損保ジャパン東郷青児美術館にて。(4/23〜7/15)
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index5.html
・・・充実。
久し振りに、古い洋画をじっくり堪能できたなぁ、と。
タイトルにあるように17-19世紀のフランスの画家の作品が、時代順に丁寧に配置されていて、順路に沿って観ていくだけでその時代の絵画の流れのようなものもおぼろげながら感じられました。
また、実にたくさんの作家の作品が紹介されていたのも、まだまだ未知の作家はたくさんいるんだなぁ、と嬉しい発見もたくさん。
印象に残った作品・作家。
ヴァンローの「善きサマリア人」。
数人がかりで馬上に人を乗せているかもしくは降ろしている場面で、最初観たときは何が描かれているか良く分からなかったのですが、じっくりと観ているうち、濃い青の闇の中にいろいろと浮かび上がってくるようで。
ヴィアンの作品は、絵の具の劣化のせいかも知れませんが画面全体が黄味がかっていて、その中の赤や青が大変優しい感じ、
ロベールの「橋」。
川にかかる石橋と、左手奥には城。
橋を渡る馬車、川辺で足を洗う女性、城から外を眺める人など。
風景全体も登場するさまざまなものもていねいに描かれているのに感服。。。
おそらく唯一、キャプションに油彩とクレジットされていない(デトランプ画だそうです)ボゲの湖畔の絵。
奥の渓谷から届く光と手前の木々の涼しげな蔭。弓を引くヘラクレスとそのはるかを高く飛ぶ鳥。
ファーブルの「ナルキッソスの死」。手前や中央に佇む池や木々、丘、丘の上の建物、奥に空、祈りながら座り込む女性と池に映り込んだその姿。。。
グレーズの書斎の絵。
書斎の中の絵を眺める人々と、部屋の隅のオブジェに身を潜めている子供。
画面の暗さ、それに伴うこれまでと違う静謐さと温度が新しい時代を告げているように思われたドラクロワの諸作品。
かえって無機質なほどに、画面全体のバランスが端正に調ったターセルの作品。
この展示のハイライト、「出会い こんにちはクールベさん」。
杖をついたまま胸をそらすクールベと、それを迎えるパトロンのブリュイアス。この絵をクールベが描いたというのが面白い。
そしてその向こうに広がる地平線、青い空。清々しい気分。
カステルノの「サン・ル峰の荒地」。
油絵具の濡れた感じが残っているのがこれまで並んでいた作品と違うのが印象的で、削れた(もしくは残雪?)山肌の白っぽいグレーが他の緑や茶色の中にあって強烈な違和感を感じさせるよう。
バジールの「路上で歌うイタリアの少女」。
濃いグレーでざっくりと描かれた背景(これまで背景もていねいに描かれていた作品が多かっただけに、この背景の質感は強烈)に、バイオリンを握って虚空を見上げるような表情の女の子。
ヴィラの「日本の衣装をつけた女性」。
油彩で描かれる着物というのも新鮮(もっとも、ゴッホ展でも展示されていますが)。着物の柄の花、鳥。団扇や髪飾りもきれいです。また、和服を着ていても描かれている女性はちゃんと西洋女性に見えるのも面白いです。
最後のほうの作品になってようやく、額の色が金からナチュラルな木の色へ。
カリエールの2作品、それぞれグレー、焦げ茶色主体の、この展示の中で極端に異彩を放つ曖昧さ。
1点だけ展示されたマティスの静物画。マティスはこれくらいしおらしい方がいいのかもしれない、と思ったり。
展示作品のひとつひとつが説得力に溢れていて、その気になればおそらく何時間でも過ごせるかと。
こうやってメモを見ながらあらためて振り返ってみて、隅から隅までていねいに描き込んでいた時代から、だんだんと背景が主になるものを際立たせるように変わってきているなぁ、と。そして、この展示ではカリエールあたりの作風が、また違う世界への入口になっているのかなぁ、と。
とにかく面白かったです。
絵を観ることを楽しみたい、という人がいたら僕は迷わずコレを薦めます。
常設について少しだけ。
・東郷青児の作品が、企画展に合わせて展示替えされるのも嬉しいです。
・僕はあの「ひまわり」をさほど良いとは思わないのですが(一度見れば充分かと)。。。
《感想リンク》
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=236
http://blog.so-net.ne.jp/kayo318/2005-04-24-2
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/06f92dfcb7168499c3d95551509661c5
http://sahashi.exblog.jp/2644170/
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index5.html
・・・充実。
久し振りに、古い洋画をじっくり堪能できたなぁ、と。
タイトルにあるように17-19世紀のフランスの画家の作品が、時代順に丁寧に配置されていて、順路に沿って観ていくだけでその時代の絵画の流れのようなものもおぼろげながら感じられました。
また、実にたくさんの作家の作品が紹介されていたのも、まだまだ未知の作家はたくさんいるんだなぁ、と嬉しい発見もたくさん。
印象に残った作品・作家。
ヴァンローの「善きサマリア人」。
数人がかりで馬上に人を乗せているかもしくは降ろしている場面で、最初観たときは何が描かれているか良く分からなかったのですが、じっくりと観ているうち、濃い青の闇の中にいろいろと浮かび上がってくるようで。
ヴィアンの作品は、絵の具の劣化のせいかも知れませんが画面全体が黄味がかっていて、その中の赤や青が大変優しい感じ、
ロベールの「橋」。
川にかかる石橋と、左手奥には城。
橋を渡る馬車、川辺で足を洗う女性、城から外を眺める人など。
風景全体も登場するさまざまなものもていねいに描かれているのに感服。。。
おそらく唯一、キャプションに油彩とクレジットされていない(デトランプ画だそうです)ボゲの湖畔の絵。
奥の渓谷から届く光と手前の木々の涼しげな蔭。弓を引くヘラクレスとそのはるかを高く飛ぶ鳥。
ファーブルの「ナルキッソスの死」。手前や中央に佇む池や木々、丘、丘の上の建物、奥に空、祈りながら座り込む女性と池に映り込んだその姿。。。
グレーズの書斎の絵。
書斎の中の絵を眺める人々と、部屋の隅のオブジェに身を潜めている子供。
画面の暗さ、それに伴うこれまでと違う静謐さと温度が新しい時代を告げているように思われたドラクロワの諸作品。
かえって無機質なほどに、画面全体のバランスが端正に調ったターセルの作品。
この展示のハイライト、「出会い こんにちはクールベさん」。
杖をついたまま胸をそらすクールベと、それを迎えるパトロンのブリュイアス。この絵をクールベが描いたというのが面白い。
そしてその向こうに広がる地平線、青い空。清々しい気分。
カステルノの「サン・ル峰の荒地」。
油絵具の濡れた感じが残っているのがこれまで並んでいた作品と違うのが印象的で、削れた(もしくは残雪?)山肌の白っぽいグレーが他の緑や茶色の中にあって強烈な違和感を感じさせるよう。
バジールの「路上で歌うイタリアの少女」。
濃いグレーでざっくりと描かれた背景(これまで背景もていねいに描かれていた作品が多かっただけに、この背景の質感は強烈)に、バイオリンを握って虚空を見上げるような表情の女の子。
ヴィラの「日本の衣装をつけた女性」。
油彩で描かれる着物というのも新鮮(もっとも、ゴッホ展でも展示されていますが)。着物の柄の花、鳥。団扇や髪飾りもきれいです。また、和服を着ていても描かれている女性はちゃんと西洋女性に見えるのも面白いです。
最後のほうの作品になってようやく、額の色が金からナチュラルな木の色へ。
カリエールの2作品、それぞれグレー、焦げ茶色主体の、この展示の中で極端に異彩を放つ曖昧さ。
1点だけ展示されたマティスの静物画。マティスはこれくらいしおらしい方がいいのかもしれない、と思ったり。
展示作品のひとつひとつが説得力に溢れていて、その気になればおそらく何時間でも過ごせるかと。
こうやってメモを見ながらあらためて振り返ってみて、隅から隅までていねいに描き込んでいた時代から、だんだんと背景が主になるものを際立たせるように変わってきているなぁ、と。そして、この展示ではカリエールあたりの作風が、また違う世界への入口になっているのかなぁ、と。
とにかく面白かったです。
絵を観ることを楽しみたい、という人がいたら僕は迷わずコレを薦めます。
常設について少しだけ。
・東郷青児の作品が、企画展に合わせて展示替えされるのも嬉しいです。
・僕はあの「ひまわり」をさほど良いとは思わないのですが(一度見れば充分かと)。。。
《感想リンク》
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=236
http://blog.so-net.ne.jp/kayo318/2005-04-24-2
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/06f92dfcb7168499c3d95551509661c5
http://sahashi.exblog.jp/2644170/
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