ぎゃらりぃ朋にて。(11/3〜11/9)

心に残るふたつの時間。
絵と対峙した時間と、作品から感じた時間。

岩絵の具で描かれたさまざまなサイズの作品が展示されていたなかで、特に印象に残っているのが大きな画面の作品。
入口から向かって正面の壁と、左手の奥側とに展示されていた大きな2作品はどちらも渋めの赤と黄の色彩が全体を覆っているのがまず印象的。そしてそこに描かれているのは数人の人物など、そして、象。

大きな画面ながら細かい部分もたいへん丁寧に描かれていています。例えば女性が身に纏っている服の柄の幾何的な模様や象のごつごつとした肌などに凹凸感がつけられていたり。
また、すぐそうであるとは気付かなかったのですが、背景や象の皮膚など、さまざまな部分で金箔のきらめきが見受けられます。その金泊の使い方も実に渋く、控えめながらしっかりと作品に重厚さをもたらしているようでした。

こういった、作品を眺めて感じ入る充実した時間を過ごせたと共に、もうひとつ感じた時間が、作品そのものが持つ時間の流れで。
画面の奥におおきく描かれた象の後ろ姿を眺めていると、なんだか遠い、ゆったりとした、今自分が過ごしているのとはまったく別の時間のイメージが湧いてきました。
こういう不思議な感覚を味わえるのは気持ちがよく、だんだんとふたつの時間がシンクロするような感覚に陥っていくようで...。

菅原さんのお話では描きたいものを詰め込んだそうなのですが、やはり「描きたい」ということはすごく大事なんだな、とあらためて感じています。描かれたものそれぞれに対する思いが伝わってきたのかも知れません。

ほかに、DMにも使用されていた、こちらも赤を基調とした、けし畑のなかに佇む女の子を描いた作品や、小さな画面のなかにゆったりと歩く象の絵など、ひとつひとつの作品がそれぞれに「時間」を感じさせてくれました。
深く心に残る印象的な展示でした。

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