアリス〜 @Gallery J2(6/28〜7/3)
http://www.g-j2.com/2005/artist/uraki/01.html
DMのカラフルさとは裏腹に、展示されていたのは木炭によるシンプルな作品。
しかも、パネルに張られていないキャンバスに、アリスと兎が追いかけっこをしているシルエットのような絵で。
そのシンプルさは最初こそ物足りなく感じたものの、だんだんと「これで充分」という気持ちになってきました。
・大木裕之展「フィクション」 @SCAI THE BATHHOUSE(6/23〜7/23)
http://www.scaithebathhouse.com/main/03exhibition/data/Fiction/ja.html
どうも映像がメインのような展示でした(映像作品はしっかりと見てこず・・・)。
それ以外のはどうも・・・。
・米倉大五郎展 @ギャラリー山口1F(6/27〜7/2)
http://www.gaden.jp/yamaguchi/2005/050627.htm
モノクロの森の写真を使って人の身体や別の風景などをコラージュで表現した作品。
色彩が墨絵のような感じでした。
・岡本卓也−Root & Flower− @巷房・space kobo & Tomo・階段下(6/27〜7/2)
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm
前回に続いて3つのスペース共同での展示。
軽やかで明るい色彩の抽象画でした。
・中澤美和×高橋まり子展 @Gallery銀座フォレスト(6/27〜7/2)
・Palimpsest @galleria grafica bis(6/27〜7/9)
http://www.h7.dion.ne.jp/~grafica/exhibits/schedule.html
お二人とも日本画で、カラフルではっきりとした色彩のデザイン的な中澤さんの作品と、落ち着いた色彩で写実的な高橋さんの作品。
良い感じでお二人の個性が分かれていて、心地よく思えました。
・南島隆 彫刻展 @朝日アートギャラリー(6/28〜7/3)
木工のオブジェですが、なんといっても実物大で製作されたオルガンを弾く人のオブジェが強烈なインパクト。
麻布製の服を着た痩身の男がオルガンを弾く姿。かなりリアル。
以下はあらためて。
・瀧口修造とタケミヤ画廊 @お茶の水画廊(7/3〜7/14)
・佐伯洋江展 @Taka Ishii Gallery(6/4〜7/2)
http://www.takaishiigallery.com/exhibition/2005/06_hiroe_saeki/japanese.html
・三宅信太郎「敦盛 ATSUMORI」 @TOMIO KOYAMA GALLERY(7/2〜7/23)
http://www.tomiokoyamagallery.com/kako_show/050702.html
・三瀬夏之介展「日本の絵」 @アートスペース羅針盤(6/27〜7/2)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/0627/index.html
・as time goes by ―時の流れ― @ギャラリー・アート・ポイント
・西村正幸展 〜イラクの子どもたちへ〜 @Oギャラリー(6/27〜7/3)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nisimu.html
神崎絵里展 -瓶詰模様-(6/25)
2005年7月1日 アート
T-BOXにて。(6/20〜6/26)
http://www.tbox.co.jp/tbox/2005/050620.html
和紙に、墨で描かれた瓶詰めの絵。
瓶のなかには女性の表情や花など、ロマンチックな一場面が詰め込まれたような。
正面の壁に大きな作品、その他はこのスペースに合った小品が並んでいました。
作品によっては色が入っているものもあり、これは(ちょっとうろ覚えになっていますが)、まず、彩色された和紙の上に別の和紙を1枚重ねているそうで、そのために黒の墨で描かれた絵と表面の質感に差が出てきていて、うっすらと滲んだ感じが、また独特。
それにしても、墨絵というのはスリリングです。
一度描いたものは消すことができないという...。
そういうなかで神崎さんの作品は、ひとつの作品のなかにさまざまな表情が織り込まれているようでした。
瓶は太い線でやわらかく描かれていて、手作りの瓶がひとつとして同じものがないのと同様にそれぞれ味のある形になっていたり。
そしてそのなかに描かれる場面は、瓶と同様に筆による太い線と、ペンで描かれる細い線とによって、おそらく観る場所や時間、その時の気持ちによってその場面のなかで過ぎる時間が違って感じられるのでは、と思えるほどに豊かな表現がなされていたように思えます。じっくり見れば見るほどにいろいろと発見があるので葉は、と。
また、線のひとつひとつは日本の墨絵的でありながら、大変西洋的な質感だったのも印象的でした。
http://www.tbox.co.jp/tbox/2005/050620.html
和紙に、墨で描かれた瓶詰めの絵。
瓶のなかには女性の表情や花など、ロマンチックな一場面が詰め込まれたような。
正面の壁に大きな作品、その他はこのスペースに合った小品が並んでいました。
作品によっては色が入っているものもあり、これは(ちょっとうろ覚えになっていますが)、まず、彩色された和紙の上に別の和紙を1枚重ねているそうで、そのために黒の墨で描かれた絵と表面の質感に差が出てきていて、うっすらと滲んだ感じが、また独特。
それにしても、墨絵というのはスリリングです。
一度描いたものは消すことができないという...。
そういうなかで神崎さんの作品は、ひとつの作品のなかにさまざまな表情が織り込まれているようでした。
瓶は太い線でやわらかく描かれていて、手作りの瓶がひとつとして同じものがないのと同様にそれぞれ味のある形になっていたり。
そしてそのなかに描かれる場面は、瓶と同様に筆による太い線と、ペンで描かれる細い線とによって、おそらく観る場所や時間、その時の気持ちによってその場面のなかで過ぎる時間が違って感じられるのでは、と思えるほどに豊かな表現がなされていたように思えます。じっくり見れば見るほどにいろいろと発見があるので葉は、と。
また、線のひとつひとつは日本の墨絵的でありながら、大変西洋的な質感だったのも印象的でした。
7/1のギャラリー巡り
2005年7月1日 アート夕方、小雨が降ったり止んだりの青山界隈を。
・牧ゆかり 虹への旅 ―Ten Fingers Dream― @Gallery GAN(6/27〜7/3)
http://www.presskit.co.jp/
分かりやすく「虹」がモチーフとなっている抽象画。
なかでも、入口からすぐ右手の壁に掲げられていた2m×3.5mの作品が、太い虹が前後左右に走り、その隙き間にさまざまな色彩の線が入り組んでいて、そういったものが織り成す奥行きも面白かったです。不思議と虹とは違う何か(思い出せないのですが・・・)を連想してしまいました。
相当に即興性が高い感じだったので、ライブペインティングに向いているような気がします、ちょっと観てみたいです。
・菊池学展 ―[lab] @AKI-EX(5/28〜7/30)
http://www.exlounge.com/
浅葉克己氏のトンパ文字をモチーフにした作品。
おそらく型抜きの手法が用いられていると思うのですが、ユニークな象形文字がさまざまな手法、形で描かれていました。
なかでも、鉄錆と漆との、2つの質感が違う鈍い色彩が絶妙の組み合わせでした。深い。。。
・はんまけいこ「南の島のMelody」 @SPACE YUI(6/27〜7/2)
http://www.spaceyui.com/gallery/schedule/image/hanma.htm
インクによる線画に水彩絵の具で彩色されたイラスト風の作品。
はんまさんは沖縄在住とのことで、海や海辺をモチーフにした作品が多かったです。
また、それぞれの作品にはラメが入っていて、これはメタリック系の水彩絵の具を仕上げに上塗りしているとのこと。
かわいらしい絵が印象的でした。
・立花文穂展 [Q体] @GALLERY 360°
http://www.360.co.jp/j/exhibition.html
やはりどうもこの辺のコラージュ作品は苦手です...。
本日いちばん観たかった展示はこちらです。
あらためて感想を書くことにします。
・浅葉克己。浅葉春。新し器父娘展 @Gallery 5610(6/27〜7/23)
http://www.deska.jp/frame0.html
・牧ゆかり 虹への旅 ―Ten Fingers Dream― @Gallery GAN(6/27〜7/3)
http://www.presskit.co.jp/
分かりやすく「虹」がモチーフとなっている抽象画。
なかでも、入口からすぐ右手の壁に掲げられていた2m×3.5mの作品が、太い虹が前後左右に走り、その隙き間にさまざまな色彩の線が入り組んでいて、そういったものが織り成す奥行きも面白かったです。不思議と虹とは違う何か(思い出せないのですが・・・)を連想してしまいました。
相当に即興性が高い感じだったので、ライブペインティングに向いているような気がします、ちょっと観てみたいです。
・菊池学展 ―[lab] @AKI-EX(5/28〜7/30)
http://www.exlounge.com/
浅葉克己氏のトンパ文字をモチーフにした作品。
おそらく型抜きの手法が用いられていると思うのですが、ユニークな象形文字がさまざまな手法、形で描かれていました。
なかでも、鉄錆と漆との、2つの質感が違う鈍い色彩が絶妙の組み合わせでした。深い。。。
・はんまけいこ「南の島のMelody」 @SPACE YUI(6/27〜7/2)
http://www.spaceyui.com/gallery/schedule/image/hanma.htm
インクによる線画に水彩絵の具で彩色されたイラスト風の作品。
はんまさんは沖縄在住とのことで、海や海辺をモチーフにした作品が多かったです。
また、それぞれの作品にはラメが入っていて、これはメタリック系の水彩絵の具を仕上げに上塗りしているとのこと。
かわいらしい絵が印象的でした。
・立花文穂展 [Q体] @GALLERY 360°
http://www.360.co.jp/j/exhibition.html
やはりどうもこの辺のコラージュ作品は苦手です...。
本日いちばん観たかった展示はこちらです。
あらためて感想を書くことにします。
・浅葉克己。浅葉春。新し器父娘展 @Gallery 5610(6/27〜7/23)
http://www.deska.jp/frame0.html
神尾正次郎 個展 pray...[祈り]
2005年6月30日 アート コメント (2)
月光荘画室2にて。(6/20〜6/26)
http://www.shojirokamio.jp/info2.html
ああ、もうあれから1年経ったんだなぁ、と。。。
今年の神尾さんの個展は、新作と合わせて過去に月光荘で展示された作品も展示されていて、新作はもちろん、昨年拝見した作品を再び拝見できたのもホントに嬉しかったです。
新作は鮮烈な赤に力強さを感じる「アダムとイブ」のシリーズやどこかの門を連想させるような作品、そして不動妙王(違ってたらすみません)を描いた作品が数点。
この太い稜線が印象的な不動妙王、虚空を睨むその表情は異様に力強く、また画面にはたくさんの文字が浮かび上がっているのもその力強さに拍車をかけているようで、ただ圧倒されて。。。
神尾さんの言葉によると「気付いたら描いてしまっていた」というこの不動妙王、昨年の作品から想像もできない世界だっただけに、特に強烈に印象に残りました。
昨年に続いて展示されたジャズの風景を描いた作品。
昨年拝見した時もすごく印象に残っていて、油絵具を焼き付けていくという手法による画面表面の独特な質感と、描かれる景色、真夜中、暗い裏通りにあるバーから流れてくる年期の入った4ビートが聴こえてくるような...ジャズが好きな人間には堪らない情景が浮かぶような、そんな作品。。。
もっとたくさんのジャズ好きの目に届いてほしい、と思わずにはいられないです。
ジャズの現場、例えば青山界隈のジャズスポットあたりで展示されたら、その反応はかなりのものになると思うのです。
僕も、そういうところでこれらの作品を観てみたい...。
黒人の顔の彫像も数点。
深く刻まれた皺やぎょろりとした目、色彩と素材とからくる重量感...なのに妙に愛嬌もあって、なんだか良いんです。
神尾さんとは昨年の個展以来、お目にかかるのは2度目でしたが覚えてくださってて。
黒の服が似合う大きな体躯、分厚い手の平、そして笑顔と人柄と、めちゃくちゃ高好感度の神尾さんと再びお目に描かれたことも無論嬉しく、奥様や他のお知り合いの方々を交えていろいろとお話しもできて、心地よい時間を過ごせました。
加えてユンケルもいただいて元気までチャージ(笑)。
こういう展示を拝見する度、なんとかもっとたくさんの人にこの面白さを届けられないものか、といろいろと思案してしまいます。
http://www.shojirokamio.jp/info2.html
ああ、もうあれから1年経ったんだなぁ、と。。。
今年の神尾さんの個展は、新作と合わせて過去に月光荘で展示された作品も展示されていて、新作はもちろん、昨年拝見した作品を再び拝見できたのもホントに嬉しかったです。
新作は鮮烈な赤に力強さを感じる「アダムとイブ」のシリーズやどこかの門を連想させるような作品、そして不動妙王(違ってたらすみません)を描いた作品が数点。
この太い稜線が印象的な不動妙王、虚空を睨むその表情は異様に力強く、また画面にはたくさんの文字が浮かび上がっているのもその力強さに拍車をかけているようで、ただ圧倒されて。。。
神尾さんの言葉によると「気付いたら描いてしまっていた」というこの不動妙王、昨年の作品から想像もできない世界だっただけに、特に強烈に印象に残りました。
昨年に続いて展示されたジャズの風景を描いた作品。
昨年拝見した時もすごく印象に残っていて、油絵具を焼き付けていくという手法による画面表面の独特な質感と、描かれる景色、真夜中、暗い裏通りにあるバーから流れてくる年期の入った4ビートが聴こえてくるような...ジャズが好きな人間には堪らない情景が浮かぶような、そんな作品。。。
もっとたくさんのジャズ好きの目に届いてほしい、と思わずにはいられないです。
ジャズの現場、例えば青山界隈のジャズスポットあたりで展示されたら、その反応はかなりのものになると思うのです。
僕も、そういうところでこれらの作品を観てみたい...。
黒人の顔の彫像も数点。
深く刻まれた皺やぎょろりとした目、色彩と素材とからくる重量感...なのに妙に愛嬌もあって、なんだか良いんです。
神尾さんとは昨年の個展以来、お目にかかるのは2度目でしたが覚えてくださってて。
黒の服が似合う大きな体躯、分厚い手の平、そして笑顔と人柄と、めちゃくちゃ高好感度の神尾さんと再びお目に描かれたことも無論嬉しく、奥様や他のお知り合いの方々を交えていろいろとお話しもできて、心地よい時間を過ごせました。
加えてユンケルもいただいて元気までチャージ(笑)。
こういう展示を拝見する度、なんとかもっとたくさんの人にこの面白さを届けられないものか、といろいろと思案してしまいます。
橋本夕起夫展「庭。」(6/25)
2005年6月30日 アート
巷房・space kobo & Tomo・巷房階段下にて。(6/13〜6/25)
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm
奥野ビルのなかの3つのスペースで同時開催。
まず、地下の2つのスペースへ。
いつもと違って階段を降りたところにカーテンの仕切りがあり、こちらの会場は照明のインスタレーションとなってました。
space kobo & Tomoでは、目が慣れないうちはほとんど真っ暗で、正面奥の壁の隙き間から青い光が覗き、部屋全体にはプラネタリウムを連想させるような光の粒が、入口上のライトで照らし出されていました。
ようやく目が慣れてくると、床に大きな石が。
狭い空間が広く感じられるような、ちょっと面白い感覚を味わうことができたような・・・。
階段下には、床置きの照明が。
床置きといっても、立方体の重りから高さ1mくらいまで伸びた金属の棒の先に、鳥の羽で覆われた照明がついている、というもの。それが20本くらいあり、ちょっと触れると金属の棒がしなってゆらゆらと揺れて・・・仄々と灯る明かりが心地よく...。
3階の巷房では、透明アクリル製の重箱・箸箱など。
そのうちのいくつかには特種フィルムが貼られていて、テーブルに沈み込むように見えるのがかなりユニーク。
実際に落雁が置かれているものもあり、近未来的な容器に収められた和菓子はなんとも不思議。
地下にいらっしゃったスタッフの方に教えていただいたのですが、橋本さんは8/15までお台場の日本科学未来館で開催中の「恋愛物語展」の会場デザインを担当されているそうです。
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/event/2005/0815_plan_01.html
橋本夕紀夫デザインスタジオのHP:http://www.din.or.jp/~hydesign/
《感想リンク》
http://www.art-yuran.jp/2005/06/post_4cb6.html
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm
奥野ビルのなかの3つのスペースで同時開催。
まず、地下の2つのスペースへ。
いつもと違って階段を降りたところにカーテンの仕切りがあり、こちらの会場は照明のインスタレーションとなってました。
space kobo & Tomoでは、目が慣れないうちはほとんど真っ暗で、正面奥の壁の隙き間から青い光が覗き、部屋全体にはプラネタリウムを連想させるような光の粒が、入口上のライトで照らし出されていました。
ようやく目が慣れてくると、床に大きな石が。
狭い空間が広く感じられるような、ちょっと面白い感覚を味わうことができたような・・・。
階段下には、床置きの照明が。
床置きといっても、立方体の重りから高さ1mくらいまで伸びた金属の棒の先に、鳥の羽で覆われた照明がついている、というもの。それが20本くらいあり、ちょっと触れると金属の棒がしなってゆらゆらと揺れて・・・仄々と灯る明かりが心地よく...。
3階の巷房では、透明アクリル製の重箱・箸箱など。
そのうちのいくつかには特種フィルムが貼られていて、テーブルに沈み込むように見えるのがかなりユニーク。
実際に落雁が置かれているものもあり、近未来的な容器に収められた和菓子はなんとも不思議。
地下にいらっしゃったスタッフの方に教えていただいたのですが、橋本さんは8/15までお台場の日本科学未来館で開催中の「恋愛物語展」の会場デザインを担当されているそうです。
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/event/2005/0815_plan_01.html
橋本夕紀夫デザインスタジオのHP:http://www.din.or.jp/~hydesign/
《感想リンク》
http://www.art-yuran.jp/2005/06/post_4cb6.html
瀧下和之 「桃太郎図ノ弐百弐・鬼ケ島で×××。」展(6/20〜6/30)
2005年6月29日 アート
ギャラリー和田にて。(6/20〜6/30)
http://www.gaden.jp/arts/takisita.html
先日のC-DEPOT展でGRAPPのメンバーのひとりとして出展されていた瀧下さんの個展。
C-DEPOTで拝見したGRAPPの作品は、数点の有名著名人の写真の上に何層かの透明アクリル板が組み込まれていて、それぞれのアクリル板に絵などが描かれていてそれらが重なって一番奥の写真と組み合わさり、ユーモア溢れる雰囲気を醸し出していたのですが、そのうち鬼の絵を描かれていたのが瀧下さん。
で、この個展ではその鬼がたくさん登場する作品が展示されていました。
なんとも愛嬌のある鬼。
良く見てみると実は相当におっかない顔してるのですが、イヌ・サル・キジと格闘しているというよりはむしろじゃれあっているような感じで、なかにはバナナ食ってたりしゃがんでカニと戯れてたり、あろうことか浜辺で昼寝してたり、なんかもう緊張感のかけらもない感じで(笑)。
ただ、ギャラリーの3方の壁にまたがって繋げられた作品は壮観。順番に観ていくと上記のようなもの以外にもさまざまな場面が描かれていてかなり面白いです。
ジェッソ(石膏のようなもの?)で表面を加工された画面にまず鬼の絵を利き腕でない左手で描き(こうすることで味がでてくるようです)、その下書きに沿って彫り、アクリル絵具で彩色。
鬼の赤い色はアクリルならではの発色のよさなのですが、意外なのが背景。
風景ではなくてグレーっぽいひとつの質感なのですが、遠目で見るとまるで和紙のような感じなんです。
無論近付くと確かに絵具で描かれているのですが...。
なのでアクリル絵具が使用されているのにも関わらず、すごく日本画っぽい印象で、西洋の画材を用いて東洋の世界を描くことでその境界をあっさりと踏み越えちゃってるのが痛快です。
奥のスペースにも作品が展示されていて、こちらは鬼の絵とともに虎や竜や雷様を描いたものも。
右目と左目とで違っていて、片方は何かを見据えるような力強さがあり、もう片方は瞳孔が縮んで無機的な感じで。
こういう独特でキャッチーなスタイルをもっている方の作品は、面白いです。
瀧下さんにいろいろと伺うなかで大変楽しみなのが、この秋に金丸悠児さんとの2人展の開催が決まっていて、瀧下さんと金丸さんとのコラボレート作品も出展予定とのこと!
どんな作品になるのかホントに楽しみです!
http://www.gaden.jp/arts/takisita.html
先日のC-DEPOT展でGRAPPのメンバーのひとりとして出展されていた瀧下さんの個展。
C-DEPOTで拝見したGRAPPの作品は、数点の有名著名人の写真の上に何層かの透明アクリル板が組み込まれていて、それぞれのアクリル板に絵などが描かれていてそれらが重なって一番奥の写真と組み合わさり、ユーモア溢れる雰囲気を醸し出していたのですが、そのうち鬼の絵を描かれていたのが瀧下さん。
で、この個展ではその鬼がたくさん登場する作品が展示されていました。
なんとも愛嬌のある鬼。
良く見てみると実は相当におっかない顔してるのですが、イヌ・サル・キジと格闘しているというよりはむしろじゃれあっているような感じで、なかにはバナナ食ってたりしゃがんでカニと戯れてたり、あろうことか浜辺で昼寝してたり、なんかもう緊張感のかけらもない感じで(笑)。
ただ、ギャラリーの3方の壁にまたがって繋げられた作品は壮観。順番に観ていくと上記のようなもの以外にもさまざまな場面が描かれていてかなり面白いです。
ジェッソ(石膏のようなもの?)で表面を加工された画面にまず鬼の絵を利き腕でない左手で描き(こうすることで味がでてくるようです)、その下書きに沿って彫り、アクリル絵具で彩色。
鬼の赤い色はアクリルならではの発色のよさなのですが、意外なのが背景。
風景ではなくてグレーっぽいひとつの質感なのですが、遠目で見るとまるで和紙のような感じなんです。
無論近付くと確かに絵具で描かれているのですが...。
なのでアクリル絵具が使用されているのにも関わらず、すごく日本画っぽい印象で、西洋の画材を用いて東洋の世界を描くことでその境界をあっさりと踏み越えちゃってるのが痛快です。
奥のスペースにも作品が展示されていて、こちらは鬼の絵とともに虎や竜や雷様を描いたものも。
右目と左目とで違っていて、片方は何かを見据えるような力強さがあり、もう片方は瞳孔が縮んで無機的な感じで。
こういう独特でキャッチーなスタイルをもっている方の作品は、面白いです。
瀧下さんにいろいろと伺うなかで大変楽しみなのが、この秋に金丸悠児さんとの2人展の開催が決まっていて、瀧下さんと金丸さんとのコラボレート作品も出展予定とのこと!
どんな作品になるのかホントに楽しみです!
毛利武士郎展(6/25)
2005年6月29日 アート
村松画廊にて。(6/13〜7/9)現在開催中!
今年の初めの現代美術館などでの榎倉康二。
春のSCAI THE BATHHOUSEでの遠藤克利。
これらに通ずる肌触り。物質的な質感から伝わってくる深い独特の世界観...。
まずウィンドウ越しにその全貌を観ることができるオブジェ「パルサー」の勇ましい姿が目に飛び込んでくる。。
1957年製作。およそ50年前に創られたものとは思えないくらいの現代的・未来的な姿。
鋼の丸棒を組み上げたオブジェ、塔のような部分は若干傾きつつも天を突くようにそそり立ち、その中程からは塔から垂直に「腕」あるいは「触角」を連想させる何かが生えていて、下方には上弦に大きく反れた多くの棒によって、それが向く方向=空へ何かをアピールしているような。
高さがおよそ1メートルのこの壮観なオブジェを知り、観ることができただけでも充分と思えるくらい。
硬質石膏に工具を練り込み、黒煙で仕上げられた作品群。
物質の硬さ。そこからくる無機質な表情。
すごく冷たそうで、それでいながらもう一方で内にこもる熱も感じられる。
そして、寡黙という言葉を用いても伝えることができないくらいの、重く、深い質感。
板状のものが多いのですが、なかには縦長のものもあり、それらはジャコメッティからインスパイアされたようなタイトルが印象的。
メインのギャラリースペースの中央の台の上には「彼の/地球への/置き手紙」というタイトルの一連のオブジェ。
面取りされていないステンレス製の延べ棒、あるいは分厚い板のようなものに、コンピュータで製図された線が彫り込まれていたり、円の蓋のようなものが同じ大きさのホールに嵌め込まれている。
タイトルがタイトルだけに、この凄まじく未来的なオブジェからもさまざまなイメージが。
この円形の蓋は横からネジ止めされているものがあり、ギャラリーのスタッフの方のお話によると、これらはおよそ1日がかりで油圧で開けることが可能だそうで、その内側には作者・毛利のメッセージが記録されているらしい。
もうひとつの細長いスペースにも小さな立体作品があり、こちらは「パルサー」ほどの壮観な印象こそないにしても、異様な存在感で。
再びスタッフの方に説明していただいたことで印象的だったのが、毛利は初期こそ作品を発表していたものの、ある時期から製作こそ続けるも発表をまったく行わなくなったとのこと。実際、最初の個展が都内のギャラリーで、それから何十年も後に開催された個展が富山の近代美術館、という、かなりかっ飛んだ経歴。
また、「パルサー」を以前の発表で記憶している方もけっこういらっしゃるそうで。
すでにこの世にいない毛利氏、こうやって作品に触れると、榎倉同様に、その世界観についていろいろと伺ってみたいのにそれがかなわないのが大変惜しい。。。
今年の初めの現代美術館などでの榎倉康二。
春のSCAI THE BATHHOUSEでの遠藤克利。
これらに通ずる肌触り。物質的な質感から伝わってくる深い独特の世界観...。
まずウィンドウ越しにその全貌を観ることができるオブジェ「パルサー」の勇ましい姿が目に飛び込んでくる。。
1957年製作。およそ50年前に創られたものとは思えないくらいの現代的・未来的な姿。
鋼の丸棒を組み上げたオブジェ、塔のような部分は若干傾きつつも天を突くようにそそり立ち、その中程からは塔から垂直に「腕」あるいは「触角」を連想させる何かが生えていて、下方には上弦に大きく反れた多くの棒によって、それが向く方向=空へ何かをアピールしているような。
高さがおよそ1メートルのこの壮観なオブジェを知り、観ることができただけでも充分と思えるくらい。
硬質石膏に工具を練り込み、黒煙で仕上げられた作品群。
物質の硬さ。そこからくる無機質な表情。
すごく冷たそうで、それでいながらもう一方で内にこもる熱も感じられる。
そして、寡黙という言葉を用いても伝えることができないくらいの、重く、深い質感。
板状のものが多いのですが、なかには縦長のものもあり、それらはジャコメッティからインスパイアされたようなタイトルが印象的。
メインのギャラリースペースの中央の台の上には「彼の/地球への/置き手紙」というタイトルの一連のオブジェ。
面取りされていないステンレス製の延べ棒、あるいは分厚い板のようなものに、コンピュータで製図された線が彫り込まれていたり、円の蓋のようなものが同じ大きさのホールに嵌め込まれている。
タイトルがタイトルだけに、この凄まじく未来的なオブジェからもさまざまなイメージが。
この円形の蓋は横からネジ止めされているものがあり、ギャラリーのスタッフの方のお話によると、これらはおよそ1日がかりで油圧で開けることが可能だそうで、その内側には作者・毛利のメッセージが記録されているらしい。
もうひとつの細長いスペースにも小さな立体作品があり、こちらは「パルサー」ほどの壮観な印象こそないにしても、異様な存在感で。
再びスタッフの方に説明していただいたことで印象的だったのが、毛利は初期こそ作品を発表していたものの、ある時期から製作こそ続けるも発表をまったく行わなくなったとのこと。実際、最初の個展が都内のギャラリーで、それから何十年も後に開催された個展が富山の近代美術館、という、かなりかっ飛んだ経歴。
また、「パルサー」を以前の発表で記憶している方もけっこういらっしゃるそうで。
すでにこの世にいない毛利氏、こうやって作品に触れると、榎倉同様に、その世界観についていろいろと伺ってみたいのにそれがかなわないのが大変惜しい。。。
レオノール・フィニ展(6/25)
2005年6月28日 アート
BUNKAMURAザ・ミュージアムにて。(6/18〜7/31)現在開催中!
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/fini/index.html
BUNKAMURAはよる遅くに行くに限る。。。
午前中に観たらこれほどまでに、内側に染み込んでいくような印象でこの世界観に触れることはできなかったような気がする。
例によっておおよそ若い時代から晩年へという具合に作品が展示されていて、途中に演劇関連の仕事を集めたコーナーを挟んで、それぞれその流れに沿った形でその時期の作風のものがまとめられています。
比較的初期の「シュルレアリスム」の作品と、かなり後期、晩年の「円熟期」。
どちらもシュールな世界観が描かれているのですが、作品から受ける印象がまったく違っています。
初期のシュルレアリスム作品は、作品ごとに世界観が完結しているような印象。
例えば、「守護者スフィンクス」。暗い空の下でピンクの布をはためかせながら台座に鎮座する半身半獣のスフィンクス。ダリのそれのような危ない奇妙な雰囲気が強烈に感じられつつも、やはり女性でしか表現できないような何かも存在しているようで...強烈に完結した世界感を醸し出しています。
一方、晩年の円熟期の作品はというと、かなりシュールな世界であるのに、少なくとも僕には、敢えて誤解を恐れずに表すならば何らかの物語の「どうでもいい」1シーン、という印象で。
ある意味、これだけ不可思議な世界が描かれているのにもかかわらず、迫ってこないというのも不思議といえば不思議ですが...。
その中にあって唯一印象に残ったのが、青の世界がロマンチックな「夜明けの影に」という作品。さりげないながらも印象に残るワンシーン、という感じです。単純に、美しい。
このふたつの間には「鉱物の時代」「エロティシズム」のコーナー。
「鉱物の時代」は、それまでの、そしてそれ以降の作風と劇的かつ微妙に作風が異なっていて、抽象とキュビズムとが混ざりあった世界は大変興味深いものでした。
なかでも「特権的地位」という縦に細長い作品(タイトルが間違ってたらごめんなさい)。デュシャンの「階段を降りる花嫁」にも似た色彩と、丸みを帯びたパーツを含みつつもメカニカルな肖像。そしてその一番上には振り向く女性の頭部。中世的で未来的で、なんとも不思議な世界観を放ってました。
「エロティシズム」の作品は、一転して淡い色彩で、でも描かれる世界はダイレクトにエロの世界。
レオノール・フィニはまったく知らない作家で、今回初めて拝見して、どちらかというと苦手、というか、おそらくたくさんの展示のなかに紛れていたらそれほど印象に「残さない」タイプですが、こうやってまとめてその作品に触れ、その独特の世界観に浸ると、それはそれで非現実的な空間が思いのほか心地よかったりします。
ホントに、夜に観にいって正解でした。
《感想リンク》
http://yaplog.jp/purple_shikiko/archive/58
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=288
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/fini/index.html
BUNKAMURAはよる遅くに行くに限る。。。
午前中に観たらこれほどまでに、内側に染み込んでいくような印象でこの世界観に触れることはできなかったような気がする。
例によっておおよそ若い時代から晩年へという具合に作品が展示されていて、途中に演劇関連の仕事を集めたコーナーを挟んで、それぞれその流れに沿った形でその時期の作風のものがまとめられています。
比較的初期の「シュルレアリスム」の作品と、かなり後期、晩年の「円熟期」。
どちらもシュールな世界観が描かれているのですが、作品から受ける印象がまったく違っています。
初期のシュルレアリスム作品は、作品ごとに世界観が完結しているような印象。
例えば、「守護者スフィンクス」。暗い空の下でピンクの布をはためかせながら台座に鎮座する半身半獣のスフィンクス。ダリのそれのような危ない奇妙な雰囲気が強烈に感じられつつも、やはり女性でしか表現できないような何かも存在しているようで...強烈に完結した世界感を醸し出しています。
一方、晩年の円熟期の作品はというと、かなりシュールな世界であるのに、少なくとも僕には、敢えて誤解を恐れずに表すならば何らかの物語の「どうでもいい」1シーン、という印象で。
ある意味、これだけ不可思議な世界が描かれているのにもかかわらず、迫ってこないというのも不思議といえば不思議ですが...。
その中にあって唯一印象に残ったのが、青の世界がロマンチックな「夜明けの影に」という作品。さりげないながらも印象に残るワンシーン、という感じです。単純に、美しい。
このふたつの間には「鉱物の時代」「エロティシズム」のコーナー。
「鉱物の時代」は、それまでの、そしてそれ以降の作風と劇的かつ微妙に作風が異なっていて、抽象とキュビズムとが混ざりあった世界は大変興味深いものでした。
なかでも「特権的地位」という縦に細長い作品(タイトルが間違ってたらごめんなさい)。デュシャンの「階段を降りる花嫁」にも似た色彩と、丸みを帯びたパーツを含みつつもメカニカルな肖像。そしてその一番上には振り向く女性の頭部。中世的で未来的で、なんとも不思議な世界観を放ってました。
「エロティシズム」の作品は、一転して淡い色彩で、でも描かれる世界はダイレクトにエロの世界。
レオノール・フィニはまったく知らない作家で、今回初めて拝見して、どちらかというと苦手、というか、おそらくたくさんの展示のなかに紛れていたらそれほど印象に「残さない」タイプですが、こうやってまとめてその作品に触れ、その独特の世界観に浸ると、それはそれで非現実的な空間が思いのほか心地よかったりします。
ホントに、夜に観にいって正解でした。
《感想リンク》
http://yaplog.jp/purple_shikiko/archive/58
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=288
あるがせいじ新作展(6/25)
2005年6月28日 アート
レントゲンヴェルケにて。(6/4〜7/2)現在開催中!
http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050611/0611.htm
いやね、もうね、すごいわけですよ。
まず、地図のコラージュ。
一枚の地図を正方形で細かく刻み、そうやって分割された陸と海とをそれぞれ長方形に再構築。
さらに、世界地図の日本とアメリカとがそれぞれ切り抜かれたものと、その隣に世界地図の大きさの画面の真ん中に貼られた、正方形にまとめられた日本とアメリカ。
日本とアメリカそれぞれの、世界全体と比較した場合における面積の比率が非常に効率良く、しかしある意味無駄に(笑)分かりやすく提示されています。
その切り抜かれ方は尋常ではなく、例えば沖縄諸島や佐渡島、淡路島などの部分については1mmを下回るくらいにマイクロな正方形が切り抜かれていて・・・その狂気の作業ぶりに感服、感動。
加えて、切り抜かれた紙を何層にも重ねて製作された作品。
こちらも切り抜かれる形はそれぞれ正方形ですが、地図の作品と比べてより幾何学的。加えて細い棒状の紙が重なることでむしろ立体的な作品。
これがもう強烈にかっこいい作品で、その独特の世界観から、よく考えると相当にアナログな作品であるのに逆に最先端のイメージで、いろんな未来的な想像が湧き起こってきます。
さらに、そういう細い枠状に切り抜かれた紙で製作された正立方体のオブジェ。
立方体そのもののみが作品と一瞬思うのですが、それが置かれている板にはいくつもの影があり、そのうち本物の影はひとつだけ、あとは板に描き写されたフェイクの影。その影の精緻さといったらもう。。。
堂々と二の線で貫かれるユーモア。
参りました!
http://www.kgs-tokyo.jp/interview/2005/050611/0611.htm
いやね、もうね、すごいわけですよ。
まず、地図のコラージュ。
一枚の地図を正方形で細かく刻み、そうやって分割された陸と海とをそれぞれ長方形に再構築。
さらに、世界地図の日本とアメリカとがそれぞれ切り抜かれたものと、その隣に世界地図の大きさの画面の真ん中に貼られた、正方形にまとめられた日本とアメリカ。
日本とアメリカそれぞれの、世界全体と比較した場合における面積の比率が非常に効率良く、しかしある意味無駄に(笑)分かりやすく提示されています。
その切り抜かれ方は尋常ではなく、例えば沖縄諸島や佐渡島、淡路島などの部分については1mmを下回るくらいにマイクロな正方形が切り抜かれていて・・・その狂気の作業ぶりに感服、感動。
加えて、切り抜かれた紙を何層にも重ねて製作された作品。
こちらも切り抜かれる形はそれぞれ正方形ですが、地図の作品と比べてより幾何学的。加えて細い棒状の紙が重なることでむしろ立体的な作品。
これがもう強烈にかっこいい作品で、その独特の世界観から、よく考えると相当にアナログな作品であるのに逆に最先端のイメージで、いろんな未来的な想像が湧き起こってきます。
さらに、そういう細い枠状に切り抜かれた紙で製作された正立方体のオブジェ。
立方体そのもののみが作品と一瞬思うのですが、それが置かれている板にはいくつもの影があり、そのうち本物の影はひとつだけ、あとは板に描き写されたフェイクの影。その影の精緻さといったらもう。。。
堂々と二の線で貫かれるユーモア。
参りました!