高見直宏展 -Universal Marking-(8/2、8/9)
GALLERY GANにて。(7/27〜8/9)

3度絶句ものの木彫作品。

まずいやでも目に入ってくるのがリアルな宇宙服の男。
ごついヘルメットをかぶっていても、断固男なのである。
いやでも分かるのである。なぜかというと、下が脱げているのである。
で、こともあろうにナニが回転しているのである。
そのそばには、宇宙用ヘルメットをかぶった犬もいる。
そして、横に目をやると、小さな台の上に乗っているのはミニチュアの洋便器である。
さらに、実物大の洋便器もある。
さらにさらに別の方向に目をやると、炎上する小便器が3つ並んでいる。

無意味にむき出しの下半身やら便器やらがモチーフになっているのが、まず第1の絶句ポイント。
なんとまぁしょーもないものを...という第一印象なのである。

大いに呆れた気分で観る。
目がいくのは洋便器の蓋である。
・・・これがすごいのである。マンダラを連想させるほどに緻密な模様が丁寧に彫り込まれているのである。
加えてナチュラルの木の色がまた、渋いのである。
こんな凄まじささえ感じるほどの蓋が、なぜか便器の蓋なのである。
今度は小便器から吹き出ている炎に目をやってみる。
・・・これもすごいのである。すごすぎるのである。
もくもくと膨らむ煙、虚空を切るような炎の先。不動妙王が現れるんじゃないか、と思わせるほどに力強いのである。
しかし、この作品に関していえば、不動妙王が現れるとしたら、それは小便器の中から、ということになってしまうのである。

尋常でない凄さを感じさせる蓋の模様や炎。これが第2の絶句ポイント。
実はこの人は凄いんじゃないか、と見直してしまうのである。

そういえば、と思って便器を眺めてみる。
・・・これが木彫なのである。本物と寸分違わぬ外見に仕上げられているのである。
この仕事の細やかさには、もう笑うしかないほど。これが第3の絶句ポイント、というか絶句はしてないのだが。

高見さんにいろいろと質問してみたら、やはり意識的にそういう「目に付く」ポイントを作品に挿入しているそうで。
こういう見せ方は僕は好きじゃなかったはずなのですが、もう完全に「許す」モード、文句なしにやられてしまった次第。

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