ブリジストン美術館にて。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/expositions/special.html

ザオ・ウーキーの作品を初めて観たのは彫刻の森美術館の常設展。
その時の印象がけっこうしっかり残ってて、そんな中でこの展覧会を知り、楽しみにしていた。

現代美術作家の展覧会にもすでにいくつか足を運んでいるが、それらはいずれもそれぞれ違う鑑賞法を見つけて楽しんできた。
難波田史男は遠目に観てみて現れてくる景色を。
ベン・ニコルソンは立体に見立ててみた。
ロバート・ライマンは絵を見る人が白い絵のアクセントになった。

で、このザオ・ウーキー。
初期の絵こそ「何か」を描いているのでタイトルがあるが(といっても具体的に描いてるのがわかるのは冒頭の2作品だけ)、ほとんどが日付けや抽象的な言葉をタイトルにしていて、絵を観るヒントとしてはあまり役に立たない。

初期の頃の絵。
背筋がゾクゾクするようなスリリングな抽象画。
具体的な「何か」自体はそれほどデフォルメされているわけではないのでそれぞれ「船」や「魚」や「琵琶」、といったことは分かるけど、とにかく色がすごい。
同じ色でも深く濃いところもあれば、淡いところもあって、それがしびれるようなコントラストを創り出している。

以降、完全な抽象画。
もう、何を描いてるか分からない。

遠目で観たり、近付いて観たりしながらまず一通り巡ってみてひと休みの後、再び挑戦。

それぞれはけっこうな大きさの絵、ということもあって、絵に近付いて、その前でしゃがんでみた。
そしてゆっくり見上げてみた。

視点をゆっくりと動かす先の景色は、それと同じスピードで、時に微妙に、時に劇的に変化する。
そうやって視点を動かしていってると、ひとつの作品の中にすごく好きな部分が見つかってくる。
絵全体をいっぺんに観ようとしてたら気付くことがなかったであろう微妙な色の違いや、すごく細かい点や線。それらが創り出すコントラストを知る。

瞬間、絵の風景の中に心が浸かっていく。楽しくてしょうがない。

午後からサッカー観戦だったので途中から時間との戦いだったが、もし何もなかったら何時間でも絵と対峙していられると思うし、していたいと思う。

めちゃくちゃ面白かった。

1枚だけ、「なるほど」と思わせるタイトルの作品を。
「アンリ・マティスに捧ぐ」。
タイトルを知ってこの絵を観ると、すごく共感できる。

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