ヴァイスフェルトにて。(10/7〜10/29)
http://www.roentgenwerke.com/works/maxheadroom/maxheadroom.html

小川信治さん、カンノサカンさん、内海聖史さんの作品が揃った、ギャラリー主催のグループ展。

その小さなスペースに足を踏み入れた瞬間、「えっ!?」といつもと違う内装にびっくり。
白い壁であることには変わりないのですが、正面に、天井がアーチ状になった狭く短い通路が設置されていて、その奥に小川さんの作品。
たったこれだけのために・・・というと失礼な表現になってしまいますが、ひとつの作品の展示のために壁を設営してわざと奥まったスペースをつくり出しているその手間にまず感服。

このアーチの奥にある小川さんの作品は例によってもともとある作品からそこに存在するものを引いて再現したもので、今回展示されているものはオリジナルはダヴィンチ。展示スペースもそうなら、小川さんの作品も「よくもここまで・・・」と大いに呆れるほど。とにかく恐ろしく精緻に再現されています。

ちょっと見上げる位置に展示されているカンノサカンさんの赤い作品。
こちらも一度観たら忘れられないほどに印象が強く、自動車の塗装に使用されるウレタン樹脂の眩しいほどに鮮やかな赤は白い壁に映え、あえて表現すると、この真っ赤な闇の中で火花の光が弾けて美しい軌跡を描いたかのような銀の細かい模様が見事にちりばめられていて、この斬新すぎる美しさ、ホントに見入ってしまいます。

この展示のいちばんの収穫は、なんといっても内海聖史さんの作品を拝見できたことで。。。
直径5mmほどの細かいドットが壁いっぱいの画面に無数に打たれ、何層にも重なって、まさに降ってくるような印象。しかもその色が...塗り重ねられた奥のほうには緑や赤などの色彩の痕跡も認められるのですが、いちばん表側、表面を覆っているのがとにかく重たい質感の黒で、ドットのひとつひとつがまるで廃油にまみれた鉛や鉄の弾を連想させ、それぞれの弾がお互いに接触しながら金属音を響かせているようなイメージで...とにかく尋常でない圧迫感。
これまで経験した強い印象というのは案外頭に残っているもので、内海さんの作品は今年の春のVOCA展でも拝見していて、そのときも縦に長い画面に、緑などの色彩が今回拝見したのよりはもっと大きなドットで画面に重ねられて、まさに降るような印象だったことも思い出し、こうやって違う場所・違う時間で違う作品に出会うことで、これから意識して気に留めておくアーティストがまたひとり。。。
過去の作品や展示のファイルを拝見すると、無数のドットで展開された大きな作品が多く、またどこかでぜひ内海さんの展開する世界を体験したいと思ったのですが、そのファイルのそばにちいさな箱のようなものがあって、そのなかに画面があり、そこにまた小さなドットで描かれた作品があって。大作とはまた違って「見つけたっ!」という感触のかわいい作品ですが、こういう手のひらに乗るほどの小さなスペースでもちゃんと内海さんの世界が展開されているのもまた違った趣で嬉しいです。

で、このグループ展のサブタイトルが「頭上注意の絵画」。
バラエティに富んだ「頭上」からのアプローチはそれぞれユニークで。それがこの小さな空間(さらに小さくなっているわけですが)で展開されているのがなんとも面白いです。

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