損保ジャパン東郷青児美術館にて。(4/23〜7/15)
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index5.html

・・・充実。
久し振りに、古い洋画をじっくり堪能できたなぁ、と。

タイトルにあるように17-19世紀のフランスの画家の作品が、時代順に丁寧に配置されていて、順路に沿って観ていくだけでその時代の絵画の流れのようなものもおぼろげながら感じられました。
また、実にたくさんの作家の作品が紹介されていたのも、まだまだ未知の作家はたくさんいるんだなぁ、と嬉しい発見もたくさん。

印象に残った作品・作家。

ヴァンローの「善きサマリア人」。
数人がかりで馬上に人を乗せているかもしくは降ろしている場面で、最初観たときは何が描かれているか良く分からなかったのですが、じっくりと観ているうち、濃い青の闇の中にいろいろと浮かび上がってくるようで。
ヴィアンの作品は、絵の具の劣化のせいかも知れませんが画面全体が黄味がかっていて、その中の赤や青が大変優しい感じ、
ロベールの「橋」。
川にかかる石橋と、左手奥には城。
橋を渡る馬車、川辺で足を洗う女性、城から外を眺める人など。
風景全体も登場するさまざまなものもていねいに描かれているのに感服。。。

おそらく唯一、キャプションに油彩とクレジットされていない(デトランプ画だそうです)ボゲの湖畔の絵。
奥の渓谷から届く光と手前の木々の涼しげな蔭。弓を引くヘラクレスとそのはるかを高く飛ぶ鳥。
ファーブルの「ナルキッソスの死」。手前や中央に佇む池や木々、丘、丘の上の建物、奥に空、祈りながら座り込む女性と池に映り込んだその姿。。。
グレーズの書斎の絵。
書斎の中の絵を眺める人々と、部屋の隅のオブジェに身を潜めている子供。

画面の暗さ、それに伴うこれまでと違う静謐さと温度が新しい時代を告げているように思われたドラクロワの諸作品。
かえって無機質なほどに、画面全体のバランスが端正に調ったターセルの作品。

この展示のハイライト、「出会い こんにちはクールベさん」。
杖をついたまま胸をそらすクールベと、それを迎えるパトロンのブリュイアス。この絵をクールベが描いたというのが面白い。
そしてその向こうに広がる地平線、青い空。清々しい気分。

カステルノの「サン・ル峰の荒地」。
油絵具の濡れた感じが残っているのがこれまで並んでいた作品と違うのが印象的で、削れた(もしくは残雪?)山肌の白っぽいグレーが他の緑や茶色の中にあって強烈な違和感を感じさせるよう。
バジールの「路上で歌うイタリアの少女」。
濃いグレーでざっくりと描かれた背景(これまで背景もていねいに描かれていた作品が多かっただけに、この背景の質感は強烈)に、バイオリンを握って虚空を見上げるような表情の女の子。
ヴィラの「日本の衣装をつけた女性」。
油彩で描かれる着物というのも新鮮(もっとも、ゴッホ展でも展示されていますが)。着物の柄の花、鳥。団扇や髪飾りもきれいです。また、和服を着ていても描かれている女性はちゃんと西洋女性に見えるのも面白いです。

最後のほうの作品になってようやく、額の色が金からナチュラルな木の色へ。
カリエールの2作品、それぞれグレー、焦げ茶色主体の、この展示の中で極端に異彩を放つ曖昧さ。
1点だけ展示されたマティスの静物画。マティスはこれくらいしおらしい方がいいのかもしれない、と思ったり。

展示作品のひとつひとつが説得力に溢れていて、その気になればおそらく何時間でも過ごせるかと。
こうやってメモを見ながらあらためて振り返ってみて、隅から隅までていねいに描き込んでいた時代から、だんだんと背景が主になるものを際立たせるように変わってきているなぁ、と。そして、この展示ではカリエールあたりの作風が、また違う世界への入口になっているのかなぁ、と。

とにかく面白かったです。
絵を観ることを楽しみたい、という人がいたら僕は迷わずコレを薦めます。

常設について少しだけ。
・東郷青児の作品が、企画展に合わせて展示替えされるのも嬉しいです。
・僕はあの「ひまわり」をさほど良いとは思わないのですが(一度見れば充分かと)。。。

《感想リンク》
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=236
http://blog.so-net.ne.jp/kayo318/2005-04-24-2
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/06f92dfcb7168499c3d95551509661c5
http://sahashi.exblog.jp/2644170/
・加藤泉展「裸の人」 @SCAI THE BATHHOUSE
http://www.scaithebathhouse.com/
・楢橋朝子 half awake and half asleep in the water 04/05 @ZEIT-FOTO SALON
http://www.zeit-foto.com/
・第6回美人塔 〜日本画の世界〜 @art space kimura ASK?
http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/
・三沢厚彦 アニマルズ 05 @APS西村画廊
http://www.nishimura-gallery.com/
・静謐の彼方へ 高橋俊明展 @銀座アートホール
・ムラタ有子 新作油彩展 @GALLERY SIDE 2
http://www.galleryside2.net/
・宮本隆司「Palast」 @TARO NASU GALLERY
http://www.taronasugallery.com/
・Faris McReynolds EXHIBITION @GALLERY MIN MIN
http://www.galleryminmin.com/
・秘すれば花 東アジアの現代美術/ストーリーテラーズ −アートが紡ぐ物語− @森美術館
http://www.mori.art.museum/

今日は余裕があったので、これまで観て良かった展示でまだ会期中のもの、ギャラリー小柳の内藤礼展、Oギャラリーの版画展、HIROMI YOSHIIのエイミー・デック展も。
アートフロントギャラリーにて。(4/26〜5/8)
http://www.artfront.co.jp/jp/hsg/afg02idx.html

普通、平面作品というと壁にかかっているものですが、この展示は違っていて、壁全体に作品が貼ってありました。
なので、このギャラリーはガラス張りになっていて外からもある程度観ることができるのですが、中に入るとまずその空間にちょっとびっくり。

壁に貼られていたのは、この大きさで対応できるのは国内に数台しかないというプリンターで出力されたものとのこと。

びっくりしたあと、しばらくしてからようやくホチキスや紙と紙とのつなぎ目なども気にならなくなってきたところで、描かれているものをだんだんと把握。。。
・・・細部までていねいに描かれた昆虫や花、果物など。
CGという、いわゆる生の感覚から遠い手法で描かれていることと、(意印象に残っている色として)暖色系のパステルカラーが全体の多くを占めていたこともあって、描かれているものをひとつひとつ理解するように時間をかけて眺めていても疲れることがなく、むしろ描かれている何かを見つけることが楽しいような気分で。

出力の作品ということで、いろんなものに形を変えて提示できるというのが面白くて、実際にエアコンにも貼られていましたし、例えば屏風にしても独特の感触になるなぁ、とか、掛け軸風なんかもユニークだろうな、など、いろいろとイメージが湧いてくるのもあまりない感覚で。
ギャラリーf分の1にて。(4/26〜5/7)
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/exhibition.htm

ただ淡々と撮影されたような上海の写真。

どの写真も、上海の「正面」というか、「表側」の風景ではなくて、むしろ生活感が滲み出ているような場面や景色が撮られていました。
その場に根付いてこそ見えてくるような、そんな感じ。

軒下で談笑する人々や、水槽に放り込まれた西瓜、焼き菓子のお店など、まさに日常の上海といったものに紛れて、壁に貼られたモノクロのポスターが劣化してボロボロになっているところや表面が崩れてコンクリートが剥き出しになっている壁の写真があり、これらはその中にあって異彩を放っているようで、まるで抽象画のような印象も受けたのが面白かったです。
山本現代にて。(4/2〜5/7)
http://www.yamamotogendai.org/japanese/exhibition/index.html

最近観る機会が多い鉛筆画。
礒邊さんの作品は、子どもの頃にノートの空いてるところや広告の裏に描いた落書きの延長線上にあるようなすごく無邪気なところと、大げさな表現をすると大変理知的というか哲学的なイメージとを同時に感じる独特の作品だったような気がします。

フリーハンドの曲線で構成された作品はどれも何らかの生き物を連想させられます(中には人の形をしたものも。すごくリアルでした)。
定規を使用したと思われる作品群は、無機質な印象も受けるのですが、描く過程を想像すると楽しそうでこちらのスタイルのほうが好みでした。

白展(4/29)

2005年5月6日 アート
Gallery銀座一丁目にて。(4/25〜4/30)

芸大デザイン科在籍中の4名が「白」をテーマに作品を提供したグループ展。
芸大のデザイン科というと、石居麻耶さんや金丸悠児さんほか、たくさんの素晴らしい方々を輩出しているところということもあって、そこに在籍されている方々の展示を拝見できたことはラッキーでした。

齋藤マリコさんの木板を加工した作品は、手彫りの細かい装飾が印象的。
竹内奈津子さんは、透明アクリル板を使用した絵で、両面に彩色することでアクリル板の厚み分だけの物理的な奥行きを上手く活かしてました。
加藤由美さんのアクリル画。和紙に描かれた白い花の絵がいくつかあり、この中では僕が持っているデザイン科のイメージにいちばん近い気がしました。
岩井絵理さんは変わっていて、目が描かれた紙の上で白い氷柱を置き、それが溶けていく過程とそうやってできた染みが乾いたものを展示されてました。

おそらく秋の芸祭でこちらの皆さんの作品に触れると思うのですが、そのときにどういうふうに変化しているか、あるいは広がっているか、楽しみです。
スルガ台画廊にて。(4/25〜4/30)

岩絵の具による日本画でした。

とにかく目を引いたのが、まさに夜に咲く花の絵。
画面全体が黒で覆われていて、その中央部が白く浮かび上がっています。
遠目で観るとおそらく黒と白しか識別できないと思われるのですが、近くでしっかりと拝見していると、描かれた花々は白の下ででさまざまな色をほのかに現しています。
重ねて盛り上げて塗った部分を削ってこういう風合いを出されたそうで、言うまでもなく花のひとつひとつがていねいに仕上げられていることと相まって、たいへん幻想的な作品でした。

また、桜の花びらが水面に散ったさまを描いたものや、ガラス製の花器(だったと思うのですが・・・)の光沢や透明感がしっかりと表現されているものなどが印象に残っています。
原美術館にて。(3/30〜5/29)
http://www.haramuseum.or.jp/

「これは、どこ?」

今回初めて拝見するタピエス、出展されていたのはほとんどが平面の抽象の作品で、さらにそのうちの多くが絵の具以外の材料をふんだんに使用されてます。

この展示、受け付けからすぐのGallery1に展示されていた大きな平面作品「黄土色の絵画」を目にしてあっさりと圧倒されてしまったのですが、この作品や1階のGallery2にあった「白のレリーフ」などの土臭さや同じくGallery2の枯れた松葉を絵画の中央にまき散らされた「松葉の大きな絵画」、全体が黒い画面で中央より少し上に2つの長方形が浮き上がっている「二つの溝のある黒」、2階Gallery3の、古い建物の窓枠によごれた鏡がはめ込まれ、そこにちぎられた茶色の紙がちりばめられている「鏡と紙吹雪」など、作品からイメージされる風景ではなく、作品そのものがまさにある場所からそのまま切り取られてきたような印象。

これらの作品と対峙したときに頭の中に思い浮かぶ問いかけが、冒頭の言葉でした。
「これは、何?」でもなく、「ここは、どこ?」でもなく。

何というか、「観る」行為よりもその作品と「居る」ことのほうが大事なように思えて、実際はそういうわけにはいかないと思うのですが、ひとつの部屋にひとつの作品、という展示でも充分素晴らしいものになったような気がします。

絵の具で描かれた絵画は、時間をかけてじっくりと対話してみたくなるものが多かったように思います。2階の通路に展示されていた「茶の上の円」などは、実際に結構な時間をかけてしまいました。

タピエスの各時代のキャリアを網羅するようなセレクションとなっていましたが、僕には80年代以降の作品群には何となく「わざとらしさ」のようなものが感じられてしまい、70年代までの孤高感が消えてしまっているように思えたのですが・・・。

・・・これまで幾度となく観てきたピカソ、先日拝見したスペイン現代写真家10人展、そしてこのタピエスと、スペインのアートに触れてきて、この国の乾いたイメージがより膨らんだ気がします。
そしてこのタピエス展、乾燥した晴れの日に観たのですが、季節や気候によって印象がまったく違うだろうなぁ、とも思います。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/anastashak/e/53023a04aebe667a0fdca5a0b22561a6
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/7eb5b9dc644254d5346970619a2b8af6
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/04/post_2.html
http://pproject.exblog.jp/2615999/
http://sousleau.blog5.fc2.com/blog-entry-19.html
東京都現代美術館にて。(4/16〜6/26)
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/rouault/

これまでルオーの作品を観たのはいずれも天井も低く、床面積もそれほど広くない、あるいは広く感じない場所でした。
そのためか、僕が持っていたルオーのイメージは「暗い」「重い」だったのですが(決して悪い意味ではなく・・・)、そのルオーをあの東京都現代美術館の広い空間で観たらどんな感じがするだろう、と興味津々でした。

結果、やはりあの力強い油彩の厚塗りの作品が天井も床面積も広い空間の中にお互いの作品との間隔をたっぷりと取って展示されるとその力強さが広さに緩和されるようで、それぞれの作品のスケール感がより広大に感じられて、ルオーに対して今までになかった満足感を得られました。

印象に残った作品など。

ルオーのごく初期の作品のコーナーから「湖」。淡い水彩。始まりはこうだったんだな、と納得となぜか安心と。

続く『女性たち』のコーナー。
人の姿がかなり曖昧になってきていて、ちょっと距離を置くと奥行きが一気に感じられて面白かった「水浴の女たち」。
正面を向いて少しだけうつむいた感じで目を閉じている女性「優しい女」はタイトル通り。観ていて安らぎを感じてしまうほど。ルオーがこんなにも優しい印象の作品を残していることが意外でした。

『サーカスの人々』では、巨大な作品「小さな家族」が圧倒的な存在感を放っています。他にもサーカス絡みの作品、それもサーカス団の面々が表には出さない表情や場面が描かれているようでした。何かを考えているようの表情の「正面を向いた道化師」も印象的。。。

版画のコーナーは前期と後期とで展示内容が変わるそうですが、僕が行ったときは「ミセレーレ」でした。
それぞれの作品に描かれる人々のいろんな表情が印象に残ります。

個人的には『聖なる風景』のコーナーがいちばんよかったです。
まさにルオー作品の展示の真骨頂とでも言いたくなります。
まさに広いスペースに展示されいる風景画を観ることで、それぞれの作品にたいしてどんどんイメージが膨らんでいくような。。。
かなり距離をおいて拝見できるので、奥行き感も相当に感じられて気持ちがいいです。
特に、「たそがれ あるいは イル・ド・フランス」、「聖書の風景」。

一階展示室にはさまざまなスタイルの版画作品と連作「受難」とが。

このところ油彩がイマイチ気持ち良く観られないなぁ、と感じている時にあえて厚塗りが特徴のルオーの展示を観たわけですが、むしろそれを直に感じることがルオーを楽しむことなんだな、と改めて思った、というより新しく見つけることができた、そんな感じです。
また色彩に関しても、圧倒的な黒のイメージだったのが、原色をそのまま使用されていると思われる箇所はまったくといっていいほど見受けられませんでしたが、独特のくすんだ黄色や青、そして黒が力強くこそあれ、決してくどい印象を持つことはなく、油彩でありながら土っぽい質感や太い輪郭線と合わせて、むしろ大変心地よく思えました。

**********

続いて常設展示。
この日はまずルオーから観たくなったので、いつもと順番を変えて常設展示を後にしたのですが...。
まず、一階アトリウムに例の人が入れる作品がなくなってて、ちょっとびっくり。もうずっとそこに置いてあるものだとばかり思っていたので。
始まりからそんな感じで今までにないくらい作品の入れ替えが行われているようで、いつもの場所にいつもの作品がなく、おかげですでに観たことがある作品も新鮮に感じられました。

北代省三の「回転する面による構成」。落ち着いた茶系統の色彩で図形部分と背景とが描き分けられています。
先日の東京国立近代美術館の常設展示でも好印象だった不動茂弥が2点。こちらでは赤と緑。
山口長男と李禹煥との特別展示もなかなか。
いちばん上の階の靉嘔とナム・ジュン・パイクの展示は「?」なのもありましたが・・・。

**********

すべて観終わってロビーに出ると、同じく開催中のハウル展からキャラクターが飛び出してパフォーマンスをやってました。
体全体が金色で、長い手足を持った化け物みたいなキャラクターに扮したパフォーマ−が歩き回って子どもに手を伸ばしたりロッカーの上に座ってみせたりとやりたい放題。
こういうのがいっぱい観られるのなら、ちょっとハウル展も見てみたいなぁ、と(笑)。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/67f178c5bc6ab1c28d6fdddda83c3b1c
http://blog.livedoor.jp/m-06_16350/archives/19826380.html
http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/2005/04/___ed34.html
http://blog.so-net.ne.jp/kayo318/2005-02-14-5
http://oki304.blog.ocn.ne.jp/lily/2005/04/post_fddd.html
http://daisan.exblog.jp/306834/
シロタ画廊にて。(4/25〜4/30)
http://gaden.jp/shirota/2005/050425.html

真っ白のキャンバスにアクリル絵の具で描かれた抽象画。
こういった画材が使われているにも関わらず、激しく「和」な印象。。。
むしろ、もともと「和」であるものが、こういった画材で描き出されているからこそ感じる新鮮さがあるようのも思えました。

おそらく「へら」のようなものでケレン味なく描き出された、幅の広い黒の流線。これらの多くは真直ぐに、あるいは蛇行していてその流れが「風」を連想させ、また一部では重なりあうことで「夜」を連想させたりと、それぞれさまざまな表情をもっていて。

さらに、細い筆で引かれた、朱や黒の線。
これが先の流線が作り出す大きな動きにアクセントを加えていて、よりいっそう作品にシャープなスピード感を与えているかのよう。

・・・そして、ほぼすべての作品に、「陽」を思わせる朱の玉が描き加えられていて、この部分だけ、他のと違って「塗られた」ようになっていて、他の流線や細い線との速度に違和感が感じられて僕には大変惜しく思えました。
もしこれが、他のと同様にケレン味なく、版によって描き加えられていたら・・・。
生意気ながら、長尾さんにもこのような感想をお話しさせていただいたのですが、笑顔で聴いてくださったうえに、ポストカードまでいただいて至極恐縮...。
SHUGOARTSにて。(4/9〜5/7)
http://www.shugoarts.com/jp/current.html

まず、蛍光灯が水平に何本も組み込まれた壁が囲む空間がいやでも目に入ります。
意のままにその空間へ進み、佇むと・・・無数(数十本...)の蛍光灯の「ジジジジジジ・・・」というノイズが心地よく聞こえて、さらに明るさで真っ白になった視界に囲まれ、落ち着いたまま高揚するような、なんだか不思議な、今まで経験がないような気持ちに。。。

入口左手とその向かい側に、同じ顔の女性の映像(双児らしいです)。
お互い延々と「私が言うのはいつもあなたと同じこと」「私が言うのはいつもあなたと反対のこと」とを繰り返す。
それが延々と続いていて、静かなトランス感。

奥のスペースにはマジックマッシュルームの作品。
これはリトグラフでも写真でもなく、「フォトグラヴュール」という手法で製作されたとのこと。
写真よりも少しばかりくすんだ画面、緑の森の中に生えるマジックマッシュルーム。この鮮やかさだけが緑の中に異様に際立っている。

《感想リンク》
http://blogs.dion.ne.jp/araiwatal/archives/989709.html
http://sahashi.exblog.jp/2638694/
・木之内憲子展−Inner Acts, Spectacular @アートフロントギャラリー
http://www.artfront.co.jp/
・タピエス−スペインの巨人 熱き絵画の挑戦 @原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/
・小西真奈展 @Space Kobo & Tomo
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo/t-guide.htm
・北見隆版画展 @巷房+階段下
http://www.spinn-aker.co.jp/kobo.htm
・Lightgraphs 古谷知子 ガラス展 @Gallery銀座フォレスト
・ブルガリア日本現代版画展 @Oギャラリー、UP・S
http://www4.big.or.jp/~ogallery/
・鴻池朋子『みみおに不時着』 @NADiff
http://www.nadiff.com/
・末吉陽子 個展 PORTRAIT @LAPNET CLUB+cafe
http://www.lapnet.jp/event_info/club/

GW期間中でお休みのギャラリー多し。。。
東京ステーションギャラリーにて。(4/2〜5/15)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp

東京ステーションギャラリーで出会う画家の多くはそれまでほぼまったく知らない人が多く、この佐野繁次郎も例に漏れず。
「デザイン」「装幀」という言葉がタイトルに見受けられたのでスマートなものを期待したのですが、それはちょっと違ってました。

いちばん多かった油彩の作品。
マティスの描く景色によく似た感じの初期作品「アトリエ」。
のんびりした雰囲気が伝わってきて、赤のベストと黒のパンツの濃い色彩が印象的な「休息しているピエロ」。
赤の背景に、日本足で立つコミカルな表情の白い竜の絵、「辰」。
「画家の肖像」と「ある画家」はおそらく同じ人(名前は失念しましたが、佐野と交流があり、亡くなった画家を描いたとか)。画面中の画家が身にまとう「赤」が目に眩しい。
「アルチザン」は、いちばん「動き」を感じた作品。
「赤い十字架」「赤い十字架B」は、それぞれ赤字に黒、黒字に赤の十字架が描かれていて、他の作品とはひと味違う味わい。
油彩の作品にはもともと別々の作品だったものを切って別のキャンバスに貼ったものなども。

・・・とにかく油彩の作品はおおむね「濃い」。
その油絵具の質感が強烈に画面を覆っていて、ちょっと、いや、かなりくどい感じも受けたのですが...。

面白かったのが、会場外での販売コーナーでポストカードを拝見すると、これがすごくいいんです。
油絵具のくどさがなくなって、それぞれの色彩のバランスが大変心地よい。。。
やはり「デザイン」の人なんだなぁ、と感服しました。

他の展示作品では、鉄釘、銅板、ブリキ板、針金、木片などを画面に配置したコラージュ作品に不思議な魅力を感じたのと、最後の展示室にあった多くのデザイン、油絵具で書いた荒々しいとも表現できる文字などは、まさに「味」があって、ああいいなぁ、と。。。

《感想リンク》
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/04/art___5630.html
http://blogs.yahoo.co.jp/yu_19n/2260093.html
http://blog.goo.ne.jp/4-kama/e/cb5e3a3c7f0da7e26ad2f2f6c4a1a768
http://mamehato.jugem.cc/?eid=167
http://fraises.exblog.jp/2466681/
http://plaza.rakuten.co.jp/jerryfishnetwork/diary/200504250000/
http://blog.livedoor.jp/maiman444/archives/18072175.html
http://oki304.blog.ocn.ne.jp/lily/2005/04/post_2464.html
高橋コレクションにて。(4/2〜5/14)現在開催中、ぜひ!
http://www.takahashi-collection.com/now/index.html

3度目にして初めて迷わず到着できた神楽坂ミナト第3ビル。
それだけで自分を褒めてあげたくなりますが、ご褒美は素晴らしい企画展を拝見することで。

展示されている作品は2点。
しかし、決して「たったの2点」ではなく、見応え充分です。

受け付けを過ぎてギャラリーの入口へ歩みを進めると、まず、何らかの哺乳類の頭蓋骨を模したような陶製のオブジェに鳥の羽を飾り付けたものが、ちょうど左を向くような形で台の上に置かれているのが目に飛び込んできます。
そして、ギャラリーの中には・・・全部で15枚に及ぶ、姿見にするにはちょっと大きいくらいの鏡が!
それも、正面・右側・左側それぞれに5枚ずつ、屏風のように並べられて。
それぞれには不思議な絵や謎の文字の羅列がサンドブラスト(説明書きより。白色で、粒子の大きな砂の質感を持つ顔料)で描かれています。

複数の鏡面に複雑に映り込む絵・文字・自分の姿。
鏡そのものが放つ物理的な重量感と、ガラスであることの脆さ、そういういろんな思いがまとめて押し寄せてくるような...。

しかし、不思議な配置だなぁ、といろいろと思いを巡らせながら自分ひとりしかいないギャラリーの中をうろうろと動き回っていて・・・この配置、15枚の鏡とそれらの方へ向くように置いてある頭蓋骨のオブジェとの位置は、おそらくきちんとした意図があるのだろうな、と。
ギャラリーのスタッフの方によると、配置はやはり高嶺さんご自身で決められた、とのこと。
・・・そういうわけで、この日は高嶺さんも午後にいらっしゃったとのことだったので、ぜひお話ししてみたかったです。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/feltmountain/e/89ff9cba7f5a4c0970e8a148a27bc2c3
http://blog.goo.ne.jp/pizz/e/347c8ac737d236d26ed69741239c6b0b
http://carino.exblog.jp/1813336/
ギャラリー山口にて。(4/25〜4/30)

一見、抽象の日本画かな、と思ったのですが、多色刷りの銅版画でした。

大変カラフルな印象で、しかも暖かみのある優しい色彩。
抽象なので何か具体的なものが描かれているのではないのですが
、一部の作品においてはタイトルがけっこう具体的なものを示していて、それをヒントに連想する情景は大変心地よいもので。

また、多くの作品では多色刷りと黒の線による銅版画の組み合わせになっていて、それぞれが隣り合い、あるものは重なりあって織り成すコントラストもきれいでした。

特に、ピンク色の作品が印象に残ってます。
水面に浮かぶ散った桜の花びら、陽の光を反射して輝いているような...。

ここまで書いて改めて思い浮かべてみて、杢谷さんの描き出す色彩は、山や川といった自然の中の景色を連想させてくれます。
かねこ・あーとギャラリーにて。(4/15〜4/30)
http://www11.ocn.ne.jp/%7Ekanekoag/kaneko/2005/050415/kuw-0504.html

ひたすら描かれてる円。圧巻。

円がひとつの作品についてそれこそおそらく何百という数では収まらないのでは、と思えるくらいに重ねて、しかもそれぞれがある法則に従って(図形的に、という意味で)大きさや位置が決定されているようで、そのために円が幾重にも重なることでまた別の曲線を浮かび出し、全体として何だか視点が巻き込まれるような錯覚に。
また、そういう曲線を追い掛けるだけでなく、さまざまな炎の重なりが織り成す奥行きにも目を見張る思い。

色彩は、薄い色をこれまた幾重にも重ねられているようで、深い印象。

作家さんもご在廊だったようでいろいろとお伺いしてみたいことがいっぱいあったのですが、ちょっと気軽に話し掛ける雰囲気ではなかったのが少々残念。。。
・・・といってもいくつか回った中の2つだけなのですが。

・林敏弘ピンホール写真展 Urban Sentiments 2 @Roonee 247 Photography
http://www.roonee.com/
・「選選(よりより)」展 @Oギャラリー
http://www4.big.or.jp/~ogallery/

・・・というのも今日は映画とコンサートを観てきまして。
映画は銀座シャンテシネで「エレニの旅」を。
コンサートは東京国際フォーラムで開催された「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」のプログラムから、古典四重奏団によるベートーベンの弦楽四重奏第15番を。
貼る美。
昨日が夏日なら今日は、と思って「はるび」と書いて変換。orz
あらためて、期待した字面を書き出してみたら、「かすが」かよ。orz。

・・・・・なぜ凹む。orz

・椿会展2005 @資生堂ギャラリー
http://www.shiseido.co.jp/gallery/html/index.htm
・カールステン・へラー 「私が言うのはいつもあなたと同じこと/私が言うのはいつもあなたと反対のこと」 @SHUGOARTS
http://www.shugoarts.com/jp/
・ルオー展 @東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/
・市川克己写真展『上海残影』 @ギャラリーf分の1
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/
・礒邊一郎個展 @山本現代
http://www.yamamotogendai.org/
・高嶺格「おさらい」 @高橋コレクション
http://www.takahashi-collection.com/
夏日。

・パリのエスプリであそぶ 佐野繁次郎展 絵 装幀 デザイン @東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
・桑原盛行展 −海の構造シリーズ− @かねこ・あーとギャラリー
http://www11.ocn.ne.jp/%7Ekanekoag/
・杢谷圭章展 @ギャラリー山口
http://www.galleryyamaguchi.net/
・白展 @Gallery銀座一丁目
http://www.manbou.com/home/ginza1/
・長尾英子展 @シロタ画廊
http://gaden.jp/shirota.html
・大石朋生 個展 @スルガ台画廊
福原画廊にて。(4/14〜4/23)

花を描いた作品と、森を描いた風景画と。

特に森の風景画をしっかりと拝見してきました。
絵との距離を変えると見えてくるものがそれにならってかなり違ったのが、こちらが小さなスペースだったのにも関わらず、ちょっと衝撃的でもありました(もっとやわらかい表現はないものかと・・・)。

間近で観てると先に岩絵の具の質感が目についてしまい、正直なところ描かれている風景へと気持ちが入っていかなかったのですが、距離をおいて眺めてみたら・・・驚くほどに作品ひとつひとつに奥行きが感じられて、作品で見える風景から、額の中に収まらない場所にまでイメージが広がっていって...。
また、描かれる風景もより具体的にイメージできて...朝、霧がかかっているか、小雨がふっているか...いずれにしても大変みずみずしい印象で。

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