レオノール・フィニ展(6/25)
2005年6月28日 アート
BUNKAMURAザ・ミュージアムにて。(6/18〜7/31)現在開催中!
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/fini/index.html
BUNKAMURAはよる遅くに行くに限る。。。
午前中に観たらこれほどまでに、内側に染み込んでいくような印象でこの世界観に触れることはできなかったような気がする。
例によっておおよそ若い時代から晩年へという具合に作品が展示されていて、途中に演劇関連の仕事を集めたコーナーを挟んで、それぞれその流れに沿った形でその時期の作風のものがまとめられています。
比較的初期の「シュルレアリスム」の作品と、かなり後期、晩年の「円熟期」。
どちらもシュールな世界観が描かれているのですが、作品から受ける印象がまったく違っています。
初期のシュルレアリスム作品は、作品ごとに世界観が完結しているような印象。
例えば、「守護者スフィンクス」。暗い空の下でピンクの布をはためかせながら台座に鎮座する半身半獣のスフィンクス。ダリのそれのような危ない奇妙な雰囲気が強烈に感じられつつも、やはり女性でしか表現できないような何かも存在しているようで...強烈に完結した世界感を醸し出しています。
一方、晩年の円熟期の作品はというと、かなりシュールな世界であるのに、少なくとも僕には、敢えて誤解を恐れずに表すならば何らかの物語の「どうでもいい」1シーン、という印象で。
ある意味、これだけ不可思議な世界が描かれているのにもかかわらず、迫ってこないというのも不思議といえば不思議ですが...。
その中にあって唯一印象に残ったのが、青の世界がロマンチックな「夜明けの影に」という作品。さりげないながらも印象に残るワンシーン、という感じです。単純に、美しい。
このふたつの間には「鉱物の時代」「エロティシズム」のコーナー。
「鉱物の時代」は、それまでの、そしてそれ以降の作風と劇的かつ微妙に作風が異なっていて、抽象とキュビズムとが混ざりあった世界は大変興味深いものでした。
なかでも「特権的地位」という縦に細長い作品(タイトルが間違ってたらごめんなさい)。デュシャンの「階段を降りる花嫁」にも似た色彩と、丸みを帯びたパーツを含みつつもメカニカルな肖像。そしてその一番上には振り向く女性の頭部。中世的で未来的で、なんとも不思議な世界観を放ってました。
「エロティシズム」の作品は、一転して淡い色彩で、でも描かれる世界はダイレクトにエロの世界。
レオノール・フィニはまったく知らない作家で、今回初めて拝見して、どちらかというと苦手、というか、おそらくたくさんの展示のなかに紛れていたらそれほど印象に「残さない」タイプですが、こうやってまとめてその作品に触れ、その独特の世界観に浸ると、それはそれで非現実的な空間が思いのほか心地よかったりします。
ホントに、夜に観にいって正解でした。
《感想リンク》
http://yaplog.jp/purple_shikiko/archive/58
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=288
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/fini/index.html
BUNKAMURAはよる遅くに行くに限る。。。
午前中に観たらこれほどまでに、内側に染み込んでいくような印象でこの世界観に触れることはできなかったような気がする。
例によっておおよそ若い時代から晩年へという具合に作品が展示されていて、途中に演劇関連の仕事を集めたコーナーを挟んで、それぞれその流れに沿った形でその時期の作風のものがまとめられています。
比較的初期の「シュルレアリスム」の作品と、かなり後期、晩年の「円熟期」。
どちらもシュールな世界観が描かれているのですが、作品から受ける印象がまったく違っています。
初期のシュルレアリスム作品は、作品ごとに世界観が完結しているような印象。
例えば、「守護者スフィンクス」。暗い空の下でピンクの布をはためかせながら台座に鎮座する半身半獣のスフィンクス。ダリのそれのような危ない奇妙な雰囲気が強烈に感じられつつも、やはり女性でしか表現できないような何かも存在しているようで...強烈に完結した世界感を醸し出しています。
一方、晩年の円熟期の作品はというと、かなりシュールな世界であるのに、少なくとも僕には、敢えて誤解を恐れずに表すならば何らかの物語の「どうでもいい」1シーン、という印象で。
ある意味、これだけ不可思議な世界が描かれているのにもかかわらず、迫ってこないというのも不思議といえば不思議ですが...。
その中にあって唯一印象に残ったのが、青の世界がロマンチックな「夜明けの影に」という作品。さりげないながらも印象に残るワンシーン、という感じです。単純に、美しい。
このふたつの間には「鉱物の時代」「エロティシズム」のコーナー。
「鉱物の時代」は、それまでの、そしてそれ以降の作風と劇的かつ微妙に作風が異なっていて、抽象とキュビズムとが混ざりあった世界は大変興味深いものでした。
なかでも「特権的地位」という縦に細長い作品(タイトルが間違ってたらごめんなさい)。デュシャンの「階段を降りる花嫁」にも似た色彩と、丸みを帯びたパーツを含みつつもメカニカルな肖像。そしてその一番上には振り向く女性の頭部。中世的で未来的で、なんとも不思議な世界観を放ってました。
「エロティシズム」の作品は、一転して淡い色彩で、でも描かれる世界はダイレクトにエロの世界。
レオノール・フィニはまったく知らない作家で、今回初めて拝見して、どちらかというと苦手、というか、おそらくたくさんの展示のなかに紛れていたらそれほど印象に「残さない」タイプですが、こうやってまとめてその作品に触れ、その独特の世界観に浸ると、それはそれで非現実的な空間が思いのほか心地よかったりします。
ホントに、夜に観にいって正解でした。
《感想リンク》
http://yaplog.jp/purple_shikiko/archive/58
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=288
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