川村記念美術館にて。
http://www.dic.co.jp/museum/exhibition/exhibition.html

抽象絵画は、何も言わない。
観る側からアクションを起こした時のみ、対話に応じてくれる。

何の意図もなく眺める分にはどれも、ただ白い絵でしかない。
それでも、絵からの距離や観る角度を変化させるなどして、それぞれの絵と時間をかけて対峙していると、だんだんと面白さが感じられてくるから不思議。

まっさらな巨大な白い正方形の右上の角から斜めに青のチョークの直線が引かれている作品。
いちばん遠くから観てると、至近距離でこの絵を観ている人の後ろ姿が絵の中に取り込まれるように見えて、人が変わると景色も変化する。

およそ1メートル四方の白く塗られた鉄板が12枚均等に並ぶ作品。
ちょっと距離をおいて、左端から1枚ずつ同じテンポで視線を移動させていくと、1枚1枚観ているときはよく分からなかったそれぞれの白の絵の具の濃淡の違いが鮮明に。

「傑作か駄作」というシュールなタイトルがつけられた、大きなキャンバスに水平方向に白の絵の具を同じ太さで走らせたもの。
絵の具のわずかな凹凸がえがく流線に、この絵の前では違う時間が流れているように感じる。

「Assistant(助手)」。
いろんな角度で観ていくと、ただの白が群れて咲く花のように見えたり、積もる雪のように見えたり。

小さな作品はそれはそれで独特の世界を完結させている。

・・・すごく面白かったです。

で、ここ川村記念美術館は初めてでしたが、佐倉駅から送迎バスに乗ってでいく道のりで見る風景はイネの緑があざやかで、美術館も敷地内の池にアヒルがいたり、小道ではさまざまなセミやほかの虫の声が聴けて、心地よいです。

また、順路通りに進むとまず常設展示から始まるようになってます。
その内容も、ボナ−ル、モネ、、ルノアール、ピカソ、マティス、ブラック、シャガールの作品の展示室に始まり(ここではエルンストの作品がいちばんでした)、レンブラントの作品が1枚だけある部屋、日本画(鏑木清方の「四季美人図」、素敵)、現代(カンディンスキー、マレーヴィチなど)、抽象、マーク・ロスコの7点(異様な雰囲気です、嵌るとヤバいかも)という充実ぶりでした。

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