香染美術にて。(11/11〜11/26)
http://www.kouzome.com/news.html

一度、福原画廊での個展を拝見していて、そのときは最終日の遅い時間でゆっくりと拝見できなかったのですが、それでも作品から感じるカッコよさは強く印象に残っていて、今回の個展は楽しみでした。

福原画廊では小品の展示でしたが、今回の香染美術では、大作が中心。

都市の闇を連想させるような無彩色の世界。
背景には銀箔が大胆に使用され、その箔の正方形がわずかなズレを伴うように列んで配置。その箔の画面に引っ掻き痕がつけられ、その上から墨や木炭などのさまざまな素材による「黒」が広がり、散らばり、さらにその上にも銀箔が施され...アンダーグラウンドで冷徹な雰囲気が充満。

描かれるのは、一様に細身の男達。
正面を向いた立ち姿であったり。
足を組んで椅子に座る男が2、3人と居並んでいたり。。。
キュビズム風にデフォルメされ、そのギクシャクとした風合いもまたさらにハードボイルドな雰囲気を加速させているようでなんともカッコいい。
彼らは一様に顔は上に向けていて、どこか世の無情に耽るような、そういった印象を受けます。

大きく分厚いパネルに、日本画の素材を使って描かれた世界。
現在日本在住の中国の作家ということもあってか、やはりどこかひと味違う印象で。

楊さんの作品にはダークな音楽がきっとよく似合う。
今のシーンはよく分からないけど、一時期僕自身夢中になったブリストル一派が中心となって広がっていたトリップホップと呼ばれたジャンル、マッシブアタックやポーティスヘッドあたりのサウンドと合わせて楽しんでみたいし、そういう音楽が好きな人にもこの世界を観てほしい、知ってほしい、感じてほしい。。。
《11/18》
・和田誠 旅 @トムズボックス(11/1〜11/30)
http://www.tomsbox.co.jp/gallery/thismonth.html
和田さんのイラストはホントにあったかくていいなと思うんです。
世界のさまざまな風景が、和田さんのフィルターを通ってやわらかく描かれていて。
ちいさなスケッチブックの絵が、リングからちぎられたそのままの形で額に収まっているのも和めます。

《11/19》
・第14回奨学生美術展 @佐藤美術館(10/5〜11/20)
http://homepage3.nifty.com/sato-museum/
2度目。もう一度チェックしておこうと。
印象に残ったのは、まず池田真理子さんの岩絵の具の作品、「なくした時間」。
身繕いをしている鷲が画面いっぱいに精緻に描かれていてその迫力と、背景にある柵のようなものにさりげなく箔が使用されているような渋さ、さらに画面の下地に施された流れるような凹凸感が印象的です。
株田昌彦さんの「発生装置」は油彩。
海岸にそびえ立つ異様に複雑な工場と、そこに繋がれた白い象。メッセージ性のある、力強い作品です。
石居麻耶さんと共に前回の買い上げ作品として展示されていた奥村美佳さんの日本画「めぐる」は、距離を充分において拝見すると、描かれる風景の雄大さがより感じられ、ホントに遠くを観ているような気分で。
招待作家の石崎昭亜さんの「冬の日」、冬の杉の木が宵の月明かりに照らされている作品の渋さに脱帽。

・『Shows』vol.1 @ars gallery(11/15〜11/27)
http://www.a-s-o.jp/gallery/scadul_s.html
窪田美樹さんの木を使用した平面作品、削って平らにされた表面が結構なインパクト。

・馬渡吟治郎「欲しいの。」展 @GALLERY ES S zone(11/15〜11/20)
http://galleryes.com/info.html
眼を閉じて舌を出す人の肖像画がたくさん。
黒で描かれていて、舌だけが赤くて異様な感じですが、それはそれで見応えがあります。

・山口恵個展 [one color one life] @Pinpoint Gallery(11/14〜11/19)
http://www.pinpointgallery.com/yamaguchimegumi.html
ファッショナブル!
こういう絵がささっと描けると楽しいだろうなぁ...。

・SHIGERU MOROIZUMI Fluttering Heart - 100 days @GALLERY 360°(11/17〜11/30)
http://www.360.co.jp/j/exhibition.html
温度計である。
マッチ棒形だったりハート形だったり、赤、青、緑、黄の温度計が組み込まれた画面だったり、モニターのまわりに装飾さとして取り付けられていたり。
こういうユーモアはハマるとホントに面白い!

・市村 伯子 MAJEIRA - 夜の手 @DAZZLE(11/8〜11/20)
http://gallery-dazzle.com/exhbt/yr_05/051108.htm
市村さんご自身によるテキスト「夜の手」を基にした、暗めの照明に屏風のように組まれたパネルなどが置かれたインスタレーション。
無彩色で、そのなかに言葉が書いてあったり女性の写真がプリントされていたり。
それらの「黒」からは引き込まれるような雰囲気が漂っていて、なんとも幻想的なイメージが喚起されます。

・落合浩子展 @柴田悦子画廊(11/11〜11/19)
http://www.shibataetsuko.com/
ふわっとした風合いで描かれる、女性の横向き、あるいは正面の肖像画。
落ち着いた色彩で描かれていて、それぞれの女性の静かな表情が印象的です。

・野澤 義宣 展 @K’s Gallery(11/18〜11/30)
http://ks-g.cool.ne.jp/ex05-11-18.html
いろんな大きさの黒のパネル。パネル自体が薄く彫られていたりして、それらが真っ黒に彩色されている作品がちいさなギャラリーに展示されていて、作品1点1点の黒の魅力に加え、全体で眺めたときの作品の黒と壁の白のコントラストがユニーク。

・山本靖久展 @ギャラリーアートもりもと(11/18〜11/26)
http://www.artmorimoto.com/
カゼインという、牛乳から抽出されるタンパク質を使用したテンペラ画。
油絵とも岩絵の具ともちがう、独特な風合いに個性を感じ、カラフルでやわらかな風景画や静物画が心に残ります。
山本さんから伺った絵の具へのこだわりも興味深かったです。

・高松ヨク 展 @ギャラリー椿GT2(11/14〜11/19)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/051114gt.htm
ちょっと信じられないくらいに透明感のあるアクリル画。
いっそう幻想的な感じに拍車がかかっていて、かなりの見応え。

・Kendai Exhibition @アートスペース羅針盤(11/14〜11/19)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/1114/index.html
徹底されたドット画。
一見出力かな、と思ってしまうほどにデジタルな感触でしたが、これらの点がかなりの時間をかけて描かれているということを伺って心から感服。
より細かいドットで描かれた抽象風景がよかったです。

・遠藤麻木子 展 @galleria grafica bis(11/14〜11/19)
http://www2.big.or.jp/%7Eadel/grafica.html
まず、正面の壁に展示されていた海岸に寄せる波と向こうに灯る月が描かれた大作にぐっときます。
小品はすべて、箱のなかに丸い画面に描かれた絵が収まっていて、箱に開けられた丸い窓から絵が見えるという作品。この丸は満月をイメージしたものとのことで。
月や波などがモチーフとなっているなかで、木のシルエットが描かれたものが特に印象的でした。

・吉敷麻里亜 個展 @青樺画廊(11/14〜11/19)
http://jam.cool.ne.jp/key-seika/
岩絵の具の作品。
ちょっとセピアがかったような甘い黄色が印象的な女の子の絵。
青い林が横に広く描かれ、上下の白い画面に達筆なテキストが入った作品。
たくさんの蝶が青いシルエットで重なる屏風画。
女の子の絵は可愛い感じで、続く2点は透明感のある青から感じる静謐感が印象的。
それぞれ違う個性的な風合いに嬉しい戸惑いがありました。

・アニッシュ・カプーア「JAPANESE MIRRORS」 @SCAI THE BATHHOUSE(11/18〜12/22)
http://www.scaithebathhouse.com/main/03exhibition/data/JAPANESEMIRRORS/ja.html
巨大な漆塗りの器が壁に展示されていて、そこに映り込む自分の歪んだ姿がとにかく面白い。
また、会場中央にあった作品、金属の筒が回転していて、そのなかに大きな窪みがあるのですが、これが色が付けられた水と聞いてびっくり。

・Carl Baratta 展 @Gallery J2(11/15〜11/20)
http://www.g-j2.com/2005/exhibition/november.html
I like them!

以下はあらためて。
・YANG Xiomin Exhibition @香染美術(11/18)(11/11〜11/26)
http://www.kouzome.com/news.html
・FOOD EXHIBITION @表参道画廊(11/14〜11/19)
http://omotesando-garo.com/link.05/food.html
・海老原信幸展 @ギャラリー小野(11/4〜11/19)
・BEFORE START 0→1(0から1へ) @OギャラリーUP・S(11/14〜11/20)
http://www4.big.or.jp/%7Eogallery/Pages/ryakureki/before.html
・大島真由美 個展「景色」 @アートギャラリー環1F(11/14〜11/26)
・川又聡・松岡歩 日本画展 @アートギャラリー環2F(11/14〜11/26)
http://www.art-kan.co.jp/frame/tenran/ten_f.htm
・酒井一 日本画展 −身近な自然− @上野松坂屋南館7階 美術画廊(11/16〜11/22)
http://www.matsuzakaya.co.jp/ueno/garou/ueno_ga.shtml
にじ画廊にて。(11/10〜11/15)
http://www12.ocn.ne.jp/%7Eniji/exhibition.htm

京都造形芸術大学を卒業されて、現在はそれぞれ東京と京都で活動される女の子のふたり展。
おふたりとも日本画で、展示の仕方がちょっとユニーク。
というのも、ある区切りからそれぞれの作品を分けて展示するのではなく、いろんな大きさや作風の作品を交互に展示されていました。

また、作品によって作家のクレジットが入ったキャプションがなかったのでどの作品がどちらの作家のものか最初は分からなかったのですが、作品の中のサインをヒントに確かめていくのもそれはそれで案外楽しいことだったりします。

おふたりとも人物をモチーフにした作品が多く、それぞれ角野さんは現代風の美人画、齊藤さんはちょっともってりとした独特の表情が印象的、といった感じです。
展示されていた作品のなかで、それぞれの大きな作品が特に印象に残りました。

まず、角野さん。
3枚のパネルを組んだ作品で、女性の長い髪が風になびき、そこから鳥たちが飛び立っている、という静謐感漂うファンタスティックな内容です。
この作品のユニークなところは紙の使い方で。パネルに直張りされた紙にまず描かれ、そこにかなり薄い美濃和紙が上張りされていて、下地に描かれた夜を連想させる色彩の上にやわらかな美濃和紙の質感と、その繊維のきらめきが作品の雰囲気をよりいっそう高貴なものに仕立てています。
女性の表情や鳥の優雅さと合わせて、深く印象に残ります...。

そして、齊藤さん。
こちらは体全体に咲き乱れる花の入れ墨が入ったおそらく女性の後ろ姿。
真っ黒の背景に凛と浮かび上がる肌の色と、その肌の上でさらに映える花。齊藤さんの作品に登場する人物はゆったりとした緩い感じが印象的なのですが、この作品だけぐっと力強い存在感を感じました。
そして、眼を奪うのが背景の黒。荒めの粒子の岩絵の具を使用しているそうで、ざらついた表面から感じる大胆さがたいへん新鮮で。

これからもふたりでの活動を続けていかれるそうで。
今のお互いのスタイルの距離感はちょうどいいというか、一緒に展示して調和する違い、といった感じでした。
次に拝見するときはどういう世界が広がっているかたいへん興味深く、楽しみです。
新生堂にて。(11/9〜11/19)
http://www.gaden.jp/shinseido/2005/051109.html

ソロでこそ発揮される個性。

今年の春のスルガ台画廊でのに続いての、日根野さんの個展です。
その間、夏のC-DEPOT展、先日の「波濤の会」展でも日根野さんの作品を拝見しましたが、そのとき出展されていたものもあらためて今回の展示で拝見することができます。

・・・実は、上記に挙げたふたつの展示では、作品こそ日根野さんのだとわかるのですが、その個性はほかの強い個性の作品に「埋もれて」しまっている感じで、それほど印象に残らなかったんです。。。

だからこそ、今回の展示は貴重で、嬉しいんです。
日根野さんの作品は、あお、あか、きいろ、みどりなど、それぞれの作品がおおむねひとつの色彩で統一されているような感じで、しかもその印象は淡い...。
その「淡さ」こそが日根野さんのすばらしいところで、こうやって日根野さんの作品だけの展示になると、さまざまな色彩に溢れていながらもそれぞれがやわらかくハーモニーを奏でるように調和しあった空間になっているように思えます。

・・・そういった色彩で描かれているもの。
女の子の静かな表情。
さまざまな模様のつりびな。
ふわっと立体感が付けられた、花々。
どれもていねいに、細かいところまでしっかりと描かれていますが、それでも全体のやわらかさを損なっていないのは、考えてみると不思議です。。。

今回は、あらためて拝見したものではC-DEPOTに出展されていた黄色の画面にふたりの女の子が描かれている作品がとくに印象的です。
前回拝見したときはそれほど大きさを感じなかったのですが、あらためて観てみて、きいろというよりレモン色、爽やかさすら感じる色彩が画面いっぱいに広がっていて、おもいっきりこの作品に対するイメージが覆されてしまいました。
また、初見の作品では、2点出展されている「青」の作品の色彩に驚きました。一方はDMにも使用されています。
もちろんやわらかく広がっている印象なのですが、これらの作品の「青」からはつよい清々しさ、敢えていえば他の作品は秋の夕暮れといった感触なのが、この「青」からは冬の朝のような張り詰めた清々しさも感じられます。

この空間、もっとたくさんの、特に日根野さんと同世代の方々に感じてほしいです。
ギャラリー52にて。(11/11〜11/16)
http://homepage3.nifty.com/g52/schedule/now.html

3名の70年代生まれの石の彫刻家によるグループ展。
作品のスタイルはそれぞれに違いがありました。

伊藤哲一さんの作品は、丸みを帯びた形が印象的です。
球面からは、石という素材ながらなぜだか生きているようなイメージが浮かんできます。
また、削り痕のざらつきを残した表面もなかなかに味わいが深く、割ったような部分に丁寧に曲面を彫り込んだ作品は、平面作品を楽しむ感覚もあるような感じで。

下川慎六さん。こちらはスタイルの違う2点。
まず、入口すぐに展示されていた、テラコッタ(白い陶)を組み合わせた作品。
今回の展示中、唯一、石でない素材が使用されたこの作品は、他のと比べても軽やかさが感じられます。
そして、奥にある作品。直方体がいくつも組み合わさった立体版キュビズムとでもいえそうな形の作品です。

村上友彦さんは、表面をていねいに磨いた質感が印象的です。
そのためか、またタイトルも具体的だったためか、制作されたものからはより具体的なイメージが喚起されます。例えば動物の角だったリ、乗り物だったり、雪景色だったり...。

土曜日は午前中に、そして日曜日は日が暮れてから観に行ったのですが、時間帯が違うだけでこれほど印象が変わるとは、と。。。
土曜日は入口から射し込む自然光のせいか、それぞれの作品からは朴訥としてかつ凛とした印象を受けたのですが、日曜日はギャラリー内の照明のみが作品を照らし、さまざまな位置や角度から照らす照明のおかげで作品全体はもちろん、特に伊藤さんの作品はそのざらついた表面の凹凸に、下川さんの奥のキュビズム風の作品には直方体のひとつひとつにさまざまなグラデュエーションの陰影がついて、よりぐっとくるような奥深い質感が現れていて、その静謐感はたいへん印象に残ります。

考えれば、石はそれ自体が形成されるまで圧倒的に長い時間がかけられる素材です。
その時間に相応する、材質そのものの質感だけでも深いものがあり、それに手を加えることでさらに味わい深さが加えられるとなれば、必然的に面白くなるわけで。
無論、それだからこそ個性を出すには難しい素材でもあると思います。

石という素材の面白さをあらためて感じた展示でした。
ミヅマアートギャラリーにて。(10/26〜11/26)

アクリル絵の具の鮮やかな発色で描かれた、日本刀を手に持つ上半身裸の男。
描かれる絵のその迷いの無さにまず、ぐっときます。
そして、これだけ現代的、むしろ未来的な色彩であるにもかかわらず、日本刀や髷、入れ墨、作品によっては男のまわりを登る龍によって、伝統的な日本のアートの風合いもしっかり感じられます。

この展示では、比較的大きな作品が展示されています。
そのために描かれる男たちもかなり大きく、明るい発色による背景のなかにその姿をしっかりと晒しています。
アクリル絵の具によってさまざまな時代が混ざったような感触がより強調されているようで、作品から掴むイメージはかなり具体的なのにもかかわらず、奇妙で不思議な雰囲気にかなり引き込まれるような感じがします。

そして、そういったアクリル画が中心の展示の中にあってもっとも衝撃的な印象に残ったのが、1点だけ展示されている掛け軸。
トレーシングペーパーに鉛筆で描かれた作品で、それをそのまま掛け軸に仕立ててあります。
絵の部分にはほかの作品と同様に刀を持って構える上半身裸の武士。
そして、そのまわりを四角く囲む唐草模様の枠の部分なども実にていねいに描かれています。
照明を反射してそれ自体が発光しているようなトレ−シングペ−パ−の風合いに、細かく描かれた鉛筆画。
アクリル画以上にさまざまな時代が織り込まれている印象で、特に未来的な感覚が極度に振り切っているような感覚。
これは本当に一見の価値があります。

原画ではありませんが、奥のスペースにあった、2006年のワールドカップサッカーのポスターもユニーク。
・第37回 日展 @東京都美術館(11/2〜11/24)
http://www.nitten.or.jp/index.html
まあ、年中行事みたいなものなので。。。
今年もチケットいただいたので行ってきました。
やはり。平面よりも立体のほうがバリエーションがあって楽しめます。
工芸美術のさまざまな素材を使用した作品がいちばん楽しめたのと、人物像が案外楽しめたのが意外でした。

・Continue art project 2005 in Tokyo @市田邸、護国院 大黒天、gallery J2、西庵(11/1〜11/13)
http://jungyo.net/
民家とギャラリーとを使ってのインスタレーション。
諸橋明香さんの民家の雰囲気にものすごい違和感を持ち込んでいるのがむしろあっぱれな作品、暗めの照明での池田裕子さんの絵は独特な雰囲気。
蓮實真理子さんの「蜘蛛の巣」が素晴らしく、まさに蜘蛛の巣状に貼られた糸に透明の玉が通され、それがステンドグラスのようにさまざまな色彩のフィルムが貼られた窓からの光でいろんな色に輝く玉がきれいで。
佐々木たくめいさんはおとなしめでした(笑)。

こちらはあらためて。
・齊藤瑠里 角野さくら「晩二つ」 @にじ画廊(11/10〜11/15)
http://www12.ocn.ne.jp/%7Eniji/exhibition.htm
《11/10》
・園田あけみ個展 [MEMORIES] @Pinpoint Gallery(11/7〜11/12)
http://www.pinpointgallery.com/sonodaakemi.html
パステルによる、ゲートがモチーフとなった女性的な風合いのイラスト。
何種類ものパステルを使って描かれたやわらかで優しい感触と、ゲートの向こうに広がっている景色のうつくしさ、または人が登場することでスケールの大きさが感じられる作品など。
上品で高貴な雰囲気がたいへん印象的でした。

・阿久津 光子−Seekinng a Land of Resy 20− @ギャラリーGAN(11/10〜11/18)
http://www.presskit.co.jp/
同じ場所を若干時間を変えて撮影し、それらを別々の材質の違った布にプリントして、さらにそれを細く切って編み込んだ作品。
時間のズレから起こる効果はかなりユニークで。
特に作家ご自身の影を撮った作品がかなりのインパクトでした。

《11/11》
・清澄白河ギャラリーオープニング
すごい人の数でした。あらためて行ってきます。

《11/12》
・田辺正樹展 @ギャラリーf分の1(11/8〜11/13)
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/schedule.htm
黒と赤のアクリルで彩色された木工作品。
その色のバランスが絶妙、赤と黒の組み合わせはかなりいい感じでした。

・藤幡正樹「無分別な鏡」 @art space kimura ASK?(11/7〜11/26)
http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/Schedule/hujihata05.htm
面白い!
ギャラリーには鏡を模したCGの画面がひとつだけ。
そこの前にあるイスに腰かけ、同じくそこにある眼鏡をかけて画面の中を覗いてみると、その画面に眼鏡が浮いてる(笑)。
眼鏡に装着されたセンサーを感知して、それで画面が変化する仕組みになっているようで。

・中村公紀 展 @NC Art Gallery(11/7〜11/19)
ぱっと観、日本画かと思いましたが、アクリル画でした。
マスキングを駆使して画面に幾何的な模様を施し、作品によってはそこにさらに抽象的で風の流れを彷佛させるような色彩が散らばっています。
まず、和紙を貼ったのかと思ってしまうほどに均一の厚さで盛り上がるアクリル絵の具の感じがかなりユニークに思えたのと、ひとつの画面に3つくらいの絵が描かれているような感じで、なかなか見応えがありました。

・粂 浩一朗 作品展 @ア−トスペ−ス羅針盤(11/7〜11/12)
http://rashin.drawing.jp/ex/2005/1107/index.html
かなりユニークな油絵具の使い方で。
塗るというよりも粘土みたいに「乗せる」といった感じで、この質感にまず感心。
そして、描かれる絵も、細身の人物がかっこよくて、その立ち振る舞いもなかなかの味わい。
色使いも原色の度合いをちょっと落としたような青などが印象的で、部分的に貼られた豪勢な柄の紙もかなり効いていました。

・野地美樹子展 @いつき美術画廊(11/7〜11/16)
http://kgs-tokyo.jp/itsuki/2005/051107.html
今回の野地さんの展示は、「イス」や「樹木」のおなじみのスタイルのものに加えて、これまで拝見しなかった題材の作品が多かったのが新鮮でした。
例えばコスモスや桜といった花を描いたものや、蛍やカブトムシといったものなど。
雪景色の木立も、優しさと繊細さを持ち合わせた白の質感が印象的で。
展示全体というよりも、個々の作品を味わう展示といった趣で、それはそれで新しい発見があって興味深かったです。

・佐藤三絵 展 @GALLERY NATSUKA b.p(11/7〜11/12)
http://www.ginza.jp/natsuka/
漆塗りの立体作品。
なんといっても圧巻は奥の壁に設営された大きな葉のようなものの作品。
その下から見上げたときの圧倒的な感触はかなりのもの。

・福原栄子 展 @GALLERY NATSUKA(11/7〜11/12)
http://www.ginza.jp/natsuka/
ぶわっと散らばるマッドな色彩に力強さを感じる抽象の平面作品。
画面の凹凸感といい、ものすごい勢いを感じました。

・野澤奈穂子 展 -ペーパーワークと版画- @ギャラリー椿GT2(11/7〜11/12)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/051107gt.htm
ペーパーワークがかなり興味深くて。
さまざまな材質の紙を実際に漉いて制作され、部分的に銅版による細かい模様さえもが施された作品は、素材の質感とそこにさらに加えられた何かがもたらす、大げさな表現ですが未体験な感触が面白かったです。

・山口暁子 展 @ギャラリーアートもりもと(11/4〜11/12)
http://www.artmorimoto.com/
なんといっても大きな作品2点の印象が強かったです。
すべり台がある公園、そこに花を咲かせた桜の木の絵。
ちょっと前の時代の小学校か何かの校庭を描いた絵。
この2点のやさしくて、知らないはずなのになぜか観たことがあるような風景からは、自分が子どもだった頃の場面が頭の中にフラッシュバックしてきて。。。

・箕田三郎 作品展 @森田画廊(11/7〜11/12)
http://kgs-tokyo.jp/morita/2005/051107.htm
水彩画。
旅の先々で描かれたさまざまな場面の絵はそれぞれ味わい深くて。
なかでも仏像の絵がいちばん印象的でした。

・本田淑子・本田純子 展 @galleria grafica bis(11/7〜11/12)
http://gallery.to/grafica
展示スペースには長い2本の赤い布。
それぞれ織ったそうで、時間も半年くらいかかっているとのことでびっくり。
それぞれたいへん鮮やかな赤い色ですが、布いうこともあってか、かなり目に優しいやわらかい色合いだったのがよい感じでした。

・猪原 秀彦 展 - 彫刻のやわらかいくぼみの中へ - @OギャラリーUP・S(11/7〜11/13)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/inoha.html
金属とフェルトが使われていましたが、フェルトってあんな質感も出せるんだ、というのがかなりのインパクト。
どこか無骨で、それでも味のある風貌の立体作品。

・吉冨ひろみ展 @Oギャラリー(11/7〜11/13)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/yosito.html
大きい画面に電線を見上げたような構図で描かれた作品が、とにかく気持ちよかったです。
大きいって、いい。

・山本美枝子展 @靖山画廊(11/7〜11/20)
http://art-japan.jp/mykoten.html
日本の昔の民話をイメージさせる、なんとも素朴で味わい深い墨絵。
たくさんの子どもが描かれているのもなんとも楽しげで、純で。。。
主に黒の墨が使われていて、文字なども加えられています。その中に一部、色が入れられているものもあって、その鮮やかさにも目を奪われます。

・A DRIFT 丸倫徳 @タケフロ(10/28〜11/26)
http://www5f.biglobe.ne.jp/%7Etailgate/exhibition/exhibition_home.htm
写真の展示と思いきや、透明のプラスチック樹脂を使用したかなりユニークな作品。
陶製の皿のように味わいのある独特の歪みを持った作品で、中に写真や絵や設計図を閉じ込めた感じ。
中にはベニヤのパネルをそのまま封じ込めたものも。
作品のオリジナリティがとにかく興味深かったです。
ギャラリーの竹崎さんとのお話もかなり面白かったです。

以下はあらためて。
・日根野 裕美 展 @新生堂(11/9〜11/19)
http://www.gaden.jp/shinseido/2005/051109.html
・3つの再生展 伊藤哲一・下川慎六・村上友彦 @ギャラリー52(11/11〜11/16)
http://homepage3.nifty.com/g52/schedule/now.html
・天明屋尚展「分身」 @ミヅマアートギャラリー(10/26〜11/26)
http://www.mizuma-art.co.jp/_archive/200510_tenmyoya_j.htm
川本淑子 日本画展 ―のんき―(11/4、11/5)
福原画廊にて。(11/4〜11/12)

うさぎ、りす、ハムスター、やぎ、仔牛.....
無垢な表情の動物たちが集まった、ちいさな牧場にいるような、そんな和みの空間。

川本さんも続けて拝見している作家のひとり。
今年2回目の個展が福原画廊というちいさなスペースで行われるというのを知って、ずっと楽しみにしてました。

さまざまな大きさの画面に、ほぼ実物と同じ大きさで描かれた動物たち。
川本さんの作品の特徴のひとつでもある、風合いが異なる凹凸感がそれぞれの画面の下地に施され、そこに淡い色彩の背景がふわっとひろがっていて。
そこに、繊細な黒の稜線と若干淡い感じの色彩とで、動物たちが誠実にていねいに、ひとつひとつに優しく生命を吹き込むように描かれています。
全体のやわらかな色彩からは、靄がかかった明け方の牧場のさわやかさをイメージさせてくれます。
そのなかにいる、息吹く命の力強さ。とくにいきいきとした目が、強く印象に残ります

そういったなかで、今回のDMに使用されたやぎの絵はちょっと趣が違っています。
大きな画面で、背景には金の箔が用いられています。
しかし・・・たしかにほかの作品と違う背景なだけに展示されている作品のなかでもっともインパクトがありますが、これだけ大胆に金箔が使用されているのに派手な印象ではなく、体を横たわらせて藁を食むやぎのゆったりとした感じが心地いいです。
そして、やはり箔の力も発揮されて、このやぎが神々しく見えてきます。。。

一点だけ鷲の絵があって、この空間にぴりっとアクセントをつける鷲の凛とした表情も印象的です。

川本さん、ゆるやかに世界を広げていっている感じがします。。。
ぎゃらりぃ朋にて。(11/3〜11/9)

心に残るふたつの時間。
絵と対峙した時間と、作品から感じた時間。

岩絵の具で描かれたさまざまなサイズの作品が展示されていたなかで、特に印象に残っているのが大きな画面の作品。
入口から向かって正面の壁と、左手の奥側とに展示されていた大きな2作品はどちらも渋めの赤と黄の色彩が全体を覆っているのがまず印象的。そしてそこに描かれているのは数人の人物など、そして、象。

大きな画面ながら細かい部分もたいへん丁寧に描かれていています。例えば女性が身に纏っている服の柄の幾何的な模様や象のごつごつとした肌などに凹凸感がつけられていたり。
また、すぐそうであるとは気付かなかったのですが、背景や象の皮膚など、さまざまな部分で金箔のきらめきが見受けられます。その金泊の使い方も実に渋く、控えめながらしっかりと作品に重厚さをもたらしているようでした。

こういった、作品を眺めて感じ入る充実した時間を過ごせたと共に、もうひとつ感じた時間が、作品そのものが持つ時間の流れで。
画面の奥におおきく描かれた象の後ろ姿を眺めていると、なんだか遠い、ゆったりとした、今自分が過ごしているのとはまったく別の時間のイメージが湧いてきました。
こういう不思議な感覚を味わえるのは気持ちがよく、だんだんとふたつの時間がシンクロするような感覚に陥っていくようで...。

菅原さんのお話では描きたいものを詰め込んだそうなのですが、やはり「描きたい」ということはすごく大事なんだな、とあらためて感じています。描かれたものそれぞれに対する思いが伝わってきたのかも知れません。

ほかに、DMにも使用されていた、こちらも赤を基調とした、けし畑のなかに佇む女の子を描いた作品や、小さな画面のなかにゆったりと歩く象の絵など、ひとつひとつの作品がそれぞれに「時間」を感じさせてくれました。
深く心に残る印象的な展示でした。
ギャラリーさわ田にて。(11/3〜11/11)

今思い返すと、すごくアジア的な、混沌とした雑多なもののパワーと、その裏返しの静けさをも秘めたような不思議な印象でした。

今年の春の損保ジャパンでの選抜奨励展で拝見して印象に残っていた鴻崎さんの個展のDMを佐藤美術館で見つけて、初日に新百合ケ丘まで行ってきました。

とにかく「絢爛」といった言葉がふさわしい派手な色使いに加えて大胆な金箔・銀箔の使いっぷり。
箔の部分にはぼこぼこと青銅器にあるような模様が立体的に施されています。
さらに作品に登場する想像上の動物たちの奇妙さ、哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫類のパーツが入り交じったグロテスクでコミカルな姿がかなりのインパクトで。また、作品によっては人や宇宙船も登場し、とにかくその混沌とした感じに圧倒されます。
大きな画面の作品になるとその混沌さはさらに強烈に。。。

鴻崎さんによると、これらの奇妙な姿の動物たちはすべて図鑑などからそれぞれのパーツを取り込んでコラージュし、それを紙にあらかじめプリントして、そこに岩絵の具や箔をのせて描いていくそう。
また、もともと大学のほうでは油絵を制作なさっていて、僕も先の損保ジャパンでの選抜奨励展で拝見した時は岩絵の具の作品ではなかったと記憶していたのですが、今回新たな挑戦として敢えて岩絵の具で描かれたとのことで。

こういうふうに岩絵の具や箔を使った作品というのはほかにあまり印象がなく、なるほど油彩をなさってた方の新しい感覚なのか、と納得しつつ、このスタイルで製作を続けられてだんだんと熟れていったときにこの混沌とした世界がどういうふうになっているか、ものすごく興味深いです。
渋谷東急本店8階美術画廊にて。

佐藤美術館で拝見して以来注目している油彩画家、小木曽誠さんの作品が出展されるということで行ってきました。

出展されている作家は小木曽さん、奥秋由美さん、後藤民雄さん、赤塚美知子さんの4名。みなさん芸大油画科を卒業されていて、出展作品も主に油彩の作品です。

まず小木曽さんの作品から。
・・・本当にすごい。。。
女性のポートレート。描かれる女性の顔や身体の曲線、髪は丁寧に作品のなかで再現されていて、魂さえも封じ込められたかのように思えてしまうほど。
そしてさらに目を見張るのが、細かく表現すればどこまでもできるようなものに対して、挑むように徹底的に再現を試みているところ。
例えばカーペットの柄。細かく刺繍されたパターンを、それらを構成するひとつひとつの線から細かく再現していたり、女性が纏う布などは、模様だけに留まらず、陰影さえも忠実に描き切っていたり。
しかしそれらは決して機械的な印象ではなく、やはり人の手による暖かみはきちんと残っていて、そういった質感が本当に嬉しいのです。
ヨーロッパの街並みの絵は、小木曽さんの絵に対する真摯な姿勢がまっすぐに伝わってくるような、ある意味愚直とも言えるほどに丁寧に、その風景がそのまま描かれています。ただ、こちらもレンガのひとつひとつまで描き込まれていて、時間を掛けて観れば観るほど描かれた風景のなかに新たな発見を見出せる、静かな感じながら実に深遠な作品で。

小木曽さんにもお目にかかれていろいろとお話も伺えたのですが、印象的だったのが、むしろ古い技法を用いて描いているというお話で。
フェルメールやラトゥール、この時代の作品がお好きな方にむしろ観てほしいと強く思いました。絵の具の質こそ発展を遂げて違うものとなっていますが、ほぼ同じ手法で描かれた小木曽さんのフレッシュな状態の作品に触れたらどんなイメージが湧くのかな、と。。。

ほかの3名のみなさんは今回が初めてで。
それぞれ素敵な作品で、またあらためて拝見していくことでもっと深く、それぞれの方々の作品のイメージが育っていくような気がしていて。。。

奥秋由美さんの作品はたいへん可愛らしくて楽しげ。
登場するキャラクターたち、ネコだったリ古代魚だったり...パステル画のようなふわりとやわらかい質感。のんびりした雰囲気で和めます。
赤塚美知子さん。女性や花がモチーフになった実にファンタスティックな雰囲気が充満している作品です。
全体的にオレンジ色に近い赤の鮮やかな明るい色彩が印象的です。まさに作品が「咲いている」といった感じで。
後藤民雄さんはおもに風景画。人が登場しない作品で、描く風景をそのまま正確に描写するというよりも、より心象に残っている風景に近い感じです。細かく描かれる部分ともっとイメージ的にふわっとぼやけて描かれる部分とあって、それがそういった効果を生み出しているような感じがしました。
家を出るときは降っていなかったのですが、代官山に着いて間もなくぽつぽつと...。
そのうちに本降りになって、自転車で行かなくてよかったなぁ、と。

・REI -exhibition- @KU gallery(11/2〜12/4)
http://home9.highway.ne.jp/type/hatosFrame.html
歩くスピードで、面白い展示を見つけることもあります。
ブティックの3階のスペースがギャラリーになっていました。
鮮やかなライトグリーンと黒とのマッチングが気持ちいいポップな作品で、距離をおいて眺めるとうねうねとした曲線が異空間へと誘うような奇妙な奥行きが見えてきて。
ダークグレーの画面に道のような線が入っている作品もあって、いや、単純にカッコイイです。

・daily necessities 谷山恭子 @GALLERY SPEAK FOR(10/22〜11/6)
http://www.abahouse.co.jp/
地下2階の広い空間のなかに、家が建ってました(笑)。
といっても外壁だけでしたが...。
フェルトで覆われたブロックで構成されたようなイスや、排水溝のカバーにアクリルで水が溜まっているような感じを出したユーモアのある作品など。
外壁の内側には、明るい色でカラーリングされた鉄製の本が棚にずらりと並んでいいて、こちらも楽しい感じ。

・ホームスィートホーム展 @ARTS RUSH(11/2〜11/14)
http://www.artsrush.jp/
ちょっとした隠れ家的な雰囲気が気持ちよくて近くによるとついお邪魔してしまうのですが、今回はテーブルにたくさんの「やじろべー」が。
それぞれ真鍮だったり銅だったりだと思うんですけど、曲げられたスプーンやフォークが絶妙なバランスでゆらりゆらりと揺れたりふわふわと回っていたり。
緩やかに動くのを眺めているだけでどんどん和んでいく...。
これらは齋藤桂一さんの作品。こういうステキな時間が過ごせるものと出会えるので、aARTS RUSHにはやっぱりまたお邪魔してしまうのです。
・前大道慎二展 @MUSEE F(10/31〜11/5)
http://www.omotesando-garo.com/museef/MFhistory.html
銅版画。
正面の壁に展示されていた、ちょっと奇妙さもある汽車の作品がとにかくかっこいい!
子どもの頃の想像がそのまま育ってできたようなファンタジー。
あと、ユニークだったのが、銅版を使用して表面に模様が施された石膏の作品。表面の模様はまさに版、制作過程も伺いましたがかなりユニークでした。

・菊一智子 × 松沢ゆい 展「 2−Keep on−」 @SPICA art(10/29〜11/12)
http://www.spica.cc/art/announce.html#kiku
はじめてのスピカアート。
菊一さんの作品は、箱に銅と真鍮でできた花瓶があって、そこにトレーシングペーパーに描かれた花が挿してあるユニークなもの。茶色の布がかかった壁に展示されていて、なかなか味わいのある色彩で。
松沢さんの作品は白の立体で、細めの円錐の上に人の頭が乗っかっているオブジェで、絵の具がドリップされる映像がそこに被せられてユニークな効果が出されていました。

・蒐の会 @森田画廊(10/26〜11/5)
http://kgs-tokyo.jp/morita/2005/051026.htm
松井ヨシアキさんの油彩の作品がとくに印象に残ってます。
絵の具に胡粉や大理石の粉末を混ぜて独特の表情が出た風景画で。
どこかほっとするような質感。こういう作品と出会えると嬉しいです。

・小林敬生 新作木口木版画展 @シロタ画廊(10/24〜11/5)
http://gaden.jp/shirota/2005/051024.html
木口木版の可能性。
とにかくすごかった、木版とはとても思えないほどに精巧な版画作品で、かなり大きな画面でありながらさまざまなものが描き込まれていて、その緻密さに驚愕。
固い木材に、銅版画のエングレーヴィングで用いるニードルで彫るそうで。とにかく「研ぐ」という作業が重要らしい。
・・・しかし、これが凸版であるのはやはり尋常ではないです。。。

・Vik Muniz NARCISSUS: VIK MUNIZ SELF PORTRAITS @GALLERY KOYANAGI(10/14〜11/18)
http://www.gallerykoyanagi.com/exhibition.html
面白かった!
また観にいきます。

以下は後ほど。
・菅原学 展 @ぎゃらりぃ朋(11/3〜11/9)
《11/3》
・DURST DRITTE TOKYO WHITE CUBE 藤原勇輝 @ギャラリーGAN(11/1〜11/6)
http://www.presskit.co.jp/
巨大な金属の棒と、穴の開いた小さな板を溶接してできた、これまた大きな棒。
大きいことはいいことだ!

・ちくちくメロディー 高橋さとみ 展 @Pinpiont Gallery(10/31〜11/5)
http://www.pinpointgallery.com/takahashisatomi.html
切り絵と銅版画。
切り絵が、もうとにかく可愛い!
頬を染めた和服姿の娘がボタンアコーディオンを弾いていたり、お酒を呑んでたり、ジャグリング中だったり。なによりこの娘の表情が最高で。
他の切り絵も中華料理やら演奏中のミュージシャンやら、一見CG?と思ってしまうほどポップなんですが、よく見ると模様が入った和紙をうまく使うなどかなり手が込んでいて面白い!
銅版画はまた違った感じで、相当に描き込まれてかなりファンタジックでした。

・安座上真紀子「PAPER TOY SHOW」 @SPACE YUI(10/31〜11/5)
http://www.spaceyui.com/gallery/schedule/image/azakami.htm
Pinpointが切り絵なら、こちらは立体の紙の作品。
ハイヒールやら建物のミニチュアやら、こちらもかなり精巧。
で、立体が主なので見逃してしまいがちなのですが、平面の部分、ストライプになっているようなところもしっかりと紙を貼りあわせて制作されていたり。
紙って楽しい!

・「酒のある風景」 @DAZZLE(11/1〜11/6)
http://gallery-dazzle.com/exhbt/yr_05/051101.htm
安西水丸さんのイラスト教室の生徒4名のコラボレーション。
といっても、それぞれしっかり活動なさってる方々のようで、作品の見せ方はそれぞれに個性があって面白いです。
山崎杉夫さんの太くてスクエアな黒の稜線で描かれた渋い色彩のイラストと木版画、田沢ケンさんのユーモアたっぷりのマンガ風イラスト、信濃八太郎さんの黒のみを使用したシンプルで落ち着いた感じの作品、三井ヤスシさんの無彩色や空の紺を基調としたなかにぽっと灯るような赤が効いているアクリル画。
それぞれホントにさまざまなスタイルですが、作品のどこかにかならず「お酒」を登場させるというテーマがあって、それがこの空間に統一感をもたらしていました。

《11/4》
・井上 直子 展 @OギャラリーUP・S(10/31〜11/6)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/inonao.html
赤い作品、しかも奥行だけで勝負!みたいなケレン味のないまっすぐな作品。
しかしこれが面白い!
それぞれ若干の色調を変えた赤で壁や床、天井を現し、どこまでも遠いような奥行感がしっかり分かりやすく表現されていて、とにかく眺めていて爽快感があります。
そしてさらにユニークだったのが、その赤をよく観てみるとお経が塗りつぶされていてびっくり!
展示されていた作品、ひとつはかなり大きかったんですが、それでももっと大きな作品を制作してほしいです。

以下はあらためて。
・鴻崎正武 展 @ギャラリーさわ田(11/3〜11/11)
・凛の会 @渋谷東急本店8階 美術画廊(11/3〜11/9)
・川本淑子 日本画展 ― のんき ― @福原画廊(11/4〜11/12)
福原画廊にて。(10/24〜11/2)

精度。。。

主に、水彩画と銀鉛筆画の展示。

まず、銀鉛筆画。
布を頭からかぶった女性を描いた作品。
1本1本の細い線で描き上げられた布の表情がとにかく丁寧。女性の表情はもちろん、かぶった布の皺や曲線が、それこそ布の繊維まで再現しているのでは、と思ってしまうような細やかさ。
この銀鉛筆、一般の鉛筆と比べてやはり若干白っぽく明るい色なものの、より硬質な、描くというよりももっと金属的な感じ...銅版をニードルで彫ったような、そういう印象。
そして、背景の黒、こちらはおそらく木炭が使用されていると思うのですが、この黒の深みがまた独特の濃さ。
ちょっと用語は忘れてしまったのですが、この銀鉛筆の芯の色が画面に残るようにするために、支持体となる紙に圧力がかけられ、表面に薬品が塗られると行った具合にかなり手が加えられているようで、銀鉛筆による細い線の間から覗く紙の質感もなかなかに味のある感じです。

水彩画。
グラスにはいった果実などの静物画で、こちらも驚くほどに写実。
水彩画であるのにぱっと見ただけだと「にじみ」がまるで見受けられず、かといって水彩でしかありえない色の出方で。
ちょっと観たことがないくらいの透明感で、グラスが光を反射して白くなっているところにはあえて絵の具を使わずに紙の色がそのまま活かされていたり。
背景も、絵の中心である果実などをしっかり引き立てつつ、その色彩自体がぐっと引き込まれそうな落ち着いた濃いブラウン。

このまったく違う画材・画質の作品が並んでも、それが同じ作家の作品であるということにはまったく疑いを持たないほどに作風に統一感があったのも印象的で。
その「精度」には心から感服です。伺った日が作家の三浦さんが不在の日でお話を伺えなかったのが残念でした。。。
しらみず美術にて。(10/17〜10/29)

前の週にも一度観ていましたが、もう一度。
最初に観たときも、はじめて観る感じがしなかったくらいに僕にとって馴染みのある色彩でした。

さまざまな大きさのフリーハンドの方形で構成された、全体として図形的で、そこに画面を引っ掻いたような線が走る油彩の作品。
無彩色のなかに、作品によって赤、青などが混じっているといった感じで。
ただ、この無彩色、特に黒と白がたいへん印象的な色調。白は若干グレーがかっていてそれだけで独特の味わい。そして黒は艶が消されて、イメージするのは黒板...まるでそこにさらに何か描いてもいいような、そういうワクワクとした感じがありました。

さらに、引っ掻いた線がかなり効いています。
画面のなかにそれほど多く登場しているわけではないのですが、その線から感じるものは自由だったり、奔放さだったり。。。とにかく楽しく、ポジティブな印象。

初めてでないような感触、というのは、今回展示されていた平田さんの作品群からたいへんジャズ的な、というよりもジャズのレコードのジャケット的な風合いを感じたから。
好きなレーベルにECMというドイツの老舗のレーベルがあって、今ではおそらく1000前後のタイトルを抱えているのですが、最近こそもモノクロの写真が使用されることが多いものの、フリーハンドのグラフィックデザインがジャケットに使用されているアルバムも多く、質感こそ若干違うものの、それらが僕にとって平田さんの作品と通じる雰囲気を感じました。
また、画面構成がそのECMからリリースされているパット・メセニーの「WATERCOLORS」を連想させた、というのもあって(この次アルバムのジャケットは写真なのですが)。。。

このギャラリーのいつもより明るめの照明と、白やシルバーのシンプルな額もかなり効果的でした。
・東京藝術大学日本画第一研究室発表展 @東京藝術大学大学美術館陳列館+正木記念館(10/26〜10/30)
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2005/nihonga/nihonga_ja.htm
タイトル通り、芸大日本画の方々の展示。
大学で制作できることと展示会場が充分な広さをもっていることもあって、力が入った大作が多く展示されていて見応えがありました。
抽象も多く、それらのほとんどがかなり動的な感じだったのも印象的です。
特に印象に残った作家は、まず大沢拓也さん。陳列館入り口すぐにあった作品は鉄板が連結されたかなりの大作。そして正木記念館にあった襖絵は、人や街の風景などのさまざまなシルエットがいくつかのグレーで重なる世に描かれていてアーバンな質感、不思議な奥行感がたいへん深い感じで。
中村恭子さん。植物を題材にした紙本彩色の作品が2点。
ひとつはベージュの色彩のなかに数枚の蓮の葉が描かれ、さらにそこに幾何学的な直線・図形が重ねられるように描かれていて伝統的なものと未来的なものとの共存がかっこいい作品。
もうひとつが、胡粉や墨などで使用される色の数こそ少ないですが、細かい点とふわりと広がる薄い色彩との組み合わせで植物や蛾が描かれ、なんとも幽玄的で。そしてその細かさにも感動。
他に先日個展でも拝見したアダム・ブースさん、異様な力強さの金子朋樹さん、屏風がいっぱい立てられて見ているといろんなものが見つかって嬉しい大島真由美さん、広がる青が清々しくも深遠な藤木奈緒さんなど。
なかには今年修了する方もいて、修了展が楽しみです。

・表層の内側? 東京-大邱 @gallery J2(10/25〜10/30)
http://www.g-j2.com/2005/artist/nikkan/text2.html
東京芸大と大邱の大学、それぞれの大学で油彩を学ぶ人同士が作品を送りあって、送られてきた作品からインスパイアされたものを送り返してできた作品を順に並べている展示。
いくつかの組み合わせでは完全に相容れない感じのものもあったりして、素で笑ってしまうのもいくつか...。
芸大のほうで行われていた展示は見ることができず残念でした。

・第14回奨学生美術展 @佐藤美術館(10/5〜11/20)
http://homepage3.nifty.com/sato-museum/index.html
やはり石居さんの作品はすごいなぁ、と。。それ意外では印象的な作品はなく...。
本日は少なめ。

・大坂忠司 展 @養清堂画廊(10/24〜10/29)
http://www.yoseido.com/catalog/exhibition.php
凸版木版の多版多色刷りで、国内外の街並や風景を描いた作品。
多版多色刷りというだけでその手間に頭が下がる思いなのですが、さらに裏刷りであえてぼやけたグラデュエーションを引き出したり。
作品は素朴な暖かみを感じる木版で表現された石畳や壁などに独特の風合いが出ていて、その風景の温度が伝わってくるような優しい作品でした。

・ミズ・テツオ新作展 @ごらくギャラリー(10/17〜11/5)
http://www.h6.dion.ne.jp./~goraku.g/MizuTetsuo_2005/MizuTetsuo_2005_2.html
2度目です。
前回の感想のときの記憶ではもっと全体的に淡いトーンの印象でしたが、思いのほか青の色彩が強くて、むしろ紺と呼ぶべき濃厚さで。
あらためて作品の力強さを感じました。
1階のフロアに唯一赤い色があって、この違和感がたまらなくかっこいい。

・竹内紋子展 @SOL(10/24〜10/29)
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/EXHIBITION/2005/200510takeuchi.htm
犬、つばめ。木彫の立体作品。
おもわず撫でてあげたくなるようなかわいらしさで。
数体あった犬のオブジェのなかでは、ブルドッグが特に愛くるしい感じがして、ちょっとエゴイスティックな表情がなんともコミカルです。鼻の頭がちょっと濡れた感じになっているのも健康的(笑)。
感動したのがつばめのオブジェ。
厚いアクリルの棚にとまっている2匹のつばめはリアルで、この細い足(本当はもっと細いそうなのですが、これが強度的にギリギリだそうで)を含めてひとつの木から掘り出されているというのがなによりの驚き。
さらに、展示ではアクリルのエクステンションがついて両足と合わせて3点で支えられていたのですが、実際は2本足でも立つそうで。竹内さんは特に自然なことのようにおっしゃってたのですが、こういったことが当たり前であるということこそがスゴイと思うのです。

・八木優子「日々の宝石箱」展 @美篶堂(10/25〜10/30)
http://www.misuzudo-b.com/gallery.html
思えば久々に美篶堂らしい展示でした。
ハードカバーの分厚い洋書をつかって制作された小物用の箱。
表紙を開いて数ページめくると、くり抜かれてちょっとした小物が入るスペースが。
使用される洋書は文学作品ものが多かったのも印象的です。
見つけたとき、すごく嬉しい気分になれるような楽しい作品でした。

・武田史子新作銅版画展 @ミウラ・アーツ(10/15〜10/29)
http://homepage1.nifty.com/miuraarts/index.htm
過去に福原画廊で拝見した武田さんの作品。
モノクロの銅版画に一部手彩色が施されているものもありました。
とにかくその「黒」の質感が堪らなく、深い。。。
闇という感触とともに、墨を溶いた水面のような印象も。
そして、描かれるガラスや水の透明感はホントに美しいです。

以下はあらためて。
・三浦明範展 @福原画廊(10/24〜11/2)
・平田達哉 展 -予感- @ギャラリー・しらみず美術(10/17〜10/29)
光と風の吐息、秋の木漏れ日 展 misao noya graphic art exhibition(10/23)
イリスギャラリーにて。(10/13〜10/23)
http://www.iris-shop.com/info_gallery.htm

いろんなものが季節によって表情を変えるように...

昨年暮れに個展を拝見して以来、時節の折りに作品を発表されてきた野谷美佐緒さんの、8月の夏の展示に続いて秋をテーマにした作品の個展。
場所は自由が丘にある「イリス」というヒーリンググッズのお店。

カラフルなヒーリンググッズが並ぶちいさなスペースの真ん中にテーブルがあって、その上に野谷さんの作品、猫や小鳥たちのシルエットがモチーフとなったグラフィックアートがさまざまな形となって並んでました。
ポストカードはもちろん多彩なバリエーション。
メッセージカードやレターセットと、それに加えて今回はガラス製のペーパーウェイトや卓上カレンダーなど、「こういうのあったら嬉しいな」といった感じのグッズがいっぱい。

そして、おなじみのアクリルボードの作品。
こちらは両サイドの陳列棚の上のほうの壁に展示されていました。
今回は「秋」がテーマということもあって、もちろんさまざまな色彩の作品が並んでいましたが、やはりそういったなかでも、やわらかい赤系統の色彩が特に印象に残りました。
そしてこれらが、このお店の空間によく溶け込んでいて...実はすぐには気付かなかったくらいで。。。

この日は最終日で野谷さんもいらっしゃって、今までになくいろいろとお話を伺えました。
いちばん驚き、かつ納得したのが、これらの作品がすべてマウスで描かれているということ。あの細かい草花や葉のひとつひとつがマウスで描かれていると聞くとその手間に脱帽なのですが、この手間こそが作品に見るものを惹き付ける魅力をつくり出しているように思えました。
また、これほどの作品がデジタルであることは考えると相当なアドバンテージで、もちろん手描きの作品や版画にもそれぞれに強い魅力がありますが、劣化もしないということもあるし、さまざまな形で表現できるわけで...。

野谷さんの作品、これからもグループ展などでもお目にかかると思うのですが、個展ベースでは冬、夏、秋と開催されて、あとは春。。。
とっておきの季節が残されています・・・!

(野谷さんのHPで作品が公開されています:http://www.misaonoya.com/art/0510/index.html

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