ゴッホ展 孤高の画家の原風景(4/17)
2005年4月18日 アート東京国立近代美術館にて。(3/23〜5/22)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Gogh/
人大杉。
ちょっと予想の範囲を超えちゃってました。
まず、常設から。
ここの常設は大変充実しているので毎回楽しみなのですが、今回はさらに志向を変えて、逆から観て回ることに。
というわけで、最初にギャラリー4の「所蔵作品展 戦後日本画の新風−横山操と中村正義」から。
たった8点の展示ですが、「これをしっかり観ないともったいない!」と声を大にして言いたくなるほどの素晴らしさ。
横山操は抽象の味わいも感じられる風景画で、岩絵の具の(先日お目にかかった川瀬伊人さんの言葉を拝借すると)マッドな感触で実にスケールの大きな作品。「ウォール街」は、断崖さながらに高くそびえるビル街に圧倒されます。
中村正義は「源平海戦絵巻」の連作5作品。
それぞれ海が金、青、黒、緑、赤で描かれていて、特に1番目の、これから海戦が始まらんとするシーン、武士を乗せたたくさんの舟が細かくびっしりと描かれているのに感嘆。
2回のフロアは1970年以降の現代美術。
まず、太田三郎の「SEED PROJECT」が目を引きます。
糊付きのパネルと和紙とでパッケージされた種子。和紙には採取年月日と場所、太田三郎の名前、その種子の日本名と学名それぞれが切手風に印刷されています。更に種子はきちんと並べられています(綿毛が付いているものはそうではないですが)。これがちゃんとデザインされたものに見えるから面白い!
杉浦邦恵のカーネーションの写真は、あざやかな青と黒の透明感が印象的。
先日ナディッフで拝見した松江泰治の写真も。
もっとも日が高い瞬間に撮られたと思われる山の斜面の写真には影と水平線がなく、「曝け出す」感じが何とも強烈。
荘司福の「土」。広い画面いっぱいの焦茶色が迫力満点。
3階。
抽象絵画のなかでは、不動茂弥の「秘儀」がインパクト大。
全体的にグレーで、方眼状にコラージュされた和紙、中国語らしきものが印刷された紙。強烈に「妖しい」空気。
日本画では、北野恒冨の「戯れ」。
緑に生い茂るもみじの木の前で、白粉を塗った女性が和服でカメラをいじっている絵。
その女性が着ている和服。緑地の着物と源氏絵か何かを描いたと思われる帯、髪飾り、それぞれが細やかに美しく描かれています。
4階。
写真の特集展示は椎原治、初めて観る作家ですが、コラージュやソラリゼーションの技術を駆使した作品が特に良かったです。
日本画は、菊地芳文の「小雨ふる吉野」の桜が堪らなく切なくて美しい。
屏風に広がる風景・・・手前には一枚一枚ていねいに花びらが描かれた桜、遠くに広がる、雨で霞がかったようにぼんやりとした、幻想的とも思える景色、それぞれが織り成すコントラスト。
川端龍子の「慈悲光礼讃(朝・夜)」。「朝」の、笹の葉が「青」で描かれていることと、その青の青さに驚き、その木漏れ日の先に、土の上に置かれたのか、それとも林のなかの池で泳いでいるのか・・・一匹の魚。ところどころに描かれているどくだみの花の白も印象的。
このフロアの特集展示「描かれた景観 写り行く東京」では、川瀬巴水の木版画の素朴な感じがよかったです。
常設だけで2時間近く。
こういう展示を観ると、現時点での自分の好みの傾向みたいなものが浮かび上がってくることもあります。そういうことを確認するのも興味深いです。
それからゴッホ展へと。
けっこうゴッホ以外の同時代の作家の作品も展示さていて、ゴッホの作品よりもシニャックとセザンヌの作品に惹かれました。
これまで様々な展示でゴッホの作品に触れ、そのたびに煌めくような色彩に感動してきましたが、こうやってゴッホの作品が集まるとその厚塗りの油絵具の質感が正直なところくどく感じられて、だからシニャックの点描画の爽やかさやセザンヌの薄塗りの淡白さが心地よかったのかな、と。
半年前だったらもっと違う感想になっていたと思いますが、今回ゴッホの作品を楽しめなかったことに対して、今の気分がそうなんだな、と思いのほかさばさばした気分で会場をあとにしました。
《感想リンク》
http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/2005/03/post_12.html
http://blog.livedoor.jp/blockheaddesigns/archives/18034963.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/03/post_2.html
http://bamboo.txt-nifty.com/blog/2005/03/post_9.html
http://kokoniikim.exblog.jp/2472848
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/04/post_1906.html
http://s-tamako.cocolog-nifty.com/mamart/2005/03/post_11.html
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=203
http://sahashi.exblog.jp/2429961/
http://www.momat.go.jp/Honkan/Gogh/
人大杉。
ちょっと予想の範囲を超えちゃってました。
まず、常設から。
ここの常設は大変充実しているので毎回楽しみなのですが、今回はさらに志向を変えて、逆から観て回ることに。
というわけで、最初にギャラリー4の「所蔵作品展 戦後日本画の新風−横山操と中村正義」から。
たった8点の展示ですが、「これをしっかり観ないともったいない!」と声を大にして言いたくなるほどの素晴らしさ。
横山操は抽象の味わいも感じられる風景画で、岩絵の具の(先日お目にかかった川瀬伊人さんの言葉を拝借すると)マッドな感触で実にスケールの大きな作品。「ウォール街」は、断崖さながらに高くそびえるビル街に圧倒されます。
中村正義は「源平海戦絵巻」の連作5作品。
それぞれ海が金、青、黒、緑、赤で描かれていて、特に1番目の、これから海戦が始まらんとするシーン、武士を乗せたたくさんの舟が細かくびっしりと描かれているのに感嘆。
2回のフロアは1970年以降の現代美術。
まず、太田三郎の「SEED PROJECT」が目を引きます。
糊付きのパネルと和紙とでパッケージされた種子。和紙には採取年月日と場所、太田三郎の名前、その種子の日本名と学名それぞれが切手風に印刷されています。更に種子はきちんと並べられています(綿毛が付いているものはそうではないですが)。これがちゃんとデザインされたものに見えるから面白い!
杉浦邦恵のカーネーションの写真は、あざやかな青と黒の透明感が印象的。
先日ナディッフで拝見した松江泰治の写真も。
もっとも日が高い瞬間に撮られたと思われる山の斜面の写真には影と水平線がなく、「曝け出す」感じが何とも強烈。
荘司福の「土」。広い画面いっぱいの焦茶色が迫力満点。
3階。
抽象絵画のなかでは、不動茂弥の「秘儀」がインパクト大。
全体的にグレーで、方眼状にコラージュされた和紙、中国語らしきものが印刷された紙。強烈に「妖しい」空気。
日本画では、北野恒冨の「戯れ」。
緑に生い茂るもみじの木の前で、白粉を塗った女性が和服でカメラをいじっている絵。
その女性が着ている和服。緑地の着物と源氏絵か何かを描いたと思われる帯、髪飾り、それぞれが細やかに美しく描かれています。
4階。
写真の特集展示は椎原治、初めて観る作家ですが、コラージュやソラリゼーションの技術を駆使した作品が特に良かったです。
日本画は、菊地芳文の「小雨ふる吉野」の桜が堪らなく切なくて美しい。
屏風に広がる風景・・・手前には一枚一枚ていねいに花びらが描かれた桜、遠くに広がる、雨で霞がかったようにぼんやりとした、幻想的とも思える景色、それぞれが織り成すコントラスト。
川端龍子の「慈悲光礼讃(朝・夜)」。「朝」の、笹の葉が「青」で描かれていることと、その青の青さに驚き、その木漏れ日の先に、土の上に置かれたのか、それとも林のなかの池で泳いでいるのか・・・一匹の魚。ところどころに描かれているどくだみの花の白も印象的。
このフロアの特集展示「描かれた景観 写り行く東京」では、川瀬巴水の木版画の素朴な感じがよかったです。
常設だけで2時間近く。
こういう展示を観ると、現時点での自分の好みの傾向みたいなものが浮かび上がってくることもあります。そういうことを確認するのも興味深いです。
それからゴッホ展へと。
けっこうゴッホ以外の同時代の作家の作品も展示さていて、ゴッホの作品よりもシニャックとセザンヌの作品に惹かれました。
これまで様々な展示でゴッホの作品に触れ、そのたびに煌めくような色彩に感動してきましたが、こうやってゴッホの作品が集まるとその厚塗りの油絵具の質感が正直なところくどく感じられて、だからシニャックの点描画の爽やかさやセザンヌの薄塗りの淡白さが心地よかったのかな、と。
半年前だったらもっと違う感想になっていたと思いますが、今回ゴッホの作品を楽しめなかったことに対して、今の気分がそうなんだな、と思いのほかさばさばした気分で会場をあとにしました。
《感想リンク》
http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/2005/03/post_12.html
http://blog.livedoor.jp/blockheaddesigns/archives/18034963.html
http://pocketwarmer.blogzine.jp/movie/2005/03/post_2.html
http://bamboo.txt-nifty.com/blog/2005/03/post_9.html
http://kokoniikim.exblog.jp/2472848
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/04/post_1906.html
http://s-tamako.cocolog-nifty.com/mamart/2005/03/post_11.html
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=203
http://sahashi.exblog.jp/2429961/
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