小川奈々誉展(9/10)
Gallery Qにて。(9/5〜9/10)
http://www.mercury.sannet.ne.jp/galleryq/img/archivefile/archive2005/ogawa.n.html

箔、岩絵の具...素材そのものの質感を活かし、それらを「塗る」というよりも、薄く膠を引いた画面上に箔を「置き」、岩絵の具を「散らす」ように描かれた抽象的な作品。

とにかく「箔」が効果的に使用されているのが印象的です。
箔と岩絵の具との色彩のバランスの妙は言うまでのなく...。
小川さんの作品は抽象ですが、微妙なグラデュエーションの色合いのなかに正方形の箔がその形をほぼ留めたまま画面に配置されることで、その部分が作品の世界への「入口」の役割を果たしてくれているような感じです(「窓」というイメージではないのです)。

ユニークだったのは、縦長の板に薄い和紙が張られ、そこに箔と岩絵の具で彩られたものが隣り合う壁に1枚1枚高さを変えながら並べられ、それぞれの板が鎖で繋がっているという作品。
数や展示のされ方を思うと「圧巻」という言葉を使いたくなるのですが(絵と絵を繋ぐ鎖にも重たいイメージは持ちませんでした)、そういう押し付けられるような感触は一切なくて、ベージュ系のやさしい色調のものが主体となりそのなかにピンクだったりもっと白っぽかったり、あるいはベージュが少々濃く仕上がっているものがあったり...そしてその色彩の間から箔の輝きが...やわらかく微妙に違う色彩に囲まれて心がふわりと浮くような幸福感を感じます。

こちらのGallery Qは比較的ちいさなスペースで、こういった狭い空間で拝見できたことも面白い体験で。
機会があれば、例えばもっと広い空間やブラックの壁の部屋、あるいはこの作品で別の作家の作品(平面でもオブジェでも)を囲むように配置したり...さまざまなシチュエーションで観てみたい、その場所場所で作品の印象を味わってみたいという想像が膨らみます。

額に入ったちいさな作品も、同様にやわらかな色彩が印象的で。
そして小さいということもあり、大胆な色調ではないのですがより親しみやすい感触です。

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