東京国立近代美術館にて。(3/23〜5/22)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Gogh/

人大杉。
ちょっと予想の範囲を超えちゃってました。

まず、常設から。
ここの常設は大変充実しているので毎回楽しみなのですが、今回はさらに志向を変えて、逆から観て回ることに。

というわけで、最初にギャラリー4の「所蔵作品展 戦後日本画の新風−横山操と中村正義」から。
たった8点の展示ですが、「これをしっかり観ないともったいない!」と声を大にして言いたくなるほどの素晴らしさ。

横山操は抽象の味わいも感じられる風景画で、岩絵の具の(先日お目にかかった川瀬伊人さんの言葉を拝借すると)マッドな感触で実にスケールの大きな作品。「ウォール街」は、断崖さながらに高くそびえるビル街に圧倒されます。

中村正義は「源平海戦絵巻」の連作5作品。
それぞれ海が金、青、黒、緑、赤で描かれていて、特に1番目の、これから海戦が始まらんとするシーン、武士を乗せたたくさんの舟が細かくびっしりと描かれているのに感嘆。

2回のフロアは1970年以降の現代美術。

まず、太田三郎の「SEED PROJECT」が目を引きます。
糊付きのパネルと和紙とでパッケージされた種子。和紙には採取年月日と場所、太田三郎の名前、その種子の日本名と学名それぞれが切手風に印刷されています。更に種子はきちんと並べられています(綿毛が付いているものはそうではないですが)。これがちゃんとデザインされたものに見えるから面白い!
杉浦邦恵のカーネーションの写真は、あざやかな青と黒の透明感が印象的。
先日ナディッフで拝見した松江泰治の写真も。
もっとも日が高い瞬間に撮られたと思われる山の斜面の写真には影と水平線がなく、「曝け出す」感じが何とも強烈。
荘司福の「土」。広い画面いっぱいの焦茶色が迫力満点。

3階。
抽象絵画のなかでは、不動茂弥の「秘儀」がインパクト大。
全体的にグレーで、方眼状にコラージュされた和紙、中国語らしきものが印刷された紙。強烈に「妖しい」空気。
日本画では、北野恒冨の「戯れ」。
緑に生い茂るもみじの木の前で、白粉を塗った女性が和服でカメラをいじっている絵。
その女性が着ている和服。緑地の着物と源氏絵か何かを描いたと思われる帯、髪飾り、それぞれが細やかに美しく描かれています。

4階。
写真の特集展示は椎原治、初めて観る作家ですが、コラージュやソラリゼーションの技術を駆使した作品が特に良かったです。
日本画は、菊地芳文の「小雨ふる吉野」の桜が堪らなく切なくて美しい。
屏風に広がる風景・・・手前には一枚一枚ていねいに花びらが描かれた桜、遠くに広がる、雨で霞がかったようにぼんやりとした、幻想的とも思える景色、それぞれが織り成すコントラスト。
川端龍子の「慈悲光礼讃(朝・夜)」。「朝」の、笹の葉が「青」で描かれていることと、その青の青さに驚き、その木漏れ日の先に、土の上に置かれたのか、それとも林のなかの池で泳いでいるのか・・・一匹の魚。ところどころに描かれているどくだみの花の白も印象的。
このフロアの特集展示「描かれた景観 写り行く東京」では、川瀬巴水の木版画の素朴な感じがよかったです。

常設だけで2時間近く。
こういう展示を観ると、現時点での自分の好みの傾向みたいなものが浮かび上がってくることもあります。そういうことを確認するのも興味深いです。

それからゴッホ展へと。
けっこうゴッホ以外の同時代の作家の作品も展示さていて、ゴッホの作品よりもシニャックとセザンヌの作品に惹かれました。
これまで様々な展示でゴッホの作品に触れ、そのたびに煌めくような色彩に感動してきましたが、こうやってゴッホの作品が集まるとその厚塗りの油絵具の質感が正直なところくどく感じられて、だからシニャックの点描画の爽やかさやセザンヌの薄塗りの淡白さが心地よかったのかな、と。

半年前だったらもっと違う感想になっていたと思いますが、今回ゴッホの作品を楽しめなかったことに対して、今の気分がそうなんだな、と思いのほかさばさばした気分で会場をあとにしました。

《感想リンク》
http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/2005/03/post_12.html
http://blog.livedoor.jp/blockheaddesigns/archives/18034963.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/03/post_2.html
http://bamboo.txt-nifty.com/blog/2005/03/post_9.html
http://kokoniikim.exblog.jp/2472848
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/04/post_1906.html
http://s-tamako.cocolog-nifty.com/mamart/2005/03/post_11.html
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=203
http://sahashi.exblog.jp/2429961/
・ゴッホ展 孤高の画家の原風景 @東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
・アール・デコ展 −きらめくモダンの夢− @東京都美術館
http://www.tobikan.jp/
・行為の桜 玉川紅展 @gallery J2
http://www.g-j2.com/
・花に聞く −PLANTS & FLOWERS− @OPA gallery・shop
http://www.geocities.jp/opa_gs/
・浅葉 春 個展「蠢蠢」 @b gallery
http://www.beams.co.jp/beams/b_gallery/b_gallery.html

他に、美篶堂にも行くことができて、先週はお目にかかれなかった古賀充さんから直接、作品製作にまつわるいろんな話を伺ってきました。

それにしても、ゴッホ展とアール・デコ展である。
まさに「魔が差した」としか言い様のないセレクトでございました。
・・・といっても午後からの浦和戦@味スタのためにそんなに回れなかったのですが。

・呉亜沙展 My Position @ギャラリー椿
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki.html
・アルチュール展 @Gallery銀座一丁目
・大河原典子 個展 @スルガ台画廊
・親愛なる日々の光景 石居麻耶展 @ごらくギャラリー
http://www.h6.dion.ne.jp./~goraku.g/

今日は朝の天気予報の時点で午後の降水確率が80%だったので、東京駅まで電車で行ったのですが、雨なんか降りゃしないじゃないかヽ(`Д´)ノ
ギャラリーf分の1にて。(4/5〜4/10)

あらためて、「文字」、特に「漢字」って面白いと思うのです。
その文字、デザインとしてすごく面白い。
それぞれの文字がきちんとその「意味」を表すようなデザインになっているところが。

こちらの展示では、甲骨文字をモチーフにしたデザイン画、甲骨文字を織り込んだ風景の絵、書道作品がありました。
デザイン画は、栗の太い線が「文字」を表し、それぞれの線に仕切られた箇所が鮮やかな色で描き分けられていて、文字としての面白さに加えてキャッチーな色彩が楽しいです。
風景の絵はその延長。絵のなかに文字を見つけるとワケもなく嬉しくなってきます。
そして、共に書道の作品が展示されていることで、それらの作品にも説得力が増してくるようです。

あまり観る機会はないものの、書道作品もけっこう良い感じでして。
書道自体は自己流だそうで、こちらにも甲骨文字らしき作品があったのですが、むしろそうだからこそ、この作品群に型に収まらないような魅力を感じたような気がします。

実は閉まる直前にお邪魔したのですが、それにもかかわらず結構長い時間見せていただいて、ギャラリーに感謝です。
ギャラリーなつかにて。(4/4〜4/9)
http://www008.upp.so-net.ne.jp/g-natsuka/takatsumie050.html

独特の「青」の世界。
作品によってそれぞれ青の濃さは違うのですが、作品の雰囲気は全体的に統一された感じです。おそらく「描かれるもの」が近いからかと。

木版画です。
描かれているのは、どこかわからないけどどこかの風景のような...なんとなく公園っぽい印象。
さまざまな青のグラデュエーションで作品のなかのいろんなものが描かれています。また、横に長い作品もあって、こういう作品は「分からないどこか」を、より具体的にイメージさせてくれます。

この独特の青の秘密は、かなり手の込んだ製作過程にあるようで。
小幡さんによると、使う画材は油彩と水彩の両方、木版も凹版と凸版のどちらも使われるそうで。

このギャラリーは銀座の真ん中に建つビルの8階にあって、動労に面した壁はガラス張りになっているのですが、お昼に伺ったこの展示、もし夜に観ることができたら、より「青」の深みが増したかも。
ギャラリーUP・Sにて。(4/4〜4/10)
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/yasuda.html

もともと木版画を製作される方だそうですが、体調を崩されてバレンで刷ることがままならなくなり、それをきっかけに木のオブジェ作品を製作されるようになったそうで。

そういう経緯で製作された作品は、子どもの頃に工作が楽しくてしょうがなかった気持ちが思い起こされるような感じです。
すべて壁に掛けられていましたが、箱状になっていて、その内側は敷居のようなもので仕切られていて、それぞれの「部屋」で、あるところはへんてこな顔のようなオブジェになっていたり、またあるところは小さな木版画のコラージュになっていたり。

「作る」楽しさが伝わってくる作品というのもいいなぁ、と。
ガレリア・グラフィカbisにて。(4/4〜4/9)
http://www.gei-shin.co.jp/info/art1009.html

ちょっとこの、「絵」から受ける迫力というか、圧倒的な何かを感じることはそうそうないような気がします。

日本画です。
ただ、それは画材が岩絵の具だから、というだけで。
もっとも、もしこの絵が油彩だったらちょっとくど過ぎるとも思うので、岩絵の具であることは案外大事なのかもしれない、と今は思ってます。

繰り返しますが、ものすごい迫力。
大きさもその要因のひとつでしょうが、それよりも分厚い木の板が観音開きになっている画面が、高橋さんの作品の迫力に貢献しているように思えます。
描かれているのはおそらく風景。
黒や濃い茶色、錆のような、あるいは燃える赤など、底から迫ってくるような力強い色彩で描かれた、抽象に片足突っ込んだようなその風景・・・炎を吹く煙突であったり、噴火する火山であったり、とにかくそういう「熱」と「重さ」とがまず連想されます。

・・・もし、川村記念美術館のロスコーの部屋のような、暗いところに展示されていたら...と想像するだけで、背筋が緊張する思いです。
不忍画廊にて。(4/1〜4/9)
http://www.shinobazu.com/exhib/0504-1.htm

鏡にシルクスクリーンを施された作品と、アクリル画に一部コラージュが加えられた作品。

入口を入ってすぐに目に入ってくる鏡の作品、こちらがちょっと他では味わえない質感。
鏡の表面に淡い色彩とシルエットの黒色がシルクスクリーンで刷られていて、作品が放つ静謐さが印象的。そして、「鏡」なので、角度を変えたり当てる光の種類、照明か自然光かでもまったく表情を変えるのも大変面白く。
描かれている情景は今回の展示のテーマが小津安二郎の映画ということもあって懐かしいような感じで、それと新しい感覚で描き出されていることとのギャップもまた面白いです。
こちらの会場においてあった冊子を見て気付いたのですが、この手法の作品は昨年のシェル美術賞展でも拝見していいて、その時も独特な感じが印象の残っていました。

アクリル画は抽象的でもあり...いわゆる抽象画ではなくて、作品から連想する物語が抽象的というか、ぼんやりしたストーリーのようなものを思い浮かべてしまいました。
損保ジャパン東郷青児美術館にて。(3/10〜4/14)
http://www.sankei.co.jp/event/sonpo2005/

平日の夕方にバタバタと観たのであまり余裕がなく、しっかりと拝見できなかったのですが、たくさんの作家の作品に触れることで自分が今どういう作品が好きなのかを確認できたような気がしてます。

既知の作家の作品にこういう会場で出会えるのも楽しみのひとつ。
金丸悠児さんの絵は、もしかしたら昨年の個展で拝見したものと同じかも、とも思うのですが、やっぱりいいなぁ、と。
かなりの大作なので、大きな会場で拝見するとより迫力を感じます。
小西真奈さんの作品は、昨年はオペラシティで拝見。
距離をおいて観ることができて、前回感じることができなかった奥行きが。
東儀恭子さんの犬の絵も、おそらく観た作品だと思いますが、やっぱり独特の質感が良い感じです。

初めて拝見する作家のなかで印象に残ったのは、空を吹き抜ける風ごと描かれたような島の俯瞰画という味わいが清々しい「語り島」の會田千夏さん、金丸さんのとなりに展示されていて、大きな画面に様々なもの、宇宙船から動物、人、花などが描き込まれていて圧巻だった「TOUGEN」の鴻崎正武さん、お椀を逆さにしたようなコミカルな大木のなかに、生徒2人と先生が授業をやっている、なんともアットホームな「樹上講議」の吉本作次さん。

時間に余裕がなくて、もっと他にも印象的な作品はあったのですが、これだけメモしておくのが精一杯でした。。。
epSITEにて。(3/23〜5/6)現在開催中!
http://epsite.epson.co.jp/takasago/takasago.htm

東京都写真美術館は別格として、写真の展示に特化したスペースのなかでいちばん好きなのがこちら、エプソンのギャラリー、epSITE。
今回の展示は、とにかく美しい自然の写真がいっぱい。。。

世界各国で撮影された自然のなかのシーン。
海や空の青、木々の緑、サンゴの赤、夜空の漆黒...どれもホントに存在することが信じられないくらいに澄み切った原色で、これらの色彩を撮ってくれたことにとにかく感謝です。

これらの景色を実際に目にした時の感動は、どんなものだろう...。
BUNKAMURAギャラリーにて。(3/25〜4/4)
http://www.bunkamura.co.jp/gallery/event/ma.html

ハンズ大賞を観たあとに立ち寄ったBUNKAMURAギャラリー。
3人の作家による展示で、それぞれに味わいのある作品が並んでいましたが、なかでも岡野香さんのガラス作品に惹かれました。

岡野さんのガラス作品は平面なのですが、比較的厚めのガラス板が3、4枚重ねられていて層をなし、それぞれの層にちょっとくすんだような色で彩色されています。
そのガラスの厚み分の奥行きが面白く、透明感は水のようでもあり。

これらのガラス作品から風景を連想するというよりは、どこかの壁に組み込まれているところも観てみたい気がします。
美篶堂にて。(4/5〜4/17)現在開催中、ぜひ!
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/gallery.html

紙の作品と、石の作品と。

石の作品は、川原などで見つけた小さな石に細かい粒子を吹き付けて加工したものだそうなんですが、これがなんともかわいいんです。
花瓶のように上の方にちょこっとだけ口がついたようになっていて、ここに小さな花が挿してあって。
これらの石も厳選されているようで、きれいな縞模様が入っていたりして、自然の色彩も楽しいです。

紙の作品は、ステンシル(抜き版画)にも似た手法で型紙をあててスプレーで彩色されていて、そのスプレーで吹き付けられてできた粒子の集まりがふわりと浮かび上がらせたような質感は、何となく昔の想い出のような不思議な感じです。
またある作品ではその彩色されたものを切ったり折ったりしているものも。
素朴な感じが良かったです。

古賀さんは本来はガラス作品を製作されるそうで、その際も細かい粒子を吹き付けて製作されるとのことなのですが、もともとある素材の質感を大切にされるようで、ここで展示されていた作品も石や紙の質感がちゃんと伝わってくるようでした。

また、紙を切って組み合わせて作られた葉っぱがあって、これがまた丁寧な作品で。。。

お邪魔したのがかなり遅い時間で古賀さんとお目にかかれなかったのが残念でしたが、直接お話を伺うといろいろと興味深いことが聴けそうな気がします。
BUNKAMURAザ・ミュージアムにて。(3/29〜4/3)
http://www.tokyu-hands.co.jp/f_awd.htm

一時期毎年観にいってましたが、今回どこかで開催のお知らせを見かけて、久し振りに観てきました。

やっぱり面白いです!
動かして楽しむ作品に故障中なのが多かったのは残念でしたが、動きのあるものはその機能的な部分が強調されている感じでそこがまたユーモラスでもあって。
驚いたのが、小学六年生がダンボール氏などを使って製作した、ビー玉が転がっていくお城のようなもの。
ビー玉の軌跡は相当に複雑で、これを小学生が作ったのかと思うとホントびっくり。。。

また、アート作品として充分通用する作品も。
そういうなかでは木屑やら木の実やらを使って製作された小さなケーキの模型がいちばん印象に残りました。

「丁寧な仕事」というのはそれだけで充分見応えがあります。
LOGOS GALLERYにて。(4/1〜4/13)
http://www.parco-art.com/web/logos/taitsu_kun/

ぴあで知って。ちょっと面白そうだったので観てきました。

・・・いやぁ、くだらない!(笑)
雑誌のキャラクターらしいのですが、2人組の「タイツ君」による言葉には至極共感するものから凄まじくどーでもよいのもまで様々。それをひとつひとつ取り上げてポストカードやパネルなどに印刷されていたり。
こころとからだの元気プラザにて。(3/14〜4/8)

昨年、銀座の月光荘でお目にかかったMikiko Raiさんから個展のお知らせをいただき、飯田橋の医療関連のビルの1階の展示スペースへ。

昨年拝見した時は小品の展示だったのですが(会場も小さかった、というのもありますが)、今回はその時よりもずいぶんと多きな作品がいっぱい。
画面が大きくなるだけでもずいぶんと印象が変わるようで。。。

その広くなった画面の作品で特に印象深かったのが、紙を何層か重ねて流線形が描かれたもの。
その画面の広さの紙を重ねているのですが、その贅沢な感じも良いですし、広いぶん曲線の描く「流れ」のがゆったりと感じられます。
もちろん、何かを描いた作品には相変わらず丁寧で細かい仕事がたくさん詰まっていて、こちらも味わい深かったです。

紙という大変親しみがある素材のみが使用されていることもあって、観ていると童心に帰ったようでもあり。。。

Mikiko RaiさんのHP:http://m-rai.com/
スルガ台画廊にて。(3/28〜4/2)

DMのポストカードを拝見した限りでは何の変哲もない風景画かな、と思いつつも、こちらの画廊での企画「レスポワール展(画廊が期待する若手作家をピックアップして1週間ずつ展示)」ではホントに素敵な作品を描かれる方々が紹介されているので、この日も期待しつつ。

・・・やはり、実際に作品を目の前にすると印象がぜんぜん違います。

荒木さんの作品は日本画。
入口正面の壁に大きな海辺の絵。その広さ、作品自体の広さだけではなく描かれている風景への印象としての「広さ」に感嘆。
さらに、入口側の壁にある比較的小さな作品は、空をバックにした木のシルエットで、こちらもきれいで。
他の作品も細かいところまで丁寧に描かれていつつ、それだけではなく絵の表面に独特の凹凸が見受けられていて(なんとなく石居麻耶さんの作品にも通ずるような・・・画材は違いますが)、その感覚が何とも、良い。

荒木さんは大学では過去の日本画の復元などを学ばれていたそうで、劣化して色彩が鈍くなっているものを分析して元はこんな色だった、という具合に再現するそうなのですが(過去の仕事のファイルを拝見したのですが、目からウロコが落ちるような素晴らしい仕事)、そもそも、絵を描くうちに「描く」ことそのものへの興味がつのり、それを突き詰めるべくこちらの方面に進まれたそうで(表現が上手くないかもしれないのですが・・・)。
ちょっと考えたこともなかったことだったので、大変新鮮でした。

ケーキまでご馳走になってしまいました(凄まじく食すのに苦労を強いられる代物でしたが味は絶品)、感謝と恐縮と...。
・藤田夢香2005−晩春花ー @不忍画廊
http://www.shinobazu.com/
・高橋芙美子展 @ガレリア・グラフィカ bis
http://www2.big.or.jp/~adel/grafica.html
・安田勝彦展 @OギャラリーUP・S
http://www4.big.or.jp/~ogallery/
・小幡悦子展 @ギャラリーなつか
http://www.ginza.jp/natsuka/
・佐藤弘延展 @ギャラリーf分の1
http://home.att.ne.jp/air/galleryf-1/
・古賀充の作品展 @美篶堂
http://www2.ttcn.ne.jp/~misuzudo/

今日は最初に日本橋三越で行われていた横山大観展へ。
間違いなく混雑するだろうからと開店と同時に行くつもりが、例によって家でぐずぐずしてたおかげで三越に到着したのが11時前、当然のように激混みで。
それでも並ぶことなく入れたのでとりあえず観るだけでも、ということで速攻、5分ほどで観て回ってしまいましたアハハハハハハ。

                 orz

大観展の会場を出てそのまま来た通路を戻っていたら、同じフロアの別会場で行われている院展(良く分からないのですがこんなタイトル)の会場で展示されている1枚の作品が目に入ってきました。
芸大の校舎の窓を描いたような絵で、描かれた風景だけではない、何となく観たことあるような感じがしたのですが、これが野地美樹子さんの作品で。
そのことに気がついてあらためて観てみると、窓辺に積もった銀杏の葉はまぎれもなく野地さんのテイストで。
この会場には他にも既知の作家の作品があるのかも、とも思いましたが、時間がなかったので観ずに会場をあとにしました。

それから先週に続いて川瀬伊人さんとMYU↑さんの展示を少しずつ観たりしながら銀座を回って渋谷にバドミントンを観に移動、それが終わってからお茶の水へ、という具合に今日もまたありえない動線を描きつつ。
アートフロントギャラリーにて。(3/15〜4/3)
http://www.artfront.co.jp/jp/hsg/lib05_03.html

水彩画とシルクスクリーンの作品の展示。
(今気付いたのですが、墨絵もあったそうで)
水彩の作品とシルクスクリーンの作品とはぜんぜん違う感触で、同じ作家の作品とはとても思えないほど。

水彩画は、奇妙にねじれた蔦のようなものが描かれるなかに鳥や目というモチーフが折り込まれていたり描き加えられていたり。
しかも儚ささえ感じてしまうような淡い色彩で描かれていて、なのに不思議とやわらかな幸福感が感じ取れるような、そんな作品。

シルクスクリーンの作品は連作になっていました。
もともと瀧口修三の作による詩「夜曲」の挿し絵のようでもありますが、むしろその詩のなかの謎めいた節々を「忠実に」描いたような感じ。かなり不思議な場面の絵となっていて、モノクロで描かれていることもあってその言葉の「深み」みたいなものがよく表現されているようでした。
ちなみにこの「夜曲」という詩、なんとも謎めいていて何かの暗号のようにも思えてしまうほど。この詩に出会ったおかげで瀧口修三展に行ってみたくなったのですが。

余談ですが、こちらのギャラリー、無人のときがけっこうあってドキドキします。
APS西村画廊にて。(3/15〜4/2)
http://www.nishimura-gallery.com/exhibition/2005/sade.html

先日のVOCA展で拝見して気になった作家のひとり、町田久美さんの個展。その時は大きな作品でしたが、こちらでは比較的小さな作品が中心。

麻紙に墨で描かれた線画に、一部、色が入ったグロテスクな人。
身体の一部が機械のようになっていたり、爬虫類とか、人とは別の生き物を想像してしまうような表情をしていたり。
そしてすごく細かく描かれているのも印象的。日本画的な「墨絵」の質感と現代的・近未来的な絵とのミスマッチも、麻紙のベージュ色の味わいと墨の青味がかった黒で描かれることでさらに強調されて、見入ってしまいます。
またその中にわずかだけ入っている赤や真っ白や紺といった色彩が絶妙なアクセントとなっていて、より鮮やかに感じられます。

ここで展示された作品はすべて一枚一枚完結した世界があったように思えましたが(一部、本の挿し絵だったようですが)、もしも連作となっていて、数点でまとめて観ることで何らかのストーリーが伝わってくるような作品があればどんな印象を受けるだろう、と想像・・・。
もっといろいろと拝見してみたいと強く思いました。

《感想リンク》
http://a-third.cocolog-nifty.com/th/2005/03/a_sade.html
http://koso.jugem.jp/?eid=328
・三澤浩二展
ギャラリー椿GT2にて。(3/28〜4/2)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050328gt.htm

サイトの写真を拝見してただの青い絵なのかな、どんなもんだろうと観てみましたが、実際に目の前にすると微妙に濃さや別の色が混ぜられたような様々な青で、なんとも不思議な奥行きが表現されていました。
時間に余裕がなくてじっくりと拝見できなかったのが残念でしたが、三澤さんは山口在住とのことなので、短い時間でも拝見できて良かったな、と。

・杉田達哉展−朝の集まる場所−(3/28〜4/9)
http://kgs-tokyo.jp/tsubaki/2005/050328.htm

こちらは油彩のような質感をもったアクリルの絵画。
描かれているものはぜんぜん違うのですが、なんとなく有元利夫の世界観を良いなと思うのに似た、知らないはずの中世の昔の記憶を感じるような・・・。

全体的にベージュの絵で、米粒くらいに頭が小さい女性がほとんどの絵に描かれています。
背景と女性はかなり曖昧な風合いなのに対し、滑車や四角錐、それらを繋ぐピンと張られた紐の「円」や「直線」はケレン味がなく。そのアンバランスに思えるところが独特の味わいで、こちらもまたじっくりと拝見、というワケにはいかなかったのですが、それでもこれらの世界観を堪能できました。

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