東京都現代美術館にて。(4/16〜6/26)
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/rouault/

これまでルオーの作品を観たのはいずれも天井も低く、床面積もそれほど広くない、あるいは広く感じない場所でした。
そのためか、僕が持っていたルオーのイメージは「暗い」「重い」だったのですが(決して悪い意味ではなく・・・)、そのルオーをあの東京都現代美術館の広い空間で観たらどんな感じがするだろう、と興味津々でした。

結果、やはりあの力強い油彩の厚塗りの作品が天井も床面積も広い空間の中にお互いの作品との間隔をたっぷりと取って展示されるとその力強さが広さに緩和されるようで、それぞれの作品のスケール感がより広大に感じられて、ルオーに対して今までになかった満足感を得られました。

印象に残った作品など。

ルオーのごく初期の作品のコーナーから「湖」。淡い水彩。始まりはこうだったんだな、と納得となぜか安心と。

続く『女性たち』のコーナー。
人の姿がかなり曖昧になってきていて、ちょっと距離を置くと奥行きが一気に感じられて面白かった「水浴の女たち」。
正面を向いて少しだけうつむいた感じで目を閉じている女性「優しい女」はタイトル通り。観ていて安らぎを感じてしまうほど。ルオーがこんなにも優しい印象の作品を残していることが意外でした。

『サーカスの人々』では、巨大な作品「小さな家族」が圧倒的な存在感を放っています。他にもサーカス絡みの作品、それもサーカス団の面々が表には出さない表情や場面が描かれているようでした。何かを考えているようの表情の「正面を向いた道化師」も印象的。。。

版画のコーナーは前期と後期とで展示内容が変わるそうですが、僕が行ったときは「ミセレーレ」でした。
それぞれの作品に描かれる人々のいろんな表情が印象に残ります。

個人的には『聖なる風景』のコーナーがいちばんよかったです。
まさにルオー作品の展示の真骨頂とでも言いたくなります。
まさに広いスペースに展示されいる風景画を観ることで、それぞれの作品にたいしてどんどんイメージが膨らんでいくような。。。
かなり距離をおいて拝見できるので、奥行き感も相当に感じられて気持ちがいいです。
特に、「たそがれ あるいは イル・ド・フランス」、「聖書の風景」。

一階展示室にはさまざまなスタイルの版画作品と連作「受難」とが。

このところ油彩がイマイチ気持ち良く観られないなぁ、と感じている時にあえて厚塗りが特徴のルオーの展示を観たわけですが、むしろそれを直に感じることがルオーを楽しむことなんだな、と改めて思った、というより新しく見つけることができた、そんな感じです。
また色彩に関しても、圧倒的な黒のイメージだったのが、原色をそのまま使用されていると思われる箇所はまったくといっていいほど見受けられませんでしたが、独特のくすんだ黄色や青、そして黒が力強くこそあれ、決してくどい印象を持つことはなく、油彩でありながら土っぽい質感や太い輪郭線と合わせて、むしろ大変心地よく思えました。

**********

続いて常設展示。
この日はまずルオーから観たくなったので、いつもと順番を変えて常設展示を後にしたのですが...。
まず、一階アトリウムに例の人が入れる作品がなくなってて、ちょっとびっくり。もうずっとそこに置いてあるものだとばかり思っていたので。
始まりからそんな感じで今までにないくらい作品の入れ替えが行われているようで、いつもの場所にいつもの作品がなく、おかげですでに観たことがある作品も新鮮に感じられました。

北代省三の「回転する面による構成」。落ち着いた茶系統の色彩で図形部分と背景とが描き分けられています。
先日の東京国立近代美術館の常設展示でも好印象だった不動茂弥が2点。こちらでは赤と緑。
山口長男と李禹煥との特別展示もなかなか。
いちばん上の階の靉嘔とナム・ジュン・パイクの展示は「?」なのもありましたが・・・。

**********

すべて観終わってロビーに出ると、同じく開催中のハウル展からキャラクターが飛び出してパフォーマンスをやってました。
体全体が金色で、長い手足を持った化け物みたいなキャラクターに扮したパフォーマ−が歩き回って子どもに手を伸ばしたりロッカーの上に座ってみせたりとやりたい放題。
こういうのがいっぱい観られるのなら、ちょっとハウル展も見てみたいなぁ、と(笑)。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/67f178c5bc6ab1c28d6fdddda83c3b1c
http://blog.livedoor.jp/m-06_16350/archives/19826380.html
http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/2005/04/___ed34.html
http://blog.so-net.ne.jp/kayo318/2005-02-14-5
http://oki304.blog.ocn.ne.jp/lily/2005/04/post_fddd.html
http://daisan.exblog.jp/306834/

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索