・Humanite lab vol.2 太田麻里展 unfinished zoo ∞(3/28〜4/2)
http://kgs-tokyo.jp/human/2005/050328.html

そこそこ広い韓紙に、ちょこっとだけ描かれたポップな何か。
そのシンプルさは何となく寂しげで、でも安定しているというか、落ち着いた感じ。
同じ大きさの作品がずらりと壁に貼られた空間は、味気ないといえばそうなんですが、その味気なさも何となく心地よいような。
太田さんはいろんな紙をいろいろと試しているようで、和紙の大きな作品や、トレーシングペーパーによる作品もファイルにいっぱい。。。
・・・今回拝見した限りではやっぱり何か足りない感じは否めないのですが、もっと面白くなるような可能性も感じます。

・川島清新作素描・版画展−雨ふりだき(3/7〜3/26)
http://kgs-tokyo.jp/human/2005/050307.html

会期修了しているはずが、まだ展示されてたおかげで拝見できました。

銅版画は、明らかに同じ版と思われるのに、微妙に、あるいは劇的に違うところがある作品。
これらは一旦刷った版にさらに手を加えて変化させているそうで。
やはり目に見えて分かる変化がある作品はその違いの見比べの面白さもあって、なかなか興味深かったです。
ドローイングは鉛筆画。もう勢いで書きなぐったような抽象表現。

もともとこの作家は立体作品を製作されているとのことで、それらの作品の写真を拝見したらけっこうな迫力。
それらの立体作品といっしょに拝見できたら今回展示されている平面のイメージも立体化されて、もっと面白かったのかも、と。
秋頃には立体作品の展示もあるようなので、気に留めておきたいと思います。
シロタ画廊にて。(3/28〜4/9)
http://gaden.jp/shirota/2005/050328.html

このところ毎度お邪魔しているこちらの画廊ですが、今回は入ってまず「え?」と。
いちおう事前にサイトで展示の写真を観ていましたが、やはり実際実物を目にすると、やはりびっくりしてしまいました。

というのも、画廊の真ん中にある柱を挟んで2つの大きな木の枠があって、これがとにかく謎。。。
この展示のタイトルが「視界」で、DMに載っている写真には同じような木の枠が浜辺に置かれて大きな額のようになっているので、おそらくそういうシチュエーションを想像すると良いのかも知れません。

他に、小さな鏡の一部が抜かれてその部分だけガラスのまま、奥が見えてしまっているものが壁に一列に並べられてました。
抜かれている部分は一部が変型した四角だったり、2つの四角を組み合わせてできる三角形の部分が抜かれていたりといった具合にそれぞれ図形的でした。

小さなスペースだとなかなかとらえづらい展示だったと思うのですが、それはそれで想像力をかき立てられた感じです。
ミヅマアートギャラリーにて。(3/16〜4/9)
http://www.mizuma-art.co.jp/_archive/200503_10th_j.htm

まだ2度しかお邪魔してないのですが、それでも充分このギャラリーのユニークさは伝わってきてて、今回の10周年記念展も期待してました。

無論、その期待が裏切られるわけはなく。
壁中にいろんなアーティストの作品が展示されている中で特に印象的だったものをいくつか。

松蔭浩之の花の写真。
藍色の花びらの深い色がバックの透明感のある黒に映えて、とにかく綺麗。
近藤聡乃の蝶がいっぱい描かれている作品。
藤原隆洋の「ballparkのためのドローイング」は、ササッと描かれたような簡略さがスッキリしていて、なおかつのんびりした雰囲気。
池田学の作品、極小の画面の中に虫や魚が細かく描かれていて、凄みを感じます。
池松江美、僕はラジオで「辛酸なめ子」としてよく耳にしてますが、なるほどこういう漫画を描くのか、と納得。
青山悟の「Rosie」、ドローイングと刺繍とで独特の凹凸感をつけて描かれたリアルな犬の顔。

肩の力を抜いたコンテンポラリーアートを堪能。
もっとも、抜き方が明後日の方向なのもありましたが、それも一興。

《感想リンク》
http://yamaran.jugem.jp/?eid=390
http://blog.goo.ne.jp/pizz/e/7de060f0131ed0ce707e376c310e0ee0
GALLERY PAST RAYS M/A MARUNOUCHI(千代田区丸の内2-6-2 丸ノ内八重洲ビルB1F)にて。(4/1〜4/23)現在会期中!(日休)

モノクロの抽象写真。
ピンホールカメラで撮影された、円形の鏡が置かれた森のなかの風景写真で、詳しくは分からないのですが現像の際にある行程(たしか、すぐに焼きつけずにしばらく空気に触れさせるか何かしてネガに化学変化を起こさせ、画面に細かい線が入るような感じにする)を経て製作された作品。
・・・写真というよりもむしろ、銅版画に近い質感があります。

画面に広がる線状のものは薄氷が割れて出来たヒビのような感じで、作品に独特の緊張感を与えているようで。
東京都写真美術館B1Fにて。(3/19〜4/24)現在会期中!
http://www.syabi.com/schedule/details/ten_views_of_spain.html

愛知万博のスペインパビリオン主催による写真展。
東京にいてもこうして興味深い企画に触れることができて、万博に感謝です。

まず、写真美術館B1Fの入口(この美術館のなかでいちばん好きなスペースかもしれないです)、受け付けまでのスペースにフアン・マヌエル・カストロ・プリエトのモノクロの風景写真。
時空をちょっとだけねじ曲げたような感触の風景、これだけ観ても来た甲斐があったなぁ、と思ってしまうほどに素晴らしい写真です。

アルベルト・ガルシア=アリックスのポートレートは、少し前にギャラリー小柳で観たダイアン・アーバスにも通ずるような雰囲気の、人々のいろんな感情を映し出したような感じが印象的。
また、そんななかに一枚だけ、いくつかの窓の明かりが白く光るビルの写真があって、これもよかったです。

ホセ・マヌエル・ナビアのカラーの写真は、遠い山々の風景だったり、薄緑色に照らされる室内に佇む男だったりとさまざまな場面をとらえてますが、それぞれになんとも言えない静謐感が漂っています。

イザベル・ムニョスの写真では、フラメンコのダンサーのスリリングな瞬間をとらえたものと、オートバイに乗るライダーと女性がキスしている写真が良かったです。

他の作家の作品もそれぞれ見どころ豊富。
もっと時間に余裕を持ってじっくり拝見したかったくらいです。

《感想リンク》
http://umanen.blog.ocn.ne.jp/weblog/2005/04/__5469.html
GALLERY TACTにて。(4/1〜4/10)
http://www.myu-club.com/01infomation/2005/0401TACT/index.html

実は知り合って随分になるんですが、MYU↑さんの作品を直に拝見するのは今回が初めて。

・・・いやはや、参りました。
実際に拝見する絵は、イメージとは大きく違って期待以上の迫力。
シンプルに平面の画面に描かれた作品は、より色彩が鮮やかに。。
別の紙に描かれたものを平面に貼って、ユニークな効果を演出しいる作品。
樹脂絵の具とやらを使用して、強烈に立体感が出ている作品は他の作品と比べて暗めの色彩ですが、1本1本の線が細かく描かれていて、そういうところも圧巻。
また、作品に描かれている女の子、動物、謎の生きもの、それぞれキュートでしかも生命感に溢れていて、観ているだけで元気が出てきそうです。

MYU↑さんが敬愛する奈良美智あたりが好きな方には堪らないんじゃないかな、と思うのです。というか、奈良美智に観てほしいです、いやホント。

関西ってやっぱり勢いがあるなぁ、ともあらためて感じました。

MYU↑さんのHP:http://www.myu-club.com/
東邦アート、森田画廊にて。(3/30〜4/9)
http://www.tohoart.com/
http://kgs-tokyo.jp/morita/2005/050330.htm

佐藤美術館での第13回奨学生美術展と、前年度の芸大修了展とで拝見して強く印象に残った川瀬さんの絵。
以来ずっと気に留めておいた方なのですが、今回、個展で川瀬さんの絵を拝見することができました。しかも2画廊共催。

まず、東邦アートから観たのですが、大作が展示されています。
これが筆舌に尽くし難いほどの凄み。
東京タワーを描いたもの。東京タワーを見上げた時のあの圧倒される感じそのままに、さらに幻想的な要素も入り込んでいるようで。
夜の岸辺、漁船が居並ぶ港に射す月明かり。月を描いた作品でありながら画面に月は登場せず、かわりに水面にゆらりと映る船の影。漁船1艘1艘の迫力もさることながら、手前の破れたフェンスのリアルさも強烈。
カフェの一場面を描いたような作品も、不思議なロマンティックな感じがあって印象的。
とにかくこちらの会場では圧倒されっぱなしでした。それはもう怖いくらいに。。。

しばらく時間をおいた後、森田画廊へ。
こちらは小さなスペースに、東邦アートでの大作にくらべると落ち着いた大きさの作品が並んでます。
佐藤美術館で拝見した蓮の絵も。

川瀬さんともお目にかかれて、いろいろとお話も伺えました。
川瀬さんの作品の特徴で、10センチ四方くらいでしょうか、画面全体に方眼が敷き詰められているようになっているのですが、これは紙の裏にその大きさの銀箔を、それぞれの縁が重なるように貼っているそうで、さらにそれにキズを入れてそこに墨を染み込ませ、表面に独特の風合いを出しているそうです。
画材は岩絵の具。川瀬さんの作品では、岩絵の具の「儚さ」みたいなものが伝わってくるような感じがします。

もっとたくさんの方々に触れてほしいですし、これからの川瀬さんがどんな作品を描かれるか、楽しみです。
世田谷美術館にて。(2/5〜4/10)
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

この企画展はけっこうたくさんの方がblogに感想を書かれてて、それらを拝見して気になっていたのと、前日恵比須のアートフロントギャラリーでのアンティエ・エ・グメルス展が瀧口修造と関連していたこともあり、さらに会期終了も迫っていることもあって、行ってきました。

常設展示があるところではまずそちらから観るようにしているので、ここでも例にもれず常設から。
「畏怖する眼」とタイトルされたコレクション展、4つあるカテゴリーの中で「蒼穹の彼方へ−小堀四郎」と「さざめきのあとで−難波田龍起・向井良吉」が特に印象に残りました。
おそらく初めてお目にかかる小堀四郎は、ちょっと暗めの油彩の風景画という印象。
難波田龍起は元々大好きな作家なので、企画展と同じくらいに楽しみにしてたのですが、昨年のザオ・ウーキーを観たあとに触れる難波田龍起の世界は、ザオのそれと近い一面を感じつつ、作品によって焦燥感か幸福感か、とにかくそのどちらかに極端に振り切れたような独特の色彩感・スピード感を堪能。
向井良吉の「蟻の城」とタイトルされた3つのオブジェの極度に入り組んだ空間。その中に入り込んだ自分を想像。

常設展示は「デザート」ではなく「前菜」として。

**********

ここから文体変更。

会場に足を踏み入れてまず、瀧口自身の製作によるたくさんの小さなデカルコマニー(水彩絵の具を紙に染み込ませただけらしい)の作品群に圧倒される。ひとつひとつが小宇宙のようで、見応え充分。

その先は、もうこれでもかと言わんばかりに、壁、ショーケースいっぱいの展示物が。
事前に知っていたにもかかわらず、実際に観てみてあまりの数の多さに驚き、まず軽く一通り観て、ひと休みしてからもう一度じっくりと観て回った次第。

・・・面白かった。興味深かった。

平面から立体まで、展示物の形態は様々。
それぞれの作品の制作者・提供者も、おなじみの名前からまったく未知の作家まで、こちらもいろいろ。
ひとつひとつ観ていって、好きな作家の違う一面を発見したような面白さや、その展示物自体の面白さなど、それはそれでそれぞれいろんなポイントがあったと思う。

ユニークだったのが、それらの展示物の具体的な説明が一切添えられてなかったこと。キャプションを観て知ることができるのは、作者(あるいは寄贈者)、製作年、瀧口の書斎に残されていたかいなかったか、ということくらい。

・・・観ながら、あるいは観終わったあとで、いろんなことを考える。。。

これらは瀧口自身が求めたものもあるだろうが、多くは瀧口の元へと届けられたもののように思う。
ではなぜ、これだけのアーティストが瀧口に届けようとしたのだろう・・・瀧口修造という存在は、当時の前衛美術家にとって、どんな「ステイタス」だったのだろう・・・。

この企画が面白く感じられたのは、ここに集められたものが瀧口自身が面白いと思ったものであり、その瀧口に興味を持ってもらおうという極めてパーソナルな意志で瀧口に届けられたものであるからなのだろうな、と(当たり前といえば当たり前な・・・)。
だから、それぞれの展示物には余計な説明は必要なくて、要するに瀧口が面白いと思ったことだけがわかれば充分なのだと。

「漂流物」、言い得て妙、と思う。
しかし、これらの漂流物には「意志」がある。

もしもこの展示を先に観てたら、フルクサス展、痕跡展、デュシャン展の印象は違ってたかも...と思って、結局は世田谷美術館の株をあげることには変わりないだろうな、と。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/green-paper-blue-window/e/ca1735e95e9e6e59df3604a090545153
http://blog.goo.ne.jp/erimuroi/e/c4a6e96bb6850c724135fdf7201112d6
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/dd1a5604d94c1d45feffe53e3b98fba5
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/02/post_11.html
http://su-neko.way-nifty.com/art/2005/02/post.html
http://kanro30.blog3.fc2.com/blog-entry-200.html
http://d.hatena.ne.jp/crosstalk/20050219
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-02-27-2
DAZZLEにて。(3/22〜3/27)
http://www.netpro.ne.jp/~dazzle/exhbt/yr_05/050322.htm

抽象画でした。
絵の具は岩絵の具とアクリルとが使用されているようで、それぞれの質感の違いが良く出てました。

ただ、綺麗な色という印象は持ったものの、何が描かれているかが掴めず・・・。
そうしてたら、配布用にコピーされた作品の説明の紙をいただき、それを読みつつ時間をかけて拝見。

音楽がイメージの根幹になっている作品が多いようで、なるほど分からないはずだと。
それぞれの楽器の音色から連想する「色彩」が、ウエバさんと僕とで違うのかなぁ、と。
でも逆に、こういうふうに捕らえるんだぁ、という新鮮さも感じました。
有楽町朝日ギャラリーにて。(3/25〜3/30)

ぴあで見つけて、ぜひ観てみたいと思って観に行ったのですが。

観たことはないけど名前は知っている昔の映画を描いた水彩の作品がずらりと展示されていて圧巻。
描かれているのは映画の一場面だったり映画全体のストーリーを連想させるようなものだったりで、一場面の作品はけっこうスリリングな場面だったりするものだから、このあとどうなるんだろう、と気になってしまったり。

映画はそんなに観る方ではないし詳しくもないですが、観られて良かったです。
新宿眼科画廊にて。(3/21〜3/27)
http://www.gankagarou.com/past.html

初めてお邪魔するギャラリー、ギャラリーだから「眼」科なのかな、と思ったり。

ひとつの絵にいろんなユーモアが詰め込まれている面白い作品でした。
で、すごくポップなところとリアルなところとが同居しているところもなかなか。
例えば宇宙人はそのままアニメにでも出てきそうなくらいにキャッチーな感じなのに、しっかり観ていると見えてくる馬のシルエットなんかはかなり実物さながら。

色彩も原色が多くて鮮やかで、シルクスクリーンでも観てみたい気がしました。
・瀧口修造:夢の漂流物 同時代・前衛美術家たちの贈物 @世田谷美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp
・第19回ハンズ大賞 @BUNKAMURA ザ・ミュージアム
http://www.tokyu-hands.co.jp/f_awd.htm
・−木版と陶とガラスと−爲金義勝・明石大・岡野香 3人展「間」 @BUNKAMURAギャラリー
http://www.bunkamura.co.jp/gallery/
・高砂淳二写真展「海そして南の島」・・・精霊たちのなないろの物語 @epSITE
http://epsite.epson.co.jp/

砧公園から渋谷に移動しているときに見つけた洋菓子店「fraoula」。
そうそう通らない道だし、せっかくなので何か試してみようと思ってお店に入り、桜の季節に合わせて販売されている感じの薄いピンクのメレンゲを購入。

めちゃくちゃおいしかったです。
・Ten Views-スペイン現代写真家10人展 @東京都写真美術館
http://www.syabi.com/
・ミヅマアートギャラリー10周年記念展 @ミヅマアートギャラリー
http://www.mizuma-art.co.jp/
・アンティエ・エ・グメルス展「夜の詩」 @アートフロントギャラリー
http://www.artfront.co.jp/
・荒木恵信 個展 @スルガ台画廊
・町田久美< Sadeーサドに> @APS西村画廊
http://www.nishimura-gallery.com/
・川瀬伊人展 @東邦アート、森田画廊
http://www.tohoart.com/
http://kgs-tokyo.jp/morita.html
・前山忠展 <視界> @シロタ画廊
http://gaden.jp/shirota.html
・あてのない手紙 MYU↑個展 @Gallery Tact
・三澤浩二展 @ギャラリー椿GT2
・杉田達哉展 @ギャラリー椿
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki.html
・川島清新作素描・版画展−雨ふりだき @ギャルリー東京ユニマテ
・Humanite lab vol.2 太田麻里展 unfinished zoo ∞ ギャルリー東京ユニマテ
http://kgs-tokyo.jp/humanite.html
・田中孝道展−漂える森へ @GALLERY PAST RAYS M/A MARUNOUCHI
・Mikiko Rai 洋紙絵展 @こころとからだの元気プラザ
・タイツ君展「いない者の負け」 @LOGOS GALLERY
http://www.parco-art.com/

今日観たものの中で、もっとたくさんの方々に観てほしいと思う展示がけっこうあるので、レコメンドも兼ねて感想を早めに書こうと思います。
LAPNET SHIPにて。(3/18〜3/27)
http://www.lapnet.jp/event_info/lapnetship/swf/050318_dodo/dodo.html

ガンスプレーによるアクリル画の展示。
描かれているのは、タイトルにもあるように絶滅した動物たち。

ガンスプレーで描かれた絵は初めて拝見しましたが、どこか墨による日本画のような味わいと、すごく斬新な感覚とが同居しているようで、ホントにこれまで味わったことがない感覚で。
使用されている色は、ほとんど黒で、それぞれの作品に1色だけ、別の色が薄く塗られているだけのシンプルなものでしたが、描かれる風景、ジャングル、雪が積もる山中、砂漠、海、それぞれの色のイメージがしっかり浮かんできます。
動物たちも、ドードー鳥はつぶらな瞳がかわいらしかったり、大型の動物はその壮観さがなんともいえず。。。

倉科さんにいろいろお話を伺うことができたのですが、ガンスプレーを使いこなすには相当の労力が必要なようで、スプレーを持つ右手の各所が腱鞘炎になってしまったとか。
ただ、そういう過程を経て描かれた作品は、ガンスプレーでここまでコントロールできるのかと驚かずにはいられないほど繊細で。

倉科昌高さんのHP:http://www.m-kurashina.com/
ROCKETにて。(3/25〜3/30)
http://www.rocket-jp.com/gallery/exhibition/detail.jsp?exhibitionCode=20050325

遅くまで開いているギャラリーで、せっかくなので覗いてみたんですが、これがけっこうツボ直撃。

写真とドローイングの展示。
写真はモノクロの女性を撮ったものが数点、どれもきれいに撮られていて、モノクロの静かな感じも印象的。
ドローイングは、原美術館での奈良美智の展示でもあったような、ノートなんかに描いた絵ですが、奈良美智のよりもこちらの方が僕は良いと思いました。

また、ニューヨークで撮ってきたというカラーの写真にペイントを施されたものがあって、これがいい!
ペイントは落書き風ではありましたが、写真の中の人や動物をより愛嬌あるように仕立てられるような感じで。

壁沿いの床に並べられていた文章はさすがに読めなかったのと、機械の故障で映像(スライドかも)が観られなかったのが残念でした。

小沼慶太郎さんのHP:http://www.kkkkkkk.net/
galeria Qにて。(3/18〜3/22)

写真の専門学校の卒業展示とのこと。
ギャラリーに入ると、たくさんの風景写真がいっぱい。

それぞれ様々な方法で提示されていて、たとえばポラロイドを横にずらっと並べていたり、同じ位置から角度を変えて撮った海の写真を1枚の画面に収めていたり・・・。
壁いっぱいに展示された写真たちからは、一様に「寂しさ」みたいなものが伝わってきました。

これらの写真、「東京湾」というテーマのもとで、それぞれが自由に撮ったとのこと。
在廊の方にはお話ししたのですが、まるでひとりの方が撮ったのかな、とも思えるような雰囲気で、提示方法や撮った場所などに違いはあるものの、もうひとつそれぞれの「視点」の差を感じられなかったのが惜しい気もしました。

ただ、「寂しい」というものではあるものの、写真からそれ以上の「何か」が(少なくとも僕には)伝わってきたのは事実で。
つまり今回展示されていた皆さんには写真で何かを伝える力があると感じたので、これからどんな作品を製作されるのか、期待したいです。

海鳴りのHP:http://members.goo.ne.jp/home/onakara-_uminari_
247photography Rooneeにて。(3/21〜4/10)
http://blog.livedoor.jp/cpiblog00489/archives/15209617.html

ハービー・山口さんというと、もうずいぶん前のこと、J-WAVEの日曜日の番組にゲストで出演されたことがあって、リクエストと合わせてちょうどその頃発売されていたハービーさんの写真集の感想を番組宛にFAXしました。
リクエストは採用されなかったのですが、それから2週間くらい経って、ハービーさんからFAXのお礼のポストカードが届きました。
ちゃんと手書きで一言添えられていて、とにかく嬉しかったことを覚えています。

今回初めてハービー・山口さんの写真展を拝見したのですが(たしか少し前に渋谷で山崎まさよしを撮った写真展も開催されていましたが、軽く覗いただけだったので)、ここで拝見した写真は何気ない日々で見かけるような、ちょっと微笑んでしまうような場面がそれぞれ印象的で・・・。
なんていうか、ハービーさんがカメラでとらえる「瞬間」は、他の写真を撮る人と比べて長いような感じがします。

・・・だから、画面に収まった場面から、その雰囲気がゆっくりとやわらかく心に染み込んでくるような。
なんとなく、日々を大事にしなきゃなぁ、なんて思ったり。。。
KENJI TAKI GALLERYにて。(3/2〜4/1)
http://www2.odn.ne.jp/kenjitaki/pages/intro1_j.html

銀座や青山と比べて近いのでいつでも行けると思っていていつも行きそこねていた初台のギャラリー、今回で2回目。
今回の展示はぴあで見てずっと気になっていて、観に行かなきゃと思っていたら会期終了ギリギリになってしまい・・・。

正面がガラス張りになっているギャラリーの中に入るとまず、今まで触れたことのない雰囲気に包まれるような感じ。。。
それぞれ紺と赤の単色の作品で、タイトルにあるように、字幕付きの映画の一場面をそのまま描いた作品です。

・・・ただ、描かれ方が違ってました。
たいていの作品は画面に色を足していくわけですが、今回展示されていた染谷さんの作品は、ベルベットの布に、漂白剤を使って色を「引いて」いって描くという、極めて斬新な手法。
スタッフの方の説明によると、一度濡らしたベルベットの布に漂白剤を薄めた液で、もともと一色のベルベットを漂泊していき、絵が完成したらもう一度洗ってパネルに張るそう。
だから、観る角度を変えると何も描かれていないところでさえ微妙にその見せ方を変えるのが新鮮でした。

こういう手法のせいか、これまで観たことのないような奥行きを絵に感じました。

また、色鉛筆によるドローイングも面白く、なんだか不思議な色使いだなぁ、と思ったら、4色が1本の芯にラミネートされている色鉛筆(お土産屋さんや小物店でよく見かけるような)を使用されてるそうで、行き当たりばったりの色で描かれているのが園枝の不思議さを醸し出す理由だそうです。

心のそこから拝見できてよかったと思える展示でした。
HIROMI YOSHIIにて。(3/11〜4/16)

ひとりの作家のとは思えないくらい、バリエーションに富んだ作品の展示でした。

入口すぐには鉛筆画。
奥、左手に銅版画。
奥、正面と右手にはアクリル画。

まず、鉛筆画。印象に残っているのが室内を上から描いたもので、その上に謎の模様のようなものが描かれている作品。
室内の絵の部分がヘタウマというか、位置は分かるけど角度がまちまちで笑えて、その上の部分はキッチュという。
他の鉛筆画も、上下で質の違う紙を貼り合わせていたりしてます。
アクリル画は大きく分けて2種類あって、チューブのようなものが画面を這うように描かれている作品が面白かったです。

驚きなのが、この作品群がおよそ1年のあいだに製作されたそうで、この短い期間でこれだけの作風の変化があるのは20代前半の勢いを感じます。
また、大きな目がモチーフにされている作品がいくつかあり、これは作家が来日している時に森美術館での「アーキラボ」展を観て感激し、インスパイアされたとのこと。そういうものがダイレクトに作品に反映されているところにも好感を持てます。

今後この作家がどんなふうに作風を変化させていくか、観てみたいものです。
TARO NASU GALLERYにて。(3/22〜4/16)
http://www.taronasugallery.com/exh/index.html

油彩の作品。
第一印象は「何を描いているんだろう・・・」と。
全部が全部まったく分からないのではなくて、ある作品はおそらく人や風景だろうというのもありましたが、それにしたって「なんでだろう・・・」という気持ちに。

色彩は鮮やかでその鮮やかさに見とれつつも頭の中に「?」を抱えていたら、ギャラリーのスタッフの方から「何に見えますか?」と質問されまして。
その絵は赤系統の色が折り重なるような感じで、答えあぐねていると、着つけられた着物で、その着物だけをさかさまに描いたものとのこと。
タネを明かされるとそれまで分からなかった絵たちが途端に「何か」に見えてきて、分からなかったものが分かる気持ちよさはなんともいえない快感で。

それぞれの作品が、普段目にしているものをモチーフにしていたり、もともと別の絵を重ねたように描かれているものだったり、とにかく視点のユニークさが面白いです。

また、スタッフの方のお話によると西原さんは筆の流れの跡を大事にされているそうで、たしかにそういう部分は強調されているようにも思えるくらい。
でも、リトグラフかシルクスクリーンでこのユニークさを堪能してみたいとも思います。

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