東京国立近代美術館にて。(1/13-3/5)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Suda/index.html

「法観寺塔婆」。

僕にとって須田国太郎はこの一点を描いた作家というだけで、大事な作家。
もう一昨年になる、芸大美術館とMOTとで行われた「再考:近代日本の絵画」展。僕が絵を見始めの頃に観た印象に残る企画展で、そのときに観たたくさんの作品のなかでももっとも深く心に残っている作品のひとつがこの「法観寺塔婆」だった。

茜色と紫とで紡ぎ出された深い色彩感。
柱が並ぶ奥に、そびえる塔。画面全体から伝わる力強い縦の動線。

MOTでも相当の時間を近衛との対峙に費やしたのを今でもしっかり覚えているくらい。
今回も、距離を変え、角度を変え、その度に変化する作品の表情をしっかりと感じ、味わい、自身の絵を観るフレッシュな感覚をしっかりと取り戻せたような。。。

回顧展なので他にもたくさんの作品が展示されていて、眺めていていいなと思えるものもあったけど、結局「法観寺塔婆」だけを観てきた。
あらためて思い返して、自分でも驚くくらいにこの一点だけで充分だった。須田の年表やキャプションにある他の情報も一切必要としないくらいに、純粋にひとつの作品だけに満足できた。

「法観寺塔婆」を再び観ることが出来て本当によかった。
こういう、自分にとって大事と思える作品に出会えたことはすごく幸せなことだと思う。

**********

もし、須田が現役の作家であったなら、絶対に違う印象を持ったと思う。次はどんな作品を描くだろう、と期待したと思う。

コメント

nophoto
はろるど
2006年2月24日0:18

法観寺塔婆ですか。
確かにあの作品は何度も見たくなるような奥深さがありますよね。

私はこの展覧会を見る前、須田のことを殆ど知らなかったのですが、
不思議と見終えてから時間が経てば経つほど、
またあの色に再会したくなってきます。
不思議な魅力をたたえた画家です。

DADA.
DADA.
2006年2月24日2:05

>はろるどさん
こんばんは、コメントありがとうございます。
僕にとって「再会したくなる色」というのがまさに、「法観寺塔婆」の茜色なんだろうな、と思います。
意識を作品の雰囲気に預けてその世界に浸りたい、と思わせるこの1点を残したというだけで充分に、僕にとっても不思議な魅力をたたえた画家です。

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