世田谷美術館にて。(2/5〜4/10)
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

この企画展はけっこうたくさんの方がblogに感想を書かれてて、それらを拝見して気になっていたのと、前日恵比須のアートフロントギャラリーでのアンティエ・エ・グメルス展が瀧口修造と関連していたこともあり、さらに会期終了も迫っていることもあって、行ってきました。

常設展示があるところではまずそちらから観るようにしているので、ここでも例にもれず常設から。
「畏怖する眼」とタイトルされたコレクション展、4つあるカテゴリーの中で「蒼穹の彼方へ−小堀四郎」と「さざめきのあとで−難波田龍起・向井良吉」が特に印象に残りました。
おそらく初めてお目にかかる小堀四郎は、ちょっと暗めの油彩の風景画という印象。
難波田龍起は元々大好きな作家なので、企画展と同じくらいに楽しみにしてたのですが、昨年のザオ・ウーキーを観たあとに触れる難波田龍起の世界は、ザオのそれと近い一面を感じつつ、作品によって焦燥感か幸福感か、とにかくそのどちらかに極端に振り切れたような独特の色彩感・スピード感を堪能。
向井良吉の「蟻の城」とタイトルされた3つのオブジェの極度に入り組んだ空間。その中に入り込んだ自分を想像。

常設展示は「デザート」ではなく「前菜」として。

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ここから文体変更。

会場に足を踏み入れてまず、瀧口自身の製作によるたくさんの小さなデカルコマニー(水彩絵の具を紙に染み込ませただけらしい)の作品群に圧倒される。ひとつひとつが小宇宙のようで、見応え充分。

その先は、もうこれでもかと言わんばかりに、壁、ショーケースいっぱいの展示物が。
事前に知っていたにもかかわらず、実際に観てみてあまりの数の多さに驚き、まず軽く一通り観て、ひと休みしてからもう一度じっくりと観て回った次第。

・・・面白かった。興味深かった。

平面から立体まで、展示物の形態は様々。
それぞれの作品の制作者・提供者も、おなじみの名前からまったく未知の作家まで、こちらもいろいろ。
ひとつひとつ観ていって、好きな作家の違う一面を発見したような面白さや、その展示物自体の面白さなど、それはそれでそれぞれいろんなポイントがあったと思う。

ユニークだったのが、それらの展示物の具体的な説明が一切添えられてなかったこと。キャプションを観て知ることができるのは、作者(あるいは寄贈者)、製作年、瀧口の書斎に残されていたかいなかったか、ということくらい。

・・・観ながら、あるいは観終わったあとで、いろんなことを考える。。。

これらは瀧口自身が求めたものもあるだろうが、多くは瀧口の元へと届けられたもののように思う。
ではなぜ、これだけのアーティストが瀧口に届けようとしたのだろう・・・瀧口修造という存在は、当時の前衛美術家にとって、どんな「ステイタス」だったのだろう・・・。

この企画が面白く感じられたのは、ここに集められたものが瀧口自身が面白いと思ったものであり、その瀧口に興味を持ってもらおうという極めてパーソナルな意志で瀧口に届けられたものであるからなのだろうな、と(当たり前といえば当たり前な・・・)。
だから、それぞれの展示物には余計な説明は必要なくて、要するに瀧口が面白いと思ったことだけがわかれば充分なのだと。

「漂流物」、言い得て妙、と思う。
しかし、これらの漂流物には「意志」がある。

もしもこの展示を先に観てたら、フルクサス展、痕跡展、デュシャン展の印象は違ってたかも...と思って、結局は世田谷美術館の株をあげることには変わりないだろうな、と。

《感想リンク》
http://blog.goo.ne.jp/green-paper-blue-window/e/ca1735e95e9e6e59df3604a090545153
http://blog.goo.ne.jp/erimuroi/e/c4a6e96bb6850c724135fdf7201112d6
http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/dd1a5604d94c1d45feffe53e3b98fba5
http://jiyu-runner.cocolog-nifty.com/tannsihin/2005/02/post_11.html
http://su-neko.way-nifty.com/art/2005/02/post.html
http://kanro30.blog3.fc2.com/blog-entry-200.html
http://d.hatena.ne.jp/crosstalk/20050219
http://blog.so-net.ne.jp/mckeee/2005-02-27-2

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