横浜美術館にて。
http://www.yma.city.yokohama.jp/kikaku/fukei/

サッカー観戦もあったので、それまでの時間を有効活用すべく、始まったばかりのこの展覧会へ。

横浜美術館は初めてだったけど、こういうところに行くたびに「箱もの行政バンザイ」なんて気持ちになってしまう。
外観もゴージャス、内装もゴージャス。
入ってすぐのロビーにはグランドピアノがあって、定期的にクラシックのコンサートが行われているようで、今日はリコーダーとピアノの2重奏。石造りなので良く響いてました。

で、この展覧会。
「風景表現」とタイトルにあるので、印象派の絵をたくさん見られることを期待して、いざ会場入り・・・。

カテゴリーは以下の6つ。
【1】近代都市パリの形成と風景表現
【2】帝都東京の成立と風景表現
【3】ニューヨークと地方−アメリカ風景写真の展開
【4】近代都市パリの成熟と「地方」への関心
【5】帝都東京と作られた「地方」
【6】大量殺戮と廃虚−第二次世界大戦末期の戦争風景

・・・一通り観て回って、テーマが重いことに気付く...。

まず最初のカテゴリーでは普仏戦争、パリ・コミューンをテーマにした絵や写真もあり、この時代の戦争が街全体を破壊してしまうほどに壮絶なものであることを知り、愕然とする。
そんな中、おなじみの印象派の作家による作品も。
ブーダン、ルノアール、モネ、シスレー。
ちょっと大人しめのタッチのシニャック。
モローの「岩の上の女神」。水彩とは思えないほどに緻密。
やわらかな色彩、単純な色の配置のベルナール。

【2】では、菱田春草「秋木立」、今村紫紅「細雨」、小茂田青樹「逢坂山」といった絹本彩色の掛け軸が美しい。
鏑木清方の屏風「暮雲低迷」。全体的にくすんだ風景の中、満開に咲く一本の桜の木。
前衛絵画、浜田浜雄「ユパス」のシュールな世界。

この展覧会でいちばん印象に残ったのが【3】の写真群。A・L・コバーン、W・エヴァンス、E・スタイケン、L・W・ハインといった写真家の作品。20世紀初頭の近代建築や風景を撮ったモノクロームの写真は、その時代の空気がすごく伝わってくる感じがした。
特に印象的だった作品、アルフレッド.スティーグリッツの「春の駿雨・ニューヨーク」。
解説にもあったけど日本の掛け軸を思わせるような「わびさび」が写真から伝わってくる不思議。

以降もモノクロームの記録写真であったり、写真表現が面白かった。
ウジェーヌ・アジェ、濱谷浩の新潟の風景を撮ったもの、土門拳のお寺の写真、ロバート.キャパの第2時世界大戦の記録写真など。

絵画は、フランスから当時の植民地に渡った作家の作品や、日本がアジアの近隣を植民地化している時の当地の作家の作品。
知ってる作家では、ボナールの「街角」、ヴラマンク「雪景色」、マルケ「ボン=ヌフ、夜景」が良かった。
他にフリエス「海と船」のセピア色の風景画、セリグマンとオスカル・ドミンゲスも。

観終わってみればたっぷり3時間。

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