土屋仁応彫刻展「重陽」(9/30)
成山画廊にて。(9/9〜9/30)
http://www.gallery-naruyama.com/exhibition.html

アートフェア以来、気になっていた成山画廊にようやく行くことができました。
今回の展示は土屋仁応さんの木彫作品。

・・・とにかくその丁寧な仕事っぷりに、驚きました。

まず、花。菊やダリアといった、花びらの一枚一枚が細くて、しかも一輪の花にたくさんの花びらがついているもの。
これがとにかくすごい。。。
花びらは丁寧に木彫りで制作され、それらは歯車状の薄い金属の板に、その歯車の歯の部分に一枚一枚ビスのような金具で留められていて、たくさんの花びらが広がって膨らむように咲く花の様子がたいへん丁寧に再現されています。
また、色は岩絵の具によるそうで、控えめながらもどこか静かな発色で。
その花に加えて、ギザギザの形さえ切れるような鋭さで彫られた葉、すいと伸びる茎。濃い緑で彩色されていて、花の部分と比べても決して引けを取らない凛とした感触。
たいへん立派な本物の百合の花がギャラリーの中で咲いていて、この百合と木彫の菊との「競演」がものすごく華やかな雰囲気をつくり出していて、こちらも強く印象に残りました。

花の他には動物たち。
猫ややぎ、亀...こちらも花とはまた違う味わいながらも丁寧に制作されていることは相変わらず。
彫刻刀で彫った痕によって流れる毛並みを表現したり、猫なんかは撫でたときのすべすべした毛並みさえ表しているようで...。外側の質感がそうなら、それぞれの動物たちの仕草、これがまた実にリアルで、例えばソファに置いてあった、身を丸くした猫などはそのかわいらしさがいっぱいに溢れていたり。
もうひとつ強く印象に残るのが、目。頭部の中央を割って内側から透明の球を嵌め込むといった手法で(これ自体はよくある手法とのこと)、さらに球の表に出ない部分に銀の箔が貼られているそうで(こちらは土屋さんのオリジナル)、この目がとにかく驚くほどにリアル。

たいへんすばらしい木彫のオブジェを観ることができて、ホントに嬉しかったです。

最終日ということに加えて閉廊まであと15分というギリギリの時間に伺ったのですが、土屋さんにいろいろと説明していただいたり、ちょうど簡単な打ち上げみたいな感じで僕も一緒に美味しいワインをごちそうになった上に、ギャラリーのご厚意で届いたばかりという松井冬子さんの習作も拝見させていただいて(習作であるにもかかわらず、引き込まれるような妖婉さに溢れていました)、たいへん貴重な時間を過ごさせていただきました。

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