東京藝術大学大学美術館にて。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2004/hanga/hanga_ja.htm

ギャラリー巡りをしているととにかくたくさんの版画作品に出会う。
手法もいろいろ。作風もいろいろ。
で、この展覧会は芸大美術館の広さで版画だけに焦点を絞っているようだったので、行くことに。

2フロアでの展示で、地下では歴史的作品が中心、3階では近現代の様々なスタイルの作品の展示。

まず、地下から。
葛飾北斎、歌川広重。このあたりの絵は知っているつもりでも、実物を観るとやっぱりその色の鮮やかさに驚く。
有名なヨーロッパの画家による銅版画作品。コロー、ゴーガン、マネ、ピサロ、セザンヌ、ゴッホ。このあたりはそれぞれ油彩の作風と近くてなるほど、と。
他にもいろいろある中で、パウル・クレーの「綱渡り師」が、ちょっと暗いピンクの背景と綱渡り中の人物がかわいくて印象的。

続いて3階。
もう、期待以上の充実度。
まず入り口正面で、棟方志功の木版画が力強く迎えてくれて、好奇心にスイッチが入る。

斎藤清「凝視(花)」。人の横顔と花がコラージュされたような木版画で、色彩のバランスと版の木目が妙に心地よい。
銅版なのに強烈な透明感がある浜口陽三「パリの風景」「さくらんぼと青い鉢」。
池田満寿夫の3作品のなかでセクシーな「愛の瞬間」。
木口木版という、木版とは思えないくらいに細かい、日和崎尊夫「卵1」。
赤と青で刷られたものの上に、その赤の部分と同じものを少しずらして黒でフィルムに刷り、それをかぶせて不思議な奥行きをつくり出している木村光祐「アウトオブタイム-25」。

銅版だが、大きな筆で描いたような豪快なロバート・ラウシェンバーグの2作品。
宮下登喜雄「作品A」。朱のバックに存在する黒、まるで焦げたよう。
ちょっとコミカルに感じられる家族写真、ただ、広い余白も印象的な野田哲也「日記」2作品。
靉嘔(あいおう)の「レインボー北斎」。鮮やかな色彩はこれ以上ないくらいに圧倒的、観れば分かる。
郭徳俊「位相1972B」。写真、鏡、新聞記事などのクールなコラージュ。

李禹煥は版画でもリズムがあって、そして版画だと油彩と違ったリズムで面白い。
榎倉康二「一つのしみ No.4」。ベニヤ板にシミをつけただけの作品になぜか感じる説得力。
河口龍夫「関係−質」は、紙に錆びたかすがいが透き込まれていて、もはや版画ではなさそうだけど、版画としてみても違和感がない不思議。
金と銀のグラデーションがきれいな、百瀬寿「スクエア−金と銀による金と銀」。

並ぶモノクロの作品。東谷武美「日蝕0302」と星野美智子「時の形見−放棄された図書館」。強烈に重い。
スッと優しくこころに届くような抽象、尹明老「ANONYMOUS LAND 9101」。
ポップなデイヴィッド・ホックニー「雨」「雲」。

あと、ありがたかったのが版画の用語説明のコーナーがあったのと、ビデオでそれぞれの制作過程が分かるようにしてくれたこと。
これまでよく分からなかったことがかなり解決できました。

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