好きでいろいろと展示を観て回るわけですが、面白いものを逃さないように探しているとデパートのなかの美術画廊はホントに侮れない。
有名作家を中心に取り上げるところももちろんありますが、注意深く情報収集していると僕が注目している(なんだか偉そうだなオイ)世代の近い作家をピックアップするところも少なくなく。

で、12/25で開催中の展示で実際足を運んだものを。

・−岡倉天心に捧げるオマージュ− 第2回 理想の会(12/23)
渋谷東急本店8階美術画廊にて。(12/22〜12/28)

DMによると「日本美術院の6名の精鋭作家の新作展」とのこと。
加來万周さんの作品が展示されているということで、観に行ってきました。
・・・やはり、すごい。それぞれ金泥、銀泥の使い方が大胆でありながら実に深みがある渋さで、闇に沈み込むような沼に浮かぶ蓮、銀景のなかにゆらぐ綿毛の神々しさ、どこか遠い、でも忘れられないような秋の景色が信じられない筆致で描かれています。
加來さんと同じ展示で拝見することが多い才木康平さんの作品も。才木さんもまた箔や泥の使い方が素晴らしく、加來さんほどに全面に金属の色が表出してはいませんが、作品のさりげない風景のなかに織り込まれるそういった素材の質感には目を奪われます。
他に、前田力さん、山本浩之さん、村岡貴美男さん、速水敬一郎さん。

・VIA展2005(12/23)
日本橋高島屋6階美術画廊にて。(12/21〜12/27)

芸大デザイン科で助手、講師経験のある作家のグループ展。
こちらでは、まず、大好きな木版画家、岡本雄司さんの大作が展示されていて、必見!
題材は岡本さんらしく「四ッ谷駅」。ふたつの出口それぞれからの景色が岡本さん独特の木版による線画で描かれているのですが、そのうちのひとつはちょうど線路の上を走る新宿通りの断面図になっていて、ちゃんと駅ビルの内装まで笑っちゃうほど丁寧に再現されていてとにかくユーモラス。ほっこりとした木版の質感とも相まって、和やかな暖かみのある作品です。
この展示で初見だったのが片桐聖子さん。専門誌に制作過程が詳細に取材されていて、それも拝見させていいただいたのですが、とにかく尋常でない手の込みよう。下地に石膏が使われたアクリル画で、削ったり色を重ねたりとさまざまなテクニックが駆使されて完成した作品は、表面の精緻に仕上げられた立体的な風合いと、赤系統のやわらかな色彩感、物語性のある画題と、かなりの見応えで。
これまで2度ほど拝見している武田史子さんの透明感のある銅版画もすばらしいです、やはり見入ってしまいます。
押元一敏さんの日本画。ちょっと変わったかたちの板に描かれたりして、正統派の作風に面白い工夫がなされているのがいい感じです。
ほかに、榎俊幸さん、田宮話子さん、今泉尚樹さん。

・新鋭作家ウィンターコレクション(12/24)
銀座松坂屋別館4階美術画廊(12/21〜12/31)
とにかく書ききれないほどのたくさんの作家の小品がずらりと展示されていて、その数はまさに圧巻。
そのなかでお目当ては、志田展哉さんの作品。
・・・ちょっとびっくりです。これまで拝見してきた志田さんの画題や作風、夜の道路などを尋常でない静謐感で表現するという印象でしたが、ここに出展されている2点は、ひとつは夏の夜空、満天の星空に照らされる椰子、こちらは色彩感こそ志田さんらしいのですが、夏の空だけあって同じ紺でも受ける印象がぜんぜん違ってて。そしてもう一点、こちらはやわらかなベージュ系の色彩で構成された、イラスト風味の列車の絵。かわいい!かわいすぎる!
年内いっぱいの展示なので、ちょっと覗いてみてほしいです。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索