木村吉邦 展 -計算する民具-(10/15)
トキ・アートスペースにて。(10/10〜10/16)
http://homepage2.nifty.com/tokiart/051010.html

こちらのギャラリーではインスタレーション的な展示が多いのですが、今回は江戸時代の民具を再現した作品と、その図面の展示でした。

再現されていた作品には、その用法や理屈がコンピュータの理論などにも通ずることから現代的なタイトルが冠されていて、それぞれ「二進算盤」「3入力8出力デコーダ」「苔玉による切替機」「玉落とし遊具」という名前と共に、その理論がキャプションに解説されていました。

「二進算盤」は、文字通り玉がひとつの軸にひとつしかない算盤で、上のほうにはそのまま桁上がりができるようにスライドする部分があります。
「3入力8出力デコーダ」は名前が分かりにくそうですが、薄い枠のような細長い箱の片側に8つの仕切りが設定されていて、さらにその仕切りの部分に3箇所のスライドが設定され、仕切りがないほうからあるほうへと小さな玉を転がすと反対側に辿り着くのは仕切られた枠のうちのひとつにしか行かないようになっているもので、再現されていたもののなかではいちばん分かりやすかったです。
「苔玉による切替機」はちょっと分かりにくくて、上から水が落ちると下にある苔玉が水を吸収して大きくなったり、あるいは水が与えられずに枯れて小さくなったりすることで、お互いが紐で連鎖して作用するようになっているもの。
「玉落とし遊具」は文字通りゲーム板。当時はこれで博打をしたらしい、とキャプションに書いてありました。
他にも展示はなかったのですが設計図のようなものも2、3点ほど展示されていて、それぞれその理屈を見ながら頑張って想像。

・・・と、まじめにそれぞれの作品を理解しようと頑張ったのですが、やっぱりフィクションでした(笑)。
木村さんに説明していただくなかで、フィクションじゃない部分を織り込みながらそれっぽい説明を加えてあるそうで。怪しいと思ってるところでフィクションと教えられると、なんかもう「下らなくて最高!」みたいな気分。
無論、理屈はすべて筋が通っていて、それが余計に笑えます。

あと、それぞれの作品は木の素材の色調が実に美しく味わい深い感じで。
そういうところも、このフィクションにリアリティを持ち込んでるような印象も受けました。

こういうので騙されるのは案外気持ちがいいものです。

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