ベルナール・ビュフェ展(7/24)
2005年7月24日 アート
損保ジャパン東郷青児美術館にて。(7/23〜8/28)現在開催中!
http://www.asahi.com/event/TKY200507230201.html
楽しみにしていた企画展(最近多いのですが)。
珍しく会期が始まってすぐに観てきました。
「人物画」「風景画」「静物画」の3つのカテゴリーに分けられて、若干前後するものの、それぞれほぼ時代順に展示されています。
初期こそそれほど強くはないものの、ビュフェは「線の画家」、「黒の画家」だと思います。
時期によって多少差はありますが、直線的な稜線がかなり強烈に印象に残ります。
その斬るような鋭さは、特に都会の街並みや港、教会を描いた風景画に顕著で、なかでもビルが立ち並ぶニューヨークの風景を描いた1958年の作品など、張り詰める空気の様子までも伝わってくるようです。
また、「百合の花」(1955)や最後に登場するクラシックカーを描いた作品なども印象的です。
線の感触はぜひともルオーと見比べてみたい...おそらくルオーの稜線はビュフェを観た後だと相当にずっしりと感じられるような気がします。
色彩はモノトーンに近い感触のものが多く、中には最初のコーナーに並んで展示されている道化師3点の背景や後半の楽器を描いた静物画などは相当に明るい色彩も使われていますが、ヴラマンクを連想せずにはいられない風景画(年表によれば実際に影響されているようです)、グレーの感触が印象的な各自画像、キッチンまわりを描いたものなど、ほぼ無彩色、あるいは暗いセピア色で。
全般的にそういった印象を受けるなかで、1964年と1974年の作品はそれぞれ特徴的です。
1964年の作品は「皮を剥がれた人物」と「赤い花」の2点。
前者はタイトル通りかなりグロテスクな作品、後者はクリスマスプレゼントとして描かれたとのこと。作品のテーマはまったく違っていそうですが、この2点は画面に油絵具が「盛られる」ように描かれていて、その質感は一種異様な感じさえ受けます。
ザオ・ウーキーのエピソードを思い出したですが、一時的にボロックあたりのアクションペインティングにでも影響されたのでしょうか...。
・・・かたや1974年。ある意味こちらのほうがこの展示においてはもっと印象に残ったのですが、この年に描かれた作品も風景画とおそらくダリアを描いたものの2点が展示されていて、どちらもいわゆる黒の稜線が存在しないのです。
そしてそれぞれの作品の雰囲気も他のとは一線を画し、たいへんやわらかで。。。
年表には特別なことは何も記載されていなかったのですが、子供か奥さんから何か言われたのかな、と。
・・・とにかくこれまでの鑑賞体験がいろいろと蘇ってきます。
これまでに述べたルオー、ザオ・ウーキー、ヴラマンクの他にも、例えばごく初期の作品「波」(1946)と髑髏が登場する晩年のグロテスクな作品「死よ万歳」(1998)を観て、アンソールも冒頭は波で最後に髑髏が出てきたな、とか、この「死よ万歳」はバスキアみたいだなぁ、とか。
初期の静物画や稜線の勢い、ぐしゃぐしゃっとした引っ掻いたような痕にはピカソの影響を感じたり。
さすがに「線」つながりで小林古径、となるとそれはちょっと飛躍しすぎですが...。
気になる年のことについて質問した際に係員の方に教えていただいたのですが、サインはビュフェのその時期の精神状態を表しているかも、とのことで、それでなくてもかなり特徴的なサインなのですが、それだけを見比べるのもなかなか興味深いです。
http://www.asahi.com/event/TKY200507230201.html
楽しみにしていた企画展(最近多いのですが)。
珍しく会期が始まってすぐに観てきました。
「人物画」「風景画」「静物画」の3つのカテゴリーに分けられて、若干前後するものの、それぞれほぼ時代順に展示されています。
初期こそそれほど強くはないものの、ビュフェは「線の画家」、「黒の画家」だと思います。
時期によって多少差はありますが、直線的な稜線がかなり強烈に印象に残ります。
その斬るような鋭さは、特に都会の街並みや港、教会を描いた風景画に顕著で、なかでもビルが立ち並ぶニューヨークの風景を描いた1958年の作品など、張り詰める空気の様子までも伝わってくるようです。
また、「百合の花」(1955)や最後に登場するクラシックカーを描いた作品なども印象的です。
線の感触はぜひともルオーと見比べてみたい...おそらくルオーの稜線はビュフェを観た後だと相当にずっしりと感じられるような気がします。
色彩はモノトーンに近い感触のものが多く、中には最初のコーナーに並んで展示されている道化師3点の背景や後半の楽器を描いた静物画などは相当に明るい色彩も使われていますが、ヴラマンクを連想せずにはいられない風景画(年表によれば実際に影響されているようです)、グレーの感触が印象的な各自画像、キッチンまわりを描いたものなど、ほぼ無彩色、あるいは暗いセピア色で。
全般的にそういった印象を受けるなかで、1964年と1974年の作品はそれぞれ特徴的です。
1964年の作品は「皮を剥がれた人物」と「赤い花」の2点。
前者はタイトル通りかなりグロテスクな作品、後者はクリスマスプレゼントとして描かれたとのこと。作品のテーマはまったく違っていそうですが、この2点は画面に油絵具が「盛られる」ように描かれていて、その質感は一種異様な感じさえ受けます。
ザオ・ウーキーのエピソードを思い出したですが、一時的にボロックあたりのアクションペインティングにでも影響されたのでしょうか...。
・・・かたや1974年。ある意味こちらのほうがこの展示においてはもっと印象に残ったのですが、この年に描かれた作品も風景画とおそらくダリアを描いたものの2点が展示されていて、どちらもいわゆる黒の稜線が存在しないのです。
そしてそれぞれの作品の雰囲気も他のとは一線を画し、たいへんやわらかで。。。
年表には特別なことは何も記載されていなかったのですが、子供か奥さんから何か言われたのかな、と。
・・・とにかくこれまでの鑑賞体験がいろいろと蘇ってきます。
これまでに述べたルオー、ザオ・ウーキー、ヴラマンクの他にも、例えばごく初期の作品「波」(1946)と髑髏が登場する晩年のグロテスクな作品「死よ万歳」(1998)を観て、アンソールも冒頭は波で最後に髑髏が出てきたな、とか、この「死よ万歳」はバスキアみたいだなぁ、とか。
初期の静物画や稜線の勢い、ぐしゃぐしゃっとした引っ掻いたような痕にはピカソの影響を感じたり。
さすがに「線」つながりで小林古径、となるとそれはちょっと飛躍しすぎですが...。
気になる年のことについて質問した際に係員の方に教えていただいたのですが、サインはビュフェのその時期の精神状態を表しているかも、とのことで、それでなくてもかなり特徴的なサインなのですが、それだけを見比べるのもなかなか興味深いです。
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