今年最初の県境越えは、浦和の美術館巡りでした。
観たのはもちろんこの2つ。

・倉田白羊展 @埼玉県立近代美術館
http://www.saitama-j.or.jp/~momas/
・フルクサス展 @うらわ美術館
http://www.uam.urawa.saitama.jp/

・・・例によって自転車で行ってきました。
天気が良かったおかげで、帰路の幸魂大橋で見た空のパノラマはすばらしくきれいでした。

本当はギャラリーを兼ねたカフェが浦和駅近くにあってそこも寄りたかったのですが、靴を脱いで入らなければならないのをちょっと面倒に感じて、また今度の機会におじゃましてみることに。

さすがに自転車で片道2時間、美術館にいる間もだいたい立っているのでどこかでひと休みしたいな、という気分の帰り道。
笹目通りからほんのちょっと入ったところに良い感じの雑貨屋兼カフェを見つけたので入ってみました。
通り沿いに大きなベニヤ製の三日月があるこのお店、天井が高くてゆったりとしていて、女性ものが中心でしたがなかなか気の利いた小物がいっぱい。
しばらく店内を見た後にカフェのコーナーへ、コーヒーがポットで500円だったのでそれをオーダーして、そのおいしいコーヒーとコートのポケットに忍ばせた文庫本とで1時間ほど、店内に流れていた女性ボーカルもののジャズも心地よく、落ち着いた時間を過ごせました。
ちなみに今読んでいる本は、otokimiさんが大晦日に紹介されていた「大和路・信濃路」(http://ch.kitaguni.tv/u/8463/ の12/31分です)。この時代の作家の作品に触れるのは学生の頃以来です。綴られたことばのひとつひとつを味わいながら、じっくりと読んでます。
まだまだお正月休みが続いてるところも多いのですが、そのおかげでひとつひとつじっくり拝見できた本日のギャラリー巡り。
印象に残ったのは以下の通りです。

・K’s Galleryに集う作家たち展 @O美術館
http://www.shinagawa-culture.or.jp/o_art/
・PERSONAL LANDSCAPE/Nobuto Fukutsu @GALLERY SPEAK FOR
http://www.abahouse.co.jp/
・山口晃展「売らん哉」 @ミヅマアートギャラリー
http://www.mizuma-art.co.jp/news_j.html
・ギャラリーアーティスト新作展 @HIROMI YOSHII
http://www.hiromiyoshii.com/
・第12回 コレクターへのすすめ展 @Oギャラリー
http://www4.big.or.jp/~ogallery/
・ガラス絵 ささめやゆき・カラクリ小屋 中里和人 幻燈サーカス展 @銀座東和ギャラリー
http://www.ginzatowagallery.com/
・浜田賢治展 @ギャラリー La Mer
http://www.g-lamer.com/

・・・イレギュラーを2つ。

まず、代官山のアートフロントギャラリー(http://www.artfront.co.jp/ )。
ガラス張りのギャラリーの前を通ったら、お休みのはずなのに明かりがついていて、その上ギャラリーの中には作品。
やってるのであれば、とお邪魔しようとしたら施錠してあって、ドアには「ご用の方はアートフロントグラフィックス(すぐ側にある、アートのお店)へ」みたいな札がぶら下がっていたので、スタッフの方に尋ねてみたら、とりあえず外から観て楽しんでいただけるように展示されているとのことでした。
で、ご厚意でギャラリーの中に入れてくださいまして、その上各作品の説明までしていただきました。
会場内は、満開の桜の屏風、ベトナムの作家による木製の立体作品、レバノン(だったとおもおうのですが、とにかく西アジア)の作家による鉄のオブジェ(東大寺の池でのインスタレーションで使われたものだそう)。アジアンハイブリッドという感じでなかなか良かったです。

もうひとつは、京橋のギャラリー椿(http://kgs-tokyo.jp/tsubaki.html )。
普通に看板が出ていたので「あ、やってる」という軽い気持ちでお邪魔しました。
いちおう観ても大丈夫か尋ねると「いいですよ〜」と快諾。
しかし、床には段ボール箱やら梱包材やら・・・。
で、展示されていたのは綿引明浩さんの作品。
透明のアクリル板(もしかしたらガラスかも)に描かれたかわいいキャラクターなどの絵が何層か重ねられて、なんとも不思議な奥行きのあるファンタジックな作品で和めて良かったのです。
・・・で、会場を後にする時に知ったのが、実は綿引さんの展示は昨年最後の展示で、ちょうど片付けの最中に伺ってしまったという・・・。

お手数をおかけ致しました...。
にじ画廊にて。
http://www12.ocn.ne.jp/~niji/

近所に素敵なギャラリーがあるのはありがたい・・・。

この「mamechan展」、今日が初日。
ちょうどオープニングパーティーの準備中にお邪魔してきました。

シンプルなイラストがたくさん。
「mamechan」というちいさな女の子が主人公。この女の子がいろんな表情を見せながら、イラストの中で楽しそうに遊んだり、考え込んでたり。
中には連作になっていて、順を追って観ていくとほのぼのとしてしまう「オチ」がついていたり。
展示作品のほとんどがプリントで、原画は2枚だけだったのが残念といえば残念だったけど、ゆったりとした作品に出会えてよかったです。

で、このはまのさん、すでにいろんな本の挿し絵(村上龍多数、村山由佳も)や福山雅治のビデオクリップ(これは会場で拝見しました。素敵なアニメーション)を手掛けられています。

出たばかりの絵本「mamechan」。
ちょっと読ませていただいたら、このちいさな女の子がまわりを幸せにしていくようなイラストがすごく良くて、柄にもなく買ってきてしまいました。

(はまのゆかさんのHPはこちら→ http://www.hamanoyuka.net/
東京都庭園美術館にて。
http://www.hikarinochoukoku.com/exhibition.html

チケットはずいぶん前に入手していたのですが、野外でのインスタレーションを見逃して、ようやく本日、庭園美術館の2005年初日に行ってきました。

タイトルの「光の彫刻」という言葉からいろんな情景をイメージできて、すごく楽しみにしていましたが、その期待を裏切らない、いや、ある意味、田原桂一を知らなかった僕にとって意外な方向へ裏切られた、素晴らしい展示でした。

まずこの美術館の敷地内に入ると、いきなり大きな光のオブジェが。そして美術館の玄関にも同様にガラス部分の光が美しいオブジェ。

そして会場に入ったら、アトリウムの真ん中に、石像がプリントされた布が4面に張られ、中心に光源を据えてゆっくりと回転するオブジェ。壁には同じく石像が大理石にプリントされた作品。
今まで経験したことがなかったような幽玄な世界。

今回は1階が主に「トルソー」と呼ばれる、石像の各部位の写真を大理石や布、ガラスにプリントした作品が中心。
その大理石のいくつかの作品のには金箔が一部に、その写真の一番重要と思われる部分であったり、また写真を強調するように使用されていて、この金色の部分が特に、観る角度、すなわち光が当たる角度の変化によって輝きが変わって、しばし見とれました。
もっと感動したのが、自然光が当たるようになっていた作品なんですが、薄雲にかくれた太陽が少しずつ顔を見せた時、その金箔の輝きがだんだんと増していった、その瞬間に遭遇しておもわず涙が出るかと思うほどに感動。。。

他にも1階にはアルミにプリントされた作品もあり、こちらも日の光の明るさで劇的に表情を変えていったのが印象的でした。

そして2階。これが僕にとって意外だったのですが、本来田原桂一は写真家だそうで、これまでの写真作品が各部屋に展示されていました。
これがまた素晴らしい・・・。

作品はすべてモノクロ。
「顔貌」「都市」「ポラロイド」「窓」という順番で各部屋に展示。
それぞれ、「この人だからこう撮った」という強い意志が伝わってくるような存在感。

特に僕が釘付けになったのは「都市」と「窓」各作品。
「都市」は、おそらくパリの風景なのですが、モノクロームの「白」と「黒」のコントラストが絶妙で、しかも画像がある作品は細かく、またある作品は相当に荒く、といった案配になっていて・・・細かいものは「光」が鋭く輝き、荒いものは「重い」印象。
「窓」は、田原がパリでの下宿時代に住んでいた屋根裏の窓からの景色の写真らしいのですが、その窓から見える町並みや空、雲、雨粒、夜の闇、それぞれの瞬間にとらえられた「光」の表情が美しかったです。

ものすごく説得力のある、美しい展示でした。

《感想リンク》
http://blog.livedoor.jp/plaudite/archives/11471685.html
http://jours.exblog.jp/158510
http://blog.goo.ne.jp/lysander/e/b2c5d36b26fe4e346c613573d702b903
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/91e6843018f98c29f7dd2c7c2aa4c4f0
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2004/12/post_11.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2004/12/post_8.html
森美術館にて。
http://www.mori.art.museum/contents/archilab/index.html

何なんだ、この展示はァ!

建築の展示はこれまで行ったことがなかったのですが、森美術館のサイトの解説で、
・・・約90名の建築家、220のプロジェクトを、およそ500点の出品物 で紹介する・・・

とあり、その展示数の多さに惹かれて今年の正月も六本木ヒルズ。

毎年恒例の初詣でを済ませて、森美術館に入ったのが午後3時を少し回った頃。
何やらこむずかしい説明文を適当に読んでいざ鑑賞。。。

この展示は4つのセクションに分かれています。
それぞれ、
【1】脈動する都市−実験室としての身体
【2】終わりなき都市−拡張する環境
【3】解体される都市−新しいシンタックスの創造
【4】文脈化する土地−新技術と共生の時代
となっていて、おおまかに時代ごとに分けられている感じでした。

まず順番に観て回るわけですが、まあ変な形の建築模型やらデザインやら。
建築模型は内装がどんな感じか分かるものはきちんとチェック。
説明の内容がしっかり頭に入ってこない中で印象に残っていったのは、やはり分かりやすくインパクトのあるもの。
僕の場合、最初のセクションでプロジェクターで上映されていた、水上などで大きな風船を使って行われていたインスタレーションと、棒と鎖のみで、複雑に張り巡らされた鎖の張力のみで組み上げられた立体(これは単純に感心した)。
それ以降だと、ちょっと複雑な模型などにも目が行くものの、概ね消化不良気味で一通り観終えてしまいました。

その物足りなさを払拭するべく、入り口に置いてあった、全部ではないけど各展示の説明が掲載されたパンフレットを片手に、2周目開始。

相変わらスッと頭に入ってこない説明ではあったけど、それでもしっかり噛み締めるように読み込んで、説明のある展示を順番に観て回ったんですが・・・

徐々に覚醒。
それぞれの建築作品のアイデアの源や、何が画期的だったかとか、観ただけでは分からない情報を知ることで一気に作品が奥深いものに。

・セクション【1】
プラスチックという素材が出てきて、より「簡易」な方向へと進んだ建築多数。
特に、全部プラスチック製の家をさくさく建てる映像が、画像は悪かったけど面白かったです。

・セクション【2】
「斜面が人の移動を起こす」という論理によって建てられた教会。ここでいう「移動」とは、たぶん人の「意識」の移動のことだと思う。
外見は「壕」のようで、裏腹に内装はおだやか。映像やデザイン画で確認する限り、その教会の中は「V」の字型に窪んでいました。
その「斜めの都市」論はもしかしたらコンサートホールなどの客席の構造にも当てはまるのかも。
さらに、「空中都市」。
「空中に造っちゃえば上にも横にも広げ放題じゃん!」なんて発想から出てきたらしく、もうやりたい放題(笑)。
ただ、説明文によると「谷」の開発として谷間に浮くように空中都市を建てようとした都市計画には正直唸った。

・セクション【3】
このセクションにはカウンターカルチャーの香りが。
これまでのスクエアな、つまり能率重視の建築を皮肉るようなコラージュやイラスト、模型が。
そんな中、アメリカのベスト社のビルのデザインが、瓦礫が崩れているように見せ掛けたり壁が剥がれているようになっていたりしていて、かなり興味深かった。
また、最初のデッサンを目を閉じて書き上げて、もちろんそのデッサンはまったくワケが分からない代物だけど、それをしっかり活かして造ってしまった屋上建造物にも驚いた。

・セクション【4】
ここは、もう最先端の建築。
なんていうか、ハイブリッドでフュージョン。
あらゆる偶発的な線さえもデザインに大胆に取り込み、とにかく斬新で奇抜。
そして、大型のプロジェクターで現代の建築家のプロジェクトの映像がたくさん流れていて、どれも「どうしてこんなイメージが湧くかねぇ」と感心しきりでした。

というわけで冒頭の断末魔になるわけですが。
これまで3時間というのは何回かあったけど、ひとつの展示で5時間以上かかったのはさすがに初めて、それでも100%の達成感は得られてないのです。
こんなに頭を使ったのはロシア絵本展以来。
すべての展示は目的があるから、「感じる」よりもう1歩踏み込んで「理解する」ことに徹したらめちゃくちゃ気持ちが入り込んでしまいました。

会場を出たのはもう8時半過ぎ。
帰りに東京の夜景をささっと観て、六本木を後にしました。とにかくお腹が空いていたので。。。

《感想リンク》
http://hamatomo.s57.xrea.com/mt/archives/000151.html
http://4ad.cocolog-nifty.com/slow/2004/12/post_15.html
http://blog.goo.ne.jp/pizz/e/9b42876d846b4ce27585fe2d60f550a1
http://blog.goo.ne.jp/feltmountain/e/351a1da6c3c167e5ffc4d232583a5ec2
ブリジストン美術館にて。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/

今年最初に何を観ようか考えて、昨年いちばん良かった美術展がまだ開催中なのだし、もう一度見たいと思っていたこともあったので、箱根駅伝の経過を気にしつつ京橋まで行ってきました。

やっぱり良かった。
一度観ているにもかかわらず、作品と対峙している時の緊張感や、たとえばほんのわずかな色の濃淡、飛び散った絵の具のごく小さな斑点、それらが織り成す色彩のハーモニー、とにかくそれぞれの絵のすべてを知りたいという好奇心を維持しながら絵の世界の没頭できた。
前回観た時も相当長く会場に居たはずなのに、今日も3時間ほど観ていたということは、ザオの絵の世界はそれだけ、少なくとも僕にとっては相当に深いのだろう。

そして、今回はギャラリートークにも参加することが出来ました。

自分なりにザオの世界を分かっていた(楽しめたという時点で充分分かっていたと言っていいと思う)つもりでも、こうしてお話を伺ったことで自分の理解力では感じることができなかった感覚や、初めて知る知識がたくさんあって、参加して本当に良かった。
特に、「私たち二人」という作品に黒で描かれているものがザオの中国名「無極」のように見えることや、会場最後に展示されているモネに捧げられた大きな絵は、モネ自身による作品がモチーフにされていることであったり。
ギャラリートーク終了後にさらに1時間ほど観たが、その前とはまた違う、新鮮な感覚が沸き上がってきた。

完成した日付けをそのままタイトルにした作品が多いのでタイトルだけでは何も伝えられないけど、僕がいちばん好きな作品は「10.03.76」。
この絵を観ると、目が覚めます。覚醒する感じがします。

名前を失念してしまいましたが、ザオの友人であるフランスの詩人の言葉に「ザオの絵は幸運を呼ぶ」というのがあるそうです。
年明け最初に観るものとして良いものを選んだなぁ、と。

今年もたくさんの良い作品に出会えますように。

《感想リンク》
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=89
http://road-weed.de-blog.jp/m_days/2004/12/post_8.html
http://museumagogo.cocolog-nifty.com/museum_a_go_go/2004/11/post_2.html
http://okehazama.cocolog-nifty.com/hiru_tsuki/2004/12/post.html#comments
http://blog.goo.ne.jp/lysander/e/5386357805df43333b7e72e60f204981
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/5985c3a705b1c216145b159afc3253bc
http://sweets-roses.com/sb/log/eid342.html
というわけで、ベスト10中心に、僕なりにこの1年に観た美術展を振り返ってみます。

まず、1位と2位に挙げたザオ・ウーキーとロバート・ライマン。
いろんな意味で対照的な展示でしたが、こうやって並べて思い返すと、対照的だからこそ、僕の中では「対」になっているような気がしてならないのです。

様々な色彩のザオ、白一色のライマン。
窓のない小さな部屋が連なっているようなブリジストン美術館、吹き抜けで広く、自然光の川村記念美術館。
絵の世界に入っていくにも、ザオは接近し、ライマンはできる限り距離をとった。

でも、絵の世界にシンクロできた時の感動は近いものがあって。
そして、後味はまたそれぞれ違ってて。

 
3位から5位までは、東京ステーションギャラリーでの展示を並べてしまいました。
この場所の雰囲気はなんだか特別な感じがします。
特に、レンガ作りをそのまま活かした第二と第三の展示室。

そして、今回挙げた3つの展示は、作品自体もそれぞれ素晴らしく、この美術館で過ごした時間も大変充実したものでした。

難波田史男は、それぞれの絵が、観る距離や角度が違うとその表情も劇的に変化する、その不思議な世界に感動。
ベン・ニコルソンは、画面を「彫って」描かれた巨大な抽象画が、挑むように語りかけてきた。心地よい疲労感。
佐藤哲三、知るはずもない新潟の風景になぜか懐かしさを感じつつ、壮絶な晩年の作品群に圧倒されました。

東京ステーションギャラリーは、難波田史男展以来、展示替えのたびに足を運んでます。まったく知らない作家の展示でも期待を裏切られることはないと思ってます。
それだけ、ここが好きなんです。

 
6位のピエール・ボナール展。
西洋の作家の展示にもいろいろ行きましたが、純粋に感動したという点で、これがいちばんでした。
たとえばモネの風景画は繊細なところにどこかエッジの効いた印象をもつのですが、比べてボナールの画風はやわらかで、その優しい感触がとにかく心地よかったことを覚えています。
これ以降もボナールの作品に触れる機会は何度かありましたが、この時以上の感動を得られず・・・。
絵が面白いと思うようになって間もない頃だったことも、感動できた理由のひとつかもしれない、と、今になって思うこともあります。

 
7位の「再考・近代日本の絵画」。
とにかくその量と、展示内容の充実度に圧倒された美術展でした。
そして、この美術展を観たことでホントに多くの未知の日本人画家の作品に触れることができたのも大きな収穫でした。

8位はつい最近観てきたHANGA展。
ギャラリー巡りでたくさんの若い作家の作品に触れると、「何を描くか」と同じくらい、絵の印象への影響を考えたらもしかしたらそれ以上に「どう描くか」が大事なのでは、と思うことが多々あります。
その「どう描くか」というポイントにおいて現代の版画は斬新なアイデアがいっぱいで、まさにそういう作品がたくさん展示されていて、とにかくすごかったのです。
また、こういう展示で新しい作家を知るのも楽しいのです。

 
9位には原美術館での奈良美智展を挙げました。
同じ毒でも草間は幻覚作用があるとすると、奈良の作品はもっと「毒」の部分が際立っていると思う。
もっとダイレクトに刺激を伴うような、何か。
他では体験できないような「やられた!」感がいっぱいだったんですが、これをベスト10に入れたのは、実は展示されていた1枚の作品「Dream Flight」。
この作品にふれた時に自然に頭の中に鳴ってきたのが渡辺香津美の「つるかめひなタンゴ」という曲。
たまたま80年代の日本のトンがったフュージョンを聴きまくっていた頃で、そのサウンドがシンクロしてとにかく強烈に印象に残っているのです。

 
10位のハピネス展は、実質はじめて行った美術展で、ここで出会ったカンディンスキーとピカソに大変感動したことが今に繋がっていると思うので、感謝の意味も込めて。

 
他にも、RIMPA展、横山大観「海山十題」展、ヨハネス・イッテン展、ロシア絵本展なども印象に残ってます。
印象派の作品展にも数多く足を運んだのですが、ベスト10にひとつも入れなかったのは、決して満足してないわけではなく(むしろ毎回感動しっぱなし)、今回挙げたものの方が「一期一会」感、言い換えるとまさに今年印象に残ったという点でベスト10に入れた美術展の方が上だったのです。
二つのピカソ展とマティス展も良かったのですが、僕にはそれぞれ「絵を楽しむ」にはちょっと重かったかなぁ、という気がしてます。

支離滅裂な内容になって申し訳ないです。。。
2005年も楽しみです。
余裕があったら、金沢21世紀美術館とか、ちょっと遠い美術館にも足を運んでみたいです。
Gallary銀座フォレストにて。

APSと同じビルの5階にあるこの画廊はけっこう良い展示が多いイメージがあってなるべく寄るようにしているのですが、今回もかなり良い感じ。

展示されていた作品は、やわらかな色彩の絵に布がかぶせてあって、それがさらにやわらかい印象を与えてくれます。
ここも大変小さいギャラリーで、たぶんそういう場所ということもあって小さな作品のみの展示でしたが、過去の作品には大きいものもあるようで、また作風も様々で、いろいろと観てみたくなりました。

余談ですが、このギャラリーのオーナーが恰幅のいいおやじさんでちょっとびっくり。
APSにて。
http://jet.rocket3.net/data/651aps/651aps.htm

銀座の裏通りにある、とある古めかしいビル。
このなかは、とにかくたくさんの小さな画廊がいっぱい。
(たぶん表参道にあった同潤会アパートってこんな感じだったのかなぁ、と思ったりもします)

このビルへ入ったのはまだ5、6回で、いったいどの部屋が画廊になってるのか、いまだ把握できないのですが、だからこそ発見があって楽しいのです。

今回見つけたのがこの展示。
暗い階段を上がっていく途中にどこからか不思議な音色が聴こえてきて・・・その音のする方へと足を向けてみたらこの展示だったのです。
ほんとにちっちゃなスペースに、たくさんの小さな「音の鳴る仕掛け」が。
あるものは壁に吊るされて。
またあるものは、床に据え付けられて。
それぞれ弦を振動させて発音させる仕組みになっていて、それは金属の棒で叩いたり、ピックのようなもので弾いたり、弓のようなもので擦ったり。。。

・・・心地よいノイズ。
最近よくお邪魔するはろるど・わーどさんのblogで美術展ベスト10を挙げられていたのを拝見して、僕もやってみることにしました。
絵を観るようになってやっと1年半くらい、美術館に行き始めたのは実は今年の正月からだったりするのですが・・・

《2004年 僕が観た美術展 ベスト10》

1 ザオ・ウーキー展
 @ブリジストン美術館(10/17)
2 ロバート・ライマン 至福の絵画
 @川村記念美術館(8/13)
3 難波田史男展
 @東京ステーションギャラリー(5/8)
4 ベン・ニコルソン展
 @東京ステーションギャラリー(6/6)
5 佐藤哲三展
 @東京ステーションギャラリー(10/10)
6 ピエール・ボナール展
 @損保ジャパン東郷青児美術館(5/23)
7 再考・近代日本の絵画 美意識の形成と展開 
 @東京都現代美術館、東京藝術大学大学美術館(6/13、6/20)
8 HANGA 東西交流の波
 @東京藝術大学大学美術館(12/23)
9 奈良美智 From the depth of My Drawer
 @原美術館(10/11)
10 ハピネス展
 @森美術館(1/2、1/18)

・・・やってみると「あれもよかったし、これも外したくないし」というのがどんどん出てきて、嬉しい悲鳴が脳内に響きます。
あと、ギャラリーでの個展は、入れるとホントに自分でもワケが分からなくなってしまいそうなので、外しました。
こちらにも印象的なものが、それこそ10では足りないくらいあるので。

そして、はろるど・わーどさんに倣って、日をあらためて振り返りたいと思います。

はろるど・わーどさんのベスト10はこちら↓
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/4d345422eab6f3feb7672506a95af792
Oギャラリーにて。
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nakaoka.html

最後に2階のOギャラリーへ。
こちらは冨倉崇嗣さんと中岡真珠美さんという、2人の作家の作品展示。

色彩豊かな冨倉さんの作品と、画面に広がる白が凛とした中岡さんの作品。
好対照な作風で、コントラストが気持ちよかったです。

特に中岡さんの絵は、どことなく「和」な雰囲気もありつつ、岩絵の具ではなく、アクリルというキリッとした絵の具が使われていることもあってか近未来的な感じも。
透明感さえ感じてしまう白が広がり、そのうえにそれぞれの作品で紫や赤などが軽やかに、やわらかく、なびくように・・・。
こういう風合いの作品をに触れた記憶がなく、とにかく新鮮でした。

関西の作家の作品を今回まとめて拝見する機会を得て思うのが、「関西だからこそのスタイル」、つまり関東との差というのは特に感じませんでしたが、むしろ関西にも素晴らしいアーティストがたくさんいることを知ることができたのがなによりの収穫でした。
OギャラリーTOP・Sにて。
http://www.h2.dion.ne.jp/~soundart/schedule.htm

続いてさらに上の階、TOP・Sへ。
ここは映像作品が中心らしく、実は入るのは今回が初めて。

入り口で、この作品の音声担当の奥野翼さんに簡単な説明をしていただいてから入場。

暗い会場内に並べられた椅子。
そのうちのひとつに腰掛け、四方に配置されたスピーカーから流れるアブストラクトな音響を聴きながら、正面のブラウン管モニターの画面と向かって左の壁のプロジェクターによる映像を観る。

ブラウン管の画面は、カラーそれぞれを織りまぜつつ、ゆっくりではあるけれども動きがあり、プロジェクターのほうは変化が少ない映像。

2つの映像は同時に「見える」けど、意識を向けて同時に「観る」ことができないようになっていて、どちらかというとブラウン管のほうを観て、壁側の映像は「見える」という意識に近い。

・・・とにかく心地よかった。
情報が少ないからこそそれぞれの情報がより心にすんなり入ってくる感じで、およそ15分ほど、その静かな空間でゆったりした気分に浸ることができた。

映像担当の稲垣元則さんとはお会いできなかったけど、奥野さんは音響系の音楽のライブもなさるそうで、ちょっとそちらも気になってしまった次第。

奥野翼さんのHPはこちら→http://www.h2.dion.ne.jp/~soundart/
OギャラリーUP・Sにて。
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/naka-m.html

この週のOギャラリーは3室とも関西のアーティストの展示でした。
なんでもOギャラリーは大阪にもギャラリーがあって、そこに出展された方からピックアップされる形のようです。

まず、3階のUP・Sから。
中山さんの絵は、今回展示されていたのは油彩で、優しい色彩の風景画。
ちょっと焦点がぼやけた感じが、初めて観るにもかかわらず、これまでどこかで観たことがあるような印象が。。。
ここはすごく狭い画廊なのですが、もっと広いところで中山さんの絵を観ることができたとして、遠くから観たらきっと違う景色が見えてくるだろうなぁ、と。

中山さんのもお話ししたのですが、僕が好きな須田国太郎をソフトにしたような感じで、それがどこかで観たような印象を持った理由なのかもしれないです。

実は油彩歴はそう長くないそうで、それまでは銅版画の制作が中心だったそう。
過去の作品のファイルも見せていただいて、その印象は展示されていた作品とおなじようにソフトでした。
HIROMI YOSHII Fiveにて。
http://www.gaden.jp/info/2004/041119/1119.htm

レントゲンヴェルケやTARO NASU GALLARYが入っている六本木の白いビルの1階に入っているのがこのHIROMI YOSHII。
で、今回面白かったのが、この建物の屋上へと繋がるスペース「HIROMI YOSHII Five」で開催されていた展示「The World Is Mine」。

これは、このタイトルでいろんな方の作品を展示するようで、今回は小さな絵画、星空の映像、部屋などの映像。

絵画は照明が暗くてよく分からなかったけど、なんとなく奇妙な感じ。

星空の映像は、煌めく星空に流れ星がゆっくりと現れては消えていく、というもの。
その流れ星の映像に合わせて、女の子が願い事をぼそぼそと早口で詰め込むようにしゃべる音声が流れていて、その願い事も、なんとなく覚えているものを順不同で、

早く個展が終わりますように
親孝行ができますように
アルバイトがやめられますように
英語がしゃべれるようになりますように
ドイツ語もしゃべれるようになりますように
生まれ変わる時はもっと美人になりますように
・・・・・・・


で、最後が、

傑作ができますように

で終わるという、かなりシュールな空気感。

部屋の映像というのは、3つほどモニターがあってそれぞれ練習中の男性バレリーナ、モノクロで部屋の部分映像が次々と現れるもの、相当に荒い画面で映される洋風の風呂場の映像。
ほぼ暗闇でこれらあの映像をひとり眺めていると、不思議と落ち着けた、ような気がした。

この展示とは別に、1階のHIROMI YOSHIIで記帳したら、僕の名前にスタッフの女性が反応、「同じ名字のスタッフが半年前にまでいたんですよー」とのこと。
「幕内」という名字の人で、親戚以外で直接お会いしたことがある人はまだなく、同じ名字の人をご存じの方に出会えたのがこれで2回目。
たぶんお会いしたら、照れるだろうなぁ、と(笑)。
レントゲンヴェルケにて。
http://www.roentgenwerke.com/2004/kanno/kannno_trace_j.html

六本木ヒルズからすぐのところにあるコンプレックスという名前の(実は今知った)真っ白なビル。
この建物の中にたくさんのギャラリーが入っていて、六本木に寄ったらかならず立ち寄ることにしている、というか、ここを目当てに六本木に行くことのほうが多い。

レントゲンヴェルケもそのたびに拝見してるけど、今回のがいちばん印象深かった。

とにかく強烈にクールな作品。
一見「漆」と思ってしまうような、真っ赤や銀に一点のムラもなく染められた板、その盤面に球や線が不規則に、でも絶妙に入り組んで入っている。
漆と思ったそれは、実は車の表面の塗装とおなじとのこと。

光りの質や強さを変えると様々な表情を見せてくれるのではないだろうか、と、いろんな想像を掻き立てられる、そんな作品。
exhibit LIVEにて。

世の中には変なことを思い付く人がやっぱりいて、今回作品を拝見した加藤千晶さんも相当でした。

作品は3点、どれも映像。
明かりを消された会場に入ると、奥の壁に御夫人が「ある晴れた日に」か何かを森の中でドレス着て歌ってる映像。
正面にオヤジの顔。
入り口のヨコの壁には女の子の顔。

この「顔」が凄まじく変。
プロジェクターで映されているのだが、画面が人の顔の型の立体なので、まるで壁から顔が突き出ているのである。
女の子のほうはまばたきと時たま細かく口を「ミミミミ・・・」という発音で動かす程度だが、オヤジはなぜか「ノゥ。」と言い続けているのである。

加藤さんに伺ったところによると、女の子は本人、オヤジはお父様、御夫人はお母様とのこと。
あんたんところの家族はいったいどうなっとるんだ、と。

このインスタレーション(動きのある作品、という意味のような気がする)は、実際に観ないとそのくだらなさがわからない。

ああ、オヤジの「ノゥ。」が頭から離れない。

注:すべての文章の末尾の「(笑)」を省略してます。
月光荘画室5にて。

本来、2人展の予定が、もうひとりの方が体調不良で参加できなくなり、たけちさんの個展に変更になったそう。

作品はカラフルな水彩画と、一部水彩を使った鉛筆画です。
まず水彩の作品から拝見して、続いて鉛筆画を。
この鉛筆画は連作になっていて近日絵本になるそうで、ものがたりの言葉も添えられて順番に展示されてました(実はストーリーの逆から絵を観ていってたのをたけちさんに教えていただいたのでした)。
鉛筆画なので黒が多く、ものがたりの設定も夜なのですが、それでも暗い感じがせず。ことばといっしょに観たこともあって、なんとなくあったかい気分に。

それからもう一度水彩の作品を拝見。
作品ひとつひとつに付けられているタイトルをじっくり思い浮かべながらあらためて観る絵は、鉛筆画の連作とおなじような、ひとつひとつ完結した物語になっていて。
作品自体の印象は「色彩の輪郭がはっきりした難波田史男」という感じで、このことをたけちさんにお話ししたらやはり今年の春の東京ステーションギャラリーの展示に影響を受けたとのことで。
過去に観た経験がこういう形で繋がったのが、なんか嬉しかったです。
クリスマスでした。以上。
ちなみに今日の早い時間はバドミントン見てました。明日も見に行きます。

で、今日も今日とてギャラリー巡り。
よかった展示はこんな感じです。

・みみよりな絵本たち たけちのりひろ原画展 @月光荘画室5
・加藤千晶展 @exhibit LIVE
http://artlive.cool.ne.jp/html/gallery_fset.html
・中山恵美展 @OギャラリーUP・S
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/naka-m.html
・Silver Leaf @OギャラリーTOP・S
http://www.h2.dion.ne.jp/~soundart/schedule.htm
・Unnatural 2 冨倉崇嗣・中岡真珠美 @Oギャラリー
http://www4.big.or.jp/~ogallery/Pages/ryakureki/nakaoka.html
・APSオープニング企画#3 松本秋則 @APS
http://jet.rocket3.net/data/651aps/651aps.htm
・中北紘子展 @Gallary銀座フォレスト
・カンノサカン「トレース」 @レントゲンヴェルケ
http://www.roentgenwerke.com/2004/kanno/kannno_trace_j.html
・The World Is Mine @HIROMI YOSHII Five
http://www.gaden.jp/info/2004/041119/1119.htm

また追々感想を書いていきますが、ひとつだけ、ギャラリーの展示ではないけどけっこうよかったのが、青山のBOOK246(http://www.book246.com/ )での長塚奈央さんの本「上海口福案内 シャンハイ コウフク アンナイ」(http://www.rikuyosha.co.jp/intro/508.html )に関連の展示。
上海の食堂やらお店やらで手に入ったり、撮ってきた写真などをたたみ1畳分くらいのボードにびっしり貼ってるだけのものでしたが、お腹が空いてた時間だったこともあって、もうめちゃくちゃおいしそうで。。。
ここは小さな本屋ですが、こういう空間でちょっとした展示と出会うのもまた楽しいのです。
gallary J2にて。
http://www.g-j2.com/2004/exhibition/exhibi_12.html

芸大からすぐのギャラリー。
ちょっとのぞいてみました。

なんだか不思議な舟、というか謎の物体。
揺れる椅子に、シャベルがオールのように取り付けられたもの。
暗室には、上から覗き込むと逆さに付けられた蛇口、その奥に色が変わる画像。

変なものを作る人がいるなぁ、と思いつつ、過去の作品のファイルを拝見すると、これが面白い!

路面に書かれた言葉が「止マレヨ」。
タメ口かよ!

タテ1.5m、ヨコ2mくらいのパネルに書かれた絵が階段に運ばれている。
タイトルが、携帯電話。
こんなおっきいモノを持って歩くのかよ!

ブロックに書かれた「第三京浜」。
第三京浜かよ!

などなど、こういうふうに書いちゃったら怒られるかもしれないけど(スミマセン)、無条件にツッコミどころ満載のインスタレーションがいっぱい。
他にもユニークな展示を過去になさっているようで。

今回の展示も、草むらあたりに置かれてたらぜんぜん違う印象だろうなぁ、と、会場を後にしてしみじみと思った次第です。

ちなみにこのギャラリーJ2、「タナ展」という、小さな棚がそれぞれいろんな作家の作品のスペースとして提供されていて、こちらもユニークでした。
東京藝術大学大学美術館にて。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2004/hanga/hanga_ja.htm

ギャラリー巡りをしているととにかくたくさんの版画作品に出会う。
手法もいろいろ。作風もいろいろ。
で、この展覧会は芸大美術館の広さで版画だけに焦点を絞っているようだったので、行くことに。

2フロアでの展示で、地下では歴史的作品が中心、3階では近現代の様々なスタイルの作品の展示。

まず、地下から。
葛飾北斎、歌川広重。このあたりの絵は知っているつもりでも、実物を観るとやっぱりその色の鮮やかさに驚く。
有名なヨーロッパの画家による銅版画作品。コロー、ゴーガン、マネ、ピサロ、セザンヌ、ゴッホ。このあたりはそれぞれ油彩の作風と近くてなるほど、と。
他にもいろいろある中で、パウル・クレーの「綱渡り師」が、ちょっと暗いピンクの背景と綱渡り中の人物がかわいくて印象的。

続いて3階。
もう、期待以上の充実度。
まず入り口正面で、棟方志功の木版画が力強く迎えてくれて、好奇心にスイッチが入る。

斎藤清「凝視(花)」。人の横顔と花がコラージュされたような木版画で、色彩のバランスと版の木目が妙に心地よい。
銅版なのに強烈な透明感がある浜口陽三「パリの風景」「さくらんぼと青い鉢」。
池田満寿夫の3作品のなかでセクシーな「愛の瞬間」。
木口木版という、木版とは思えないくらいに細かい、日和崎尊夫「卵1」。
赤と青で刷られたものの上に、その赤の部分と同じものを少しずらして黒でフィルムに刷り、それをかぶせて不思議な奥行きをつくり出している木村光祐「アウトオブタイム-25」。

銅版だが、大きな筆で描いたような豪快なロバート・ラウシェンバーグの2作品。
宮下登喜雄「作品A」。朱のバックに存在する黒、まるで焦げたよう。
ちょっとコミカルに感じられる家族写真、ただ、広い余白も印象的な野田哲也「日記」2作品。
靉嘔(あいおう)の「レインボー北斎」。鮮やかな色彩はこれ以上ないくらいに圧倒的、観れば分かる。
郭徳俊「位相1972B」。写真、鏡、新聞記事などのクールなコラージュ。

李禹煥は版画でもリズムがあって、そして版画だと油彩と違ったリズムで面白い。
榎倉康二「一つのしみ No.4」。ベニヤ板にシミをつけただけの作品になぜか感じる説得力。
河口龍夫「関係−質」は、紙に錆びたかすがいが透き込まれていて、もはや版画ではなさそうだけど、版画としてみても違和感がない不思議。
金と銀のグラデーションがきれいな、百瀬寿「スクエア−金と銀による金と銀」。

並ぶモノクロの作品。東谷武美「日蝕0302」と星野美智子「時の形見−放棄された図書館」。強烈に重い。
スッと優しくこころに届くような抽象、尹明老「ANONYMOUS LAND 9101」。
ポップなデイヴィッド・ホックニー「雨」「雲」。

あと、ありがたかったのが版画の用語説明のコーナーがあったのと、ビデオでそれぞれの制作過程が分かるようにしてくれたこと。
これまでよく分からなかったことがかなり解決できました。

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