不忍画廊にて。(10/5〜10/15)
http://www.shinobazu.com/schedule.htm

木版画というのは、それだけでもう、なんだかあたたかい質感があって、しかも多色多版刷りとなると、手間がかかっていて色彩が増えるぶん

多色多版刷りの木版画。
加えて、詩画集「午後の光」の刊行に合わせた、原画展。
ひとつひとつの作品に、垣内磯子さんの詩があわせて展示されていて、作品を観つつ、詩を読むことでそのあったかい世界をゆったりと感じるような展示で。

・・・あったかい絵と、あったかい言葉と。
垣内さんの詩は音読みの言葉が限りなく少なくて、そのために文章を目で追うだけでもやわらかな感触を受けます。
そこに合わせて描かれる鈴木さんの木版画。
木版画の独特のあったかい質感で、木版画特有の素朴であたたかい感触と、細やかに色が使い分けられた多色多版刷りの丁寧さとが印象的に残ります。ぱっと観ただけでもふわっと心の中に広がる優しさみたいなものが心地よくて、なんとも抗い難いやわらかな雰囲気に包まれるようでもあって...。
作品はすべて複数の色が使われていますが、強い派手な色は一切なく、加えてどれもそれぞれひとつのトーンにまとめられているというか、「青っぽい絵」「茶色っぽい絵」みたいな感じで呼べそうな色彩感を帯びているのも、優しい感触が醸し出されるのに貢献しているようのも思えます。

僕がおじゃましたのは午後の日が高い時間で、ギャラリーの大きな窓から自然光が入ってそれはそれでよい感じでしたが、もっと遅い時間に照明で拝見することができたら、またそれはそれでステキな雰囲気だろうなぁ、などとも想像しつつ...

・・・ホントに味わい深い作品ばかりで、ちいさなギャラリーの中には人でいっぱいだったにもかかわらずずいぶんと長い間見入ってしまい・・・この雰囲気を手元に置いておきたいという気持ちと名残惜しさとで結局、詩画集を買ってしまいました。
展示されていたなかでいちばん印象に残った「メッセージ」という題の詩と絵は、いちばん最後に載ってました。

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