紀尾井ホールにて。
http://www.kioi-hall.or.jp/

今年最初の音楽ネタです。
ぴあでこのコンサートのチケットが当たりまして。

本のデザインを生業としている知り合いと待ち合わせてから紀尾井ホールへ。ここはずいぶん前から存在は知っていたけど、行くのは初めて。
会場に到着、さっそくホールへ向かって、その入口のドアから会場内の風景が目に入ってきた瞬間。

壁、天井はもちろん、床に至るまで、木でできていて、独特のやわらかい色にうっとり。
ステージには、真ん中にギターが6本、椅子を囲むように並べられていて、その光景に、あぁもう今日はいい音楽が間違いなく聴けるなぁ、という確信が。

7時過ぎ、会場が暗くなって、そこだけ明るくなったステージに、蝶ネクタイに黒のジャケット&パンツの渡辺香津美さん登場。

格好いいモチーフが繰り返される短いオリジナル曲から流れるように、ビートルズの「FOOLS ON THE HILL」。
アコースティックギターのスチール弦の、硬質で深い低音ときらびやかな高音とが天井の高いホールの隅々まで響き渡るようで、ちょっとアップテンポで単音の速いパッセージや目まぐるしく変化するコードを挟みつつ紡がれるビートルズのメロディ・・・

チャップリンの「SMILE」。ガットギターに持ち替えられていて、バラードで。ただでさえ寂しげなメロディが、やわらかなアタック音からすぐに減衰するガット独特の音と、ひとつの音を弾いた瞬間と次の音までの短い時間をもたっぷりと味わうかのように、ゆったりと演奏されるおかげで、より切なく響いて、もう・・・

バッハの無伴奏チェロ組曲からの演奏は、当然譜面に指定された単音の連続で、一度始めたら最後まで続けなければならないという、薄氷を踏むような慎重さにも似た緊張感は聴いている側にも伝わってきて、それを終えた瞬間の到達感といったら・・・

休憩後の一曲目は、「ソ・ダンソ・サンバ」。
ボサノバのリズムを刻みながら、ヘッドホンマイクで歌ってしまう香津美氏。上手い歌ではないけれど、そのリラックスした雰囲気はたまらない・・・

千住博氏をゲストに迎えてのトークコーナー。
千住氏、作品のイメージから勝手に寡黙な方だとばかり想像していたが、いやもうすごい勢いでしゃべるしゃべる。
香津美氏、合いの手を入れるのが精一杯。
噛み合わないトーク。
でも、千住氏が選ぶ言葉には思わず納得してしまう。

フルアコを使用して、「Night and Day」「So What」の2曲。
このホールは、アンプの音もきれいに響かせる。

ラストはフォーレの曲を、12弦ギターで。
まさに荘厳。

アンコールはジャンゴ・ラインハルト。
「Minor Swing」の渋いスウィング感。
まだ上京する前にさんざん聴いてた「Romanesque」にも収録されていた曲で、鼻を突くほどのジプシーの香りに溢れた極上の演奏。

香津美氏のインタビューで、なぜクラシックホールで演奏するようになったのか、という問いに、「クラシックのギタリストと共演する機会があって、そのときにクラシック専用ホールで初めて演奏して、その響きに感激した」との言葉が印象に残っていて、まさに今回聴いた演奏は、香津美氏自身が、自分の発する音色の響きに「陶酔」していて、その心地よさが聴く側にも充分に伝わってきて、なんとも心地よい時間を過ごすことができました。

・・・ステージでの光景、紡がれた音、思い出すだけで気持ちよくなってしまいます。

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