渋谷東急本店8階美術画廊にて。

佐藤美術館で拝見して以来注目している油彩画家、小木曽誠さんの作品が出展されるということで行ってきました。

出展されている作家は小木曽さん、奥秋由美さん、後藤民雄さん、赤塚美知子さんの4名。みなさん芸大油画科を卒業されていて、出展作品も主に油彩の作品です。

まず小木曽さんの作品から。
・・・本当にすごい。。。
女性のポートレート。描かれる女性の顔や身体の曲線、髪は丁寧に作品のなかで再現されていて、魂さえも封じ込められたかのように思えてしまうほど。
そしてさらに目を見張るのが、細かく表現すればどこまでもできるようなものに対して、挑むように徹底的に再現を試みているところ。
例えばカーペットの柄。細かく刺繍されたパターンを、それらを構成するひとつひとつの線から細かく再現していたり、女性が纏う布などは、模様だけに留まらず、陰影さえも忠実に描き切っていたり。
しかしそれらは決して機械的な印象ではなく、やはり人の手による暖かみはきちんと残っていて、そういった質感が本当に嬉しいのです。
ヨーロッパの街並みの絵は、小木曽さんの絵に対する真摯な姿勢がまっすぐに伝わってくるような、ある意味愚直とも言えるほどに丁寧に、その風景がそのまま描かれています。ただ、こちらもレンガのひとつひとつまで描き込まれていて、時間を掛けて観れば観るほど描かれた風景のなかに新たな発見を見出せる、静かな感じながら実に深遠な作品で。

小木曽さんにもお目にかかれていろいろとお話も伺えたのですが、印象的だったのが、むしろ古い技法を用いて描いているというお話で。
フェルメールやラトゥール、この時代の作品がお好きな方にむしろ観てほしいと強く思いました。絵の具の質こそ発展を遂げて違うものとなっていますが、ほぼ同じ手法で描かれた小木曽さんのフレッシュな状態の作品に触れたらどんなイメージが湧くのかな、と。。。

ほかの3名のみなさんは今回が初めてで。
それぞれ素敵な作品で、またあらためて拝見していくことでもっと深く、それぞれの方々の作品のイメージが育っていくような気がしていて。。。

奥秋由美さんの作品はたいへん可愛らしくて楽しげ。
登場するキャラクターたち、ネコだったリ古代魚だったり...パステル画のようなふわりとやわらかい質感。のんびりした雰囲気で和めます。
赤塚美知子さん。女性や花がモチーフになった実にファンタスティックな雰囲気が充満している作品です。
全体的にオレンジ色に近い赤の鮮やかな明るい色彩が印象的です。まさに作品が「咲いている」といった感じで。
後藤民雄さんはおもに風景画。人が登場しない作品で、描く風景をそのまま正確に描写するというよりも、より心象に残っている風景に近い感じです。細かく描かれる部分ともっとイメージ的にふわっとぼやけて描かれる部分とあって、それがそういった効果を生み出しているような感じがしました。

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