生誕100年記念 難波田龍起展 ─その人と芸術─(8/5)
東京オペラシティアートギャラリーにて。(7/15〜9/25)現在開催中!
http://www.operacity.jp/ag/exh63/

※龍起の誕生日である8/13(土)は入場料が半額(一般400)になるそうです!

難波田龍起。
大好きな抽象画の作家。
龍起の回顧展ということで、たいへん楽しみにしてました。

オペラシティは金土曜日の夜は遅くまで開いているので(以前までは9時まで開いていたのですが、この企画から8時まで。そのかわりに開館時間が11時から、と1時間早まりました)ここへ行く時は大抵金曜日の夜なのですが、今回も例に漏れず。

大まかに時代順に展示されていました。
初期の時代の作品は、多くの抽象画家もそうであるように比較的真っ当な絵で。
意外だったのが、本格的に抽象画に取り組むようになるのがかなり遅い年齢になってから、ということ。
また、ピカソの一部の静物画やパウル・クレーのような、ちょっとひょうきんな趣の作品があるのも軽い驚きでした。

そして、いかにも龍起らしい抽象画がずらりと並ぶコーナーへ。
僕の場合、龍起の作品は少し距離を置いて観るのがよい感じがします。
青や赤など、深い印象を与える背景の色彩を、鋭利な黒の直線や曲線が容赦なく刻み、それにさまざまな色彩が舞うような。ある時代のザオ・ウーキーにも似た質感。
・・・しかし、これほどまでに鋭い線が入っていながら、不思議と作品からは静謐な印象を受けました。
同じ場所で初めて龍起の作品を観て以来、さまざまな場所で観る機会を得るなかで、その線の雑然とした感触に対してかなり動的なイメージを抱いていて、その感覚が自分の中で育っていただけに、こういった静かな気分になったことが凄く新鮮で。
また、このスペースに展示されていた陶器も、なかなか味のある表情をしていたのが印象的でした。

・・・その静謐感は、続く後期(ほぼ晩年)の抽象画の世界に触れることで一気に広がっていきます。
オペラシティのいちばん大きな空間には、龍起の大作がゆったりと展示されていました。
少し前までの鋭い線が画面から消え、特に印象的なのが黄色なのですが、以前の抽象画とは違う感触で深い色彩で、そのひとつの色彩のコントラストでやわらかなグラデュエーションがつけられていて...。
この壮大なイメージはむしろ東京都現代美術館で榎倉康二の作品に触れた時の感覚に近くて。。。

最後のコーナーは龍起が晩年に病床で描いたスケッチ。ある意味、もっとも壮絶な空間でした。

常設作品のコーナーでは、息子の難波田史男の作品の展示。
これも嬉しいセレクションで、昨年東京ステーションギャラリーで観た時ほどのインパクトは受けなかったものの、水彩独特のふわりとした色彩の広がりと、ペンで描かれる細かなキャラクターはやはり独特の世界を醸し出していました。

今回のproject Nは高木紗恵子さん。
白を基調にした作品で、春を連想させる軽やかな色彩で森の中の風景や、鹿や鳥などの動物が描かれていて、なんとも幸福感が広がっている、といった印象で。
高木正勝氏と手掛けたUAのビデオクリップも、謎めいた曲調の雰囲気をさらに盛り上げるファンタジックな内容でした。

冒頭にも書きましたが、今週の土曜日は半額とのことなので、改めて観に行こうと思います。

《感想リンク》
http://artslog.seesaa.net/article/5336160.html
http://kabu.blog.ocn.ne.jp/weblog/2005/04/post_79dc.html
http://blog.goo.ne.jp/rubicone/e/af2aa5b7561578b68bd6195fe6228448
http://quiet.exblog.jp/2105472/

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