というわけで、ベスト10中心に、僕なりにこの1年に観た美術展を振り返ってみます。

まず、1位と2位に挙げたザオ・ウーキーとロバート・ライマン。
いろんな意味で対照的な展示でしたが、こうやって並べて思い返すと、対照的だからこそ、僕の中では「対」になっているような気がしてならないのです。

様々な色彩のザオ、白一色のライマン。
窓のない小さな部屋が連なっているようなブリジストン美術館、吹き抜けで広く、自然光の川村記念美術館。
絵の世界に入っていくにも、ザオは接近し、ライマンはできる限り距離をとった。

でも、絵の世界にシンクロできた時の感動は近いものがあって。
そして、後味はまたそれぞれ違ってて。

 
3位から5位までは、東京ステーションギャラリーでの展示を並べてしまいました。
この場所の雰囲気はなんだか特別な感じがします。
特に、レンガ作りをそのまま活かした第二と第三の展示室。

そして、今回挙げた3つの展示は、作品自体もそれぞれ素晴らしく、この美術館で過ごした時間も大変充実したものでした。

難波田史男は、それぞれの絵が、観る距離や角度が違うとその表情も劇的に変化する、その不思議な世界に感動。
ベン・ニコルソンは、画面を「彫って」描かれた巨大な抽象画が、挑むように語りかけてきた。心地よい疲労感。
佐藤哲三、知るはずもない新潟の風景になぜか懐かしさを感じつつ、壮絶な晩年の作品群に圧倒されました。

東京ステーションギャラリーは、難波田史男展以来、展示替えのたびに足を運んでます。まったく知らない作家の展示でも期待を裏切られることはないと思ってます。
それだけ、ここが好きなんです。

 
6位のピエール・ボナール展。
西洋の作家の展示にもいろいろ行きましたが、純粋に感動したという点で、これがいちばんでした。
たとえばモネの風景画は繊細なところにどこかエッジの効いた印象をもつのですが、比べてボナールの画風はやわらかで、その優しい感触がとにかく心地よかったことを覚えています。
これ以降もボナールの作品に触れる機会は何度かありましたが、この時以上の感動を得られず・・・。
絵が面白いと思うようになって間もない頃だったことも、感動できた理由のひとつかもしれない、と、今になって思うこともあります。

 
7位の「再考・近代日本の絵画」。
とにかくその量と、展示内容の充実度に圧倒された美術展でした。
そして、この美術展を観たことでホントに多くの未知の日本人画家の作品に触れることができたのも大きな収穫でした。

8位はつい最近観てきたHANGA展。
ギャラリー巡りでたくさんの若い作家の作品に触れると、「何を描くか」と同じくらい、絵の印象への影響を考えたらもしかしたらそれ以上に「どう描くか」が大事なのでは、と思うことが多々あります。
その「どう描くか」というポイントにおいて現代の版画は斬新なアイデアがいっぱいで、まさにそういう作品がたくさん展示されていて、とにかくすごかったのです。
また、こういう展示で新しい作家を知るのも楽しいのです。

 
9位には原美術館での奈良美智展を挙げました。
同じ毒でも草間は幻覚作用があるとすると、奈良の作品はもっと「毒」の部分が際立っていると思う。
もっとダイレクトに刺激を伴うような、何か。
他では体験できないような「やられた!」感がいっぱいだったんですが、これをベスト10に入れたのは、実は展示されていた1枚の作品「Dream Flight」。
この作品にふれた時に自然に頭の中に鳴ってきたのが渡辺香津美の「つるかめひなタンゴ」という曲。
たまたま80年代の日本のトンがったフュージョンを聴きまくっていた頃で、そのサウンドがシンクロしてとにかく強烈に印象に残っているのです。

 
10位のハピネス展は、実質はじめて行った美術展で、ここで出会ったカンディンスキーとピカソに大変感動したことが今に繋がっていると思うので、感謝の意味も込めて。

 
他にも、RIMPA展、横山大観「海山十題」展、ヨハネス・イッテン展、ロシア絵本展なども印象に残ってます。
印象派の作品展にも数多く足を運んだのですが、ベスト10にひとつも入れなかったのは、決して満足してないわけではなく(むしろ毎回感動しっぱなし)、今回挙げたものの方が「一期一会」感、言い換えるとまさに今年印象に残ったという点でベスト10に入れた美術展の方が上だったのです。
二つのピカソ展とマティス展も良かったのですが、僕にはそれぞれ「絵を楽しむ」にはちょっと重かったかなぁ、という気がしてます。

支離滅裂な内容になって申し訳ないです。。。
2005年も楽しみです。
余裕があったら、金沢21世紀美術館とか、ちょっと遠い美術館にも足を運んでみたいです。

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