ギャラリー52にて。(11/11〜11/16)
http://homepage3.nifty.com/g52/schedule/now.html

3名の70年代生まれの石の彫刻家によるグループ展。
作品のスタイルはそれぞれに違いがありました。

伊藤哲一さんの作品は、丸みを帯びた形が印象的です。
球面からは、石という素材ながらなぜだか生きているようなイメージが浮かんできます。
また、削り痕のざらつきを残した表面もなかなかに味わいが深く、割ったような部分に丁寧に曲面を彫り込んだ作品は、平面作品を楽しむ感覚もあるような感じで。

下川慎六さん。こちらはスタイルの違う2点。
まず、入口すぐに展示されていた、テラコッタ(白い陶)を組み合わせた作品。
今回の展示中、唯一、石でない素材が使用されたこの作品は、他のと比べても軽やかさが感じられます。
そして、奥にある作品。直方体がいくつも組み合わさった立体版キュビズムとでもいえそうな形の作品です。

村上友彦さんは、表面をていねいに磨いた質感が印象的です。
そのためか、またタイトルも具体的だったためか、制作されたものからはより具体的なイメージが喚起されます。例えば動物の角だったリ、乗り物だったり、雪景色だったり...。

土曜日は午前中に、そして日曜日は日が暮れてから観に行ったのですが、時間帯が違うだけでこれほど印象が変わるとは、と。。。
土曜日は入口から射し込む自然光のせいか、それぞれの作品からは朴訥としてかつ凛とした印象を受けたのですが、日曜日はギャラリー内の照明のみが作品を照らし、さまざまな位置や角度から照らす照明のおかげで作品全体はもちろん、特に伊藤さんの作品はそのざらついた表面の凹凸に、下川さんの奥のキュビズム風の作品には直方体のひとつひとつにさまざまなグラデュエーションの陰影がついて、よりぐっとくるような奥深い質感が現れていて、その静謐感はたいへん印象に残ります。

考えれば、石はそれ自体が形成されるまで圧倒的に長い時間がかけられる素材です。
その時間に相応する、材質そのものの質感だけでも深いものがあり、それに手を加えることでさらに味わい深さが加えられるとなれば、必然的に面白くなるわけで。
無論、それだからこそ個性を出すには難しい素材でもあると思います。

石という素材の面白さをあらためて感じた展示でした。

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