メロディと言葉の心地いい関係といえば、昨年末によく耳にしたこの曲もよかったなぁ、と。

胸をうつ愚直さ。
こういうふうに「ことば」と「メロディ」との関係が気持ちいい曲が最近増えたような気がする。
日本語のきれいさに気付かせてくれる。

未来人が見つかった、というニュースは未だかつて耳にしてないから、タイムマシンは結局この先も存在しないんだろう。
それにしても随分とぐっとくる詩だねこの曲は。
このところ電子音にハマってる僕ですが...
http://www1.ttcn.ne.jp/~ryoondo/
気になってるレーベル。吉祥寺と京都をベースに、というのも魅力的。
試聴しまくってます。
Ryoji Ikeda「detaplex」
http://www.ryojiikeda.com/data/solo+albums/dataplex/
こういうサウンドを聴いて楽しめる自分をすごく意外に思うこともある。
しかし片方で、こういうサウンドの面白さが分かる自分を、面白いと思ったりもする。

電子音が高速で重なっていくサウンドインスタレーション。
なにより、音がきれい。
これを聴きながらさまざまなイメージが浮かんでくるのがとにかく楽しいし、気持ちいいんです。

あと、Ryoji Ikeda氏のサイト、これ以上ないくらいにシンプルで最高。いろいろ見てるとインスタレーションっていうのがあって、どんなものなんだろう、と。体験してみたいな、と。
John Holloway「Unarum fidium」
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/New_Series/1600/1668.php
こんな季節なので、このジャケットを思い出して久々に聴いてます。

バイオリンとチェンバロとオルガンによるバロックミュージック。
鍵盤楽器がふたつ、というのはあまりないような気がしますが、案外相性がいいようで。
さっぱりしていて、聴くと気分がスッキリします。
Nils Petter Molvae「Khmer」
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1500/1560.php?lvredir=712
あー、かっこいい。

ズブズブと沈み込むような理詰めのグルーヴと、その上に乗るミュートトランペットの火傷しそうな冷たさ。さらに全編にわたって異様にエフェクティヴでスペイシーな音響を重ねていくギター。
音を厳選すれば、生の楽器とテクノロジーはここまで高度に融合する。

1曲目のエスニックな5拍子、熱い2曲目、郷愁感たっぷりの4曲目、グルーヴが変化する瞬間がたまらない5曲目。
新宿Pit Innにて。
http://www.pit-inn.com/

いやー、よかった!!!

今年の初めは「Night Buzz」かけっぱなし、おそらく何百回も繰り返し聴いたと思うのですが、ようやく念願かなって初めての高田みち子さんのライブ。

What is HIP?のみの1stステージ。こちらも無論ステキな演奏で。お互いの楽器が奏でる「声」をしっかりと聴きあいながらの大人のセッション。

2ndステージ、What is HIP?のメンバーに続いてみち子嬢がフルート片手に登場。
1曲目、[chocolate」から「Night Buzz」まで、2枚のアルバムから珠玉のセレクト。バックを務めるWhat is HIP?の演奏も実に老獪で、とにかく印象的だったのがピアニッシモのコントロール。
あそこまでていねいに音を紡ぐ演奏って、エレクトリックの編成ではちょっと記憶にない。
そしてCDよりも遅く感じてしまうほど、一拍一拍がたっぷりとゆったりとしていて...気持ちいい。。。

そこに乗るみち子嬢の声は、ちょっとビターな甘さの中低音域と、透明感のあるファルセットとが交互にでてきて、曲調と合わせてなんとも大人っぽいかわいらしさに溢れていました。

サービス残業(笑)もたっぷりとしていいただいて。
最高に気持ちいい夜でした。

まだ持ってなかった「TALEA DREAM」を買うべく、帰りに新宿のタワーに寄ってみたら、ない。。。orz

というわけで、今日、仕事が終わってから吉祥寺のタワーで買ってきて、今聴いてます。すでに5周目。春までこのままでいいかなー。
新宿ピットインにて。
渡辺香津美(guitars)/吉田美奈子(vocal)

・・・目を瞑ると、音が見える・・・音に包まれる。。。

幸運にもチケットを手に入れることができたこのライブ。
ホールと違って地下の天井もステージも低いライブハウスということもあってか、アットホームな雰囲気で。
でもさすがにチケットはソールドアウト。立ち見のスペースもいっぱいで、整理番号が遅かった僕はほとんどステージが見えなかったのですが...もう、この場所にいることができただけでも幸せで。
ライブはたいへんアットホームな雰囲気で。曲も全部、ミディアムかスロー。
おそらくいつも通りに弾き、歌い、そしてそのいつも通りの音や声もお互いの声や音と重なることで、やっぱりいつもと違う素晴らしさを創り出していて。。。

高校生のころに「ROMANESQUE」を新譜で聴いて、今でも聴き続けている僕としては、「IN A SENTIMENTAL MOOD」「CARAVAN」「スウィングしなけりゃ意味ないね」は涙腺が緩むほどに。。。
「ENCOUNTER」「もみの木」「リバティ」・・・このデュオで聴けたのはすごく嬉しかったです。

このライブを観ることができたことに、心から感謝です。

《song list》

1st stage

SO WHAT(solo guitar)
IN A SENTIMENTAL MOOD
WALTZ FOR DEBBIE
CRY ME A RIVER
ENCOUNTER
GOODBYE PORK PIE HAT
雲の魚
BLUE MOON
MY FOOLISH HEART
CARAVAN

2nd stage

BLUE STEEL(solo guitar)
ELEANOR RIGBY

もみの木
STAY 〜トロイメライから〜
スウィングしなけりゃ意味ないね
SUMMERTIME
リバティ
SMILE

encore

愛があたためる

Musical Baton

2005年6月19日 音楽
毎度お世話になっている「はろるど・わーど」のはろるどさんから、コメント欄にてバトンをいただきました。
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/3332afaaa9410da508f6b7fe118c9383
一度置いたバトンを再び取り上げていただきまして...。
はろるどさんの意に沿うような形で回答してみようと思います。

Musical Batonとは・・・
海外のブログに端を発する、音楽に関する企画。音楽に関するいくつかの質問が「バトン」として回ってきたら、自分のブログ上でこれらの質問に答え、次の5人を選びその人にバトンを渡す、というルール。


1.コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量
ゼロです。

2.今聞いている曲
3.最後に買ったCD

2005年6月19日現在はこれ↓
http://www.groovedis.com/lp/fly/fly/fly.asp
先日渋谷のHMVの7階でかかっていて即購入。

4.よく聞く、または特別な思い入れのある5曲
・つじあやの「君のうた」(「恋する眼鏡」より)
ことばを大切に紡ぐアーティストが好きです。
http://www.jvcmusic.co.jp/speedstar/-/Discography/A012809/VICL-61041.html
・渡辺香津美「Sunspin」(「KILOWATT」より)
上京前の10代の頃に聴いて以来今もなお聴き続け、その度に新たな発見があります。
「こういうふうに弾けたらなぁ」と、いちばん羨ましいミュージシャン。
http://3.pro.tok2.com/~sudo/Quest/cards/W/WatanabeKazumi/Kilowatt_x.html
・KEITH JARRETT TRIO「ALL THE THINGS YOU ARE」(「TRIBUTE」より)
この曲の冒頭のキースのソロによる5コーラスは、何度聴いても凄まじい感動を覚えます。
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1400/1420.php
・DINO SALUZZI「HOW MY HEART THINGS」(「CITE DE LA MUSIQUE」より)
切なく響くバンドネオンの音が堪らなく心にぐっときます。
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1600/1616.php
・JACK DeJOHNETTE「JACK IN」(「ONENESS」より)
ベースのない編成によるジャズ。その不安定さがカッコ良いです。
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1600/1637.php

5.バトンを渡す5名
この人に回してみたい、というのは何人かいるのですが、その方々がこちらを見ていただいているかも分かりませんし、他に書くことがある中でお話を振るのも申し訳ないので...。

なにか御意見、御感想があれば、掲示板のほうにいただければ嬉しいです。
http://www1.rocketbbs.com/312/exchambe.html
ジョシュア・レッドマン。
いちばん好きな、気になるジャズプレイヤーのひとりです。
プレイもさることながら、シーンにおけるその立ち位置の絶妙さがとにかくかっこいい!

この作品はオルガンのサム・ヤヘルと、ジェフ・バラード、ブライアン・ブレイドのどちらかのドラマーが加わるオルガントリオをメインに、そこに他のミュージシャンが加わったさまざまな編成によるジャズファンク。

個人的なハイライトは2曲目「SWEET NASTY」。
これはオルガントリオ、リズムのシンコペーションが強烈にこれでもか、という具合に創り込まれていてもう最高。
この複雑なリズムでの疾走感が堪らない!
こういうグルーブは日本人には無理だなぁ、と(少なくとも日本人で叩ける人を僕は知らないです)。筋肉の構造から違ってるなって感じで。

ほぼ全編で聴けるサム・ヤヘルの鍵盤ベースも申し分なし。
ゲストで参加している2人のベーシストも超個性派。
レッチリのフリーはおなじみのあのツンツンとした鋭角なグルーブでひと味違うビートを提供、ミシェル・ンデゲオチェロはこちらはこちらで、這って下っ腹から内蔵を直接揺らすような重くうねるビート。

他にもカート・ローゼンウィンケルの、メセニーを更に知性的に押し進めたようなクールなギターもいいし、メインのドラマー2人とはまた違った硬質なクエストラブのグルーブも。

この手のジャズが好きな人には堪らないアルバムです。
この週末、というかゴールデンウィークの前半に有楽町東京国際フォーラム全館をあげて開催された「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン ベートーヴェンと仲間たち( http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/ )」。
数あるプログラムの中で僕がチョイスしたのは古典四重奏団。
(無論、他にも諏訪内、庄司など、興味津々なものはいっぱいありましたが、何せ知ったのが遅く前売り完売なものが多い中、この公演だけ何とか入手)
なにせこの古典四重奏団、譜面台を立てずに、つまり暗譜で演奏するというのを知って以来ずっと気になっていて、今回大変ラッキーなことに生で聴くチャンスが得られた、というわけでして。

で、感想なんですが、もう、大興奮!
残響がほとんどない会場内に、それぞれの楽器本体の響きが直に伝わってくる生々しさにまず感動。
そして、4人の織り成す音が目まぐるしく位置関係を変化させながら、アグレッシブにその場面々々を紡いでいく、その過程がたまらなくカッコ良くて。

特に唯一の男性メンバーが演奏するチェロの、この曲における八面六臂の活躍ぶりには心底感激しました。
厳しい表情で、時にベースとしての役割りを、また時に第一バイオリンが奏でる主旋律の1オクターブ、ある場面では2オクターブ下に付いてユニゾンを敢行したり...。

僕はジャズから前衛ジャズ→現代音楽→古典、という具合にクラシックを好きになっていったのですが、後期のベートーヴェンはジャズが面白い耳にも大変刺激的、もしかしたらもっとも刺激的なジャズのサウンドのひとつはここにあるのかも、とも思ってしまうくらいに、大満足のコンサートでした。
渋い。
渋すぎる。

思いっきりジャズな人選を並べつつ、随所にジャズの範疇をはみ出した味付けが強烈。

最近話題のブランドン・ロス。
参加曲では実にけったいなバッキングが。
そして6曲目、カサンドラ・ウィルソンがフィーチャーされた曲でのソロ。逆手に持ったアイスピックをその静謐に突き刺すような、初っ端のひと唸りのインパクト。

ドリーミーな4曲目。
高速フレーズで畳み掛けるマシュー・ギャリソンの、リバーブがたっぷりかかったベースソロ。

御大ジャック・ディジョネットが参加しているのは7曲目。
ひたすらシンプルにビートを紡ぎ続ける。

猛者揃い踏みのなかにあって、ミシェル・ンデゲオチェロのベースは何も変わることなく、あいも変わらず腹の底から突き上げるように、重く、黒くグルーブしているわけで。

個人的にベストテイクは3曲目。
プログラミングのビートを包んで更に膨らむミシェルのベース。そのスピードと重さとが混在した不思議なグルーブに乗って、浮遊するように流れるボーカル。

実はもうかれこれ2ヶ月くらいCDプレイヤーのトレイのなかにこのCDが入りっぱなしです。
紀尾井ホールにて。
http://www.kioi-hall.or.jp/

今年最初の音楽ネタです。
ぴあでこのコンサートのチケットが当たりまして。

本のデザインを生業としている知り合いと待ち合わせてから紀尾井ホールへ。ここはずいぶん前から存在は知っていたけど、行くのは初めて。
会場に到着、さっそくホールへ向かって、その入口のドアから会場内の風景が目に入ってきた瞬間。

壁、天井はもちろん、床に至るまで、木でできていて、独特のやわらかい色にうっとり。
ステージには、真ん中にギターが6本、椅子を囲むように並べられていて、その光景に、あぁもう今日はいい音楽が間違いなく聴けるなぁ、という確信が。

7時過ぎ、会場が暗くなって、そこだけ明るくなったステージに、蝶ネクタイに黒のジャケット&パンツの渡辺香津美さん登場。

格好いいモチーフが繰り返される短いオリジナル曲から流れるように、ビートルズの「FOOLS ON THE HILL」。
アコースティックギターのスチール弦の、硬質で深い低音ときらびやかな高音とが天井の高いホールの隅々まで響き渡るようで、ちょっとアップテンポで単音の速いパッセージや目まぐるしく変化するコードを挟みつつ紡がれるビートルズのメロディ・・・

チャップリンの「SMILE」。ガットギターに持ち替えられていて、バラードで。ただでさえ寂しげなメロディが、やわらかなアタック音からすぐに減衰するガット独特の音と、ひとつの音を弾いた瞬間と次の音までの短い時間をもたっぷりと味わうかのように、ゆったりと演奏されるおかげで、より切なく響いて、もう・・・

バッハの無伴奏チェロ組曲からの演奏は、当然譜面に指定された単音の連続で、一度始めたら最後まで続けなければならないという、薄氷を踏むような慎重さにも似た緊張感は聴いている側にも伝わってきて、それを終えた瞬間の到達感といったら・・・

休憩後の一曲目は、「ソ・ダンソ・サンバ」。
ボサノバのリズムを刻みながら、ヘッドホンマイクで歌ってしまう香津美氏。上手い歌ではないけれど、そのリラックスした雰囲気はたまらない・・・

千住博氏をゲストに迎えてのトークコーナー。
千住氏、作品のイメージから勝手に寡黙な方だとばかり想像していたが、いやもうすごい勢いでしゃべるしゃべる。
香津美氏、合いの手を入れるのが精一杯。
噛み合わないトーク。
でも、千住氏が選ぶ言葉には思わず納得してしまう。

フルアコを使用して、「Night and Day」「So What」の2曲。
このホールは、アンプの音もきれいに響かせる。

ラストはフォーレの曲を、12弦ギターで。
まさに荘厳。

アンコールはジャンゴ・ラインハルト。
「Minor Swing」の渋いスウィング感。
まだ上京する前にさんざん聴いてた「Romanesque」にも収録されていた曲で、鼻を突くほどのジプシーの香りに溢れた極上の演奏。

香津美氏のインタビューで、なぜクラシックホールで演奏するようになったのか、という問いに、「クラシックのギタリストと共演する機会があって、そのときにクラシック専用ホールで初めて演奏して、その響きに感激した」との言葉が印象に残っていて、まさに今回聴いた演奏は、香津美氏自身が、自分の発する音色の響きに「陶酔」していて、その心地よさが聴く側にも充分に伝わってきて、なんとも心地よい時間を過ごすことができました。

・・・ステージでの光景、紡がれた音、思い出すだけで気持ちよくなってしまいます。
2004年最後に買ったCD。
「つじあやの」ふうなジャケット(先日個展を拝見した本秀康氏のイラスト)に惹かれ、買って聴いてみたら中身は大人の風味の「Bonnie Pink」だった、という(特に6曲目以降)・・・。

最高です。

 
DJ KRUSHの次がこれですか、と自分を小一時間問い詰めたくなりますが(笑)

**********

今年出会った音楽で特に印象的だったもの。
・つじあやの「風風恋歌」「恋する眼鏡」
・Alban Berg SQ「tango sensations」
・池辺晋一郎:《悲しみの森》−オーケストラのために/オーケストラ・アンサンブル金沢(岩城宏之指揮)(9/25)
・NHK-FM「ひるの歌謡曲」で聴いた美輪明宏
・DJ KRUSH「寂」
・高田みち子「Night buzz」

いったい何者だ俺。
つい最近買ったばかりのCDですが、これが僕の今年の新譜でNo.1。

好みがはっきりと分かれる種類の音楽であることはもちろん承知の上で・・・

すべての曲が、すべての瞬間が、緻密に、丁寧に作り込まれているのがとにかく嬉しい。
様々なバリエーションの重くて硬質なグルーブ、その上に尺八や三味線、ピアノ、さらには坂田明御大の唸りが乗り、さらにさまざまなサウンドエフェクトが飛び交って、これ以上ないくらいにアブストラクトな空気感。

次の瞬間を期待してしまうような音楽。
繰り返し聴くたびに、ワクワクしてしまう。
こういうスリリングな感触、ジャズというよりむしろ近現代のクラシックに近い気がする。

**********

・・・今年の新譜No.1と書いておいて、今年聴いた新譜が10枚もないことに気付く...。
NHKホールにて。
http://www.nhk-p.co.jp/concert/ongakusai/2004profile.html#zdenec

《プログラム》
スメタナ:《わが祖国》から交響詩「ブラニーク」
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」

・平日の仕事明けでのコンサート、ちょっと睡魔に襲われたりもしましたが、やっぱり第九の最終楽章のあのメロディが聴こえるととたんに気が引き締まる感じがした。

・声の力ってすごいなあと実感。

・今回の指揮者のズデネック・マカールは、指揮台の上に肩幅くらいに足を広げてほぼ直立(たまに動く)、両腕をダイナミックに上下させてオーケストラをコントロール。

・ところでこのNHK音楽祭2004、僕が聴きに行った3公演、すべて雨でした。orz
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/New_Series/1600/1668.php?lvredir=712&;catid=0&doctype=Catalogue&order=releasedate&we_search=%2B1668&rubchooser=301&mainrubchooser=3

ヴァイオリン、オルガン、チェンバロによる至高のバロック音楽です。
作曲者も演奏者もぜんぜん知らない人ばかりですが(要は勉強不足)、1曲目の晴れた冬の朝に目覚めたようななんとも爽快な響きに始まって、最後のヴァイオリンとオルガンによるゆったりとした音色まで、全編に渡って軽やかな音楽がいっぱい。

幾重にも轍が重なる雪景色のジャケットも秀逸です。
NHKホールにて。
http://www.nhk-p.co.jp/concert/ongakusai/2004profile.html#yakov

【プログラム】
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
シューベルト:交響曲第8番ハ長調「グレート」

・・・すごかった。
何がって、指揮者のヤコフ・クライツベルク。
オーケストラのチューニングが終わって登場、指揮台の手すりにつかまって客席に向かって挨拶し、拍手が鳴り止まぬうちに振り向いた瞬間。
もうこの一瞬で、会場全体の雰囲気をつかんでしまっている。

今回はとにかく指揮者がオーケストラをコントロールする様をじっくり観ようと。
・・・これがハマった。
指揮棒を持った右手、空いた左手、だけではもちろんなく、体全体、指揮台のスペースを巧みに使って、流れるような弦の響き、闇を貫くひとすじの光のようなフルートやオーボエの旋律、後方に居並ぶコントラバスの低音、ティンパニやブラスセクションのアタックを創造し、さらには時間の流れまでもコントロールしてしまっているかのよう。
指揮者の振りを観ていて思わずそれに合わせて頭が揺れる。

演奏曲自体も楽しめた。
それぞれの曲で楽章が進むにつれて、ひとつの絵が出来上がっていく過程を見るような気持ちになれた。

今は、クラシック音楽が面白いです。

**********

余談。
NHKホールに行くので、NHKに寄って新潟県中越地震の義援金を納めてくることにした。
コンサートの前に渋谷NHKの義援金受け付けのところで納めたのだが、NHKホール内にも義援金箱は設置されていた。
帰り際にその義援金箱に弐万円投入している人がいらっしゃった。

こういうのもあります。
http://bokinpark.com/
http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1600/1616.php?lvredir=712&;catid=0&doctype=Catalogue&order=releasedate&we_search=%2B1616&rubchooser=301&mainrubchooser=3

バンドネオン、アコースティックギター、ダブルベースのトリオによる、至極真っ当な「音楽」。

なんかもう、思いっきり切なく響くバンドネオンの音。
キーをいじるカチャカチャというノイズも心地よい。
繊細なギターの音色。
伸びやかなベースの音は、それらを優しく包むように。

このアルバムで唯一のスタンダードが「How My Herat Sings」。
これがたまらない。一時期、こればかり聴いていた。

ギターのイントロに始まり、途中メロディをベースが受け継ぐ。
そろりと入り込んでくるバンドネオンのテーマ。微妙に原曲を崩しながら訥々と、紡ぐように、語るように歌い上げて・・・。
バンドネオン、ギター、ベースの順にソロが回っていく。
それぞれ、やわらかな闇のなかにモノクロのスポットライトが当たるように。
そして再びバンドネオンによるテーマからエンディングへ・・・。

他に何もいらなくなるくらいの、至福の音楽です。

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